7日間の醜いゲーム。 続き5

83: 名前:+椎名+☆04/07(木) 07:50:52
門の前には先生が立っていた。
先生は大声で急げ急げと言っている。



私は全速力で学校に駆け込んだ。



「ぜぇ…ぜぇ……」


「おっ、凄いな渡辺!残り1分だったぞ!」



すごくはないと思うけど…



「かーなーー!」





すると校舎から私を呼ぶ声が聞こえた。
窓から手をふっていたのは…唯科だった。



私も笑いかけてピースサインする。






あぁ、こんな日々が続くと思ったのに…









私の人生はどうして…どこで狂ってしまったんだろう…

84: 名前:+椎名+☆04/07(木) 08:00:03
昼食の時間、(早いですが…)
私は唯科と2人机を並べて食べる。





うわ、今日の弁当ラッキー!



私の好きなポテトサラダ、唐揚げ、海老しゅうまいが入ってる!



お母さんにありがとう!と心の中で感謝しながら食べる。



まずはポテトサラダ。
うちのポテトサラダは甘味を入れるためにりんごを入れる。
私はそれがとても好きだ。


次に唐揚げ。
いつもより小さめな唐揚げだったが、塩胡椒でしか味つけしてなく、
カリカリしていて美味しい。


最後は海老しゅうまい。
これは一口で食べ終わる。



私はあっという間に弁当を食べ終わる。


「早!」



「今日は大好きなものばっか入ってたんだぁ!」


「ええ、こっちは大嫌いなもの毎日ひとつ入ってるから…」




唯科は箸で冷凍グラタンを指す。




へー…グラタン嫌いなんだ…
ていうか毎日とかうらやましい……



私はこの後、授業中唯科と手紙をまわしたりして楽しんだ。













しかしもうすでに私は不幸せだ。

85: 名前:+椎名+☆04/07(木) 08:12:40
家に帰るとお母さんが出迎えてくれる。


「ただいまー!」




「おかえりー。あっ、香菜!鳥かごあけっぱなしだったわよ?」



お母さんがサラリと言う。





あっ、寝る前にあけっぱなしで出て行ったんだ…



私の可愛がっている小鳥はピィちゃん。
とても可愛くて私の相棒だったり。




ていうか、あけっぱなしってことは…逃げてる!?



私は部屋に鞄を置いて隣の部屋に行く。
ピィちゃんを置いているのは隣の部屋だ。
私の部屋に置く場所がなかったからとりあえずここに置いておいた。



ドアを開けると開いた鳥かご。
しかし部屋には何もいない。






やば…逃げた……



私は慌てて外に出ようとする。
するとお母さんに呼び止められる。




「香菜、お母さん用事あるしついでに探しておくから洗い物しててくれる?」



こんな時にうちの母親は…!




私は渋々了解し、お母さんを見送る。


「お母さんってば…仕方ない!やりますか。」




私は台所に行き、洗い物をする。
家事は得意な方だからあっという間に終わった。
そして横にはピカピカの食器。





完璧!




私はごみをごみ袋に捨てようとした。






でも私は一瞬手を止めて固まった。






















中に多数のピィちゃんの羽と赤黒くて肉片の少しついた骨があったから…

91: 名前:+椎名+☆04/09(土) 22:03:57
1時間後、お母さんが帰ってくる。



「ただいまぁ…ピィちゃん見つからなかったわ…」




微妙に微笑んで私に言う。
その言葉を聞いて私はピィちゃんの羽を見せる。






「…これ、ごみ袋にあったんだけど…
母さんがやったの?」





お母さんは少し黙りこんでから言う。






「そうよ~!美味しかったでしょ?」





お母さんは買い物袋からたくさんの服を取り出しながら言う。






私はまったく意味がわからなかった。



まさか…




「か•ら•あ•げ•は。ねぇ?」



そう、私が食べた唐揚げ…
あれがピィちゃんだったのだ。






鏡の前でポーズしながら服を合わせるお母さん。
服をよく見ると襟のところに機械がついている。




「母さん…それ……」



「どう?似合う~?お店からひったくってきちゃった。」





高笑いしながら私に数々の服を見せる。









あぁ、どうしてしまったの…?





幸せになれたはずなのに…また狂ってしまった……

92: 名前:+椎名+☆04/09(土) 22:25:11
次の日、私は母さんのひったくってきた服をすべて袋にいれ、出かける。
そう、店に返しに行くところだ。



多分私が疑われる。




それでもいい。






母さんは…本当は苦しいと思うから……



何があったかはわからないけど…
きっといつか元に戻ってくれる…




私はそう信じていた。







店の名前は値札の裏に書いていたのですぐにわかった。







[ KOMOMO ]…



それは有名な洋服店でもあり、可愛い服がたくさんあった。





私が店に入るとセンサーが反応してブーブー!と警報が鳴る。




まあこうなるよね……




店員はすぐに入り口に来て辺りを見回す。





そういえば…外から入ってきたから……
盗む場合は中から外に出るはずだから……



逆じゃん。





私はあの…と店員に声をかける。



「君、どうしたの?犯人見たの?」

「はい。ですから店長と話させてください。





犯人なんて…知らない。
機械を鳴らしたのは多分私だけど…





店員は私を店の奥へと連れて行ってくれた。








……これで本当によかったん…だよね?

97: 名前:+椎名+☆04/12(火) 23:09:34
「で、私が店長ですが…」




店の奥の部屋には30代ぐらいのおじさんがいた。






「あの…ごめんなさい!これ、母が盗んだ物です!」



私はお母さんが盗んだ物を出す。
そして店長は品々を確認する。




「確かに…これは盗まれた服ですね。
ちなみにあなたのお母様の特徴は…」


「えっと…黒のロングで右目の下に黶が…」




店長はテレビ画面を見て確認する。
そこには防犯カメラのと思われる映像があった。

そこにはお母さんが服を詰めて店を出る姿がちゃんとうつっていた。




醜いかも……








「確かに…でもなんで君が?」

「母は…昔とは変わってしまったんです。
でも戻ってくれると信じてるから…私は…」




店長はやれやれという顔で言う。








「…今回は君が正直に返してくれたから警察には通報しないよ。
でもお母様にちゃんと注意しててください。」





私はまさか許してくれると思わなかったので一瞬固まってしまった。






「あ、ありがとうございます!」






よかった…


私はお辞儀をしてから店の外に出る。



でもお母さんはどうしてしまったのか…



















帰りながら考えていた私は…なんで別のことを考えなかったんだろう…
















…私の家の前にパトカーが止まってるのに…

98: 名前:+椎名+☆04/13(水) 16:02:33
「え……」



家の中から複数の警官が1人の女性を取り押さえてる。
それに対して女性は必死に抵抗し、暴れる。




「か、母さん!」




私が叫ぶと警官がこっちを見る。
そして1人の偉そうな警官が私に近づいてくる。





「渡辺間弧(お母さんの名前)の娘さんかな?」




私は警戒心を持ちつつも頷いた。







「君が盗んだ物を店に返してくれたそうだね。
店長さんも嬉しそうにしていたよ。」






えっ?






待って…











    嬉しそうにしていた?







「店長と…会ったんですか?」

「会ったというか通報してくれたのは彼だよ。」




そう言うと後ろにいた男性がこっちを見る。



あの店の店長……








「君のお母さんはね、暴行や窃盗で逮捕状もでているんだ。」







じゃあ私のやったことは…無意味?
母さんは結局…罪があったから……結果は同じだったの?









そんな…








「店長さん…約束してくれたじゃないですか…」



私が涙をこらえて言うと店長は大笑いする。
そして私を警官から離して小声で言う。







「犯罪者をほうってはおけないだろう?それに娘がきたんだ。
聞き出して警察に通報すれば株が上がって店の人気があがる。
たかが約束なんかで筋通るわけないだろ。


  約束は裏切るためにあるんだよ!」








店長はそういうと警官にニコッと笑いかけて駆け寄る。









約束は……裏切るために…







その言葉だけが深く突き刺さる。









ねぇ、










私はもう…何を信じたらいいの?

103: 名前:+椎名+☆04/29(金) 22:27:14
「おはよー。香菜!」




いつも通りに学校に行く。
でも…あんなことがあった後だ…


みんな何も知らない。




「…………うん。」


「暗っ!どうしたんだー香菜?」





何も知らないくせに…何言ってんの……





私は友達の唯科でさえ腹がたった。


その時だった。あの言葉を思いだしたのは。







    約束は裏切る為にある。









裏切り……












そうか…ははっ…そうだよね。









この世の中嘘しかないんだ。












どうせ唯科も同じなんでしょ…










「唯科、あんたの目的は何?」


「……え?」





「私と仲良くなって何すんの?
何かおごらせる?それとも盗ませる?
私と仲良くなっていらなくなったら捨てるんでしょ?」






そうだ…こんなこと前にもあったよね。






岼華と同じ……








「あんた何言ってんの!?あたしそんなこと考えてない!」


「嘘…どうせ世の中嘘ばかり…
だって約束とかは裏切るためにあるんだもんね。」






もう誰も信じられない。




私のまわりにいる友達、クラスメイト、隣人…



















   全員どうせ同じなんだから…



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最終更新:2012年08月11日 05:56
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