萌えます。年下男子 続き8

208: 名前:HARU☆02/20(日) 19:50:47

「八尾くん、大丈夫?」
「うん、大丈夫」



なんか心配…

体調悪いとかじゃなくて何か溜め込んでいそう

心の内側に何かがありそうで



「言いたいことは溜め込んだら身体に悪いよ?」
「言えないことなんだ」
「じゃあこっそり私に吐き出しちゃいな?誰にも言わない!」



目をふせる八尾くん

こんな状態の八尾くんほっとけないようーっ



「あ!もしかして好きな人のこと?
 さっきその話題出した時から元気なかったし!」
「はは、もう大丈夫だって」
「大丈夫でも私はほっとけない!」
「相沢…」



その話題出したの私だし、八尾くんはクラスのムードメーカーで
いつもみんなと同じように笑ってくれてなくちゃ私は嫌だもんっ



「ごめんね。私、なんか気に障ること言ってたんなら…」
「や、相沢なんも悪くないから!」



八尾くんは笑ってくれる

私が心配しないように気を遣って優しくて

私は奏太くんと幸せだからって発言軽くて…、最悪だなあ…



「相沢は…、優しいね」
「え?」
「そうやって人の気持ち考えてくれて」
「そ、うかな?私、ただのわがままだよ?」
「わがままだけだったら俺なんかのこと心配しないって」



俺なんか、って言う八尾くんを見て思う



「なんかじゃないよ」
「ん?」
「私は八尾くんのこと、八尾くんなんかとは思わない」



八尾くんの目を見て真っ直ぐ伝える

私は八尾くんのこと、満里奈やのりと同じくらい大切な友達だと思ってる

だからなんかなんて思わないの


八尾くんは困ったように目をまたふせ、そして再び目を合わせる



「相沢」



奏太くんとは違う匂い、唇が重なった




210: 名前:HARU☆02/20(日) 20:11:05

重なる唇の意味がわからない

ただ私は目を見開いたまま数秒停止したまま

そして優しくそっと唇は離れる



「…そういうこと」



八尾くんは今日何度も見せた顔で困ったように笑った

そして自ら私と距離をとる



「つかめなくて少し変で、でも優しくていい子で…、年下の彼氏がいる」



私は呆然とその言葉を聞く

いつか八尾くんが言っていた好きな子のこと



「言えるわけないじゃん。その子は大好きな彼氏がいて幸せなのに」



言葉を残して帰って行く後ろ姿をただ見つめる



「…ごめん。じゃあ、また学校でね…」



…辛い、辛い

辛いのは私?

ううん、八尾くんだ


八尾くん自身が触れて欲しくないものに私が無意識に踏み込んだ

そして傷つけた



「奏太く…っ」



こんな時に奏太くんのことを考えて呼んでいる自分


最低だ




217: 名前:HARU☆02/22(火) 20:45:25

自分の無自覚さに腹が立つ

優しい人を傷つけた

知らず知らずのうちに困らせてた


今までで一番悲しい告白だった





太陽の光で目が覚める

文化祭は土曜に行われ、今日と明日の代休は学校は休みだ

…顔を合わさなくてすむ

なんてほっとした私は最低


携帯を見ると受信メールがたまっていた

昨日は何もする気にもなれなくて放置したまま

一通一通確認していくと奏太くんからのメール

文化祭お疲れ様、打ち上げ楽しかったですか的な内容だった


重いため息を吐き、髪の毛をぐしゃぐしゃと雑にかく


…もう、わかんない

どうやったってどう言ったって八尾くんを傷つけることしかできない

八尾くんの前で奏太くんの話たくさんして

いつだって助けてくれていたのに



『言えるわけないじゃん。その子は大好きな彼氏がいて幸せなのに』



八尾くんも今まで告白してきたような人と同じだったらよかった

そうしたらこんなに悩まないのに


私の中で八尾くんは関係を崩したくないと思える大切な人になってた




219: 名前:HARU☆02/22(火) 21:58:04

携帯に手をかけ、発信のボタンを押す

耳にあて、静かにコール音を聞きながら待つ



『もしもし』



携帯から機会ごしに聞こえる声

唇が震える



『先輩?もしもーし』



メール返さなくてごめんね
打ち上げ楽しかったよ
そっちは楽しかった?
…聞いて欲しい話があるの


言いたいことは山ほどあるのに、全然言えない…っ



『くるみ先輩?』
「か、なたく…っ」



傍に来て、大丈夫だって言って…



「会いたい……っ」



ようやく出た言葉

声も震えて不細工で涙も止まらなくなる



『…くるみ先輩?』
「会いたい…っ、会、いたい……っ」



終了ボタンを勝手に押し、電話を切るとそのままベッドに倒れこむ

頭痛い、考えることいっぱい

気付くとそのまま眠ってしまっていた




221: 名前:HARU☆02/22(火) 22:41:42

小さく声が聞こえる

お母さん…?と、誰…


それからまた意識が遠退いてそんなに時間が経たない間に目が覚める

ぼーっとする視界の中に入る携帯を手に取り、時間を確認する

寝てから軽く一時間以上は経っていた



「あ、起きた」



その声に完全に意識が戻る

転がっている身体を起こすとベッドに腰をかけている人



「か、なたくん…?」
「髪ぐしゃぐしゃ」



はっ、と気づき手ぐしで直す

服だって顔だって適当で…っ、てゆうかやっぱり
ぼんやり聞こえた声ってお母さんと奏太くんだった…!



「で、どうしたんですか?」



優しい顔で頭をぽんぽんと撫でてくれる

私が安心する奏太くんがよくしてくれること

それを言いながら八尾くんにもした

八尾くんの気持ちも考えずに…



「昨日はメールの返信もないし、いきなり電話で泣きながら
会いたい、なんて言われたら会いにくるでしょ?」



ぎゅっとただ無言で奏太くんに抱きつく

強く強く、震える身体を一種止めるように



「先輩、泣いてるの…?」
「…ぎゅーって、して…っ、ぎゅって…っぐす」



奏太くんは私の頭を撫でていた手を身体に回し、優しく抱き締めてくれた






222: 名前:HARU☆02/23(水) 16:55:17

落ち着く、安心する

ずっとずーっと一緒にいたい



「先輩?何かあったんですか?」
「…あった、…けど……」



その先の言葉を飲む

我が儘で急に呼び出して、わざわざ告白されたことを伝える?

彼氏からしてそんな苦なことはないよね

言いたいけど言って何かが変わるわけじゃない



「けど?」
「奏太くんにぎゅーってしてほしくて…っ」



奏太は顔が赤くなり、言葉が詰まる

自分を求める、そんなくるみを愛しいと

そっとくるみの顔を持ち上げ、コツンと額を合わせる
そして目に溜まる涙に口づけをし、そのままキスを落とす



「ん……っ」



身体がピクッと反応する

甘くて深くて、いつも私は力が抜けそうになるの

キスが濃厚になるにつれて、より身体も密着する


どうしてだろう

年下とか関係なくても八尾くんは良い人で大好きなのに

私はこんなにも奏太くんじゃなきゃ駄目なんだ






223: 名前:HARU☆02/23(水) 17:29:25

「ちょ…と、待…っ」
「え?」



あまりにもとろけすぎて意識がぼーっとしちゃいそうになる…!



「あ、頭爆発しちゃう…っ」
「…可愛すぎです」



そう言うと奏太くんは額に軽くキスをする

そしてまた頭を撫でてくれる

それが嬉しくて嬉しくて再度ぎゅっと抱きつく



「何かあったんでしょ…?ちゃんと聞きますから、ね?」
「いいの…、大丈夫。奏太くんに会えてぎゅーしてくれたからいいの」
「なにそれ…」



恥ずかしげに返事をする奏太くん

余計な心配はかけたくないし(もう既にかけてるけど)

傷つけたくもないもん…



「とにかく大丈夫っ、奏太くんがいるから…んっ」



言葉の途中で唇が塞がれる

抱き締める腕にも力が入る

か、奏太くん……っ?

唇が離れた後も、奏太くんは力強く抱き締めたまま離さない



「あの…、奏太く「ずるい」
「え?」
「先輩は…、ずるいです。いつも俺ばっかどきどきさせて…!」



とくん、と胸が高鳴る






224: 名前:HARU☆02/23(水) 22:47:37

「わ、私だってどきどきしてるもんっ」
「どうせ萌えーとかでしょ?」



奏太くんに言われてふと気付く

最近私、萌えって発言奏太くんにしてない…?

萌えるっていうより…



「萌えを通りこして純粋に…好き、って思ってるかも」
「はい、反則」



ちゅ、と音をたてて唇に触れる

かぁーっと顔が真っ赤になる

いつも私の方が強気で奏太くんが照れるようなこと言ってるのに
なんでかわかんないけどいつのまにか逆転して奏太くんが優位に立ってる

男の子…、だから?



「馬鹿野郎…」
「なんでですか」
「ときめき男子ー!」
「はあっ?」



奏太くんは困った表情をする

困ってるのは私だもんっ



「奏太くんといるとどきどきして、胸がきゅうってなるの。
でね、嬉しい時も悲しい時も真っ先に奏太くんの顔が浮かんで
会いたいーって思っちゃうの。どうしてくれんのさ馬鹿奏太!」
「同じことを申し上げます」



好きで好きで好きで仕方がないの

奏太くんに会うまで自分がこんな気持ちになるなんて知らなかった


…ふと思い出す

八尾くんも、そして朱美ちゃんもこんな気持ちだったのかな…

それが伝わらないってきっとひどく苦しいはずなのに

それでも相手を想うものなのかな…




227: 名前:HARU☆02/24(木) 17:21:19

「自分が幸せな時…、誰かが傷ついてるものなのかな」
「え?」



八尾くんしかり、朱美ちゃんしかり

自分の幸せで周りが見えなくなる


コンコンと扉をノックする音がし、焦って奏太くんと離れる

慌てて返事をすると「入るわよ」というお母さんの声だった



「お母さん出かけてくるから、お昼適当に作ってもらっていい?」
「あ、うん」
「奏太くん」
「は、はいっ」



お母さんがそう呼ぶと、驚いたように奏太くんが返事をする



「ゆっくりしていってね。なんならくるみの美味しくない手料理
食べてくれても全然構わないから「ひ、一言多い!てゆうか失礼!」



お母さんの言葉に即座に反応する

お母さんも奏太くんもくすくす笑う



「早く行ってきなよ!いってらっしゃい!」
「はいはい」



手をひらひらと振り、階段を下りて出かけて行く

もう…っ、余計なことを…!



「奏太くんも笑わないでっ」
「え?あ、すみません」
「もうっ、知らないっ」



一人で下の部屋に下りようとすると腕をクン、と引っ張られる

少しはぶてた顔で振り向くと、



「俺の隣にいて?」



と敬語じゃない言い方をする奏太くんに胸がきゅうって締め付けられて
不機嫌な顔も気持ちもあっという間にどこかへ飛んでいってしまった

やられた、と思いながらゆっくりと奏太くんの傍へといく

広げられていた両手の中に自ら入ると、「いい子」と頭を撫でられた




229: 名前:HARU☆02/24(木) 18:25:26

奏太くんの腕の中、何回抱き締められても好きなんだけど



「奏太くーん」
「ん?」
「好きだぞー」
「知ってます」
「奏太くんは好き?」
「…好きです」



ふふふ、馬鹿みたいな会話

なのに顔がにやけちゃう

嬉しくって奏太くんの頬にちゅ、と軽いキスをした

奏太くんは目を丸くして少し驚いた様子



「不意討ち~」
「たちが悪い…」
「えへへ、…うわっ」



視界がぐるりと回転した

ベッドに押し倒されるいつかのパターン

同時に前起きた出来事を思い出す



「あ、の…奏太くん…」
「…嫌ですか?」



急に緊張感が走る

そんな顔で言われたら嫌なんて言えない…

今、お母さんも出かけてて家には誰もいない

前みたいに途中で誰か邪魔に入るわけでもない

付き合って三ヶ月近く経つし嫌じゃない、嫌じゃないよ

でも、なんてゆうか…



「じ、自信がない…っ」
「え?」
「奏太くんが気持ちよくなるっていう…」



急にむせ始め、奏太くんの顔が動揺する

それに顔も真っ赤…



「なんちゅー発言…っ」
「え?え?わ、私なんか変なこと言った?」
「ごほっ。や、なんでもないです…っ」



今いっぱいいっぱいで頭が回らないから何言えばいいかわかんないよおーっ



「は、初めてだもん…っ」
「俺も同じです」
「ば、爆発しちゃうかも」
「なんですか、それ…」



本当に今すぐ爆発しちゃいそうなんだもん…っ




231: 名前:HARU☆02/24(木) 18:39:15

ギシ、とベッドの音がするたび、どきんと胸が鳴る

気付くと唇が重なっていて雰囲気はもう染まっていた

もうパニックでとにかく目をぎゅっと瞑るしかなかった



「…嫌なら嫌って言って下さい」



唇が離れると奏太くんがそう聞く

その顔に目に唇に惹かれる、目が離せなくなる



「い、や…じゃない…」
「本当に…?」



ずっと妄想してた

奏太くんと付き合った頃から、そのたびどきどきして

でもいざ現実目の前すると妄想みたいに心に余裕がなくて

…それでも私は奏太くんが好きだから


自分の腕を奏太くんの背中に回し、ぎゅっと抱き締める



「…奏太くんでいっぱいになりたい」

「すっごい殺し文句…」



再びキスを交わす



「優しくする、痛かったらすぐ言って…」



甘いキスととろけるような言葉

心から好きだと思える人と体を重ねた




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最終更新:2011年05月22日 06:44
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