香菜は当時、いじめられていた。
それは小学校4年生から始まったという。
私とは学校が違ったため、あまり知らない。
しかしそのいじめは中学生になっても続いたという…
私はその時は見ていただけだったから…
そう…いじめられている香菜を遠くから……
31: 名前:+椎名+☆03/12(土) 18:51:50
~香菜side~
「おはよー」
「おはよー!香菜!」
私はどこにでもいるごく普通の小学生だった。
可愛い物が大好きで友達もたくさんいた。
私は…とても充実した毎日を送っていた。
でもある日…
「あれ…」
国語の時間、机の中に手を入れて探したが、どこにもなかった。
「香菜?」
「えっ…?」
その時に私に声をかけてきたのは親友だった阿部 岼華…
優しく私に声をかけてくれて、しかも教科書を貸してくれた。
「ありがとう…っ!岼華!
今日パフェおごるよ!」
「親友なんだからこのくらい当然!」
更に次の日には算数のノート、更に次の日には理科の教科書がなかった。
でも岼華はノートのかわりに紙をくれたり教科書を見せてくれたりしたの。
だから私はとても嬉しかった…
はずだった。
32: 名前:+椎名+☆03/12(土) 19:02:09
ある日、私は1人で登校した。
昨日の晩、岼華から一緒に行けないと電話がかかってきたからだ。
私はいつもより早く起きたため、いつもより早く登校していた。
普通に学校に着いて上靴に履き替えようとした。
「あれ?岼華来てる……」
クラスメイトはまだ誰もいなかったが、唯一2番の靴箱だけに靴が入っていた。
そう、岼華の靴箱……
私は急いで階段を駆け上がって自分の教室の前に来た。
すると後ろのドアが開いていた。
(やっぱり来てるんだ)
私は声を出そうとしたが、出せなかった。
なぜなら岼華が私の机で社会のノートをズタズタに切り刻んでいたからだ。
33: 名前:+椎名+☆03/12(土) 19:15:04
「岼華……?」
私がやっとのおもいで声を発するとはっとしてこっちに振り返る。
「何してるの…?」
「あっ…香菜ぁ…おはよう!」
岼華は私の質問に答えず、話をそらす。
「岼華っ!」
私が大声で言うと岼華は不気味な笑いを浮かべる。
「はー…もうバレちゃった…」
そう言い切ると手を止める。
そして相変わらず不気味な微笑みを浮かべたままだ。
「教えてあげよっか?今までの全部あたしがやってたんだー。
あんた金持ちで何かしたらおごってくれるじゃん?
だからいいトコ見せて絞れるだけ絞りとろうとしたの。」
カチカチと更にカッターの刃を出す。
親友の本性を知って動けない。
「何?あたしが怖いの?
まあ心配しないでよ。殺したりしないから。
犯罪を犯すのは嫌だし。」
そう言って私に少しずつ近づいてくる。
「ま、死ぬよりつらいこと味わわせてあげるから。」
そういうと私をバン!と突き飛ばした。
私は机の角に頭を強くぶつける。
「…ぃ……た…」
私はその衝撃で気を失った。
37: 名前:+椎名+☆03/14(月) 22:50:06
ふと気がつくと目の前には真っ白な天井…
そして見覚えのある教室……
(保健室…?)
私は起きあがってキョロキョロ見回すが、先生の姿がない。
私は靴を履いて保健室を出た。
特に打ったところは痛みが残っていなかったので、これなら大丈夫だろう。
「…!」
私はとあることを思いだす。
岼華…
そう、教室に行ったら岼華がいる。
本性を知ったのに、どんな顔をして会えばいいのか…
そして死よりつらいものとは…
そうこう悩んでいるうちに教室の前に来てしまった。
しかもやけに静かだ…
静かなほど入りづらくなる。
私は勢いでドアを開けた。
すると、みんな岼華の近くに集まっていた。
そして驚いたように私の方を見る。
もしかして…あれのおかげで岼華が……いじめられている?
そう思うと後には引けない。
いくら酷いことをしたとはいえ、クラスいじめはよくないと思ったからだ。
私は岼華に近づこうとした。
「…っ近づくな!」
岼華の近くにいた男子が言う。
そして確実に私目掛けて消しゴムがとんできた。
えっ?なんで……?
なんで…みんなそんな冷たい目で私を見るの…?
38: 名前:+椎名+☆03/14(月) 23:00:10
「…みんな……?」
小さな声でみんなに問いかける。
「こっちこないで!」
「どの面さげて来たんだよ!」
「あんた…最低!」
岼華のまわりにいた子が口々に言う。
その言葉が私に突き刺さる。
あれ…なんで?
なんでみんな岼華側にいるの…?
なんでみんな岼華の味方してるの…?
悪い事をしたのは私じゃない…岼華だよ?
「この人殺し!」
そしてとある女子が言う。
人殺し?何それ…
「何それ…っ。」
「とぼけんなよ!
お前が岼華を殺そうとしたんだろ!」
私はその言葉を聞いて唖然とした。
どういうこと?
私が岼華を…殺す?
「そんなことしてない…!」
「嘘つけ!この人殺し!」
男子が言うと皆手をパンパンと叩いて人殺しコールを始める。
そしてその中でさっきよりもさらに不気味に微笑む岼華がいた…。
39: 名前:+椎名+☆03/14(月) 23:10:35
私はその日以来、皆からいじめをうけるようになった。
上靴の中に水が入っていたり、ノートには人殺しと大きくかかれていた。
なんでこんなことになったの?
私は何もしてない…裁かれるとしたら岼華なのに…
利用されるだけされて捨てられた自分にとても腹がたった。
そしてとある日、トイレに入った岼華を見かけたから私もあとを追いかけた。
1対1で話し合うチャンスだった。
「岼華!」
「…っあれぇ?なーんだ人殺しチャン。」
一瞬私に驚いたが不気味に笑ってからかうように言う。
「どういうことなの…!?」
「え?…あーあれね。」
私がきっと睨んで問い詰めると目線をそらす。
「私さー、いいこと考えてたんだ。
あたしだけが得する方法。
あんたに濡れ衣着せさせるの。」
40: 名前:+椎名+☆03/14(月) 23:21:16
「そう…それはあの日の出来事…」
岼華が鏡の前で髪を整えて言う。
「あの後、あんたが気絶した後ね。自分の持ってたカッターで自分の腕ちょっと切ったの。」
そう言うと私に左腕を見せる。
岼華の腕には軽く包帯がまかれていた。
「んで、あんたの手にカッターを持たせてあんたがやったようにしたの。
そしたらみんなあたしの迫真の演技に騙されたんだ~。」
そう言い終わると手に持っていたくしをポケットにしまう。
「……ない…」
「…は?」
「…ふざけないで!
岼華のおかげで私は…!」
私はまた岼華を睨みつける。
そして不機嫌そうに眉間にシワをよせて言う。
「他人のことなんて知るわけないじゃん。」
そしてトイレの入り口にいた私をドン!と軽く押す。
そして通りすぎ際に言う。
「あんたにもう用はないよ?
あんた…とっとと死んじゃえば?」
また悪魔が微笑むように笑って教室に戻って行く。
41: 名前:+椎名+☆03/14(月) 23:29:26
…ねぇ、岼華。
私達親友だったはずだよね?
私…岼華のことが本当に大好きで仕方なかった…。
だから私…岼華の役にたちたくて色々頑張ったのに…
なんでそんな簡単に裏切れるの?
あなたはいつからそんな風になってしまったの?
あなたからして私は道具にしかすぎないの?
酷いよ…
信じてたのに……
信じてたのに…!
岼華なんて……そうだよ……
岼華なんて死ねばいいんだ…
私は目に貯めていた涙を我慢せずに全て流した。
声は殺して…
そしてその日、
私の中にあった何かが……
私の中にあった信頼と愛情がいつの間にか憎しみに変わっていった…
42: 名前:+椎名+☆03/23(水) 15:02:40
「かーなちゃんっ?」
教科書の問題を解いていた私に陽気な声で話しかける女子。
…うっさいな…
「遊ぼうよ?」
私の手をぐいっと引っ張り、教室から出そうとする。
いつもなら抵抗せず、黙ったまま。
しかし…無償に腹がたってきた。
「あ?」
冷たく言いかけ、睨みつける。
すると驚いた表情を見せる。
私は強く手を降りほどき、突き飛ばす。
教室にいたみんながこっちを見る。
「何?ちゃんとかキモっ。
それに汚らわしい手で触んなよ!」
私はその場にあった机を蹴り飛ばす。
途端にその女子が泣きだす。
へっ……何こいつ。弱っ…
調子のってるからそうなるんだよ。
私はこういう事を繰り返してストレスを相手につけかえしていた。
43: 名前:+椎名+☆03/23(水) 15:17:14
下校中…
私は重たいランドセルを気だるそうに背負い、家に向かう。
もちろん1人で帰っていた。
まわりの奴らは一緒にいるとうざくなるだけ……
「ちょっと。」
不意に後ろから声をかけられる。
この聞き覚えのある耳障りな声。
岼華…
「あんたさ、最近調子のりすぎ。
うざいんだよ!」
岼華はグーで私の頭を思いっきり殴る。
何回も何回も…
「っ!」
結構痛い。
私は岼華に対して初めて抵抗を見せた。
思いっきりお腹を蹴ってやった。
岼華は涙目でお腹を抑える。
なーんだ。いきがってるリーダーもこんなものなんだ。
「あんたの方が調子のってるよね?
人を利用して捨てて更に罪を押し付ける…
人間として最悪だよね。」
ふっと少し笑いながら言う。
しかし私はまだこれで終わったとは思ってない。
岼華と私の家は隣同士。
絶対何かしてくる。
「覚えてろよ…」
うるうるした瞳で睨みつけてくる。
全然怖くないし。
岼華はそう言い残すと走って家に帰っていく。
岼華になんか…負けてたまるか…
最終更新:2012年08月11日 05:48