萌えます。年下男子 続き4

105: 名前:HARU☆01/30(日) 19:08:48

「か、奏太く「…早く言って下さい」



奏太くんが今、よくわからない

ただ抱き締められている温かさが心地よい



「そういうこと…、直接俺に言って下さいよ…」
「え?な、泣いた理由のこと…?」
「ちゃんとあの時言ってくれたら…、怒ったりしなかったのに…」



ぎゅっ、と抱き締める腕に力が入る

それがただ愛しくて愛しくて…

ごめんね、と小さく謝った



「それに先輩のこと嫌とか面倒とか思いません。
 先輩は言葉足らずだから勝手に自分で責めて決めてしまうんです」
「そ、れって…、面倒な女じゃん…」



奏太くんは少し黙って「確かに」と言った

や、やっぱり面倒だって思ってたんじゃん!



「と、とにかくもう面倒な女から奏太くんを解放してあげたいの!
 だから私以外の人…、っ朱美ちゃんのとこにでも行けばいいのっ!」
「しつこい!一回言ったことは一回で覚えろっての!」



まっ、また怒るーっ!

怒りたいのは私だっつーのにい!



「かっ、奏太くんこそ一回で覚えてよ!
 奏太くんのために別れるって何回言えばいーのっ!?」
「俺は面倒くさい女が好きなんです!」



ぴたっ、と言葉が止まる



「年下好きで我が儘で泣き虫で、爆弾発言するし無防備だし…

 そんな面倒くさい年上の女の子のことが、大好きなんです」



なんで…っ、

なんでそんなこと言うんだよお…っ






106: 名前:HARU☆01/30(日) 19:33:29

「な、んでそんなこと言うんだよお…っ」
「先輩?」



止まっていた涙が再び流れ始める



「ひっ、人がせっかく解放してあげるって言ってんのに…っ
 別れないとか、好きだとか…っ、なんでそんなこと言うのお…っ」
「…すみません」



奏太くんがいつものように零れる涙を裾で拾ってくれる

なんで…っ



「なん、でもっともっと…っ、好きにさせんの馬鹿あ…っ!」
「…すみません」
「謝んなあ…っ、馬鹿ぁ…!」



奏太くんの手をぎゅっと握る

本当はね、触れたくて触れたくて仕方がないの

ずっと傍にいてほしいの



「…泣かないで下さい。ね?」
「…っぐす、…っ」



困ったように笑う奏太くん

なんでこんなに好きなんだろう

どうしてこんなに好きになっちゃったんだろう



「信じてて下さい」
「え…?」
「俺はどこにも行かないって…、それだけでいいですから」



もしかしたら最初から信じようとすらしてなかったのかもしれない

私は自分の気持ちを零さないようにいっぱいいっぱいで
奏太くんへの信用は両手から溢れてしまってたのかな?



「…し、信じればいいの?」
「目に見えないものだから一番難しいことかもしれない。
 でも、くるみ先輩が信じててくれれば俺はずっと傍にいます」



…恥ずかしい言葉

でもなんだか心地よい



「…じゃあ信じ、ます」



そう言うと奏太くんは頬を赤くして嬉しそうに笑った






107: 名前:HARU☆01/30(日) 20:14:33

「あ、でも俺振られたことになんのかな?」
「へ?」



急に奏太くんが「うーん」と悩み始めた


え?今そこ悩み始める?

急に焦ってきた

もう今は、さよならに意味はなくて…その…、

ち、ちゃんと言葉にしなくちゃ!



「えと…っ、さよならって言ったけどね、でも私は今も奏太くんのこと…っ」



言わせない、

とでも伝わってくるように私の唇に奏太くんの唇が重なった

そして目を合わせたままゆっくりと唇が離れる



「次は俺に言わせて」
「え…」



意味ありげに笑う奏太くんにドキン、と胸が鳴る

次…って?



「…相沢くるみさん。好きです、付き合って下さい」



時間があの時に戻った

私が奏太くんに告白したあの日に…



「今度は自分から言いたくて」
「…もぉ、そんなのいいのに……」
「俺が言いたかったんです」



私の涙のせいで奏太くんの服の裾はだいぶ濡れてる

そんなことも構わずにただ優しく拭ってくれる



「…で、返事は?」
「そんなの決まってるもん…」



目に見えないけど信じます

奏太くんの気持ちを疑ったりしません


だから



「私の傍に、…ずっといて下さい」

「ぷはっ、約束しますっ」



ぐしゃぐしゃに泣きながら言う私を見て涙を拭いながら笑った


目が合って、笑って、優しいキスをした




110: 名前:HARU☆01/30(日) 22:15:18

やっぱり奏太くんから離れるなんて無理だったんだね



「…はぁ、なんかごめんね?泣いてばっかで服も濡れちゃって…ぐす」
「あはは、こんなに泣くなんて予想外。
 てゆうか、ちゃんとご飯食べて下さいよ?」
「あい」



鼻をずずっとすすりながら返事をする

いい子、と優しく頭を撫でてくれた



「それにしても…、好きだーとか信じろーとか…
 奏太くん結構恥ずかしい言葉たくさん言ったよね」
「ま、ね……」



私が笑って言うと、口を押さえて恥ずかしそうに返事をした

あ、いつもの奏太くんだ



「俺なりにずっと考えてたんです。
 なんて言ったら伝わるのかなー…とか」



いろいろ考えてくれてたんだ…



「連絡なかったから…、少し不安だった…」
「全く…、余計な心配はしないで下さい」



くすっと笑って私の頬をつねる

全部全部…、愛しい人






111: 名前:HARU☆01/30(日) 22:40:45

「じゃ…、そろそろ帰りますね」
「え、」



確かにもう話すことないし私今不細工だけど…

せっかく来てくれたのに早いってゆうか…

や!そうじゃなくて…!


ベッドの上から立ち退こうとする奏太くんの服の裾を引っ張る



「か、帰んないで…」
「なんでですか?」
「えと…、その……」



ただもっと触れていたい

なんてゆうか…、つまり…



「も、っと一緒にいたい…な」



…な、なんか恥ずかしい!

顔から火が出るってまさにこういうことだ!

あぁ~っ、私欲張りになってる!

恥ずかしさのあまりぎゅっと目をつむる



「…そんなこと言わないで下さい」



静かに答える奏太くんの声

だ、よね…、迷惑だよね…



「ごっ、ごめんねっ」



パッと裾から手を離した瞬間、奏太くんがその手を握る

目を開けて視線を合わせるとトクンと胸が鳴った



「部屋に二人きりでそんなこと言って、…我慢できなくなります」



ギシ、とベッドが音を立てて
まるでスローモーションのように押し倒される


私が見上げた奏太くんは頬を染め、困ったような顔だった



「が、我慢って…」
「先輩は男の人をわかってなさすぎです」



その言葉の後、上から強く唇が重なった




115: 名前:HARU☆01/31(月) 19:43:26

ギシ、とただベッドの音しか聞こえなかった

てゆうかこれは…、ちょっとやばいかも



「ん…、っあ」



絡み合う隙間から声が漏れる

両腕も塞がれて、しかも奏太くんが私にまたがって…

身動きもとれないよお…っ



「…っふぅ、…んっ」



この後どうなっちゃうの?

先に進んじゃうの?

部屋に二人きりがまずかった?


てかその前にドキドキで爆発しちゃいそう!私が!



「……っはあ」



唇が離れると思い切り目が合う

奏太くんの唇から糸が下に降りている


確認しなくてもわかる

私と繋がってるんだ






116: 名前:HARU☆01/31(月) 20:21:21

「…か、なた…く「簡単に押し倒したりできるんですよ」
「え…?」



首筋に唇をあてる

身体がピクッと動く



「…なっ、なんか奏太くんエロい!」
「先輩が誘うからです」



さっ、誘う…っ!?

ただもっと一緒にいたいって言っただけなのに!



「先輩みたいに華奢な子、いつでも軽々押し倒せます」
「お、押し倒す…って」



カァーッ、と顔が赤くなる

奏太くんは完全に男の人だ…



「ちょちょちょちょっと待って…っ!」
「もう十分待ちました」
「えぇ…?」



情けない声で返事をしてしまう

奏太くんの顔を見ると意味もなく心臓がドクンと鳴る



「先輩の爆弾発言や行動にずっと我慢してきました。
 俺は触れたくて仕方ない気持ちを抑え続けてきたんです」
「奏太く…っ」

「待ってきたけど…、先輩があまりにも無防備で、

 ……もう理性が保てません」



またベッドが音を立てて奏太くんの唇が重なる

私はそれに応えるだけで精一杯だ



「…んっ」



奏太くんの右手が私の手から離れ首筋をつーっとなぞる

そのまま胸、お腹と服の上からなぞられる

それだけで敏感に身体が反応してしまう


そして腰で手の動きを一度止め、服をすり抜け直接肌に触れた

その手が今度は上へと上ってくる


た、確かに付き合った当初に襲われたいとか言ってたけど…!

現実目の前にすると何をどうしていいのか…、全然わかんない!


てゆうかその前にいろんな気持ちが混ざって

……死んじゃいそう!






117: 名前:HARU☆01/31(月) 20:47:42

奏太くんの手が胸に触れた瞬間、



「くるみーっ!」



下の部屋からお母さんが呼ぶ大きな声がした

奏太くんの手がピタリと止まる



「おばあちゃんから電話があったんだけどー」



と、用件を言いながら階段を上ってくる音が聞こえた

奏太くんが慌てて私の上からどいて、ベッドの上から降りる

私もすぐ起き上がり乱れた髪と少しめくれた服をを焦って直す



「来週の日曜に来れないかってー」



その言葉と同時に私の部屋のドアが開いた


何事もなかったかのように私は「いいよー」とお母さんに返事をする

お母さんは「了解」と何も疑った様子はないようだ


こっそりほっとする



「…じゃあ、俺帰りますね」
「あら、もう帰るの?」



奏太くんがそう言うとお母さんは
「もっといればいいのにい」と残念そうに言う



「…じゃ、また明日ね。くるみ先輩」



少し照れた表情で手を振り、お母さんと階段を降りていく


また明日って…、

どんな顔して会えばいいのよお…っ




120: 名前:HARU☆02/01(火) 17:07:29

「はあぁあぁ!?」
「……だってぇ」



次の日、学校に着くなり満里奈とのりに全部を報告

一度別れを告げたことも、仲直りしたことも

……その後のことも



「あんだけ襲いたい襲われたい言ってて、…いざとなったら拒否?」
「き、拒否じゃないよっ!…ただ、なんというか…心の準備?」



「今更ぁ?」と満里奈は顔を歪める

私だってよくわかんないんだもーん…



「まあ、私は奏太くんを褒めたいね」
「同感」
「な、なんでーっ?」



私がわからないまま同意し始める二人



「よく今までのくるみの発言や行動に我慢してきたと思うわ」
「付き合って2ヶ月以上経つとはいえ、
 別にあってもおかしくない行為だしね」



ま、じ?

なんでそんな二人とも奏太くんの肩もつのさ

そんなに私やばいこと言ったりしてた!?



「ど、どーしよお…!」
「もう立派な恋人同士なんだから自分で考えれば?」



満里奈は意地悪気にそして少し面白そうに笑う


この先萌えるだけじゃ駄目なのーっ!?






121: 名前:HARU☆02/01(火) 18:34:57

時を同じくして一年五組

登校してきた朱美を奏太が廊下に呼び出す



「何?課題ならやってないよ」
「違うし…、てか課題はやってます」



なんだ、と笑って朱美は壁にもたれかかる



「くるみ先輩のこと」



朱美の笑顔が一気に冷めた表情になる

その顔の豹変ぶりは奏太でもわかる



「朱美がくるみ先輩を良く思ってないのは知ってる。
 なんでかわかんないけど…、朱美と正反対の人だからだと思う」
「嫌いよ、あんな甘えた奴」



奏太は困った顔をする

でも「わかった」と頷く



「別に嫌いなら嫌いでもいい。ただ本人の前では言わないで。
 態度で示すのも…、朱美のできる範囲で極力減らして欲しい」
「…あ、っそ」



朱美は気に食わない顔、返事をする



「…そんなにあの子が大事?私にいちいち忠告しなきゃ不安?
 それともあの子が私にそう言って欲しいって奏太に頼んだわけ?」

「…違うよ。俺が勝手に言ってんの」



奏太の真剣な言葉に朱美の苛々は募るばかりだ






122: 名前:HARU☆02/01(火) 18:50:38

「苛々すんの、あの子見てると。
 人気者でへらへらしてて、かと思えば泣くんでしょ?
 涙は女の武器だとか思っててさ、奏太も都合のいい彼氏だよね」
「それでもいいよ」



朱美が目を丸くする



「都合がよくてもいいよ」
「奏太…、馬鹿じゃないの?」



ハッ、と馬鹿にしたような息を出すように笑う



「くるみ先輩は俺を必要としてくれてるから」
「…あんたいつからそんなくさい台詞言うようになったわけ?」

「…俺は朱美には他の人と違う気持ちがあるよ」



朱美の心臓が一度、トクンと脈を打った

そしてほんの一瞬、期待もしてしまった

しかし、



「幼なじみで妹みたいだから…大切に思ってる」

「…あぁ、そういうことね」



すぐに期待は落とされる



「くるみ先輩が教えてくれた」



もう朱美の苛々は爆発寸前だった



「俺と朱美の関係が不安だって悩んでたのに、
 関係を切れなんて言わない、言えない人なんだ。
 見た目とかそういうこと以前に…優しい人なんだ」



だから朱美も知って欲しい、

そう奏太が言おうとした時



「……妹なんかじゃない」



朱美が声を震わせて言った






123: 名前:HARU☆02/01(火) 19:06:21

奏太の胸ぐらを掴み、壁へと押しあてる



「う、わっ…!朱美「最近の奏太うざい!」



今度は奏太が目を丸くする

女子の力程度は別になんてことはない

今は朱美の様子に驚きを隠せないでいた



「高校入ってから一言目にはくるみくるみって…、
 そんなにあの子のことを私に自慢したいの!?知って欲しいの!?」
「あ、朱美?」



廊下を通り行く人達は喧嘩か?と少しずつ騒つく



「私があの子を嫌いなのは外見とかそういうんじゃない……っ」
「朱美…?」



声が小さく震える

下を向いていて奏太からは表情がわからない



「朱美「好きだから……っ」



奏太の言葉が止まる

同時に頭の中で朱美の言葉を繰り返してみる



「ずっと奏太が好きだったから…、
 だから奏太の好きな人は嫌いなんだよ…っ」



声が小さくて周囲には聞こえていない

奏太だけに届く言葉だった



「…っ理由はそれだけ。…知りたかったんでしょ、よかったね」



顔を上げた朱美の目には涙が溜まっていた

掴んでいた手を離すと、一人で教室へと戻って行った


奏太は朱美にかける言葉が見つからず、
ただその場に意味もなく立ちすくしたままだった






124: 名前:HARU☆02/01(火) 20:32:10

「はぁ~う」


放課後、気の抜けたため息をつく

最初の頃のように最近、奏太くんはなかなか一緒には帰れない

もう6月、一年の部活も本格的に始まっていて
試合もあるらしく放課後は部活部活の毎日

たまに休みとかあるから一緒に帰ってたりしたけど


…てゆか、今は一緒に帰れなくて少し安心してるかも

昨日の今日でどういう顔していいかわかんないし

運が良いのか悪いのか、今日は一度も会わなかったし



「むーう、困った」
「何がよ。てか手伝ってよ」



満里奈がそう言いながら私の前の席に座る

手にはプリント数枚



「文化祭の資料、明日までに提出なの。経費計算しなきゃ」



はい、と計算機を渡される

そういや満里奈クラス委員だっけ


満里奈に言われた数字をそのまま足していく

合計を言うと「う~ん」と悩ましげに頭を抱える



「予算オーバー?」
「余裕でね。明日の朝のHRでもう一回考え直すか」



大変だな、と少しだけ他人事に思い
その日は奏太くんにも会わず満里奈と帰宅した




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最終更新:2011年05月04日 05:55
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