127: 名前:HARU☆02/02(水) 18:42:54
昨日は奏太くんにも会わず、しかもメールもなかった
……なんかあったのかな
「予算オーバーだから、もっと格安な案考えてっつーの!」
今は朝のHR
今月末にある文化祭の案を今日中に提出しなきゃいけない満里奈は
朝から予算内ですむ案をクラスでもう一度取り直してるんだけど…
「教室一体お化け屋敷にしてさ」
「いやいや、格安っぽい芸能人呼んで」
「てかいっそのこと校外でやる?」
「馬鹿かあんたらはーっ!」
この通り、みんな言いたい放題で全然話がまとまらない
満里奈怒らせると機嫌治らないんだからーっ
「コスプレ喫茶」
みんなの意見がピタリと止まる
挙手をして発言をしたのはクラスのムードメーカー、八尾くん
「こ、こすぷれ?」
「演劇部に衣装を借りればそこに費用は発生しないし
飲食代と装飾品くらいだったら余裕で予算内じゃない?」
満里奈が顔を困らせて聞き返したが八尾くんの発言には筋が通っている
周りも少しずつ賛成の声が盛れ始める
「いいんじゃねー、楽しそうだし!」
「なんかわくわくしてきたあっ」
「満里奈っ、予算内だしオッケーだよねっ?」
「ま、まじか…」
満里奈は悩ましそうな顔をしたが時間も迫っているため
「じゃあ…、コスプレ喫茶で…」
仕方なく同意し、決定を下した
128: 名前:HARU☆02/02(水) 18:57:44
昼休憩、満里奈が演劇部からいくつか衣装を借りてきてくれた
軽い試着会みたいなものだ
「ねぇねぇっ、似合うーっ?」
くるみはメイドの格好に着替え、教室に登場
ふわりとした黒い長めのスカートに、それに合ったカチューシャ
そして柔らかい髪の毛を耳より高く二つに結んでいる
ぴょこっ、という効果音がぴったりだ
満里奈とのりのもとへ走り、くるりと一周する
「おー、似合うじゃん」
「くるみはそれで決まりね」
他の女子でさえ、くるみに見とれてしまう
男子はというと心の中で大興奮状態
ご主人様と言われたい、などと悶えている様子
「そうだっ、奏太くんに見せてこよーっと!」
「ちょ、くるみっ?」
メイド姿のまま教室を出て、校内を走る
他のクラスの人も他学年も顔を赤くし、くるみを凝視する
「奏太くんに見せるって…」
「この前どんな顔して会おうって言ってたのに、どーするんだ?」
満里奈とのりは教室で心配しているような呆れたような様子だ
129: 名前:HARU☆02/02(水) 19:35:31
一年の教室に着く前に友達と廊下を歩いている奏太くんを発見した
「かっなたーくーんっ!」
「え…、って、うわ!」
振り向いた奏太くんに飛びながら抱きつく
それを慌てて受け止める
「なっ、なんですかその格好!?」
「メイドさーんっ。ねねっ、萌える?」
「萌えってゆーか…」
いつも萌えさせてもらってるから今度は私が萌えさせたいなーっと
……あれま、黙っちゃった?
「それ、…反則でしょ」
「相沢先輩!萌えます!」
後方の子の発言はおいといて、…反則?
メイドさんより家庭教師の衣装の方がよかったとか?
「ご主人様、なんちゃってーっ」
「またそういうこと言う…、あのね「あぁあっ!」
奏太くんの言葉を遮って大声を出す
お、思い出した…!
私、奏太くんに襲われて…、や!未遂だけども!
メイド服見せたい一心で忘れてた…!
「くるみ先輩?」
「え、わっ!なんでもない!…っまたね!」
自分の顔がみるみる赤くなるのがわかる
握っていた奏太くんの腕を慌てて離し、走って教室に戻る
「……奏太くーん、あなたも顔が赤いですよ」
「…うっさい」
くるみと同じく顔を赤くしている奏太がいた
133: 名前:HARU☆02/03(木) 20:59:19
慌てて走りながら教室に戻る
「うわあっ」
「相沢っ?」
曲がり角から出てきた八尾くんの胸に軽くぶつかる
私の身長じゃまあ…、普通に胸にしかぶつかんないわな
「まだメイド服だったん?」
「なんかテンション上がっちゃって、えへへ」
そう笑うと八尾くんが頭をぽんぽんと叩き
ぶつかってごめんね、と言ってくれた
私が跳びだしたのに…、優しいなあ
「周りも騒がしいし戻ろっか。教室でしょ?」
「うんっ」
八尾の言った、周りも騒がしいとは
メイド服のくるみを見る他人の声のこと
いつものことながらくるみ本人は自覚なし
「文化祭楽しみだねーっ」
「ぷっ、なんか相沢子供みたい。遠足楽しみな小学生?」
「ひっどー!列記とした高校二年生です!」
ぷんっ、とわざとらしくはぶててみる
八尾くんはごめんごめんと笑って謝る
あ、八尾くん笑った顔ってなんか幼いな
うんうん、新発見だ
137: 名前:HARU☆02/04(金) 18:26:21
「相沢彼氏いんでしょ?」
八尾くんが会話の最中に聞いてきた
この間のことを思い出し、顔が赤くなる
「い、いるよ?」
「あらら?赤くなっちゃって可愛い~」
「ちっ、違うの!もう!」
いやらしく笑ってくる八尾くんに余計恥ずかしくなる
あぁ~っ、今奏太くんの話されると本当どうしていいやら!
「この学校の一年だっけ?サッカー部の」
「う、うんっ」
「ねねねっ、どこを好きになったわけ?」
楽しそうに面白そうに聞いてくる
男の子とこういう話したことないから恥ずかしい!
しかもなんて答えればいいやら…
「か、可愛いんだけど、男の子なとこ…?」
「やっぱ年下だもんなあ、可愛いよなあ」
八尾くんはそっかそっかと頷く
でも…、なんてゆうか
「今は…、年下だから好きっていうわけじゃないかなあ」
「へ?だって相沢、有名なくらい年下好きじゃん。
告白の返事には定番の答えになってるくらいさ」
確かにずっとそうだったけど…、最近ちょっと変わったかも
「…奏太くんだから、好き。…みたいな?」
「ふうん」
「…わ、私何言ってんだろねっ!ささっ、帰ろ帰ろ!」
自分で言って自分で恥ずかしくなる
本当私、奏太くんと付き合って変わったんだなあ…
138: 名前:HARU☆02/04(金) 19:22:16
八尾くんと教室に戻る途中、数学教室から一年生が出てきた
もうすっかり見慣れた人
その子は私に気付きこっちを向く
「…何その格好」
「文化祭の準備。朱美ちゃんは?」
「数学教室から出てきたら数学の先生に用があったに決まってんでしょ」
面倒くさそうな顔をして話す朱美ちゃん
相変わらず言葉がとげとげしてる
「なんか強気な一年生だね。相沢の後輩?」
「いやー、後輩ってゆうか「赤の他人」
私が答える前にザクッと朱美ちゃんが答える
しかも超棒読み
「…相沢くるみ」
「は、はい」
急に真っ直ぐな瞳で言うからドキンとした
なんだか…、雰囲気違う
「奏太に自分の気持ち伝えた」
「え……」
心臓が大きく鳴った
自分の気持ちって…、
私が硬直してると横を通り、去り際に
「あんたになんか負けないから」
と真っ直ぐな声を残していった
……嘘、
どうしたらいいかわからない
朱美ちゃんが自分の気持ちを自覚したことに
奏太くんに既に想いを伝えたことに
てゆうか全部に驚きを隠せない…
「相沢」
「え、あ…っ、何?」
「大丈夫?」
八尾くんが気遣ってくれる
今の話、普通に聞いてたもんね
「だ、大丈夫!信じてるもん!」
八尾くんは無理しないでね、と言ってくれた
全然平気と私は笑った
……笑ったけど、不安の渦に巻かれている
144: 名前:HARU☆02/05(土) 17:30:03
自分の気持ちに素直になった方がいい
嘘をつくと自分が辛いよ
そう朱美ちゃんに言ったのは確かに私だった
もしかして本当に上から目線になってた?
私なら大丈夫だって思ってた?
……確かめなくちゃ
6限が終わり放課後になると勢いよく席を立ち
先生よりも圧倒的に早く教室から飛び出す
行き先は一年五組、北條奏太
部活に行く前に聞かなくちゃ…!
「奏太くん!」
教室に着くなり、奏太を呼ぶくるみの声に奏太以外の人も振り向く
それは驚きだったり、有名人のくるみ見たさだったりと様々
「くるみ先輩?びっくりしたー、どうしたんで「こっち来てっ」
教室に入り、奏太の腕を引っ張りながら外に連れて行く
その姿を見ていた奏太のクラスの男子の心の中は
(う、羨ましいっ…)
(生くるみ先輩超可愛い)
(俺も握られたい…)
(むむむ胸があたってる!)
と、表情も心も下心も丸見え状態であった
145: 名前:HARU☆02/05(土) 17:50:15
清掃に使われていない北階段の方へと連れて行く
「なんで言ってくれなかったの!」
「な、何をですか?」
奏太くんは?マークをたくさん浮かべている
遠回しに言ったって仕方ないこと
「…朱美ちゃんのこと!」
目を丸くし、口に手をあてる
やっぱり…、本当だったんだ
「いつ…」
「へ?」
「い・つ・告白されたの」
「き、のう」
「なんで言ってくれなかったの」
「…や、言うタイミングなかったし…。
俺と朱美の問題なのかなあー、…と思いまし、て」
ぎこちなく説明をする
なんか…、むかつく
「奏太くんの彼女だったら関係ないことなの?
奏太くんが誰に告白されようが私には関係ないことなの?」
「いや、そういうわけじゃ…、ね?」
なーにが「ね?」よ!
むかつくの可愛いの萌えるの!
今、萌えさせなくてもいーじゃん!
「大馬鹿奏太ーっ!」
「うえぇっ?」
奏太くんは気の抜けた返事をする
「信じろって言ったじゃん!じゃあ隠すなっての!
こんな話の最中にもいちいち萌えさせんなってーのーっ!」
「あ、あのね、隠すつもりはなかったし、
途中から話変な方向に曲がってるんですけど…」
困った表情をする奏太くん
そんな顔も好きだよくそうっ!
「だ、大丈夫です。今日の朝、朱美にはちゃんと断りましたから」
「でも朱美ちゃんは諦めてないもん。宣戦布告されたもん」
「はあ?」
また抜けた返事をする
"負けない"って、
そう言われたんだもん
147: 名前:HARU☆02/05(土) 18:08:18
私より朱美ちゃんの方が学校で奏太くんと一緒にいられる
何が起こるかわかんないじゃん…
「ご主人様のメイドは私だけなのーっ!」
「げほっ、……んなっ、何言ってるんですか!」
奏太くんはむせて顔を赤くする
「だって私メイドさんだもん」
「文化祭の話でしょ…」
「あ、そういや似合ってた?私のメイドさん」
お昼に奏太くんにメイド姿を見せた時に
それらしいコメントを貰ってないことに気付き尋ねてみる
やっぱり気になるじゃん
「…似合ってました」
「ほんとっ?やったあっ」
そう言われるだけでテンションが上がる
文化祭頑張っちゃお!
「…じゃあ、そろそろ部活行かなきゃなんないんで」
「あ、うん。なんか、ごめんね?」
そう言うと優しく笑って頭をぽんぽんとしてくれた
「とにかく、信じてて下さい」
「了解っ」
敬礼のポーズでそう答える
奏太くんと目が合うと唇が重なり
5秒くらい経った後、普通に唇が離れる
急な出来事すぎて私は硬直状態
「…部活前に、充電」
私の唇に人差し指をあてて低い声でそう言うと
奏太くんは一人、教室へと戻っていった
……なんだあいつ
顔がカァーッと赤くなる
は、ははは反則でしょ!
最終更新:2011年05月04日 05:59