leave 続き3

63: 名前:浅葱☆08/17(火) 17:59:07

押し倒されて唇を重ねる。
激しいキスが私の頭をボーっとさせた。


「…ん、津田…」


キスの所為で制服及び下着を脱がされていることに全くと言っていいほど気が付かなかった。
ちゅっという音を立てて唇が離れる。


「っちょ、津田!知りたいってこういうことじゃな…ぁっ」
「知りたいんでしょ?俺のこと」


私の胸の突起を舐めながら言う。


「俺も知りたいし、憂のこと。いろいろさ」


津田の手がゆっくり下の方へ伸びる。
きっともう制止の声など聞かないだろう。


下着越しに秘部を捉える。
下着を脱がせ、秘部に直接触れた。
微かに触っただけなのに十分に濡れてしまっているため、くちゅ、という水音が響いた。


「此処、凄いよ?」
「…っ言わ、ないでっあ!」


津田の細い指が膣に入る。
弄るように私の敏感な箇所を探していた。


「んぁ、あ…っ!あっ!」
「…気持ち良い?」
「や、ぁっ、あっ…」


次々と襲ってくる快感の波に耐えることしか出来ず、津田の問いかけに答えられなかった。


「…もっとイイのしてやるよ」


そう言って指を引き抜き、私の腰を少し持ち上げた。


「え…な、何す…」


何をするのか訊こうとした瞬間、変な感覚に襲われた。
思わず津田の方を見ると、津田が私の股の間に顔を埋めていた。
つまり今、私の秘部は津田に舐められているということだ。


「っぁ!つ、だ…!駄目、そんなの、あぁ…っ…」


秘部の突起を舌で攻められる。
羞恥でしんでしまいそうだ。
それなのに、舌での愛撫が気持ち良すぎて、頭がおかしくなりそうだった。


「ん、ん…っぁ」


すると、膣内に津田の指が再び侵入してきた。
舌での突起への愛撫は未だ続いていた。
指を掻き回される。
もう限界だ、と思った。


「あぁ…っあ!だ、め…っも、あ…っ駄目…!!」


私の言葉を聞いた瞬間、指と舌の愛撫が止まった。


「…え、ど、して…」
「“どうして”?…イきたいの?」


そんなこと、言えるわけない。


私が何も言わないで言うと、指がまた動き始めた。
ゆっくり、焦らすように。
また、絶頂に達しそうになるのを、津田に止められた。
微かに涙を浮かべ、津田を見つめる。


「…んな目で見んなよ…」


そう言うと、指と舌の愛撫が再開された。
散々焦らされた所為か、私は直ぐに絶頂を迎えた。


「気持ち良かった?」


恥ずかしくて、顔を隠す。


「こっち見ろって」


手を退けられて、津田と目が合った。


「…可愛い」


額にキスされた。
此処で昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。


「次は最後までさせてね」


それだけ言って、選択教室を出て行った。


ドキドキする。
…津田に?
私…津田のこと…


「好き、なのかな…」


独り言に恥ずかしくなり、私もそそくさと選択教室を後にした。






64: 名前:浅葱☆08/17(火) 18:12:12

「あれ、憂ちゃん?」


玄関で津田を待っていたら文弥君に話し掛けられた。


「何やってんの、こんなとこで。千昭は?」
「委員会?だって言ってた」
「あーそう言えばあいつんなこと言ってたなぁ。でもたぶん長引くと思うよ」
「なんで分かるの?」
「勘」


勘かよ。
思わず口に出してしまいそうになる言葉を呑み込んだ。


「あ、じゃあ憂ちゃん俺とデートしない?」
「はっ?」
「これから彼女と会うんだ。紹介してあげる」


なんだ、この人にも彼女居たんだ。
でも、


「私に紹介してどうするんですか。彼女さん妬きもち妬きますよ?それにその間に津田がくるかもしれないし…」
「大丈夫大丈夫。俺、彼女大好きだから。津田もまだまだ来ないって。ねっ行こ」


強引に手を引かれ、歩き出す。
力が強くて解けない。


「ちょ、っと。文弥君っ放して…!」


どれだけ抵抗しても、文弥君が手を放すことは無かった。


人通りの多い場所に出る。
こういう所に来ても迷うだけなので私はあまり来ない、無縁の場所だった。
辺りは学生の波だ。


「フミヤっ!」






65: 名前:浅葱☆08/17(火) 18:26:36

割と近くで聞こえた、可愛らしい女の子の声。


「お、優奈。良く見つけたな」
「フミヤのことは何処に居たって分かるよ、優奈だもん」
「はは、そうだな」


私を置いて笑い合う2人。
もしかして、この子が……。


「あ、憂ちゃん。こいつ、俺の彼女の大石優奈」


真っ直ぐに私を見る大きくぱっちりした目、緩く巻いた髪、少し化粧を施した整った顔、小柄な背。
抜群に可愛い。
それが優奈ちゃんの第一印象だった。


「優奈、こっちは三島憂って言って、千昭の彼女」
「チアキの…?」


急に津田の名前が出てきて吃驚した。
この子も津田の知り合いなのか。
じゃあ中学からの関係ということか。


「初めまして、ウイちゃん」
「あ…初めまして。優奈ちゃんって呼んでいい?」
「全然良いよ」


一通り自己紹介を終え、文弥君が「じゃあ何か食いにでも行くか?」と提案したので、賛同した。
津田のことが少し気になったが、…大丈夫、だよね?






66: 名前:浅葱☆08/17(火) 18:34:52

見知らぬカフェに到着して、3人で盛り上がっていた。
途中、文弥君が「ちょっと」と言って席を立ち、私と優奈ちゃんの2人だけになった。


「…ねぇ、ウイちゃん」
「ん?」
「チアキ…元気?」
「うん、元気だよ」


なんで唐突にそんなことを訊くのだろう。
文弥君とそういう話はしないのだろうか?


「その様子じゃ、知らないんだね」
「…え?何を…」


「優奈、チアキと付き合ってたの。中学の時」


一瞬、時間が止まったような気がした。
そんな私を気にも留めずに優奈ちゃんが続ける。


「フミヤから聞いてない?チアキの元カノの話」
「聞いた、けど…」
「あれ、優奈」


え……?
ちょっと待って思考が、追いつかない。
じゃあ、じゃあ津田が女の子を信じられなくなった原因の元カノが、優奈ちゃん?
こんなに可愛い子が?


私が何も言えないでいると文弥君が戻ってきた。


「あ、もう千昭委員会終わるんじゃねぇか?帰ろっか、憂ちゃん」
「あ…うん」
「優奈、俺が戻ってくるまで待ってて」
「うん。じゃあね、ウイちゃん。またお話ししようねー」


ひらひらと手を振る優奈ちゃんをカフェに残し、学校へ向かった。


「どうだった?俺の彼女」


可愛い、と言って欲しそうな文弥君の顔。
まるでそう言われるのが当たり前かのようだ。


「憂ちゃん?」


何も言わない私を心配し、立ち止まる。






67: 名前:浅葱☆08/17(火) 18:50:20

「…んで?」
「ん?」


聞き取れなかったのだろう、笑顔で聞き返して来た。


「なんで、付き合ってるの?」
「なんでって、優奈のこと好きだし」
「そうじゃない、なんで津田の元カノと付き合ってるの?」


私の言葉に少し目を見開いた。
予想外だったのだろう。
どうしてそれを知っているんだと言わんばかりの顔だった。


「優奈ちゃんから、聞いた。ねぇ、どうして?津田は知ってるの?
津田を女性不信にまで追い込んだ元カノと、自分の友達が付き合ってるって」
「知らねぇよ」


その言葉に、私は唖然とした。
それじゃあ、


「津田を、騙してるのと同じじゃない!」


文弥君は何も言わなかった。


「教えて。優奈ちゃんは何者なの?中学の時、あの2人に何があったの?どうして付き合ってるの?」


頭の中に次々と浮かぶ疑問を投げかける。


「文…「俺には、どうすることも出来ない。優奈を愛してるけど…あっちは、どうなんだろうな」


寂しそうな表情。


「優奈は、千昭と付き合ってるときは、素直な、優しい奴だった。似てるから、惹かれたんだ、あいつらは」


あいつら、とは津田と優奈ちゃんのことだろう。
似ている。
その言葉に、私はピンと来なかった。


「あいつらのことは、俺が言うもんじゃないだろ。聞きたきゃ千昭から聞け」


文弥君が「行くぞ」と歩くのを促した。
この話はもう此処で終わりらしい。


津田と優奈ちゃんの過去。
―――知りたい。






68: 名前:浅葱☆08/21(土) 13:22:13

その後、文弥君は何も喋らなかった。
学校に着くと、文弥君は優奈ちゃんの待つカフェまで走って行ってしまった。
此処で、物凄く良いタイミングで津田が来た。
どうやら今委員会が終わったらしい。


「ごめん、遅くなった」


いいよ、と言って津田を見る。
今、此処で聞かなければ。
今、知らなければいけない。
私は、私は嘘でも、津田の彼女だから―――


「憂?」
「津田、私会ったよ」
「誰に?」
「……優奈ちゃん」


その名前を聞いた瞬間の津田の強張った顔。
思い出したくない、過去。
残酷だ、私。


「な…んで憂が、あいつを…」
「ねぇ、津田。私知りたい。津田のこと。知りたいの」


津田の目を真っ直ぐに見て、言う。


「教えて、欲しい」


津田が少し溜息を吐いて言った。


「どっか行く?此処じゃ不味いだろ」
「あ…そっか、」
「…俺ん家来る?」


何故か、胸がどき、と高鳴った。
頷く。


「じゃあ、行くぞ」


私の手を引き、歩き出した。






69: 名前:浅葱☆08/21(土) 13:34:50

初めて来た津田の家は、大きかった。
でもあまり人が住んでいるという生活感が無く、ただ殺風景な部屋でしかなかった。
津田の部屋に案内され、「適当に座ってて」と言われ1人、部屋に取り残された。


津田の部屋。
男の子の部屋ってこんな感じなんだ…。
ドキドキしながら床に座った。
連れて来てくれたってことは、話してくれるってことだよね。


すると、急に部屋の扉が開き、津田が入って来た。
私の目の前に座り、持ってきたお茶を飲む。


「お前も飲めよ」
「あ、うん」


…話してくれる…よね?
心配しながら渡されたお茶に口を付けた。


「…で、何を訊きたいの?」
「…津田のこと」
「範囲広すぎだろ、馬鹿」
「…中学生の頃のこと」


一呼吸置いて、津田がゆっくり話し始めた。


「…俺と、文弥と、…優奈は仲の良い友達だった」


私は津田を見つめていたが、津田は自分の掌の中のコップばかり見ていた。
“だった”―――津田の中ではもう過去の話なんだ…。


「楽しかった。皆で騒いでると厭なことも忘れられたし、俺はただ必然的に3人でずっと一緒に居られると思ってた」
「うん」
「でもある日突然優奈に告白されたんだ。…俺が。友達、って言ってもやっぱりそこに下心はあった。
俺は優奈が好きだったし、多分、文弥も好きだったと思う。優奈はどうだったか知らなかったから正直、嬉しかった」
「…付き合ったんでしょ?」






70: 名前:浅葱☆08/21(土) 13:48:38 HOS

津田は何も言わずに首を縦に振った。


「文弥は、祝福してくれた。やっぱりなって。お似合いだもんなって。…でも、結局俺たちは別れた」
「どうして…?」


津田が、自嘲気味に言う。


「優奈は俺だけじゃなかったんだ」
「え……」
「文弥とも付き合ってたんだよ、あいつ」


優奈ちゃんの呼び名があいつに変わった。


「それに文弥だけでもなかった。他の、自分に寄ってくる男たちは全員OKしてたんだ。
…まぁ、後から知ったことなんだけどな」
「文弥君は、それ…」
「さぁな。俺が知ってるってことも知らねぇかもな。それでもあいつらは別れなかった。今はもうどうだか知らねぇけど」


今でも文弥君と優奈ちゃんは付き合ってるよ。
そんなこと、津田に言えるわけない。


「まぁ、あいつは別の高校に行ったから、もう別れたんだろうな」


『俺には、どうすることも出来ない。優奈を愛してるけど…あっちは、どうなんだろうな』
文弥君の寂しそうな顔。
…そういうことだったんだ…。


「お前が知りたいことは知れたか?」
「うん…あ、でも」
「未だなんかあんの?」
「そ、それだけで女性不信になったの?」


それだけで、なんてちょっと酷い言い方だったかな、と思ったけど、津田は特に気に留めない感じだった。


「あー…あれは…」


津田が口を濁す。


「…あいつに、求められたんだ。カラダの相性は俺が一番イイって言って。たまに媚薬を盛られる日もあった」
「そ、それで…?」
「結局、ヤった。俺はあいつに求められるたびに何度も何度も。
いつの間にか、女なんてこんなもんなんだって、気付いた。快感のために元彼とヤるんだぜ?惨めな女」


私が何も言えなくなっても、津田は続けた。


「それから、もう女なんて信じねぇって決めた。求められたらヤる。でも本命なんか作らねぇ。愛なん「もう、いい!」






71: 名前:浅葱☆08/21(土) 14:05:21

津田の言葉を遮る。
居た堪れなくなったからだ。


津田を抱きしめる。


「…もう良い。もう言わなくていいよ…」
「何、泣いてんだよ馬鹿」


涙が自然と溢れた。
目に見えなくても分かる。
津田は、傷付いている。


「わ、私も、女だから津田に何言っても伝わらないかもだけど、」


私は言わなければいけない。
津田が必要なのだと。
津田を信じていると。


「私、津田のことなんか何にも知らなくて、今だって知り合ったばっかだし、第一印象は最悪だったけど…」
「ひでぇな」


「好きだよ」


一層強く抱きしめる。


「私はちゃんと津田のこと好きだから…っ!」


「…知ってるっつーの、バーカ」
「へ?」


間抜けな声が出てしまった。
だって、知ってるって…。


「お前の考えてることなんか分かるっつってんだろ?」


津田が私を見つめる。


「俺もお前のこと好きだよ」



―――その言葉を聞いた瞬間、急に頭痛がした。
フラッシュバック。
重なる。
ふっと頭に浮かんだ、幼い少年に。






72: 名前:浅葱☆08/21(土) 14:12:29

「…っ!」


頭に手をやり、顔を顰める。
痛い。
頭痛、なんてもんじゃない。
頭が割れるみたいに、痛い。痛い。


「憂?どうした、憂…!?」


津田が私の名を呼ぶ。
呼ばないで、そんな風に呼ばないで…。


『憂ちゃん』


急に聞こえた幼い男の子の声。


『憂ちゃん。僕ね、憂ちゃんのこと大好きだよ』


「あ…あ…」


首を横に振る。
やめて。
厭。
私は、私は思い出したくない……!!


「いやぁ――――っ!!!」


絶叫。
部屋に響く、私の声。


「憂!?憂!!」


津田に寄り掛かるように倒れ、私は意識を失った。






73: 名前:浅葱☆08/22(日) 22:06:40

『憂ちゃん、見て』


少し高い声の男の子に名前を呼ばれ、振り向いた。
私の頭に一輪の花。


『やっぱり、憂ちゃんはお花が似合うね』


何の恥じらいも持たなかった、あの頃。
私はこの男の子が好きだった。
幼い子供なんてそんなものだが、私にとってこの男の子が全てだった。
一緒に居るだけで、楽しかった。


『あ、もうこんな時間だね。帰ろっか、憂ちゃん』


寂しそうな顔をして、こっちを見る。
寂しさを紛らわすため、男の子の手を引き、歩き出す。
前を歩くのは、いつも私だった。


公園を出ると、そこは車道で、信号のない横断歩道を進まなければ家には帰れない。
此処を通るたびに怯える男の子を安心させ、歩き出す。
ちゃんと確かめた筈だった。
事故など、予想もしなかった。
死角に車が来るまでは。


住宅街に響く、ブレーキの音。


『憂ちゃん!!!』


私の名を呼ぶ、怯えた少年。
車を避けるなんて、幼い私に出来ただろうか?
案の定聞こえた、ドンという、何かが爆発したのかと錯覚するほどの大きな音。
私は投げ出された。
小さな手によって 。
痛みで動かない身体を必死に起こす。
目の前に、さっきまで笑い合っていた男の子が倒れていた。
名前を呼んでも返事が無い。
引き摺るように身体を動かし、少年の肩を揺すってみると、少年が小さな呻き声を上げうっすらと目を開けた。


『憂、ちゃん』


弱々しい、今にも消えてしまいそうな声。


『憂ちゃん…。僕ね、憂ちゃんの、こと、大好きだよ……』


それだけ言うと、微笑みながら、静かに目を閉じた。
身体を揺すりながら名前を呼ぶ。
必死で、何度も、何度も。
すると手にぬるぬるとした感触。
ふと、手を見てみると、私の手は赤い血で染まっていた。
一瞬にして、怖くなる。
名前を呼びながら、再び少年の身体を揺する。
が、反応は無い。
徐々に人が集まってくる。
それでも私はその動作を止めなかった。
でも、どれだけ名前を呼んでも、身体を揺すってみても、その少年が再び目覚めることは無かった。




76: 名前:浅葱☆08/23(月) 13:22:12

――――――思い、出した。


私、忘れたんだ。
悲しみが大きすぎて、自分が辛いから、忘れた。
あの男の子との思い出を。
あの夢は、思い出してっていうシグナルだったのかな?


うっすらと目を開く。
そこには、お母さんとお父さんが心配そうな顔をして私を見ていた。


「憂!? 憂……!」
「お母、さんお父さん……」
「倒れたって、大丈夫か!?」
「此処……」
「家よ。津田君が連れて来てくれたの」
「津田が……そっか……」


津田は? と聞き返すと


「さっきまで居たんだけどね、流石に何時までも居るのも失礼だから、って帰ったわ」
「憂、具合は?」
「あ……もう大丈夫だよ……」


2人が安堵の表情を見せた。
だけど私の顔は未だ強張ったままだ。


軽く深呼吸して、意を決する。


「お母さん、お父さん」
「ん?」
「どうした? 憂」


「私――」


息をのんで、2人を見つめる。
掌が、うっすら汗をかいていた。


「思い出したよ、全部」






77: 名前:浅葱☆08/23(月) 13:29:38

突発的な私の言葉に、2人が目を見開いた。


「お、もい出した……って……」


「蓮君、だよね。私が忘れた男の子」
「憂、どうして……」
「全部思い出したの。あの事故のこと、」


両親は驚いた顔で私を見る。


「ショックで、悲しくて、忘れたんだね、蓮君のこと。私、最低だな……」
「そんなことない!」


お母さんの大きな声。
思わず私が驚いてしまった。


「あれは、誰が見ても悲惨な光景だった。それを小さかった憂が受け止めきれるわけないでしょう?」
「だけど……」
「あれは、仕方のないことだったんだ……憂の所為じゃない」


両親の優しい言葉、嬉しかった。
でも、そういう言葉で片付けちゃいけない、そんな気がする。
私は向き合わなければいけない。



「此処だ……」


翌日、私はある一軒家の前に居た。


『杉野森』


そう書かれた表札の横にあるインターホンを押す。
――蓮君の家――
そのことに、私は緊張していた。


「はい、何方ですか?」



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最終更新:2011年07月10日 06:44
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