46: 名前:+椎名+☆03/24(木) 12:34:17
次の日……
今日は土曜日なので休みだった。
私は珍しく早く起きてリビングの椅子に座る。
「香菜ーっ!新聞取って来てー。」
母さんが朝食の目玉焼きを焼きながら私に言う。
よいしょっと立ち上がり、玄関に向かう。
私はポストを開ける。
…っ!?
ポストからは落書きされ、散々になった新聞が出てきた。
「……」
私は切れ端を一枚広い、くしゃっと握りしめる。
私は散々の新聞紙を拾い、母さんにバレないように二階へ運んだ。
「香菜?新聞は?」
二階から降りてくる私に問いかける。
「ん?入ってなかったよ…」
「あら、今日は休み?」
「…う、うん!」
母さんはふぅんと言い、皿に目玉焼きをのせる。
「お母さん今から出かけてくるから留守番してて。」
母さんは急いで服を着替えに行った。
私はそれを見るといただきますと言って朝食を食べ始めた。
48: 名前:+椎名+☆03/24(木) 12:50:44
「じゃ、行ってくるわね。」
母さんはそう言い残し、出かけた。
私は朝食を一気に口へ放りこんだ。
「…くそ!」
母さんが行ったことを確認すると机を蹴る。
そう、さっきの新聞だ。
私は落書きされたのが許せないんじゃない…
家族にまで迷惑をかけたことが許せなかった。
あーいう奴は痛い目見ないとわからない…
また調子にのるだろう。
痛い目……
テレビで見た数々の光景が頭を駆け巡る。
殺人、誘拐………
今思うとテレビの見すぎだと思う。
私は二階に戻ろうとした。
しかし母さんの部屋の前で立ち止まる。
「…これなら……」
私が見つけた物…それは最も恐ろしい物…
ライターだった。
53: 名前:+椎名+☆03/25(金) 23:01:01
ライター……
これと紙などがあれば一気に人生をどん底に落とせる…
けど…やっぱり犯罪は駄目だよ…
私はその場にペタっと座りこんだ。
そして抑えていた感情が一気に溢れ出た。
…神様。
私はどうすればいいですか?
何をすればいいのですか?
床にぽたぽたと涙がこぼれる。
自分自身どうしていいかわからない…
私は答えが欲しかった。
私はそのまま二階で一日中眠りこんでいた。
そして次の日…
私はいいことを思いついた。
だから実際授業中だけど今とあるものを書いている。
紙に落書き?
違うよ。これはね…
[遺書] だよ。
54: 名前:+椎名+☆03/25(金) 23:11:52
はっきり言ってもう疲れたよ。
こんな連中に付き合わされて…
人生をめちゃくちゃにされて…
友達にも裏切られた。
吹っ切れた。
どうせなら死んだ方が楽かもしれない。
お母さん…お父さん…ごめんなさい。
私は遺書を書き終えると机の中に入れた。
[拝啓 みんなへ
わたしはもうつかれました。
いじめられて…人生がめちゃくちゃになって…苦しいです。
だれも助けてくれない…さみしいです。
そして…人につみをなすりつけた岼華には絶望しました。
岼華はうそつきです。
みんな…ごめんなさい。
わたしはもうたえられません。]
小学生が書いたと思えない文に、小学生がかいた文字と所々ひらがなになっている文。
まあ…これならもうやり残すことはないかな。
私は死んだらみんなをきっと恨み続ける。
…特に岼華。
次生まれ変わった時は覚悟してろよ…
…絶対呪い殺すし、許しもしない。
授業終了のチャイムが鳴り終えると、
私は屋上への階段をゆっくり登っていった。
56: 名前:+椎名+☆03/25(金) 23:25:25
階段を一段一段登っていく時間が長く感じた。
あれ?私…足が震えてる?
階段を登るのが遅くなってる?
駄目だよ…私はもう死ぬと決めたもん。
もう後戻りできないー……
ガチャっ…
ドアを開けると強い風が私に当たる。
気持ちいい…
私…とうとう死ぬんだ…
人間いつかは死ぬんだし、それが早まっただけだよね…
屋上には生徒が落ちない為の柵があったが、私はそれを飛び越える。
下に広がるのは運動場……
そして木々…
さようなら…みんな…この世界…
私はふわっと屋上から落ちていく…
62: 名前:+椎名+☆03/27(日) 01:35:12 HOST:khp059141140030.ppp-bb.dion.ne.jp
…う…ここは……
目を開けると目の前には白い天井…
そしてふかふかのベッド…
ここは…病院?
頭がズキズキする……
そうか…私、自殺しようとしたんだ…
「香菜!」
すぐ横でお母さんが涙を流して私の手を握りしめる。
私の中には罪悪感が残った。
「よかった…うっ…」
「母さん…私……生きてて…よかった…」
死ねなかったー……
お母さんには嘘をついたが、自分の中で真っ先にそう思う。
本当に生きてていいのかな?
「ごめんね…そんなに追い詰められてるって知らなくて…」
「えっ?」
全く何のことを言ってるのかわからない。
あっ…遺書残したんだ……
「本当に生きててよかった…
幸い木がクッションになって重傷は逃れたけど…目を覚まさないから…」
「…目を覚まさない?今日って何日?」
「25日。」
うわっ…私……丸2日寝てたのか…私。
「香菜、お友達が来てくれてるわよ。」
お友達?
私は嫌な予感がした。
「香菜っ!大丈夫!?」
「…岼華……」
63: 名前:+椎名+☆03/27(日) 01:48:43
「じゃあお母さん…邪魔しちゃ悪いから出ていくわね。」
そういうとお母さんは私と岼華を残して出ていった。
「香菜…大丈夫?」
何こいつ…
まったくキャラ違うし…
「何言ってんの?ほら、母さんいなくなったよ?
それとも罪を感じて助けるように言ってるの?」
知ってる。
こいつはこんな奴じゃない。
すると岼華は不気味にニヤニヤする。
「当たり前じゃん。てか罪なんか感じてないし。
あんたマジで死ねばよかったのに!」
ドン!と私のベッドを蹴る。
「学校早く来なよ?いじめてやるから。」
岼華はそう言って部屋を出ていく。
学校かぁ…
私自殺しようとしたんだし…行きづらい…
やっぱり………
私は知らなかった…
この後、思いもしなかったことが起こるなんて……
64: 名前:+椎名+☆03/27(日) 02:03:20
1ヶ月後、私は退院して学校に行くことになった。
まだ頭や足、腕など所々に包帯が巻いてるけど…
もう動いても大丈夫と言われた。
またバトルが始まるのか…
私は靴箱に手をかけた。
すると岼華の靴箱には上履きが入っていた。
私は遅れて来たから…休み?
ラッキー。
私は自分の教室に向かった。
そしてドアを開ける。
みんなが一斉にこっちを見る。
そして何やらひそひそ話し始める。
「…何?言いたいことがあるなら言えばいいのに。」
私は冷たい言葉を浴びせる。
当然じゃん。あいつの仲間は私の敵…
許せるはずがない。
「ねぇ…本当に岼華が悪いの?」
「えっ…」
とある女の子が口を開いて言う。
意外な言葉だった。
今までさんざん岼華の助けをしておいて…
「私は嘘は言わない。」
「わかった。私達…岼華に仕返しするよ!」
は?
仕返し?
「本当のことがわかってよかった。」
よくないし…
こんなにあっさり信じるなんてどうかしてる。
「罪の償いのつもり?
いっとくけど私は一切助けないから。」
私は自分の机に座る。
本当にいいの?嫌な予感がする……
最終更新:2012年08月11日 05:51