萌えます。年下男子 続き15

425: 名前:HARU☆03/22(火) 20:36:56

ようやく泣き止んだ様子

というか、手を離して欲しい



「北條くん、手…大きいんだね…」



効果音に「ぽっ」とかぴったりの頬の染め方

一見小さい背に女の子らしい外見なのに、この扱いにくい感じはなんだ

くるみ先輩とは大違いだ



「あの、本当気持ちは嬉しいし申し訳ないんだけど…彼女いるから、さ」
「うっ……」



…また泣き始める!

頭をぐしゃぐしゃとかく

さすがに面倒くさい…っ



「もういいよ、泣いてもいいから話は聞いて。
俺ね、彼女いるから伊藤さんの気持ちに応えることはできないんだ」

「じゃあ二番目にしてっ?」



……はい?

ぱあぁっと顔を明るくして俺を見る

常識が通じない、わけ?



「だって北條くん素敵だし…、諦めるのはできないってゆうか…っ」
「や!本当諦めて下さい!」
「あのね、顔がすごくタイプで…、それから」



人の話を無視して永遠と自分のことを話続ける

あぁ、性格悪いかもしんないけどだんだん苛々してきた…

握られたままの手を思い切り振り払うと目を丸くして驚く伊藤さん



「大切な子がいるんだ」




428: 名前:HARU☆03/22(火) 21:23:36

大切な子がいる

そう言うと伊藤さんはむぅ、と頬を膨らます



「その子には二番目の人がいるかもしれないじゃない。
だったら北條くんも私がいても可笑しくないしフェアじゃない?ねっ」
「いないよ、二番目なんて」



伝わりにくいのなら伝わるように話すだけ



「俺が言うのは自惚れに聞こえるかもしれない。
だけどそんなことできる子じゃないし、真っ直ぐなんだ」
「わ、わかんないじゃん…っ」
「わかるよ」



本当に自惚れかもしれない

でも、記憶がなくなって改めて知ることもできた

俺を必要としてくれてるって



「器用な子じゃないんだ、本当に」



自然と自分の表情が穏やかになるのがわかる

くるみ先輩だけじゃない、俺だって必要としてる



「本気でその子のこと大切に想ってる。
 ―――だから伊藤さんの気持ちには応えられない」

「……嘘よ」
「え?」



勢いよくドンッと押し飛ばされる



「嘘よ!北條くんはそんな人じゃない!
みんな平等に大好きって言ってくれる人よ!」
「は、はあ!?」



急にわけのわからないことを叫び始める

平等に大好き…って何それ誰それ!?



「今の北條くんは北條くんじゃない!私が絶対目を覚ましてあげるんだからー!」
「ちょ…っ、伊藤さん!?」



意味不明なことを叫ぶだけ叫んで逃げるように走っていく



「な、何あの人…」



強烈に不思議な子に絡まれてしまった






429: 名前:HARU☆03/22(火) 22:07:35

7組にいる友達に伊藤春菜のことを聞いた


変わり者、不思議ちゃん、妄想癖あり

と、期待通りの答えがたくさん返ってきた



「あの子、人の話全然聞かねんだよ」
「あぁ……」



納得、と心の中で呟いた

奇天烈な子だ、本当



「何、奏太。可愛い彼女いんのに浮気ですか」
「するか馬鹿」
「ですよね、あんな可愛い子二度と手に入れられませんよ」



可愛いのは見た目じゃねえっつーの

話を一通り聞くとそこで友達と別れる



「何事もなけりゃいーんだけど…、な」



ふう、とため息をつく

どうも嫌な予感が頭から離れない

嫌な予感…、てか悪寒?

好かれることは普通に考えたら嬉しいことなのに、どうも素直に喜べない


…それより、くるみ先輩の誕生日何しよう

てか何あげればいいんだろう


彼氏だから、一番喜ばせてあげたい

一番大切な人に




435: 名前:HARU☆03/23(水) 18:01:21

「北條くん今日も素敵」
「夏休みは海かな?」
「家族構成ってどんな感じ?」
「やだ、見つめないで…」


ほぼ毎日のように奏太は春菜に付きまとわれていた




「奏太くん最近女の子に付きまとわれてるらしいよ」
「な、何それ!」



ふと、のりが発した一言

女の子に付きまとわれてる?



「誰に何でどうして!」
「し、知らないよ。一年の後輩に聞いただけだし」



のりが「大きな声出すな」と耳を塞ぐ

それって……



「浮気!?」
「うるっさーいっ!」



ぱこーんっ、と頭を叩かれる

付きまとうって朱美ちゃん…、じゃないな絶対

ぜ、全然知らなかったんだけど



「聞くには小柄な女の子らしいよ。あのーなんだ、天然?みたいな」
「天然を武器に近づいてるってわけか」
「や、そういうことじゃないと思う」
「じゃあ天然パーマってこと!?」
「違う!!」



再び頭に叩きをくらう

浮気、なんてしてないよね……?






436: 名前:HARU☆03/23(水) 18:16:54

「っ面倒くさい!」



だんっ、と机に紙パックのジュースを打ち付ける

そんな奏太を見て、友達の中杉がなだめる



「ま、まあまあ。落ち着けって、な?」
「女の子にこんなに苛々したの初めて」
「…そうとうキてんね」



奏太は苛々しながらストローを噛む

あれから毎日のように付きまとわれ、言葉を交わすのさえ面倒になっていた

人の話は聞かない、一方的な発言、妄想、勘違い

ストレスが地道に蓄まっていく



「彼女がくるみ先輩って言ってないの?」
「…や、なんか俺の問題に巻き込むのは悪いかなー、…って」
「言っちゃえば伊藤さんも諦めつくんじゃね?」
「……だといーんだけど」



はあ、とため息をつく

ただでさえ浮気だの心変わりだの適当な噂も耳にしつつあるのに
くるみ先輩のこと伊藤さんに言ったら変に妄想とか勘違いをされて
くるみ先輩も巻き込んだあることないことの噂が立ったら正直収集がつかない


…まあ、あくまで可能性だけど



「くるみ先輩には言ってないの?伊藤さんのこと」
「言ってない。けど、そろそろ耳に届きそうだ」



別れてしまえばいい、とか思ってる人は多いだろうし
その人達からとったら今の自分の事態は好都合だろうな…

再びため息をつく






437: 名前:HARU☆03/23(水) 20:26:57

小さな少女が走ってきた勢いで教室の扉をガラッと開ける



「奏太くん!」
「うっわ、くるみ先輩!?」



奏太くんは驚いた表情でこっちを振り返る

とりあえず奏太くんの元に足を進める



「天然の弾丸を武器にしてる天然パーマの子に愛を訴えられてるって本当!?」
「なんか全然違う!」



相沢先輩だ、可愛い
あの噂聞いたんじゃない?
え、破局?

などの声が周りでこそこそ散らばる



「浮気したの!?」
「ちょ…っ、こんなとこでそんな噂流さないで下さいって!」
「浮気、…したの!?」
「だーっ!してない!するわけないでしょ!」



だってなんかよくわかんないんだもん

どの噂を信じたらいいのか…、わかんない



「あんたうるさい」



ぺしっ、と頭を後ろから叩かれる

今日三回目…、ぐす



「朱美ちゃんっ」
「そんなわけのわからない噂信じてたらきりないっつーの。
野次馬が多いんだから外で話してきた方がいいんじゃない?」



はあ、とため息をつきながらも正論を吐く朱美ちゃん

た、頼りになる…



「行きますよ」
「あ。う、うん」



奏太くんに手を引かれて外に連れ出される

朱美ちゃんに「ありがとうっ」と言うと、べっ、と舌を出された



「北條…、羨ましい…」



くるみと手を繋いでる奏太を見て、クラスの数人の男子がぽそっと呟いた

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最終更新:2011年05月22日 08:22
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