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有色人種。続き3

81: 名前:みるみる☆04/03(金) 09:40:20
一体、誰がこんな事をしたんだ。
分かっているくせに、再確認をするように考える。

この家には、琥珀くんとそのお父さんしかいない。
お父さんは毎日お店に通って、ほとんど家にいない。

『大丈夫だよ、母さんはいないから』

ここに来た日に、琥珀くんの口から聞いた言葉を、今更思い出す。

信じたくない。
でも、もう犯人は決まってしまったようなものだ。
まさか、息子が肉親を殺めるなんて、そんなことがあるのか。

「……逃げなきゃ」

こんな惨いことをしておきながら、彼はあんな笑顔を浮かべていたのか。
否、この闇を、オブラートのように優しさで包んでいたのだ。そうに違いない。
これが、彼の本性。
精神がおかしくなっているとしか思えない。
狂っている。

はやくここから出なければ。
このままでは、私だって――

私は、急いで部屋から飛び出した。
幸い、玄関はすぐ近くにある。
さっきまで私を照らしてくれていた優しい色の照明も、今は背中に突き刺さるように痛かった。
必死で走った。
玄関のドアノブを握った。
そのまま扉を押して外に出ようと思った。

押してもいないのに、ドアが開いた。

「あっ、?」

扉の向こうに、彼がいた。
彼が向こうから扉を引いたのだ。

「あ、小町。花瓶にどうかなって、今ちょっと庭に生えてた葉っぱとか――」

「ひ、」

彼の手には、細長い緑の葉と、それを切ったであろうハサミが握られていた。

扉と彼の間をすり抜けるようにして外に出た。
逃げないと。
走らないと。

しかし、その動きは止められてしまった。

右手首を、彼の手が掴んでいた。

「どこに行くの? そんな裸足で」

手首が、ちりちりと痛い。

「! 離してっ……」

必死にもがいたが、指はなかなか外れない。
睨み付けるように、彼を見た。

彼の表情は、感情というものが一切現れていなかった。
無表情。

ぞく、と背筋に冷たいものを感じた。

「あ、ああああ、ああああああああ――」

怖い。
この人は、私の知っている人ではない。

後頭部に鈍い衝撃があった。
そこで私の意識は途切れた。


85: 名前:みるみる☆04/03(金) 15:02:37
84流華様 はい、意外にもダークな奴ですw
あ、好きですか? 良かった、ドン引きされなくて!
そんなに褒めてもらうと、鼻血が出ます(何故

短編書いてました。本当に、もう……今読み返してみるとなんじゃこりゃっていうのを。
書いてる途中に「ああ、もういいや」ってなってしまって、大事なところがスカスカな文章です。あああ。
しかもまたファンタジーもどきです。
更に小町ちゃん的キャラが出てます。
それでもよろしければ、どうぞ!
URL貼っておきますね↓
http://zatsubitown.com/bbs/bbs03/test/read.cgi/tanpen/1221018936/1-100
86: 名前:みるみる☆04/03(金) 15:27:51 HOST:octp209178.octp-net.ne.jp
◆

「はろー、カップヌードルの海老たち」

夜になって、赤音さんは大分機嫌が良くなっていた。
その証拠に、カップ麺の具に向かって何故か英語で挨拶している。
発泡スチロールのカップから出る湯気が、赤くて長い睫毛を揺らす。

「凄いよねぇ、カップ麺って、僕だったらこんなの思いつかないなぁ」

「本当、そうだね。感謝しないとね」

そう言って、私は細い麺をずずっと啜った。
昨日の夜から、ろくなものを食べていなかったから、本当に美味しいと感じる。

「しばらく、ご飯はこれだね」

「たくさん貰ってきたから大丈夫だよ」

「まあ、碧の作る飯よりはマシか」

さりげなく酷いことを言われた。
黙って赤音さんを睨み付けると、「あ、なんだその目。何ならこのあたしが料理作ってやっても良いんだぜ? 裸エプロンで」と言われた。
なんで裸エプロン。
女の私が想像しても、それは危なすぎる光景だった。
却下。


88: 名前:みるみる☆04/05(日) 11:09:57
87なお様 更新できなくてすみません……。やっぱり土日は停滞気味ですね……。
小町はあそこまで書いたのはいいけど、どう進めようか迷っています。ああ、本当にどうしようΣ
しかも、ここって一応カラダ小説なので←
まあ、私の脳みそが考えてることなので、そんなに期待しない方が良いと思いますw
何度も来てくださって本当に嬉しいです!

◆

「そういえばさあ」

麺を食べる手を止めて、私は尋ねた。
箸で小屋の壁を指す。
お母さんが見てたら、きっと怒るだろう。

「この小屋って、どうやって手に入れたの? 中も結構広いし、コンロも水道もトイレとかシャワーも、何だってあるじゃん」

コンロはカセットコンロだし、水道は、明らかにどこかから勝手に引いてきてるけど。

人が暮らすには十分すぎる設備だ。
もうそれは、「小屋」と言ったら失礼なくらいに。
また、心の優しい誰かが提供してくれたのだろうか。

「おっちゃんがくれたんだ」

赤音さんが、口をもぐもぐと動かしながら答えた。
おっちゃん。
親しみをこめられたその響きで、何となくいい人そうなイメージが湧いた。

「いや、正確に言えば貰ってはいないでしょ」

蒼太くんが、赤音さんの言葉を訂正した。
どういうことだろう。

「ねえ、その『おっちゃん』って、どんな人だったの?」

赤音さんは少し唸って、考える素振りを見せた。

「決して良い奴じゃ無かったな」

「うん、確かにね」

意外な返答だ。

「おっちゃんは、あたし達を金集めの道具にする代わりに、ここで育ててくれたんだ。金は、ほとんどおっちゃんの薬代に消えたけどな」

「薬? 病気だったの?」

「ちげーよ、あれはどうみてもドラッグだ」

「……わお」

「話戻すぞ。まあ、あたし達は売ったり買ったりされちゃった訳だけど」

「売ったり、買ったり……」

さっきから物騒な言葉ばかり出てくる。
「おっちゃん」が悪い人であることは、簡単に想像できた。
青ざめた私の顔を見て、蒼太くんがなだめるように言った。

「いや、売るって言っても、まだその頃は僕ら6歳くらいだったから、想像してるほどのことはしてないと思うよ」

「6歳……」

笑顔の蒼太くんは、その発言が私にとって逆効果だったことなんて多分知らない。

「そう。あたし達はまず、おっちゃんに指定された家に行く。そこには発情しちゃった男や女やらがいて、あたし達はそれをただ見ておけば良かったんだ。見られてると興奮するらしいぜ。それで金を貰って帰ってくるんだ。金の3割は、あたし達に貰える。残りはおっちゃんにやる」

「僕らに人権なんて無いから、法律とかもうるさくなくて良かったみたいだよ」

「んで、しばらくしたらおっちゃんが死んじまったから、この小屋を貰ったって訳だ」

「多分、死因はドラッグだと思うな」

「それしかねぇだろ。あ、煙草もやってたか」

勝手に盛り上がってる2人の横で、私はすごく落ち込んでしまった。
何だか知らないほうが良かったことを知ってしまった気分だ。
少し忘れかけていたけど、やっぱり辛い過去があるんだ。


89: 名前:みるみる☆04/05(日) 15:21:42
「大変だったんだね」

私がそう呟くと、赤音さんは不思議そうな顔をして、「なんで?」と言った。

「そんなに大変でもなかったぜ。蒼太が言う通り、あたし達自身、何かやってた訳じゃない。ただ見てただけだよ。まあ、性格はこの通り、ひん曲がっちまったけどな。おっちゃんがいなかったら今頃あたし等白骨化してると思うし、感謝してるよ」

「うん、自分の親よりも親らしかったね」

蒼太くんだけではなく、赤音さんまでもが笑っていた。
私からしてみれば、それだけのことを経験しながら、よくここまで立派に育ったなぁと思う。
「おっちゃん」のおかげなのだろうか。

「ふあぁあ」

間抜けな顔をしてあくびをする赤音さん。
ほら、ちゃんと手を当ててあくびをしている。
自分で考えてやっているのかも知れないし、「おっちゃん」が躾けてくれたのかも知れない。

「ん、なんだ? そんなに見つめんなよ。ちゅーするぞ」

うーん、分からない。
女性としては多少荒っぽい感じがするけど。

「眠い。寝る」

カップ麺を一気に飲み干し、のろのろと立ち上がった赤音さんは、そのまま布団にダイブした。
埃が舞う。
うつ伏せになった状態で、赤い頭が布に沈んでいった。

90: 名前:みるみる☆04/06(月) 09:04:37
◆
目が覚めたと言うべきか、意識が戻ったと言うべきか。
冷たい床に、私は横になっていた。

「……痛っ」

起き上がろうとすると、後頭部に鈍い痛みを感じた。
頭を手で押さえようとすると、じゃらじゃらと金属が触れ合う音がする。
ああ、段々分かってきた。
薄目を開けると、部屋の様子が見えた。
私の瞳の前には、コンクリートに直に置かれただけのバスタブがあった。

「ということは、」

寝返りを打った。
トイレが置いてあった。

確信した。

腕に付いているものが手錠であることも分かった。

ここは、琥珀くんのお母さんが死んでいたところだ。
そして、私もいずれそうなる。

扉の開く音がする。
誰かなんて、確認する気も起こらなかった。
軋む体を無理矢理に起こして、部屋の隅を睨み付けた。

「おはよう。よく眠れたみたいだね」

相変わらず、声だけは優しかった。
その声を背中に聞きながら、私は逃げる。
手錠の鎖がうるさい。

頭が痛いけど、他のところは怪我をしていない。
部屋は広いし、逃げ回ることは出来そうだ。
まずは、距離を取らないと――

「無駄だよ」

ぐんっ、と引きとめられる感じがあって、前に進めなくなった。
右手首だ。
手首が動かない。
後ろを振り返ると、限界まで張り詰められた鎖が目に入った。
手錠は部屋の中央に打ち付けられているようで、その鎖が案外短かったのだ。

茶色い瞳が、こちらを見ていた。

「頭はいいのに、諦めは悪いんだね」

彼は笑った。
口元は優しい形を作っていたが、目の奥は笑っていなかった。

「お父さんは、どうしたんですか」

「父さん? ああ、ちょっと事故に遭って、今は病院に入院してる」

「どうせ、あなたが何か仕掛けたんでしょう」

「失礼なこと言わないでくれよ。父さんが道路に飛び出したんだ」

「雇う金は、案外高かったでしょう」

「雇う? 何を」

「お父さんを撥ねた車の運転手ですよ」

それを聞いて、彼はこちらに歩み寄ってきた。
相変わらず、薄気味悪い笑顔を浮かべている。

突然彼が、私が引っ張ることによって浮いていた鎖を踏みしめた。

手首が急に引き戻されて、体のバランスが崩れる。
明日には必ず痣になると確信できるくらい派手な音を立てて、膝がコンクリートに打ち付けられた。

「いっ、!」

「なんで僕が母さんを殺したか、分かる?」

慌てて顔を上げると、目の前に彼の顔があった。
ぞわ、と嫌悪感が走る。
逃げたい。

「お前のためだよ。お前と僕の間に入り込む奴は消えていい」

長い指が、首に巻き付いた。
逃げられない。
鎖が、邪魔だ。

「僕は、お前のためなら何だってするよ? 父さんを事故に遭わせるくらい、なんてこと無い」

指に力が込められる。
逃げられない。
息が出来ない。

「ぐっ、ぅ」

「お前は殺さない。安心しろ。これ以上の犠牲が嫌なら」

お前が、僕から逃げなければいい。
耳元で、そう呟かれた。
肌が粟立つ。
やめて。
近寄らないで。
怖い。

彼は私の首を閉める手を緩めて、そのまま床に叩きつけた。
衝撃が、痛む頭によく響いた。
目だけで彼を見ると、口元は笑っていなかった。
それが、彼の本当の表情。

彼が部屋から出て行く。
私は、体を起こす気にもなれなかった。


91: 名前:みるみる☆04/06(月) 14:12:34
◆

いつの間にか、眠りに落ちていた。
瞳を開けると、やはりコンクリートに私は寝そべっていた。
部屋は、夕闇に包まれていた。

そういえば、今日は何も食べていない。
胃の中は空っぽのはずなのに、何も食べたくない。

本当は悲しくてたまらないのだ。
彼の前では、何が起ころうと強気な態度を取ろうと決めているけれど。
そうでもしないと、自分が壊れてしまいそうなのだ。
彼が私を愛しているつもりなのは分かる。
でも、その為に家族を犠牲にするのはおかしい。
愛する人をこうやって鎖でつなぐのはおかいい。

なにか、間違っている。
これは、異常な愛だ。
狂った愛だ。

私は、彼が、あの人が怖い。
何が愛なのか、彼は知らないのだろうか。
教えて貰わなかったのだろうか。

そこまで考えたところで、また扉の開く音が聞こえた。

「ご飯、持ってきたよ」

後ろから声が聞こえるけれど、振り返りはしなかった。
かちゃかちゃと、食器の触れ合う音が響く。

「食べなよ」

肩を触られた。
私は払いのけた。

「触らないでください」

彼は怒ったのか、今度は首根っこを掴まれた。
無理矢理、そちらを向かされる。

「食えよ」

唇に、スープの器を当てられた。
器は傾いで、中のスープはこちらに流れ込んできた。
私は口を開かなかった。
スープは、ただ重力に従って、私の服を濡らしながら床に落ちた。
器を強く押しつけられる。
それも、私はただ無表情で耐えた。

彼には教えてあげないといけない。
こんなのは間違っていると、教えなければならない。

あなたは幸せを知らないのね。
私より、ずっと恵まれた環境で育ったのに。

私は人形じゃないのよ。

「なんで」

空になった器を、彼は床に叩きつけた。
水が弾けるように、欠片が飛び散った。

「なんでそんな顔をする。お前は、幸せじゃないのか? 僕と2人きりだ。もう隠れて生活することもないんだ。幸せだろ?」

「いいえ」

なるべく冷たい声で、私は言った。

「幸せじゃありません。これは、そんなものではありません。周りの人を犠牲にしてまで得るものは、幸せな愛ではありません。これはもう、愛ですらない」

あなたは間違っている。


93: 名前:みるみる☆04/07(火) 08:28:26
92ゆきね様 評価有難うございます。やっぱり人からの意見を聞くのって勉強になります!

◆

彼は、怒ったような顔をして、私を見つめていた。
自分は正しいことをしていると思っているようだ。
まるで子どものよう。

「違う。僕は愛を込めてやっている。これが僕の、愛のかたちだ」

「それなら、確かめてみればいいですよ。いずれ、あなたが間違っていたと分かる時が来ます」

彼は、周りが見えなくなっているのだ。
恋は盲目とは言うけれど。


94: 名前:みるみる☆04/07(火) 14:35:28
◆

違うんだ、僕は間違ってなんかいない。
間違っているのは、小町、お前の方だ。

犠牲の上に成り立つのは愛じゃない?
この気持ちが愛以外の何であるというのか。
お前しか要らない。
お前のためなら、命だって惜しくはない。

綺麗事を言うなよ。
どんな愛にも犠牲は必要なんだ。

小町、お前の方が分かっていない。
分からせてやるよ。
これは、愛だって。

優しい声を作って、また今日も食事を持っていく。

「おはよう」

コンクリートの床に、小町は倒れていた。
昨日の体勢から、何も変わっていない。
ただ、目だけがこちらを見ていた。

きつそうだな。
何も食べていないから、当たり前か。
そろそろ限界じゃないか?
僕は、笑顔でパンを差し出した。

小町は、ただただ虚ろな目で、それを見ているだけだった。
僕からは、何も受け付けない、と決めているようだった。

しょうがない。
僕はポケットに入れておいたレモン味のキャンディーを取り出した。
カラフルな包装紙をはぎ取って、黄色い糖分の固まりを口に含んだ。

糖分は、すばやくエネルギーに変わるんだって?

小町の肩を掴んで、抱え上げる。
今日は抵抗しなかった。
抵抗できないのか。
白い顎を、無理矢理こちらに向かせて、桜色に乾いた唇に僕の口を埋めた。

口の中に、レモンキャンディーを押し込む。
押し返そうとはしなかったが、小町の舌は動かなかった。

口を離すと、小町の口は、そのままだらしなく開いたままだった。
そこから、キャンディーがこぼれ落ちて、コンクリートの床に当たってかちんと音を立てた。

無反応を決め込んでるのか。
エネルギーを使わない、良い抵抗だと思うよ。
いつまで持つかな。


98: 名前:みるみる☆04/08(水) 17:09:12
無表情、無反応。
される方は結構傷つくんだけどね。
でも、お前の方だって結構辛いんじゃないのか?
愛情にしろ憎しみにしろ、感情を押し殺すのは疲れるからね。

だけど、無表情ももう飽きたな。
そろそろ何か反応をしてくれよ。
そんなに僕の愛を認めたくないのかい?

僕は小町の体を抱え上げて、バスタブに放り込んだ。
鎖がバスタブの縁にこすれて、がりがりと音が響いた。
さすがに驚いた顔の小町。
シャワーのコックをひねった。
小町の漆黒の髪は、水に濡れててらてらと輝いた。

僕もバスタブの中に入る。
2人で入るには、少し狭かった。

「体、洗ってやるよ」

ボディーソープをたくさん右手に出して、小町の服の中に入れた。
小さく息を詰める音が聞こえたが、小町は抵抗しない。
自分で決めちゃったもんな、無反応でやり過ごすって。
意外と頑固なところがあるんだ、この女は。

それを体中に塗り広げる。
ぬるぬると肌の上を滑る手に、小町は必死で耐えて、自分の服を噛みしめた。
恐らく、初めて体験する感触だろう。
声、いつまで我慢できるかな。

最も敏感な、小さな突起に触れた。
驚いたように、一瞬黒い目が見開かれた。
一気に責め立てると、小町は苦しそうに眉を歪めた。

「っ……! っ!」

噛みしめた服に、血が滲んでいた。
唇が切れたのだろうか。

でも、なかなか声は上げない。
はやく心が折れてしまえばいいのに。

ボディーソープを足して、蜜の溢れる場所に指を入れた。
手触りが違うある一点を探し出して、執拗に責めた。

「ん、ぅっ!」

くぐもった声が、やっと出た。
頬を染めて、目にはうっすらと涙を溜めて、ひたすら快感に耐えている。
ほら、やっぱり体は悦んでいるじゃないか。
好きでもない相手に、こんな反応はしないはず。

僕は、右手は引き続き動かしながら、小町の口から服を引き抜いて、自分の左手の指を3本入れた。

「っぐ……!」

小町の白い指が、僕の手首を掴んだ。
やっと抵抗した。
でもうまく力が入ってないよ。

何か噛んでないと、声が出そうなんだろ?
僕の手は噛まないのかい。

指を動かしてみても、小町は噛みつくようなことはしなかった。
ただ、苦しそうに首を振って逃げようとしていた。

多分、今にも飛びそうな理性を必死でつなぎ止めて、指を噛まないようにしているんだ。
人間が本気を出せば、こんな指、簡単に噛み千切ってしまう。
指を引き抜いてやった。

「かはっ……」

気を失ったのか、小町の頭はお湯が少し溜まったバスタブの底に打ち付けられた。
ぱしゃん、と派手にお湯が弾けた。

気を失うまで耐えるとは、たいしたものだ。
やっぱり、小町は僕のこと嫌いじゃないんだね。
相思相愛だね。

少し乱暴ではあったけど、愛を確かめた。


99: 名前:みるみる☆04/10(金) 18:47:58
◆

「小町ちゃん、何してるかな」

路地の壁に挟まれて、長四角に切り取られた空を見上げながら、私は呟いた。

「らぶらぶしてんじゃねぇの?」

大して興味もなさそうに、赤音さんが答えた。
つまらなさそうな顔をしている。
2人のことに触れると、いつもこんな感じだ。

「あ、もしかして赤音さん、小町ちゃんじゃなくて琥珀さんに嫉妬してる?」

「はぁ? 何でだよ」

「友達取られちゃったから」

赤い眉が、ひく、と動いた。
あ、まずい。
怒らせてしまっただろうか。

「てめぇ、あたしはそんなに幼稚な独占欲持ってねぇよ……」

自分で怒らせたのは初めてかも知れない。
赤い瞳に睨み付けられると、圧倒的な迫力に後ずさりしそうになる。
こんなのを、蒼太くんは毎日笑顔で受け流しているのだろうか。

でも、それにしても短気じゃないか。
まさか図星だったとか?

そんなことを考えながら赤音さんを見ると、「それにしても、小町は遅すぎるぜ」とふてくされた顔で呟いていた。


105: 名前:みるみる☆04/22(水) 23:28:34
103なお様 お久しぶりです! 見事……な文才のなさですね、分かります←
マイペース……そう言っていただけるともの凄く気が楽になります!
ありがとうございます♪

104るき様 こちらこそ初めまして♪そんなに褒めていただいて、私に嬉し死にしろと言うのですか?
作文は優勝したこと無いですw
ああ、もう本当に嬉しさで鼻血出ます!←

ちょっとだけ更新します!

◆

部屋に、無機質な振動音だけが響く。
響いていた声は、もう出ないらしい。

「気も失えないなんて、辛いね」

僕は随分前からバスタブに腰掛けて、壊れてゆく1人の人間をこの瞳に映していた。
壊れて、砕けて、崩れていく彼女を、ただ見ていた。

小町はさっきから、ずっと達し続けている。
プラスチックの、人間の欲を満たすためだけに作られた器具が、下腹部に入っている。
手錠の鎖で両手を縛られて、それを外すことも出来ずに、小町はただ耐えるしかなかった。

時折、小町が僕に縋るような目を向ける。
なんだその瞳は。
勘違いしないでくれよ、僕だってやりたくてやってるわけじゃない。

「ん、どうしたの?」

わざと分からない振りをして、小町自身の口からそれを言わせようとする。
小町が紅潮しきった唇で、言葉を紡ぎ出そうとした。
しかし、それは掠れた窒素の固まりとなって体外に排出されるだけだった。
口の動きで、僕は読み取ってやる。

『た』

『す』

『け』

『て』

たすけて。
タスケテ。
助けて?

「認める気になったの?」

僕の問いに小町は答えずに、ただ一粒の涙を流した。


106: 名前:みるみる☆04/25(土) 09:18:09
だああっ……! カラダ表現のところで文とか滅茶苦茶になります。すみません。やっぱり向いてなかったかも……。
◆

「ちょっと小町ちゃんに会ってくる」

朝の空気は澄んでいて、路地の中に響く私の声に驚いてしまうくらいだった。
眠そうな目を擦りながら、赤音さんが「ん、んー?」と声を漏らした。

「行くって、あのパン屋にか? 多分居ないと思うぞ」

「それはそうなんだけど」

この前小町ちゃんに会いに行った時は、琥珀さんがわざわざ呼びに行って、やっと会えたのだ。
だから多分、いつもは琥珀さんの家の方に居るんだと思う。

「家、分からないんだよねー」

「あ、僕知ってるかも」

それまで、ただにこにこと私達の会話を楽しそうに聞いていた蒼太くんがそう言った。

「え、教えて教えて!」

「いや、確信はないんだけど、パン屋さんとかが生活する家って、大体店の隣とかその周辺にあるでしょ? 確か隣に煉瓦造りの家があったと思うけど」

意外と洞察力があるらしい蒼太くんは、すらすらと歌うように教えてくれた。
成る程。言われてみれば確かにそうだ。



109: 名前:みるみる☆04/25(土) 21:04:12
107高坂 陽様 慰めの言葉有難うございます;ああいう場面になると、文を書いてる自分自身が恥ずかしくなってくるんですよ。かといって書かなかったら板違いになりますし……。
じゃあ何でこの板にスレ立てたって話なんですけどね←
無駄なチャレンジ精神です。
でも、たとえ下手でも、何度も見に来てくださるあなたのような人がいればそれでいいかな、なんて甘えたことを考えてしまいますw

108夜様 大好きだなんて、嬉しいんですけど恥ずかしいです!
もう一度始めから書き直したい気分です。のわぁああ……。
でも応援して貰っているので最後まで書いてみますね。ありがとうございます!

◆

蒼太くんの言うとおり、パン屋から3メートルほど離れたところに、煉瓦造りの家は建っていた。
一応、パン屋の中も覗いてみたが、小町ちゃんの姿は見当たらなかった。

煉瓦によく似合う、重くてひやりと冷たい扉の前に私は立った。
ノックをしてみる。
返事はなかった。

「…… あれ?」

再びノックをする。
しかし結果は同じだった。

もしかして、ここは琥珀さんの家ではないのだろうか?
そんな考えがふと頭をよぎったが、その答えはすぐに出た。
表札はないのかと、辺りをきょろきょろ見回すと、家の壁に立てかける形でパンの配達に使う木の箱が置いてあったのだ。
間違いない。ここが琥珀さんの家だ。

「もしもーし、琥珀さん? 小町ちゃーん」

ゆっくりと重い扉を押すと、すんなりと開いた。
鍵はかかっていないようだ。

中は明かりも何も付いておらず、人気は全くなかった。


110: 名前:みるみる☆04/26(日) 23:55:30
人がいない家は、薄暗くて何故か背筋が冷える。
みし、と軋む廊下にも、私は心臓の鼓動を跳ね上がらせて、慎重に奥へと進んだ。

まるで不法侵入者じゃないか。

自嘲気味の笑みがこぼれた。
しかもあながち間違いではない。

いったい何で、こんな事までして小町ちゃんに会いたいのだろうか。
自分で自分が分からない。
そもそも私は、思い立ったらすぐ行動に移してしまう癖があるのだ。
この緑の髪にしたって、例外ではない。

「…… ただ、ちょっと顔が見たいって思っただけだよう……」

寂しい自問自答をしながら、それでもドアを手当たり次第に開けて、中を確認していく。

違う。
ここも違う。
お世辞にも広いとは言えない家だったが、部屋の数は反比例するようにたくさんある。

「こーまーちーちゃーん、琥珀さーん」

呼んでみるが、返事はやはり無かった。
もし次の扉を開けて、そこに2人がラブラブしていたらどうしようかという不安も頭をよぎる。

幾つ目のドアノブだろうか。
そのドアは、明らかにおかしかった。

隣にもう一つ、ドアがある。
こんな構造の家は見たことがない。

まるで、後から継ぎ足したような。

「何、これ……」

そのドアに触れてはいけないような気はするが、結局好奇心には逆らえず、私の緑の爪はドアノブに添えられた。

入ったところに、すぐに通路。
やはりおかしい。
おまけにここの床はコンクリートだ。

「小町、ちゃん……?」

暗い、湿った空気がその声を包み込んだ。


112: 名前:みるみる☆04/27(月) 22:58:57
111夜様 わお! 何度も来てくださって嬉しいです♪
期待して損しても知りませんよb←
頑張ります、自分なりに! 

◆

不気味なほど冷たい床を、爪先で確かめながら奥へ進む。
それにしても、なんて暗い部屋だ。
夜が明けてから間もないが、それにしても暗い。
カーテンが開いていないのだろうか。

手探りで壁にあるであろう電灯のスイッチを探す。
ぱちんと軽い音がして、視界が一気に明るくなった。
反射的に目を細める。

やがて、私の緑の瞳に映る部屋の全容。
バスタブ。
トイレ。
割れた皿。
窓のない壁。
手錠。
鎖。

スカート。
ボーダーのTシャツ。
白い腕。
黒い睫毛。
漆黒の髪。
赤い血。

「あ、え、ああ……?」

意味が分からない。
どうして。
幸せそうな、あの笑顔はどこに。
眠っているのか。
死んでいるのか。
何だ、その手首に巻かれた金属は。
我が目を疑うとは、正にこの事だ。

後ずさりしそうになるのを、必死で堪える。
心臓の音がうるさい。
汗が流れて、床に落ちた。
どうした。寒いんじゃなかったのか。

「こ、小町ちゃ……」

そう。
そこに横たわっているのは、紛れもなく小町ちゃんだった。
がんじがらめの欲と、狂った愛にまみれた、にんげんが居た。


115: 名前:みるみる☆04/28(火) 23:26:53
113さや様 面白くできません……。あああ。でも、褒めてくださって凄く舞い上がってます! ありがとうございます。

114みゆ様 気になってくれる人がいるんだ!←
テンションやばいです。ありがとうございます! 私ってば幸せ者ですね。

◆

呼びかけに応える様子はない。
本当に、死んでしまったかのようだ。
危険な状態だ。
憔悴しきっている。
何をしてる、早く助けなければいけないだろう。

「小町ちゃんっ!」

小町ちゃんに駆け寄った。
胴に触ると、衣服を通じて温かさを感じた。
大丈夫、まだ生きている。
けれどそれは、「死んではいない」と同義だった。
そのくらいか細くて、脆くて、今にも崩れ落ちそうだ。

心臓の鼓動を止めてしまいそうだから、ゆっくりと慎重に揺さぶる。
反応はなかった。

「小町ちゃん、小町ちゃん!」

今度は手に感情がこもった。

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最終更新:2010年05月10日 19:27
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