leave 続き1

36: 名前:浅葱☆08/02(月) 19:14:57

「…もう、馬鹿」


津田が出て行った後、暫くしてから私も自分の教室へ戻った。
当然、朋榎の質問攻めにあい、クラスメートたちからも鋭い視線を向けられた。


(呼び出しとかくらうのかなぁ…)


若干鬱になりながらも、放課後までを何とか乗り切った。
あとは帰るだけ!
…と思ったがそうはいかず、案の定呼び出された。
体育館裏という何とも古典的な場所に。
人数は5、6人?
多いなぁ…。


「で、聞いてんの?あんたに言ってんだけど」
「聞いてるよ、てかこれだけ近かったら厭でも聞こえるって」
「っそ、じゃああたしたちが言いたいことも分かるでしょ?」
「…なんとなく?」
「じゃあ、もう千昭を返してよ!」
「返してって…」


寧ろ返却したいのは山々なのだが。


「いや、私もそうしたいんだけどね?こっちにもこっちの都合があるっていうか」
「へぇ、どんな都合なの?言ってみてよ」
「や。私が勝手な行動とると、あいつ怒るし…」
「あいつ?千昭君をあいつ呼ばわり!?最低っ!」
「え…」


そこ?
やっぱり熱狂的なファンの考えることは理解出来ない。






37: 名前:浅葱☆08/02(月) 19:29:09

「もう、いい加減別れるって言いなさいよ!」


リーダーだろうか?
一番前に居た女の子が手を大きく上げた。


叩かれる…っ
そう思って強く目を瞑ったが、不思議と痛みは無かった。
恐る恐る目を開く。
見ると、何処から現れたのか男がリーダーの子の手を掴んでいたのだった。
顔が後ろ姿で見えない。


「全く、女のコって怖いよねー。簡単に手上げられるんだから」


この声、津田…?


「ち、千昭君…っ」


後ろの何名かが動揺した。


「千昭…なんで?」


私に手を上げようとしたリーダーの女の子が口を開いた。


「この前まで普通に相手してくれたじゃん。なのに、なんで?あたしはずっと千昭のこと好きだったよ?
なのに千昭はその子を選ぶの?そんな子の何処が良いって言うの?」
「敢えて言うなら、お前らと違うとこだよ」
「…っあたしと、その子と何処が違うって…っ!」
「うーん…全部?」


リーダーの子が泣きそうな顔を浮かべた。






38: 名前:浅葱☆08/02(月) 19:41:08

「何に対しても真面目で、素直で、優しい。お前らなんかと比べられねぇよ。
俺はこいつの全てが可愛いと思ったから告白したんだ」


思わず顔が赤くなる。


「じゃ、大事な彼女、返してもらうね。今言ったこと、他の奴らにも言っといて。絶対憂に手は出させないって」


私の手を引っ張って、走る。


津田が、私をそんな風に思ってた?
嘘でしょ?
だって選択教室で目が合うあの瞬間までお互いのことなんて何にも知らなかったんだから。


「…津田…っ」
「千昭」
「…ち、あき…あの、」
「嘘じゃねぇよ」
「え」
「さっき言ったこと。俺の彼女でいるうちは、手なんか出させねぇ。お前は俺が守ってやるから」


なんで私の言おうと思ったこと、分かったんだろう?


「お前の単純な脳なんかお見通しだっての」
「た、単純って………!」


反抗の言葉を述べようと思ったが、津田の唇によって阻止されてしまった。
唇が離れる。


「帰るか。約束したしな」
「……うん」


教室から鞄を取って、津田に家まで送ってもらった。
その間、手は繋いだままで、やはり恥ずかしさには未だ慣れなかった。


その夜、両親からも質問攻めにあったわけだが、シカトしておいた。






39: 名前:浅葱☆08/03(火) 09:40:59

翌日から、女の子たちの呼び出しは無くなった。
睨まれるのは相変わらずだが。


昼休み、一緒にご飯を食べることにも大分慣れてきた。
その証拠に津田との会話も増えた。
その所為で朋榎とご飯を食べることがめっきり減ったわけだが、朋榎は、


「あーいいよいいよ。なんか憂、最近楽しそうだし。あたしのことは気にしなくていいって」


と言ってくれた。
正直、“楽しそう”だと言われて吃驚した。
確かに、津田の彼女になってから毎日が楽しい…ような気がする。
“彼女のフリ”だけど、津田は優しく接してくれる。
まぁたまに不意打ちでキスされたりもするが。


―――ただ、最近なんとなく気になってることがある。


たまに見る夢。
凄く厭な夢であることは確かで、起きた時には汗をかいてるくらい。
例えば幽霊が出てくる怖い夢なのかとか、そんなのも分からないくらいその夢の記憶がないのだ。
その夢が何を指すのか、私はどれだけ考えても理解出来なかった。


そのことは朋榎にも、津田にも、両親にも打ち明けられなかった。


まぁ、夢なんて忘れちゃうもんだし、…考えすぎ、だよね…?


「憂?」
「へっ!?」
「今の話聞いてた?ボーっとしてたけど」






40: 名前:浅葱☆08/03(火) 10:03:17

昼休み。
いつも通り津田と選択教室でご飯を食べていた。
いつの間にか此処は私たちが2人きりで会う場所になっていた。
そのときの私は考え事をしていて、津田の話を全くと言っていいほど聞いていなかった。


「え?えーっと…えっと…」
「…聞いてなかったんだ」
「…あはは…」
「そんな子にはお仕置きしちゃおうかな」


そう言うと津田が壁に凭れかかっていた私の方へ迫って来た。


「え、え?ちょ、津田」
「だから、千昭だって。何回言えば分かるの?」
「だって…ん、」


深いキス。
津田の舌によって口内を侵されると、何も考えられなくなる。
だから私は、津田が制服のボタンを外していたことに気付けなかった。


「ふ…ぅ、つ、だ…っ」


ドンドンと胸板を押すと漸く唇を離してくれた。


「エロいね、その顔に、その格好。そそる」


格好…?
ふと下を見てみると、案の定、制服のボタンが全て外されていて、下着が丸見えだった。


「えっ、ちょ…と、津田!?」






41: 名前:浅葱☆08/03(火) 10:46:18

反抗しようと思ったが叶わず、下着のホックを外され、それと同時に床に押し倒された。


「待って、津田…っ」
「や。無理」
「津田…っ…!」


いつかみたいに津田が私の胸の突起を舐める。
身体がビクン、と反応した。


もう片方の胸を手で包み込む。


「ちょ、私、胸ちっちゃいから…っ!」
「んなことないって」
「っ…あるって…!」


突然胸の突起を甘噛みした。


「んぁっ」


口を反射的に手で塞ぐ。
でもそんなことをしても到底意味は無く、私の口からは吐息とともに抑えきれない声たちが出てしまっていた。


すると津田が思い立ったかのように私の太股を触った。
徐々に付け根の部分にまで伸びていく。


「やだ、津田…っ津田!」




43: 名前:浅葱☆08/03(火) 11:00:10

そんな抵抗も無駄で、津田の指が下着越しに秘部に触れた。
クス、と笑って言う。


「…濡れてるよ?」


自分でもはっきり分かるほど顔が赤くなった。


「や、だ…っぁ!」


下着の隙間から指を滑り込ませ、直接秘部に触れる。
未だかつて誰にも触らせたことのないところを津田が触っているということに羞恥心を覚え、顔を隠す。


「顔隠すなって」


そう言うと、膣に指を1本入れた。


「っ、や…!駄目っ…」
「だから顔隠すなっての」


両手を津田に掴まれ、頭の上で一つに固定されてしまった。
津田はというと、私の秘部に手をやり、上から私を見下してる状態。
……屈辱的。


「あ、今屈辱的とか思ったでしょ」
「え、…ぁあっ!」


指を2本に増やされ、ナカを激しく掻き回される。


「…津、田っ…やっぁ」


津田の指によって何も考えられなくなる。






44: 名前:浅葱☆08/03(火) 11:12:12

「…っあ…!!」


私が一際大きな声を上げた瞬間、津田が微笑んだ。


「…ココ?」
「う、…んん!っぁ、」


否定も肯定も出来なかった。
ただ止めて、ということを首を左右に振って伝えようと試みる。
でもそんなことは無意味で、津田の指は一層速くなるだけだった。
私の敏感な箇所を執拗に攻めてくる。


「あ、津田っ!あっ、あっ…」
「…イきそう?」
「ん、ぁ…っ」
「ねぇ、イきそう?」
「あっ!分か、な…っ」


私が言葉にならない言葉を発すると、津田は少し驚いた顔をして、次には再び微笑んだ。
……今までよりも指を抜き挿しするスピードを速くして。
それと同時に何か大きな波に攫われそうになる感覚。


「…津、田!…や、ぁ…っあぁあっ!!」


大きく体が仰け反った。
その瞬間、頭が真っ白になり、物凄い眠気に襲われた。


「それがイクっていうの。覚えといてね」


津田の言葉に返答する力もなく、私はそのまま意識を手放した。






45: 名前:浅葱☆08/03(火) 11:30:26

次に目覚めたとき、私は保健室のベッドに上にいた。
窓の外を見ると、もう放課後らしく、生徒たちが楽しそうに帰っていた。


「あの、先生」
「あら、起きたの?」


落ち着いた雰囲気を醸し出す保健医。
いつ見ても優しそうだ。


「貴方、疲労で倒れたのよ?」


疲労。
まぁ、ある意味疲労といえば疲労だが。


「そうそう、貴方を此処まで連れて来てくれた男の子から伝言よ」
「え」
「“教室で待ってる”って言ってたわよ」


彼氏?と聞いてきた保健医に曖昧な返事しか出来なかった。
保健室を出て、津田が待つ教室へ向かう。


教室に着くと、そこには誰も居なかった。
待ってる、と言った筈の津田さえも。


「…帰っちゃったか」


少し肩を落として、自分も帰り支度を始めた。
って、なんで私落ち込んでるの?
芽生えた自分の気持ちを深く考えず、鞄を持ち上げた瞬間、


「帰っちゃうの?」


津田の声。
辺りを見回してみても津田の姿は見当たらない。


「何処?」
「此処」


直ぐ後ろで津田の声が聞こえた。
振り向こうとしたら、津田に抱きしめられた。






46: 名前:浅葱☆08/03(火) 11:47:56

「え、ちょ、津田」
「だから千昭って呼べよ」
「…千昭」
「それで良い」


私の首元に顔を埋めた。


「…どうかしたの?」
「や?別に」
「てかずっと教室に居たの?入って来たとき誰も居ないと思ったんだけど」
「…内緒」
「何それ」


思わず顔が緩む。


「…帰、んっ」


帰る?と聞こうとしたら、顎を掴まれて強引にキスされた。
後ろから腰を支えられている所為で逃げられない。


「はぁ、津田…っ」


唇が離れたかと思えば、また繋がる。
そろそろ限界が近い。


「んんっ…」


膝から崩れそうになるのを津田に支えられた。


「…いき、なり、どうしたの…?」
「…や。帰ろうぜ」
「?…うん…」


帰り道、手は繋いでいたけど、津田は何も喋らなかった。
やっぱり様子が変だと思ったが、聞いてもきっと何も言わないだろーなと思い、何も訊かなかった。






47: 名前:浅葱☆08/03(火) 21:49:42

朝、私を迎えに来てくれた津田は、今までどおりの津田だった。
良かった。
そう思い学校へ向かう。


津田とはクラスが違うので、玄関に着くと、一瞬別れる。
いつも通り下駄箱を開けて内履きを取る。
そう、いつもと何も変わらない筈だった。


「…何、これ…」


―――そこで私が見たものは衝撃的だった。
昨日の選択教室での私たちの行為が写真に収められていて、それが私の下駄箱に貼らされていたのだ。


「憂?」


津田の言葉に我に返った。
急いで内履きを取り、下駄箱を閉める。


――これは、津田に見られてはいけない――


瞬時にそう理解した。
私の本能が、そう感じた。


「行こう、津田」
「……だから、千昭だって」
「あ、はは、ごめん。千昭」


何故か、津田の顔が見れなくて、俯きがちに苦笑い。
気付かれてませんように。
そう、祈ることしか出来なかった。






48: 名前:浅葱☆08/03(火) 22:04:28

授業中、ずっと考えていた。
あれは、津田の熱狂的なファンの仕業…?
だとしたら、これは警告?
まだまだこんなもんじゃない、って声が聞こえるような気がした。


急に、不安になった。
コワイ。
身体が震える。
涙が出そうになる。
…津田…。


「…憂?」


はっと名前を呼ばれて顔を上げる。


「あ……朋榎…」
「どうかしたの?ずっと俯いてなかった?」
「そ、そんなことないよ?」
「…ふぅん。次、移動だよ。行こ」
「うんっ」


なるべく明るい声を出した。
朋榎を巻き込んじゃいけない。






49: 名前:浅葱☆08/04(水) 09:42:05

昼休み。
津田の待つ選択教室へ向かおうと思ったが、出来なかった。
熱狂的なファンたちに捕まった所為だ。
何を言われるんだろうと思ってついて言ったら、閉じ込められた。
体育館の用具入れの倉庫に。
迷惑なことに倉庫は外側にだけ鍵を掛けるところがあったが、内側にはそれが無かった。
予期していなかったことに若干パニックに陥った。


今の体育は何処もプールの授業の筈。
用具入れなど誰も使わない。
つまり、誰も来ない。
まして夏の蒸し暑い時期にこんなところに長時間居れば………。
想像しただけで具合が悪くなりそうだ。


…津田。
津田に連絡して…!
って私携帯持ってきてないっ


どうしよう――――………。


闇雲に扉を叩いてみるも、体育館の用具入れは無駄に頑丈に出来ていた。


「も、これ作った人誰よ…」


叫んでみても、ドンドンと叩いてみても、たまに蹴り飛ばしてみても扉はびくともしなかった。
消耗していく体力。


(クラクラしてきた…)


津田、助けて…たすけて…――――


意識が朦朧として来た。
額に汗が滲む。
数分後に私はその場に倒れ込み、意識を失った。




52: 名前:浅葱☆08/09(月) 21:27:24

警察?救急車?
兎に角無数のサイレンの音が鳴り響く。
大勢の人間の群れ。
特に人が集まっている場所の中心に、幼い少女。
無我夢中で泣き叫ぶ―――私……?


『…ん、く…!』


「やだ、いやぁ……っ!!」


「憂!?」


はっと目を開く。
汗がべたべたして気持ち悪い。
此処は―――保健室?


「憂、起きた?大丈夫か?」


「…つ、だ」


「どうした、うなされてたぞ?」


運動をしたわけでもないのに私は肩で息をしていた。
そう言えばあの夢を見ていたような気がする。


急に怖くなった。
色んな事に。
私は何か、何か大事なことを忘れているんじゃ……。


それにどうして保健室に居るの?
体育館倉庫に閉じ込められていた筈なのに。


「…お前、昼休みなかなか来ないから、またどっかで呼び出されてるんじゃねぇかって、捜した」


私の気持ちを感じ取ったのか、津田が説明し始めた。


「そしたら階段脇で女どもがひそひそ話してたから、問い詰めたらお前のこと吐いて」


そうだったんだ……。


「急いで用具入れのとこに行ったら、お前倒れてて…もう、目開けないんじゃないかって…焦った」



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最終更新:2011年07月03日 14:48
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