萌えます。年下男子 続き7

167: 名前:HARU☆02/10(木) 18:53:31

「私を無防備だって言うけど奏太くんだって同じだよ」
「…いやいや、先輩に言われたくありませんって」



手をぶんぶんと振って否定する

そんなことないよ

奏太くんだって朱美ちゃんの気持ちに気づかないし
それなのに普通に助けたり面倒みたりしてるんだから



「充分無防備です。いや、無自覚です」
「なんで先輩に言われなきゃなんないんですか…」



私がつーん、と言うと奏太くんは呆れた顔をする

少しは警戒心持てっての



「いつまでツンとしてるんですか」
「奏太くんが警戒心ゼロだからー」
「だーかーら、先輩に言われたくありません」



もう少し周りを気にしてくれないと心配だもん

そのうち誰かにとられちゃいそうで



「ずっとその顔をしてると襲っちゃうぞ」
「っ!?」
「あ、表情変わった。俺の勝ちー」



なななななんて卑怯なやり方っ!

しかもさらっと爆弾発言しちゃって…!



「かっ、奏太くんが言うと冗談に聞こえないっ!」
「だって半分冗談じゃないし。ね」
「~~~っ!」



ずるい、ずるすぎる

こんなこと言われて平然といれるわけないじゃん!


奏太くんの手が頬に触れる

身体がビクッとなる



「びびりすぎ。てかほっぺ赤…」
「う、上から目線になって…!」



少し不敵に笑う奏太くんを見て、萌えとは違う意味でどきどきする

なんだか私の扱いに上手くなった気もしてならない



「顔熱…、ゆでダコだ」
「誰のせいよ、…てゆかもっと可愛いものに例えなさいよう…」



ごめんなさい、と奏太くんは楽しげに笑った




171: 名前:HARU☆02/11(金) 13:25:53

6月末、天気は快晴

南原高等学校、絶好の文化祭日和



「二年三組見た!?超可愛い子いんの!」
「有名な南高の相沢くるみ!生超可愛いんだけど!」
「しかもメイド姿!小さくてぴょこぴょこしてて萌えた~!」



くるみの当番は午前と午後の前半

くるみがいると売り上げが増すという考えから
満里奈は他の人よりも多めに当番を頼んだのだ

案の定、午前は大盛況



「くるみちゃーん!」
「こっち向いた!可愛い~!」
「ちょっ、俺にも見せろって!」



文化祭は他校からの来訪者も多い

が、そのほとんどがくるみ見たさだったりする

去年より更に観客が多く、教室周りは人の渦だ



「お待たせしましたっ、レモンティーです」
「くるみ!こっちお願い!」
「はーいっ」



ななななにこの忙しさーっ!

てゆうか食事する気ないなら教室の周りにたまらないでよっ



「ご注文されない方は他のお客様の迷惑になりますのでお帰り下さい」



執事姿の八尾くんが教室の入口にいる人達に注意する

渋々距離をとったり、離れた場所へ移動をする



「あ、ありがと」
「いいえ。邪魔だしうるさいしね」



こそっ、と悪口っぽく言う八尾くんの顔はいたずらっ子みたいだった

気を遣ってくれて、優しいなあ



「ま、この調子だと学内売り上げ一位は三組じゃね?頑張ろうなっ」
「あいさーっ!」



八尾くんとガッツポーズをして再び仕事に戻る






172: 名前:HARU☆02/11(金) 13:47:37

そういや奏太くんのクラスはドリンク販売だったっけ?

当番は午前って言ってたけど、一緒に回れる時間あるかなあ…



「くっるっみっちゃーん!」



ああもう!うるさい!

全然萌えないっての!


時間は昼にさしかかり、忙しさは更に増した

働く人数は増えたが、忙しさは午前とあまり変わらない様子



「くるみちゃん大丈夫?」
「大丈夫だよっ、ありがとー」



気を遣ってくれるクラスメイト

嬉しいけどなんだか申し訳ない

自惚れるわけじゃないけど、正直この人混みは私のせいだし…



「くるみ、もう上がりな」
「のり」
「奏太くん、午前で終わりなんだろ?
 午前丸々働いたんだし充分。誰も文句言わないよ」



格好良くスーツを着こなしたのりが言う

ああ…、男なら素敵

…じゃなくて!






173: 名前:HARU☆02/11(金) 14:32:35

「で、でもあと一時間くらいだしっ」
「あの飢えてる男共邪魔。」



のりが顎で教室の周りに集っている男共をさす



「さっさと奏太くんと合流でもして彼氏の存在を
 見せたつけた方があいつらも諦めがつくだろ」
「…のり」



優しくて素敵すぎるよ、のり

スーツが一段と似合います、まじで



「お、噂をすればなんとやら」
「え?」



のりが入口を見つめてそう呟く

その目線を辿る



「か、奏太くんっ」



パーカーを羽織った奏太くんがいた

会いにきてくれたの?…萌え



「はーい、王子様。こっちこっち」
「あ、のり先輩」



奏太がくるみの人気度を示す男子を見回していると
のりが奏太の手を引き、くるみの元へと連れて行く



「…すごい人ですね」
「売り上げ一位狙ってるからっ」
「これだったら余裕でしょ」



くるみと奏太が話す姿を外野はただ見ている



「気安く話してるけど知り合い?友達?」
「もしかして彼氏?」
「いやいや、そりゃないって」



くるみが着替えている間、そんな声が周りで飛び交う

制服姿に戻ったくるみを見てもまだ興奮する外野



「奏太くんっ、お待たせっ」



と、くるみがいつものごとく奏太の腕に抱きつくと



「「「ええぇえぇええぇ!?」」」



周囲にいた男子が声をあげ動揺し始めた






174: 名前:HARU☆02/11(金) 19:28:11

動揺した男子のうちの一人が慌てて声を出す



「く、くるみちゃん!その人って…っ」
「彼氏ーっ」

「「「!!?」」」



にっこり笑って言うとみんな固まったように動かなくなった

奏太くんは「人前!」と頬を赤く染める

へーんっ、昨日のお返しだよーだっ



「じゃあ、のりっ。ありがとねっ」
「おー、楽しんでこい」



ひらひらと手を振るのり

教室の周りにたまっている人混みを擦り抜ける

その間、奏太くんがさり気なく手を握ってくれてるのが嬉しかったり



「あれ、相沢は?」



カーテンの中の調理場にいた八尾が表に顔を出す



「王子様が迎えに来たのさ」
「王子ぃ?」



のりが答えると気の抜けた声を出す八尾

のりが、彼氏だよと付け加えると八尾は納得



「八尾も午前までだろ?もう上がりな。
 くるみが抜けたからそこまで忙しくないと思うし」
「おー。じゃあ、お言葉に甘えて」



くるみが抜けたことによって教室周りの人混みが
ショックを受けた状態でパラパラと減っていった






175: 名前:HARU☆02/11(金) 19:56:24

「手繋いでると恋人同士みたいだねっ」
「いや…、みたいって」



学校帰りでもあんまり手を繋がないのに
知り合いばっかで人混みの多い学校では繋いだままなんて

奏太くんは絶対嫌がりそうなのに…



「…恥ずかしくないの?」
「超恥ずかしいです。……でも見せつけておかないと」
「何を?」



奏太くんの顔は赤いのに手は離そうとしない

学外から来た人は私達ばかり見てる



「彼氏が…、俺がいるってことを」



どきんっ、

うっわあ……、恥ずかしい…!

変に身体が熱くなる

萌えとかそんなんじゃなくて純粋に嬉しくて…



「えへへ、嬉しいぞ」
「はいはい…」



頬は赤いまんま

慣れないことしてくれてるんだね

本当は恥ずかしいのに



「自慢の彼氏だもん。見せつけておいてねっ」
「全く…、手のかかる彼女ですね…」



奏太くんがやきもちやいてくれたことが幸せ

今日はいつもより長くみんなの前で彼氏彼女だね






176: 名前:HARU☆02/11(金) 20:44:42

いろいろな場所を二人で回る

校内でこんなに一緒にいるなんて初めてでとにかく幸せ



「ふふふ~」
「気味悪い…」
「ひっどーい!てゆか奏太くん最近私の扱い雑になってない?」
「なってません」



いや、付き合いたてから変わってる

雑ってゆうか上手くなったってゆうか…



「愛だね」
「…愛とか恥ずかしいこと言わない」
「ちぇー」



私服姿の奏太くんも制服姿にパーカーの奏太くんも大好き



「そのパーカー奏太くんの?」
「そうですけど?」
「可愛いなあ、貸して?」
「いや、でかいでしょ」
「だぼっとしてる方が萌えるでしょ?」



また奏太くんはいつものように困った顔をする

だぼっとしてるとか正直どうでもいい

お揃いとか奏太くんの物とかって持ってないからただ単に欲しいの

これから増やしていけばいいんだけど
今は奏太くんの物を身に付けたいって

……私、依存性だな






177: 名前:HARU☆02/11(金) 22:55:24

依存性ってゆうか今はもはやわがままかな…



「はい」



肩にふわっとかかる

私には大きすぎるパーカー



「…いいの?」
「貸してって言ったのは先輩でしょ?」
「うっ、うんっ」



嬉しげに袖を通す

175センチの奏太くんと150センチの私じゃ
男と女以前にサイズ感なんて全然違う

でも…、嬉しい

奏太くんに包まれてるみたいで



「えへへ、奏太くんの匂いだ」
「あ、そ…」



ファスナーを閉めるとスカートが見えるか見えないかくらい

袖だって全然手の長さが足りない

だけど…、いいの



「そんな嬉しそうにしなくたって…」
「だって奏太くんに抱き締められてるみたいだもーん」
「パーカーに負けたくないです」



嘘だよ、と笑うと頭をぽんぽんとされた

そしてまた私の手を取り、繋ぎ直す



「あー!奏太!」



大きな声で奏太くんを呼ぶ声がした

前方に指をさして笑顔でこっちに女の人が歩いてくる

だ、誰だろ



「…か、母さん!?」



……お、お母さん!?






178: 名前:HARU☆02/12(土) 11:37:11

「やー、すごい人だねえ。高校の文化祭って賑やか~」



ショートカットが似合う明るい人

…てゆうか奏太くんのお母さん!?



「本当に来たんだ…」
「何よ来ちゃいけないの?それより菜摘ちゃんとはぐれてさー」
「さっき下にいるの見かけたよ」
「え、本当っ?」



私はポカンと二人の会話を聞く

雰囲気は奏太くんと全然違うけど…、顔似てる…

それに少し幼い顔で年齢はわからないけど若く見える…



「こんにちは、くるみちゃん」
「へっ?」



急に目が合い挨拶をされた

笑った顔が奏太くんそっくりで少しどきんっとした



「こ、んにちはっ。…あの、私の名前…」
「奏太から聞いてるものっ。可愛い彼女がいるってね~」
「か、母さん!」



奏太くんのお母さんが横目で奏太くんを見て訴える

やりとりが完全に親子だあ…



「いや~、生くるみちゃん超可愛いわ。小さくてお人形さんみたいっ」
「うわあっ」



ぎゅうっと私を抱き締める

な、なんだか緊張する!



「奏太のパーカーまで着ちゃって、本当ラブラブねえ」
「ラブラブとか言うな!」
「何よ、照れちゃって。手だって堂々と繋いでたくせに」
「もういいから早く菜摘さん探しに行けって!」



わ、私はどうすれば…

抱き締められたまま呆然としていると奏太くんが引っ張りだしてくれた



「何?何?やきもち?」
「違う!」



文化祭並にこの二人も賑やかだ…






179: 名前:HARU☆02/12(土) 11:57:48

「あ、私北條日和って言うのっ。よろしくねくるみちゃん」



にこっと笑ってそう言った



「ひより…さん」
「や~んっ、本当くるみちゃん可愛いっ」
「いいから早く行けって!」



今度家に来てね、と言うと奏太くんそっくりの笑顔で去っていった

なんだか…、急すぎて



「…はあ。嵐のような人でしょ、すみません」
「楽しそうなお母さんだね。面白かったよ?」



うるさいだけです、と奏太くんはそう言う

少しだけ奏太くんの家族に携われたこと、嬉しかったり



「良いお母さんだね」
「そりゃよかった」



ねえ、奏太くん

家で私のこと話してたってことでしょう?

それってものすごく嬉しいんですけど



「…また笑ってる」
「えー、そんなことないよ」
「母さんが喜ぶんで、…今度家来ます?」



どきんっ、とした

家に来るって言う誘い方って…、なんか変にどきどきしちゃう

前、私の家に来た時みたいになっちゃうのかな

……とか



「…行、く」
「…じゃあ母さんに伝えておきます」



そうだよ、日和さんいるんだし!

普通に彼氏の家に行くっていうだけだし!


再び手を繋ぎ歩く

それなのに伝わってくる変な緊張感は今の会話のせい?


……身体が熱いよ




188: 名前:HARU☆02/14(月) 17:50:57

「二年三組、学内売り上げ堂々の第一位!おめでとーうっ!」



満里奈の音頭と共に紙コップがぶつかる音がする

文化祭は大成功し、見事我がクラスが学内売り上げ一位になったのだ

片付けを全て終え、今は校内で打ち上げ中



「どう考えてもくるみのおかげだよね」
「くるみ様々だ」



みんながくるみを褒める

それもそのはず、くるみのいた時間帯が一番の売り上げだったのだ



「メイド姿で正解だね」
「えへへ~」



のりに褒められ嬉しくなる

クラスに貢献できたし、奏太くんとも一緒にいれたし

良い文化祭だったなあ



「飲み物、おかわりいる?」
「わ、ありがとっ」



八尾くんがペットボトルから追加でジュースを注いでくれる

一緒にお菓子も持ってきてくれた



「八尾、あんたもなかなか売り上げに貢献したよ」
「嘘」



八尾くんは少し驚き気味に言葉を返す

うんうん、私ものりと同意見

八尾くんって見た目全然素敵だし、プラス執事衣装ってなかなかだよ

女の子のお客さんも多かったしね






189: 名前:HARU☆02/14(月) 18:08:43

「さすが言い出しっぺのことはあるね。やるじゃん」
「いやいや…、調子にのるからそのへんで」



八尾くんは少し遠慮がちな発言をする

そんな謙遜しなくても



「そういや、奏太くんは?」
「外で打ち上げなんだって」
「へえ。まあ、今日は虫除けできてよかったじゃん」



虫除けの虫とは、くるみに集っていた男のことである



「八尾はいないわけ?」
「何が?」
「決まってんじゃん、好きな奴」



のり、さらっと聞いたな

きっと他の人が知りたがっていたこと

八尾くんは一瞬黙るが、すぐに言葉を返す



「まあ、普通にいる。かな?」
「えーっ、八尾くん好きな人いるのっ?」
「わーっ!相沢声でかい!」



八尾くんが私の声を自分の声でかき消す

お、おっと。ついテンションが上がってしまった

わざとらしく手で口を塞ぐ


だって八尾くんだよ?

みんなに優しくてクラスのムードメーカーで
執事衣装が似合っちゃう(違う)八尾くんですよ?

そんな人の好きな人って、



「超気になる…」
「いや、言わないよ?」



ジッと見つめても頑なに拒まれる

気になって気になって仕方ない



「私応援するからねっ」
「ありがとうございます」



とりあえず敬語でお礼を言う姿が少し可愛かった






190: 名前:HARU☆02/14(月) 21:54:48

そろそろ帰りなさい、という担任の言葉で片付けを始める

時刻は既に夜9時を廻っていた



「相沢、柴丘。送るよ」



門で八尾くんが私と満里奈に声をかけてきた

八尾くんだけじゃなくちらほら男子が
女子の夜道を心配して声をかけているみたいだ



「大丈夫だよ」
「いいって。どうせ方向一緒だし、な」



満里奈と八尾くんは同じだけど私は少し遠いし、…遠回りになっちゃう



「女の子二人じゃ心配だし」
「じゃあ、…お願いします」



ぺこっと頭を下げ、三人で夜道を帰宅し始めた

学校から歩いて10分くらいで満里奈の家に着く



「八尾、ありがと。二人とも気を付けてね、またねっ」



満里奈と別れて、二人で帰る

会話はなんてことない普通の話

外灯と家々から漏れる光が妙に落ち着くような雰囲気を醸し出す




197: 名前:HARU☆02/16(水) 21:01:29

「ねえ、もうここで大丈夫だよ?」



家も近いし、八尾くんも早く帰った方がいいと思う

不審者が出るわけでもないし…



「いいえ、家まで送ります」
「…ぷっ」
「え、何かおかしかった?」



あ、つい笑っちゃった

だって今の言い方…



「奏太くんが言いそうな言葉だなあ…って」
「そりゃ年下なんだし今みたいに敬語でしょ?」
「や、違くて。なんか言い方とかニュアンスとか」



奏太くん、打ち上げ終わったかな

なんて頭に浮かぶのはいつも奏太くんのこと



「あ、そういえば八尾くんの言ってた好きな子って誰?」
「いやいや、今の流れで言わないって」
「えーっ、じゃあ雰囲気だけっ」



お願いします、と両手を合わせて頼むポーズをする

他の男子の恋愛トークには興味ないけどなんか八尾くんは気になっちゃう

あ、別に好きとかじゃなくてね






198: 名前:HARU☆02/16(水) 21:14:26

えー、と八尾くんは嫌そうな顔をする

が、諦めたのか渋々話しだす



「つかめない人…?」
「つかめない?」
「何考えてるかわかんないってこと」



ぜ、全然思い当たる人がいない…

何?不思議ちゃんとか?



「変わった人が好きなんだねえ」
「そだね。でもいい子だって俺は思うよ」



笑顔でそう言う八尾くんに少しだけどきんとした

…少しだけだよ!



「ふうん。でも八尾くんに好かれる子は幸せだと思うよ?」
「それは買いかぶりすぎ」
「だって優しいし気がきくし、ジェントルマンって感じっ」
「そんなことないよ」



あれ…?

八尾くんは困ったように笑う

笑うんだけどなんか違和感…



「ご、ごめん。なんか嫌な言い方しちゃった?」
「ううん」
「でも…、なんか悲しそう…」



低い身長で精一杯背伸びをして八尾くんの頭に手を伸ばす

そして優しく撫でてみる



「え、な、何?」
「よくね、奏太くんがこうしてくれるの。不思議と安心するんだよ」



八尾くんはまた困ったように笑い、ありがとうと言った




204: 名前:HARU☆02/20(日) 19:19:15

八尾くんの様子が気になる

また学校始まったら元気に笑ってくれるかな?


なんてことを思いながら歩いていると家の前に着く

もうすっかり真っ暗だ



「わざわざありがと、遠いのに…。ごめんね」
「なんで相沢が謝んの?」



あはは、と八尾くんは笑う

あ、よかった

いつもの八尾くんだ



「気をつけて帰ってねっ、最近怪しい人多いから襲われちゃうかも!」
「くはっ、…本当相沢はずれてんね。男を襲うなんて、普通逆でしょ?」
「あ。そっか」



ひゃー!自分あほだ!

男が男を襲ってどーすんだ!

顔がカァーッと赤くなる



「と、とにかく気をつけて!」
「はいはい」



また学校でね、と八尾くんに別れを告げ、玄関の扉に手をかけた時



「あ、相沢!」



八尾くんが少しだけ大きな声で私を呼んだ



「?、なあに?」
「……俺っ」
「ん?」
「お、れ……っ」



何かを言いたそうな顔をする

でも開いている口を固く閉め、その先の言葉を飲み込む



「な、んでもない…」
「えーっ、何っ?超気になる…」



玄関にかけた手を戻し、八尾くんの傍へと再び戻る




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最終更新:2011年05月22日 06:39
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