7日間の醜いゲーム。 続き

11: 名前:+椎名+☆01/29(土) 22:45:02
「…香菜?どうしたの?その傷……」


真波が香菜の手に目をやると香菜は慌てて隠した。


「凄いたくさん切り傷が……」


「うーん、血は出てないけどね…」

香菜の右手には沢山切り傷があった。
しかし全て切り傷の血は止まっていた。


「あの…大丈夫だよ。」


香菜は右手をさすりながら言った。


「…そうなの?」


「ねえ、それよりさ、どうしよう?
やることないし…も、もう一度寝ない?」


えっ?もう一度寝るの?



「香菜って二度寝することあるの?」


「う…で、でもなんか疲れてるし…」


香菜は慌てている。
それは香菜の表情ですぐわかった。


「なんか時間の使い方もったいないけど…いいか。」


私達はまた身を寄せ合って寝ようとした。
しかし香菜だけはどうも私達に近寄ってこず、
隅っこで寝転がった。


「香菜…?こっちきなよ。」


「あの…私今暑いの…」


暑い…?

ここはあまり温もりがなくてむしろ寒いはずなのに?


「お願い!考え事もあるの…1人で寝かせて?」



香菜が必死に言う姿を見て真波は頷いた。



間違いない…



香菜は何かを隠している。

15: 名前:+椎名+☆02/11(金) 23:32:21
__4日目__





私は結局眠ることができなかった。
寝ている間に…もし私が死んでいたら…?


そう思うと怖くて眠れない…


誰だって死は怖いはず。


…ズズズ……



…?

突然と鳴り響く不気味な音。


何かを啜っている音のようだ…



しばらくしても啜る音は止まらなかった。


幻聴かな?と考えたがやはりはっきりと耳に入ってくる。



私はむくっと起き上がるとあたりを見回した。


そこには後ろを向いて何かをしている香菜がいた。


「香菜?」


私が声をかけるとびくっとして振り返った。




「……!!」




香菜の腕にあった切り傷はさらにたくさん増えていた。











そして香菜の口には血がついていた。












そう、香菜は…自分の切り傷から滲みでた血を啜っていた。

16: 名前:+椎名+☆02/11(金) 23:41:27
「香菜!何してるの?止めて!」


私は大声で言うが香菜は自分の血を飲むことを止めない。


みんな…ここにきて変わってしまった……



ねえ、どうしてなの?





「血……」


香菜は小声で言いながら更にナイフで自分の腕を傷つける。



「ちょっと香菜!何してるの!?」



いつの間にか真波が起きていた。
多分さっきの大声で起きたのだろう。


真波は香菜の手を抑えた。




すると香菜は豪快に暴れる。



「香菜っ…」


私はただ変わり果てた友達を見ることしかできなかった。

いや…見ることすらつらかった。


「おはようございます。
あらあら。今日は騒がしいですね?」


いつもの調子で管理人が言う。


「香菜に…何したの!?」


私はただその怒りを管理人にぶつけた。




「おやおや、怖いですね。私は何もしていませんよ?
厄介な病気にかかってしまったようですね。」





厄介な…病気?
















「ふふ、香菜様は……

  ~吸血病~ にかかったみたいですね?」







吸血病…!?



22: 名前:+椎名+☆02/24(木) 22:57:04
「何それ…?」


実際吸血病なんて病名聞いたことがなかった。
いや、聞いたとしても信じない。


「吸血病とは…
血液を好んで飲む病…自分の体を傷つけても…
時にその中には目の前の相手を傷つけて血を飲むということもあります。」


そう、その言葉が意味すること…







それは香菜が私たちを襲ってくるかもしれないということ。



私たちにとってはショックなことだった。

「さあ、張り切って4日目いきましょうか。
もし襲われたくなければ手っ取り早く殺してしまうことですよ。」


「…!」


管理人が軽々しく言う。


真波はその言葉を聞いてキレた。




「ふざけないで!あんたなんかに惑わされない!」



いつもの真波とはどこか違う。

そう、怖すぎる……












「…フフ。あなた達、状況を見て言ったほうがいいですよ?」





不気味に微笑む管理人の言葉を聞いて後ろを向く。






「か……な?」






私の目の前にはナイフを握る香菜がいた。

25: 名前:+椎名+☆03/08(火) 16:55:37
「まさか……」



そう、管理人は他人の血も好むと言っていた。



「…あ………う……」



香菜は何かを言いたそうだったが、興奮しているのか言葉にならなかった。

ナイフを私の首に向けてゆっくり近づく。


それと同時に後ろへさがろうとしたが、足がすくんで動けない。


「……う…!」

そう一言が聞こえると私に向かって突進してきた。

反射的に目を瞑って手で隠す。





「…雪奈ーッ!」




ドスッ……


ポタ…ポタ……






部屋中に響き渡るナイフが突き刺さる音…



血が下にこぼれ落ちる音…






そして…部屋に倒れこむ1人の女の子…






しかし私はまったく痛みを感じなかった。



「か……」



真波が目を見開いて見ている。







私ではなくナイフを自分の胸に突き刺した香菜を…

27: 名前:+椎名+☆03/08(火) 17:31:15
私は倒れこんだ香菜を咄嗟に抱えた。



「あ……っゆ…きな……」



「香菜…なんでこんなことを…!」


私は香菜の胸に刺さっているナイフを抜こうとする。



しかし香菜はそれを拒む。
そして私を見て首を振りながら言う。





「…私が…い……たら…め…わく……かけ…る…
みん…なを……傷つけて…しまう…もん…」





香菜の声がどんどん弱くなっていく。
そして香菜は震えた手でナイフを握る。















「傷つけ…る…ぐらいな……ら…
 生か…した方…が…マシ……ッ…」





グチャ……




「うああぁぁ!」




香菜は握ったナイフを更に深く突き刺す。
そしてそれと音と共に血がドッと溢れてくる。





そして香菜が一気にナイフを抜くと辺りに血が飛び散る。



じめじめした床…
黒い壁…
そして…香菜の血は私の方にも飛び散る。





「はぁ…はぁ……ね…ゆき…な…
覚え…てる?……一年…の時……」



私達が中学1年の時…丁度二年前だ。



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最終更新:2012年08月11日 05:45
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