有色人種。続き2

63: 名前:みるみる☆03/26(木) 21:41:11
「痛い?」

混乱した頭に、彼の声が響く。

「っ大、丈夫、です……」

本当は、悲鳴を上げてしまいそうなのに、私は強がって見せた。
彼に気を遣わせないように、と思った。

しとっ、と音を立ててソファーに落ちる雫が己の血であることを、私はまだ知らない。

動きが止まった。
どうやら、挿入が終わったらしかった。

「本当に、大丈夫?」

彼が心配そうな瞳で、こちらを覗いてくる。
今更、痛いから止めろなんて、言えない。

「無かったんじゃないんですか? 余裕」

だから、逆に急かすようなことを言った。
余裕がないと言ったのは本当だ。
だから今も、多分我慢しているんだろう。

お願いだから、私に構わないで。
差別が怖くて、1度あなたから逃げた私に、優しくしないで。

彼は、ゆっくりと溜息をついた。

「……動くよ」

「どうぞ」

余裕の笑みをつくって見せた。



64: 名前:みるみる☆03/27(金) 09:58:17
「っ、いっ……」

唇を噛みしめて、痛みに耐えた。
それは、絶望的な痛みだった。

「止めようか?」

「やめなくて、いいですからっ……」

でも、それに体がやっと慣れてきた時、痛みよりも快感が上回るようになった。

「琥珀、くんっ……」

「っ、なに?」

歪んだ世界の中に見えるのは、明るい茶色のあなただけ。
一途で、強くて、ちょっと優しすぎる人。

「すき」

ぎゅっと首に抱きついた。
それが、私の今の、精一杯だった。


「もーっ! 早く帰ってきてよ、小町ちゃん!」

「それは、あたしが一番言いたいことだ……」

私達3人は、お腹の中で圧倒的な存在感を見せる、さっき飲んだスープと戦っていた。

「どう食材を組み合わせたら、あんな泥水味になるんだろうねぇ」

「てめぇ、味覚ちゃんとしてんじゃねぇか。それでアレを飲み干したのか。尊敬するぜ」

「泥水よりはマシだもん!」

「うっ……トイレ行く。本気で吐く」

明日の朝ご飯は絶対頑張ろう。
そう心に誓って、私もトイレに向かった。
赤音さんと取り合いになると思うけど、あんなに弱った赤音さんには負けないと思う。


65: 名前:みるみる☆03/27(金) 20:59:21

「恥ずかしかった……」

バスルームに入ったら、すぐにシャワーのコックをひねり、そこにしゃがみ込んだ。
たちまち、少し熱すぎるくらいの細かいお湯の粒が汚れを洗い流し、湯気が全身を包んでくれる。

「有り得ない。有り得ない……あんな、声まで出しちゃって」

まるで三流のAV女優だ、と呟いたが、顔の表情は緩んできてしまう。
何とか上を向いてしまう口角を押さえようと、両手を頬にあてた。

ああ、やっとひとつになれたんだ。
夢じゃ、ないんだ。

こんな行為に、意味なんて無いと思っていた。
そんな風に考えるようになったのは、母親が、知らない男と出掛けていったときからだったろうか。

傷つくだけだ。
その為だけに、男と女は出会い、用が済めば別れるのだ。
人の欲求だけで成り立っているのだと、蔑んでいた。

確かに、何も生まれないものもあるだろう。
傷つくだけのものもあるだろう。

だけど、今の気持ちは何だろう。
満たされている。
別れるどころか、愛は深くなっている。
とても、幸せだ。

「私は、馬鹿ですね」

今度は、止めることも忘れて、自然に笑みがこぼれた。


「上がりました」

彼は、少しだけ疲れた様子で、ソファーに腰掛けていた。

「ああ、うん。そこにある服、よかったら着てて」

「あ、ありがとうございます」

良かった。この服じゃ、ココアや汗まみれで肌に張り付いて気持ち悪かった。

にっこりと彼は笑って、バスルームの方に向かった。

「あ、そうだ」

途中、彼が何かを思い出して振り返った。

「ココア、零してごめん。また入れ直すから」

なんだ、そんなこと。
やっぱり彼は優しい。
笑って返事をすると、今度こそ彼はバスルームへ向かった。

この服、まだタグが付いている。
私がシャワーを浴びている間に、急いで買ってきてくれたんだ。
また嬉しくなってしまった。
畳んであった服を広げてみた。

「……スカート、ですか」

実は、履いたこと無かったりする。

しかも、ふわふわひらひら、女の子全開のスカートだった。


「ひぇっくし!」

「うわ、赤音さん、それくしゃみ?」

隣にいたので、耳がきーんと鳴っている。
赤音さんは、ずずっと鼻を啜った。

「ちくしょー、絶対誰かが、滅茶苦茶に甘い生活送ってやがる。うへぇ、鳥肌立ってきた」

「赤音、幸せ慣れしてないもんね」

「うるせー!」

段々、この2人の関係が分かってきた。
意外と赤音さん、マゾっ気があるかも。
蒼太くんは、こう見えてかなりのSだ。

そんなことを考えながら、私はうとうとと眠りに落ちていった。


71: 名前:みるみる☆03/30(月) 09:24:12
69流華様 じゃあ絶対見に行きますね!← 
何か、流華さんの文って凄く好きなんです。ほわっと温かい感じがします!

70詠様 褒めてもらってばかりで嬉しいです!
尊敬は、こんな人にしてはいけません ♪←
更新遅めですが、頑張りますのでよろしくお願いします!


「さあ、今日も1日が始まったよ!」

「おう、昨日までのあたしはもう終わり! 過去を振り返らない! 前進あるのみ!」

「みんな、小町に会えるからテンション高いんだね」

そうよ!
さらば夕食作り!
さらば泥水!

「食料調達、行ってきます!」

「今日はあたしも付いていくぜ!」

「えー、じゃあ僕も行こうかな」

私達3人は、朝食も食べずに、琥珀さんのパン屋へスキップしながら行った。


「おはよーございますっ!」

「あ、いらっしゃい」

私達が勢いよくドアを開けたので、しばらくベルが鳴りやまなかった。
琥珀さんは笑顔で迎えてくれた。

「今日は随分と大人数だね」

「はい! みんな小町ちゃんに会いたがっているので!」

「泥水スープよ、さらば!」

「あはは」

赤音さんの言っていることが琥珀くんには分かっていないようだったが、「ああ、小町ね」と返事をして、呼びに行ってくれた。

やってきた小町ちゃんは、もの凄く女の子の格好をしていた。

「あの、ご飯とかほったらかしですみませんでした……」

「お前、スカート似合うな」

「小町ちゃん、超可愛い! 色白!」

「ありがとうございます」

ちょっと照れながらもお礼を言う小町ちゃん。
うわ、本当に可愛い。
もし私が男だったら――
ちら、と蒼太くんの方を見た。

「で、結局昨日は何回したの?」

「「馬鹿ーっ!」」

赤音さんとハモった。
なんでそんなこと聞くかなぁ。
2人が目の前にいるっていうのに。

「それで皆さん、重ね重ねで申し訳ないんですけど、もう少しここに泊まらせてもらいます」

空気が固まった。

そんな気がした。

最初に口を開いたのは、赤音さんだった。

「っ嘘だろ、おい! 戻ってこいよ!」

「まあまあ、らぶらぶしたい盛りじゃん、赤音さん」

「うわあああああ、嫌だー! 泥水スープやだああああああ」

「赤音さん、キャラ崩壊してる……」

「じゃあ琥珀くん、カップ麺とか、あるだけ貰えないかな?」

「ああ、いいですよ」

「どうもありがとう」

ひとり、小町ちゃんだけが状況を理解できずに、うろたえるばかりだった。


72: 名前:みるみる☆03/31(火) 13:47:50


母さんが死んだ。
僕は泣かなかった。

死んだ母さんは、痩せ細っていた。
骨と皮膚だけで形を作っているようだった。

ひとがしぬ。

それは、想像していたよりもあまりにあっけなかった。
死んだ人間は、天国に行くようには見えなかった。
人間としての尊厳など何もない、ただのたんぱく質の固まりになってしまった。

母さんが死んだ。
僕は、笑った。


「何か、嫌な感じだ」

帰り道、赤音さんは苛々と吐き捨てるように言った。
さっきから機嫌が悪い。

「ご飯なら、カップ麺になったから大丈夫だよ」

「違う、そう言う事じゃないんだ。なぁんか、やな感じだ」

赤音さんはまたその言葉を繰り返した。
何か、嫌な感じだ。

「何か、起こる。いや、もう起こってるかも知れねぇ」

「何か……」

「赤音のそういう勘は、よく当たるよね」

「ああ……気分悪いぜ」

赤音さんは、本当に苦々しげに、そう呟いた。
私には、何のことか見当も付かなかった。
73: 名前:みるみる☆04/01(水) 11:07:21
すみません……。風邪を引いてしまって、一回の更新で閣僚が少なくなってると思います。
吐き気がもうやばいです。
なんとか明日には治そうと思っていますので、それまで読みにくいの承知で読んでいただけたら、と思います。

しかも何かいきなり急展開の予感でごめんなさい。
あれ、文法がおかしい。許してください。
いきなりじゃない急展開なんて無いと思うので、見逃してやってください……。



琥珀くんが帰ってくるまで、私は家で1人で待っている。
時計の針が真上を向いた時だけ、部屋の中に音が響く。
それ以外は何も起こらない。

早く帰ってきて欲しいとか、そんな我が儘は言わない。
彼には早く、一人前になって欲しいからだ。
でも、気付けば時計ばかり見つめて、あと何時間だ、と考えている自分がいて、恥ずかしくなる。

「碧ちゃん……」

気を紛らわせようとして、色々なことを考える。
例えば今は、緑のあの少女のこと。

彼女は、かなり変わっている。
話によれば、いきなり空から降ってきたとか。
いきなり、私達に名前を付けた。
この世界のことを、疑いもせずに、私達と暮らしている。

「寂しくは、無いのでしょうか……」

ずっと気になっていることを、ぽつりと呟いた。
元の世界には、家族や友達も居たはずだ。
それなのに、彼女はここに来てから、一度も涙を見せていない。
私は、彼女を1日こっそりと観察した。
誰と喋っていても、何をされても、彼女はいつも笑っていた。
勿論、蒼太のように、笑顔が元の顔、というような笑顔ではない。
からかわれると、少し怒る。
悲しい話を聞けば、悲しそうな瞳をする。
でも、彼女を頭の中で思い浮かべれば、それはいつも笑顔だった。
なんで、あんなに明るいのだろう。

悶々と色々なことに考えを巡らせていたが、玄関の扉が開く音がしたので、それは一瞬でしゃぼん玉のように弾けた。

「おかえりなさい」

考えるべき事は、たくさんある。
考えていたら、それだけで1日が終わってしまうくらいに。

でも、あなたが目の前にいる。
私を見てくれる。

それだけで、何も考えずにただ生きるのも良いかもしれないと、だらけたことを思ってしまう。

「今日、花屋さんが花を持ってきてくれたんだ」

彼の手には、白や紫の小さい花がたくさん付いた植物が握られていた。

「スターチス、って言うんだって」

「綺麗ですね」

その花がスターチスだということは、知っている。
その花言葉が何であるかも知っている。

「何赤くなっちゃんてんの?」

「…… いえ、何でも」

『永久不変の愛』。

彼は絶対に知らないだろうから、これには何の意味もないことも分かっている。

だから、彼には何も言わなかった。


74: 名前:みるみる☆04/01(水) 14:08:52
「花、好きだね」

「あ、はい」

スターチスを花瓶に挿して、その小さな花弁を優しく撫でていると、彼にそう尋ねられた。

私が花を好きになったきっかけは、幼かった頃に、父が小さな花図鑑を与えてくれたからだった。
いつも頑固で仏頂面をしている父が、私にプレゼントをくれた、そのことが嬉しくて、何度もその図鑑のページをめくった。
だから、花というより、父が好きなだけだったかも知れない。

今でも淡く輝く、幸せの記憶だ。

「女の子は大抵、花とか美しいものは好きなはずです」

「へぇ、そういうものなんだ。明日、碧ちゃんにもあげようかな」

碧ちゃん。
さっきまで頭の中を巡っていたその単語が出てきたので、私は少し驚いた。

彼はさらに続ける。

「なんかさぁ、あの子、不思議だよね」

私が考えていたのと同じことだ。

「……なぜ、そう思うんですか」

「だって僕ら5年間も離ればなれになってたんだよ? なのに、あの子が来てすぐに、僕らは再会できた」

「言われてみればそうですけど……、それは、あなたの修行がやっと実を結びだした、そのときと偶然重なったんじゃないですか?」

「そうかも知れないけどさ、小町だって、あの子が来るまで名前を無くした状態だったんだろ?」

「…………」

「だけど、あの子が来て、名前が付いたんだろ? ああそうだ、僕が見習いになったのは、あの子が来たからって考えると、碧ちゃんが来て、同時に僕たちが再会出来たってことの説明が出来るね。まるで――」

彼は、思わせぶりな間をおいて、呟いた。

「碧ちゃんが、この世界を動かし始めた。または、ゆっくりだった時の流れを、加速させてる」

そんな気がしない? と、彼は私に問いかけた。
すぐには返事が出来なかった。

「……確かに、碧ちゃんは少し変わってます。でも、あの子が、世界を動かすようなとんでもない力を持っているようには思えません。中身はただの、明るい少女です。考えすぎですよ」

私がとっさにつくった笑顔でそう言っても、彼は煮え切らない様子で「うーん」と唸っていた。


75: 名前:みるみる☆04/01(水) 21:35:03
「世界が、動き出す、か」

彼が言ったことが、何か心に引っかかる。
言われてみれば確かに5年間、私の周りの時間は止まっていたように思う。

それに比べて、ここ数日は出来事がたくさんあった。
碧ちゃんが来てから――

「いや、碧ちゃんが来たから……?」

そこまで考えて、私は思考を振り切るかのように頭を揺らした。
こんな不毛な想像はやめよう。
彼が世界とかスケールの大きいことを言い出すから、頭が混乱しているようだ。
考えすぎだと言ったのは、一体誰だっただろうか。

「さあ、お風呂お風呂」

私は立ち上がって、バスルームに向かった。

そうやって頭を他のことでいっぱいにしようとした。
しかし、中途半端にぶち切られた思考が、また回路をつなごうとして邪魔をする。

もしかして本当に世界が動き出しているとするならば――
「出来事」は、また起こるのではないだろうか。

『慣性の法則』。
中学生でも知っている、小学生だって理解できる、単純で有名な法則。
止まっている物体が、そこに留まり続けようとすること。
動いている物体が、そのまま動き続けようとすること。

いささか強引ではあるけれど、それをこの世界に置き換えることは出来ないだろうか。
止まっていた世界が、あの緑の少女に動かされたのだとしたら。

出来事が、起こる。
それは良いことかも知れないし、悪いことかも知れない。

「ああもう、本当に止めよう」

なんだか想像することも恐ろしくなって、今度こそ思考を無理矢理に断ち切った。


78: 名前:みるみる☆04/02(木) 12:06:46
頭の中がぐちゃぐちゃになってきた。
世界の動きについては、もう考えないことにした。
どうせ考えてもしょうがないということが分かったからだ。

世界が動く。
だからどうしろと言うのだ。
私に、それを止める力があるとでも言うのか。
動き出した世界を、止める必要があるのか。
更に言えば、やはりただ偶然に出来事が起きただけかも知れない。
それだったら、こうやって考えるだけ時間の無駄だ。

シャワーのコックをひねった。
雨粒のようなお湯が、少しだけ頭を落ち着かせてくれた。

でも、何か。
何か、ひっかかることがある。
考えなければいけないこと。

「何だったっけ……」

今の暮らしに不満がある訳じゃない。
それどころか、今まで生きてきた中で最良の時を過ごしている気がする。
でも、なにか、上手くいきすぎているような気がする。
ここに来た時、心配していた何か――

「苛々するなぁ」

バスタブに溜まるお湯を時々蹴ったりしながら、私は簡単に髪と体を洗った。

バスルームを出ると、きちんと畳まれた白と黒のボーダーTシャツがあった。
彼がまた用意してくれたのだろう。
すまないなぁと思いながらも、それを着て、ズボンを履いた。
動きやすくて、寝るのにも丁度良さそうだった。

「お礼を言わなくっちゃ」

バスタオルで髪を拭きながら、リビングに向かった。
彼はいなかった。
どこにいるんだろう。

「琥珀くん……?」

彼の名を呼びながら、家の中を歩き回った。
そういえば、こうやって彼の家を見回るのは初めてだ。

家の中は、意外と広くて部屋がいくつもあった。
扉を開けては、閉める。
呼んでは、探す。

1階の隅に来た時、私は少し変わった扉を見つけた。
他の扉と、明らかに質感が違う。
後から無理矢理取り付けたような、私が建築士だったらこんな家は建てないと思うくらい、その間取りはおかしかった。

この扉、すぐ隣に、この家の雰囲気にあった古い扉がある。

私は、その少し変わった扉のドアノブに、手を掛けた。


79: 名前:みるみる☆04/02(木) 14:25:36
その扉の向こうには、左に伸びる細い通路のようなものがあった。
一歩踏み入れると、床がひどく冷たいのを感じた。
コンクリートか何かだろうか。

やはりおかしい。
入ってすぐに通路なんて、普通は有り得ない。
他の部屋が板張りなのに、この部屋だけなぜコンクリートの床なのだろう。
後から建て増ししたのだろうか。

そんな事よりも、この部屋の空気。

湿っているような、重い空気。

嫌な予感がする。
頭が何か、思いつこうとしている。
ここに来て一番に心配だったこと。

「琥珀、くん……」

開けた空間に出た。
もう、日もすっかり落ちてしまって、部屋の中は暗い。
ここに来ると、本当に空気がじっとりと重たい。
息をするのも苦しいくらいだった。

手探りで、照明のスイッチを見つけた。
押すとぱちん、と軽い音がして、部屋の全容が明らかになった。



信じられないものを見てしまった。



声さえ、とっさには出来なかった。
口だけが、何かを絞りだそうとわなないた。

「っ……!」

一気に、体じゅうの筋肉が強ばる。
無意識のうちに後ずさりをしようとしていたが、それもかなわずに、膝が崩れた。

視界が、がくんと揺れる。

「……死体っ……?」

少し広めの部屋。
その中心にあったそれは、紛れもなく人間の死体だった。

サスペンスもいいところだ。

こんなことが、一般家庭で起こって良いわけがない。

どうして?
誰の?

脳細胞が、必死でこの状況を理解しようとしている。

バスタブとトイレが部屋の両端にあり、その丁度真ん中あたりに、死体はあった。
女性のもので、年齢は50歳前後だろうか。
右手には、鎖の付いた手錠がつながれていた。

心当たりはないか。

「あ……」

理解した。
全部分かってしまった。

私がここに来た時、一番心配だったこと。
それは――

「琥珀くんの……お母、さん?」

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最終更新:2010年05月10日 19:26
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