37: 名前:みるみる☆03/23(月) 09:25:43
35流華様 はい! やっぱり読んでくれる人がいないと、やる気なんて出ませんから(私の場合);;
のわっΣそれは私にとっては最上級の褒め言葉ですよ!
ありがとうございます!
碧ちゃんは……どうなんでしょう←
まだ先のお話とか、ぼんやりとしか決まってないので;
黒ちゃんですか! 私もお気に入りです(おい
こんなキャラをもっと虐めたくなってしまうという……
でも最後は抱きしめてあげたいです♪
36なお様 引き込まれてくれたんですか? こんな小説に←
書籍化は絶対無理ですw
もし売られたとしても、業者さんにクレームがたくさん来て、その日のうちに販売中止ですねっ★
読んでくださってありがとうございます!
◆
「あ、おかえりなさい」
「おー。遅かったな」
私達が住処に戻ると、黒と赤が迎えてくれた。
黒を見て、また胸がちくんと痛んだ。
「うん。ちょっと店長の息子さんと話し込んじゃってね」
「ん、それって黒の彼氏じゃねえの?」
ぼっ、と音がするくらいの勢いで、黒が頬を染めた。
「そんな、大声で言わないでください……」
「いーじゃん、碧も知ってるんだろ?」
「うん」
黒は顔を手で覆って、しゃがみこんでしまった。
どうやら相当恥ずかしいらしい。
私には、彼氏がいたことがないので分からないけど。
「そうそう、琥珀くん、見習いになってたよ」
「ふーん、出世したじゃねぇか。会える日も近いんじゃねーの? おい、黒」
「はい……」
2人のやりとりを見ていて、笑いそうになってしまった。
こんな正反対の2人で、よく何年も暮らせたものだ。
「ずっと会ってないの?」
「はい……もうかれこれ5年ほど……」
「5年!?」
じゃあ今、黒は17歳か。
「琥珀くんも一途だよねぇ。思春期なんだから心移りしてもおかしくはないのに」
だから青、そんなことを黒の前で言わないで。
全く、デリカシーがないのか、天然なのか。
「あ、そうだ」
今思い出した。
青の話を聞いてから、やろうと思っていたこと。
「突然だけど、今からみんなに名前を付けるよ!」
38: 名前:みるみる☆03/23(月) 14:21:36
「名前、ですか?」
「はぁ?」
「わあ、それは楽しみだね」
三者三様の返答だった。
赤があんまり乗り気じゃなさそう。
でも私は気にしない。
「覚えやすいように、色にちなんだ名前がいいよね。えーっと、赤、赤……」
「ちょっと待てよ。何で今更名前とか付けようとするんだ? 面倒くせえ」
赤は本当につまらなさそうに言う。
「だって、名前が無いなんて可哀想じゃない!」
「可哀想? もう慣れてるんだよ。それにさ、名前なんてのは、記号だろ?」
その言葉に、私は頭に血が上ってしまった。
赤は、何かを諦めているような気がする。
人として生きていくこととか。
差別をなくすこととか。
「違うよ、赤。名前には、それを名付けた人の愛情がこもってるんだよ!」
だから、可哀想なあんた達のために、名前を付けてあげる。
私からの、精一杯の愛を込めて。
人間であることを忘れないで。
人は、大量生産されたロボットじゃない。
ましてや、不良品なんて無い。
みんながそれぞれ、幸せに生きていく権利が、ある。
「まず、赤! 赤音!」
「あかね?」
「そうよ! なんか文句ある?」
「いや、無いっす……」
「次、青!
40: 名前:みるみる☆03/23(月) 14:49:20
ぎゃああ! ぽちっと押してしまいました……
つづきです……
◆
「青だから、蒼太!」
「うん、良い響きだね」
「次、黒! は……えっと」
今気付いたけど、黒の名前って無いかも!
そうだよね、ダークな感じだもんね。
うわ、どうしよう。
「『チェルナ』とかは?」
青が唐突に提案してきた。
「ちぇるな?」
「うん、どっかの国の『黒』の女性形だったような気がする」
「なんか、1人だけ浮いてねぇ?」
「浮くのは嫌です……」
うーん、黒ねぇ。
黒い目。
黒い髪。
黒い髪――!
「『小町』だ!」
「こまち?」
「うん、艶があって黒い髪! まさに小町の名にふさわしいかも!」
名前に色は入ってないけど、細かいことはどうだっていい。
大事なのは愛だもの!
そんなわけで、カラフル軍団は、私好みに和風な名前になった。
45: 名前:みるみる☆03/24(火) 08:31:06
43ゆみ様 ごめんなさい;あともう少ししたら出ると思いますので←
なかなかそこまでたどり着かないです……。
44なお様 そういって下さると嬉しいです! でも流石に少なすぎだ……。今日は更新頑張ろうかな。
お褒めの言葉ありがとうございます!
◆
ここに来て、初めての朝が来た。
私が布団から顔だけ出すと、みんなはもう起きていた。
いきなり寝坊しちゃったよ。
携帯の時計を見ると、まだ5時半だった。
「早っ……」
そんなに早く起きてすることなんてあるの?
私は、わしゃわしゃと髪を掻いて、大きなあくびをして、それからゆっくりと起き上がった。
本当、昨日はいろんな事が起こったな。
24時間前、まだ私は、元の世界ですやすやと眠っていたはずだ。
だけど私には、随分昔のことのように感じられた。
「おはよ」
顔を洗って髪をとかした後、外(薄暗い路地)に出ると、赤音さんに声をかけられた。
「あ、おはよう。みんな早いんだね」
「今日は特別早いな。黒、いや、小町のやつがよー、朝超早く起きたもんだから、どうしてそんなに早いのかって聞いたら、『碧ちゃんの初めての朝ご飯だから』だってよ」
うわ、なんか素直に嬉しいかも。
でも赤音さん、それは違うと思う。
「それ多分、琥珀くんの事が気になって眠れなかったんじゃないかな」
「あ、それビンゴかも。じゃあさ、今日お前小町も買い物連れてってやれよ。絶対喜ぶからさ」
「ビンゴじゃありませんっ」
頬を染めた小町が間に入ってきた。
手にはフライパンが握られていた。
ほう、今日はスクランブルエッグか。
「くだらない妄想は止めにして、朝ご飯にしましょう」
「くだらない? じゃあ小町、今日は買い物行かなくてもいいのか?」
「…………」
「顔に出てるぞ、お前。『本当は会いたくってたまんない。いやーん、超るんるんっ!』って」
「……行きます、買い物」
赤音さん、ちょっと虐めすぎ。
朝のメニューは、トーストに焼きベーコン、スクランブルエッグ、コーヒーだった。
予想してたのより、かなり豪華だった。
あと、小町はやっぱり料理が上手だった。
スクランブルエッグという、卵をぐちゃぐちゃにしただけの料理にも、才能がにじみ出ていた。
「蒼太くん、これ、どこで手に入れたの?」
私はベーコン達を指さしながら聞いた。
「あれ、見てなかったの? 琥珀くんにもらう紙袋には、生活に必要なもの諸々が入ってるんだよ」
「あ、そうだったの?」
てっきりパンだけかと思っていた。
「それと、もうやり方は分かったと思うから、今日から僕、ついていかなくていいよね?」
「うん。小町ちゃん、一緒にいこうねっ」
「はい!」
「ほら、るんるん気分じゃんか」
「赤音さん、虐めすぎ……」
46: 名前:みるみる☆03/24(火) 08:48:30
◆
「いらっしゃいませ」
昨日も感じた、明るい店内の雰囲気は、変わっていなかった。
「こんにちは、琥珀さん。今日はスペシャルゲスト付きなんだよっ」
そう言って私は、さっきから私の背後にぴったりとくっついていた小町を引きずり出した。
「お、お久しぶりです……」
俯いて、耳まで赤くして、やっとそれだけ、小町は呟いた。
「その声……」
「はい、えっと、名前は私が付けたんだけど、小町ちゃんです! あなたの恋人!」
琥珀さんは、しばらく呆然と小町ちゃんを見つめていた。
信じられない、と今にも言いそうだった。
「小町……」
「はい、小町です」
「会いたかった……」
白く長い指がのびてきて、琥珀さんは、ぎゅっと小町ちゃんを抱きしめた。
小町ちゃんは、固まって動けなくなってしまった。
見てるだけで全身が痒くなるほどの純愛だった。
なんか、私邪魔者みたい。
「じゃあ、私先に帰ってますんで!」
私は紙袋を手に持つと、さっさと店を後にした。
47: 名前:みるみる☆03/24(火) 08:55:01
すみません……「小町」だったり「小町ちゃん」だったり、書き方がばらばらになってしまっていました。
「小町ちゃん」で統一したいと思います。
最近ミスばっかり……そろそろ呆けてきたのかな←
49: 名前:みるみる☆03/24(火) 12:57:36
48高坂 陽様 読みやすいですか!?うわぁ、嬉しいです♪
私が今まで書いていた小説では「読みにくい」ってコメントがあったので、読みやすくするのが今回の目標ですw
改行の加減が分かんないんですよね;
あげありがとうございます!
◆
「はぁ? 置いてきたの?」
「うん。何か、らぶい雰囲気だったから」
「そりゃ居づらいね」
「でしょ?」
帰ってきて、赤音さんと蒼太くんに事情を話した。
蒼太くんは笑顔でうんうんと頷いていたが、赤音さんは何か浮かれない顔をしていた。
「ん、赤音さん、どうしたの?」
「んにゃ、何でもない」
「赤音、恋人がいないから嫉妬してるんだね」
「してねぇよ!」
赤音さんは蒼太くんを睨み付けた。
ああ、成る程、そういうことか。
その美貌ならすぐに恋人ぐらいできそうだけど。
「まぁ、今日は帰ってこないだろうな」
「え?」
「蜜夜だねぇ」
「だから笑顔でそんなこと言わないで!」
そうかぁ、5年ぶりだもんな。
でもちょっと想像できない。
2人とも優しくてふわっとしてるもん。
「で、晩ご飯は碧ちゃんが作ってくれるのかな?」
「あ」
50: 名前:みるみる☆03/24(火) 16:17:15
◆
しばらくの間、私は琥珀くんの腕の中にいた。
肩から伝わってくる温かさが、5年という歳月をゆっくりと溶かすようだった。
「あの、恥ずかしいです」
「あ、ごめん」
腕がほどけ、幸せな束縛から、私は解放された。
「ちょっと、父さん! 今日は店番休むから!」
店の奥の方に彼が声を掛けると、「おう」と低い声が帰ってきた。
「ちょっとあがっていけよ」
「あ、いいんですか?」
「いいに決まってるだろ」
琥珀くんに付いていって、一旦店の外に出て、すぐ隣にある家に私達は入った。
彼の家だ。
「あの――」
「大丈夫だよ、母さんはいないから」
良かった。
あの人がいたら、私はどうなってしまうことだろうか。
もう一生、彼に会えなくなるかもしれない。
どうして家にいないのかは聞きそびれたが、そんなこと、私は知ろうとも思わなかった。
2人で、大きなソファーに腰掛けた。
私は、大きくて重いコートを脱いだ。
少しだけ、彼がどう反応するのか、怖かった。
「……本当に、真っ黒になったんだね」
そう呟く彼を、私は改めてまじまじと見た。
5年前と、全然違う。
声も、体も、すっかり大人になってしまったようだ。
でも、優しそうな瞳と、「茶色」は変わらない。
私と違って。
「何か、もう『女の子』じゃなくなったね」
「琥珀くんこそ、別人みたいです」
「それ、褒めてる?」
「秘密です」
「えぇ、何それ」
拗ねた顔の彼を見て、思わず笑ってしまった。
彼も、つられて笑顔になった。
17歳の彼の笑顔。
それは5年前と全く変わっていなくて。
懐かしいような、悲しくて嬉しいような、複雑に絡みあう思いを止めることが出来なくて。
それは涙になって溢れた。
笑顔から急に泣き出したので、彼は驚いたようだった。
しかし、それさえもぼやけた視界の中では見ることが出来なかった。拭っても拭っても、溢れる思いは止まらなかった。
代わりに、さっきのように抱きしめられたのが分かった。
「ずっと、ずっと……会いたかったんですっ……」
「うん」
「寂しかった、んです……」
「うん」
「今、死にそうなくらい、嬉しいんですよっ……」
さっき、恥ずかしくて言えなかったことが、次から次へと言葉になって、こぼれ落ちる。
「うん、僕もだよ」
「っ――!」
声は漏らさないようにして、静かに私は号泣した。
52: 名前:みるみる☆03/24(火) 19:10:24
51流華様 大量更新してみました;新生活で、4月からは忙しくなりそうなので、今のうちに更新です♪
幸せシーンを書き慣れてないので、見ていて不快になられるかと思います。本当、書いてて全身の肌が粟立っちゃいます。
私に文才を分けてください。本気で←
今からちょっとずつ慣れていきたいです♪
赤音は多分、ただ羨ましかっただけでしょうねw
57: 名前:みるみる☆03/25(水) 16:45:29
53a様 すみません……だんだんらぶくなってきてるので、もうすぐかと……
54流華様 おお、ではいろんなことが起こっても大丈夫だと言うことですね!
新生活って言ってもそんな大したことじゃないですw
更新ペースは遅くなると思いますが、放置はしませんので!
56なお様 ま、毎日ですか!? それは嬉しいです♪
文才はありません、妄想力だけですねw←
お褒めの言葉ありがとうございます!
はい、頑張ります∀
◆
「ぇおぅっ……」
「うん、なかなか個性的な味だね」
「小町ちゃん、帰ってきて……」
只今、私達3人は夕ご飯の最中です。
赤音さんは、ひとくちスープを啜っただけで、食べるのをやめた。
蒼太くんは、にこにこと笑いながら、スープを飲み干した。
「お前、味覚死んでるんじゃねぇの?」
「まあまあ赤音、臥薪嘗胆だよ」
「別に、苦労してまで手に入れたいものなんて無ぇよ!」
2人の漫才みたいな会話を遠くに聞きながら、私は、改めてお母さんのありがたさを感じていた。
ああ、ちょっと帰りたくなってきちゃったかも。
「そういえばさ」
食事をやめたことで手持ち無沙汰になった赤音さんが、唐突に切り出した。
「小町、泊まるんなら、琥珀んところだよな」
「うん、まあそうだろうね」
「大丈夫なのか? あの母ちゃん」
何のことだろう。
「お母さん? 琥珀さんのお母さんが、どうかしたの?」
「言ってなかったっけな。琥珀の母ちゃん、差別に敏感なんだよ。だから小町、酷い目に遭ってないかなぁって思ってさ」
「赤音、友達思いだね。いいことだよ、うん」
「うっせぇ!」
そうなんだ。
あの温厚な性格の琥珀さんに、そんなお母さんがいたなんて。
もしかして、ここに逃げてきたのも、その人の影響があったんだろうか。
黒い髪の毛が生えたとき、小町ちゃんはどう思ったんだろう。
自分から、あの場所を離れたんだろうか。
「まあ、琥珀くんがいるなら大丈夫じゃないかな? 彼も、もう子どもじゃないし」
「そだな」
◆
「落ち着いた?」
「はい、ありがとうございます」
泣きやんだ私に、彼はホットココアを持ってきてくれた。
一口飲むと、みぞおちのところに温かい膜が広がっていくような感じがして、心地よかった。
「美味しいです。でも……」
「でも?」
「見られてると恥ずかしいです」
「あ、ごめん」
恥ずかしげに頬を染めて、彼は向こうを向いてくれた。
彼の背中を見ながら、私はもう一口、ココアを飲んだ。
大きい背中。
本当に、大人になったんだな。
悲しさは、すっかり涙になってこぼれ落ちてしまって、今私の中にあるのは、もういちど会えたという喜びだけだった。
だからちょっとハイになっていたのかもしれない。
普段の私なら絶対にしないだろう。
本当に、自分でも驚くぐらい突発的に、それは起こった。
58: 名前:みるみる☆03/25(水) 17:02:59
「本当に美味しいです」
「それはどうも」
「琥珀くんも飲みますか?」
「あぁ、うん――」
彼がカップを受け取ろうとして、こっちを向いた。
私は、その整った形をした唇の端に――
キスを、した。
「っ……」
彼がカップを持っていたなら、それは落とされて割れていたかも知れない。
びっくりしたまま、人形のように動かなくなってしまった。
端整な顔立ちだから、本当に人形みたいだ。
「甘かったですか?」
そんな彼に向かって、私はべぇっと舌を出した。
自分でも、信じられない。
本当に、こんなことをしたのは初めてだ。
まるで、酒にでも酔ってしまったかのよう。
「……ああ、もう」
ところが彼は、怒ったように私を睨み付けた。
からかったのが、いけなかっただろうか。
悪戯が、過ぎただろうか。
高揚した気分が、一瞬で冷えた。
「我慢しようと思ってたのに、さぁ」
「え――」
あまりに突然だったので、目を閉じる暇もなかった。
ソファーに背中が着いたのと、唇が塞がれたのは同時だった。
持っていたカップが、派手な音を立てて床に落ちた。
59: 名前:みるみる☆03/25(水) 22:17:36
彼の口が角度をずらして、舌は奥に入ってきた。
どうしよう、私、キスの仕方も知らない。
と言うか、これ、口が完全に塞がれてる。
「――っ、――っ!」
やめて、と言いたいのに、これじゃあ伝わらない。
足をばたばたさせても、それは同じだった。
慌てて、舌を押し返そうと頑張ってみたけど、かえって舌を絡める結果になってしまった。
やっと彼が離してくれた時、私は息も絶え絶えだった。
「だ、大丈夫?」
「息がっ、肺が、限界、です」
「息、してなかったの?」
「え? そんなこと、でき、るんですか?」
「鼻を使えよ」
「すみません……何も知らなくて」
ああ、本当に死ぬかと思った。
無知は本当に恐ろしい。
息が正常になるまで、彼は待っていてくれた。
「……ゆっくり、覚えていけばいいよ」
「はい」
て言うか、お前がいろいろ知ってたら嫌だなぁ、と彼は呟いた。
61: 名前:みるみる☆03/26(木) 08:56:25
60ピータン様 ぎゃー! 嬉しいです、最高の褒め言葉です!
まだまだしょぼいですが、たまに見に来てくれると嬉しいです♪
あと、これからは何度も書き方(視点)が変わっちゃうと思います。読みにくかったら言ってください;
どうしよう、濡れ場書けない←
◆
今度はゆっくり、深くキスをした。
落ち着いてみれば、ちゃんと息をすることが出来る。
私も一応、ちろちろと舌を動かしてみたけど、うまくいかなかった。
「……んっ……」
歯茎をなぞられると、くすぐったいような変な気持ちになり、くぐもった声が出た。
「ココア味だ」
唇を離した彼が、そう言った。
「そうですか?」
「ちょっと甘すぎたかな」
彼は照れたように笑って、またキスをした。
手が、お腹を伝って入ってくるのが分かった。
「あの、すみません」
「ん、何?」
「無いんです、胸」
「最初から分かってたよ」
「胸ばっかり見てたんですか? 変態です」
「そんな訳ないだろ」
「冗談ですよ」
怒った顔の彼に、私はそう言った。
「服、上にあげてて」
まくし上げられた服を、私は噛んだ。
普段、外気に触れるところのない部位なので、ひやりとした。
指が這う。
パン屋というだけあって、決して柔らかではない指が動くだけで、私にはかなりの刺激になった。
でも、声を出すことは恥ずかしかったので、服をさらに強く噛んで、それに耐えた。
口でされるまでは。
「! ひゃっ……」
いきなりの刺激だったので、その拍子に服が口から離れてしまった。
指とは全然違う、舌の感覚。
愛撫された後も、そこはひやりとして、それだけで私は混乱してしまいそうだった。
「声、我慢しなくていいよ」
「だって、っ……」
恥ずかしい、とまでは言えなかった。
下の方に、冷たい指を感じたから。
「ちょっと……!」
展開が早くて、ついて行けなさそうになる。
「ごめん、余裕無い」
そんなこと言われたって、私の脳の回転も、そろそろオーバーヒート気味だ。
62: 名前:みるみる☆03/26(木) 11:53:11
誰にも触らせたことなんて無かった。
自分でも、罪悪感からか、することが出来なかった。
だから、肌着の中に入ってきた手に驚くと同時に、羞恥で顔に血が上った。
「っ!」
反射的に足を閉じようとしてしまう。
指はうごめいて、小さな突起に辿り着いた。
「――んんっ!」
腰が引けてしまうくらいの、強い刺激だった。
ああ、もうそろそろ駄目かもしれない。
理性とか、自制心とか、羞恥とか――
そんなものは、どこかに飛んでいってしまうかもしれない。
彼は、なおも執拗にそこを責め立ててくる。
「ぁあっ、そこっ、嫌……っ」
「嫌?」
「やめて、くださっ、何か、変ですっ」
快感の波に、溺れそうになる。
必死に、彼の肩を掴んだ。
「何か、来るっ……」
足が、自然と突っ張る。
膝が、笑っている。
「小町、」
彼の声しか聞こえない。
彼の瞳しか見えない。
もう、もう――
「ん、――――っ!」
精一杯我慢した声が、これだった。
一気に、力が抜けた。
体が、もの凄い勢いで酸素を求めている。
鼓動の音が、耳でうるさく響いた。
彼が、やっと手の動きを止めてくれた。
「止めてって、言ったじゃないですか……」
「ごめん、なんか、可愛かったからさ」
可愛いなんて、とんでもない。
見られたくないものを、見られてしまった。
「恥ずかしくて死にそうです……」
「そんなところで悪いんだけどさ、続けさせてもらって良い?」
「えっ!?」
僕も、もういっぱいいっぱいなんだ、と彼は言って、さっき私を責め立てていた右手を、私に見えるようにした。
それを見た私は、どんな顔をしていただろう。
「こっちも、大丈夫そうだし」
「!!」
いつの間に、こんな事になっていたんだろう。
彼の指の間には、細く糸を引く透明な液が付いていた。
「そんなもの、見せないでください!」
ひょっとしなくても、あなた完全にSですね、と私は吐き捨てたけど、彼は気にも留めていないようだった。
代わりに、私の中に指が入ってきた。
「!」
「うわ、濡れてるけど、きついな……」
異物感。
確かに、濡れていたから割とすんなり入ったと思うけど。
「力抜かないと、痛いよ」
そんなことを言われても、無意識に、指を押し出そうとしてしまう。
指はしばらく、深くなったり浅くなったり、色々な動きをしていた。
「……っ、ん、」
「痛い?」
「痛いというか、何か……。? ん、ふぁっ!?」
指がある一点に触れたところで、一気に下腹部が熱くなった。
「あ、ここか」
彼が何か意味の分からないことを言っている。
また鼓動が早くなる。
部屋に、水音が響く。
それが、耳さえも熱くさせる。
「小町、指、いま何本入ってると思う?」
「っ、え? に、2本……?」
その答えを聞くと、彼は満足したように指を抜いた。
「入れるよ」
「……はい」
思わず、身構えてしまった。
力抜いてて、と彼に言われてしまった。
「っ ――!」
入ってくる。
指なんて生やさしいものだった。
異物感どころではない。
内蔵が壊れてしまいそうな気分だった。
最終更新:2010年05月10日 19:25