104: 名前:+椎名+☆05/04(水) 18:27:56
何日経っても母さんは帰ってこない…
そして家には私…ただ1人ぼっち……
学校のクラスメイトだって信じられないから…いつも1人……
どんな人だとしても信じられない…信じたくない…!
「…うあぁー!」
今日も家でただ1人、狂うように暴れる。
壊しても壊しても満たされない。
何かが…満たされない。
ねぇ…私には何が必要なの?
105: 名前:+椎名+☆05/04(水) 18:32:24
学校のみんなも不気味がって私に近づかない。
そう、学校でも居場所がない。
いつか裏切られるくらいなら友達なんて作らない方がマシ…
世の中の全てが偽り…
私はそう思っていた。
でもあの時からだ…
私に一筋の光が差し込んだのは……
106: 名前:+椎名+☆05/04(水) 18:41:03
「ねぇ。」
下を向いてノートをうつしていた私に誰かが声をかける。
声をかけられるのはすごく久しぶりでついびくっとなってしまう。
私は恐る恐る顔をあげる。
その人は…とても可愛い顔つきで笑顔が素敵な女の子だった。
私はその人を睨むように見る。
私が睨むと彼女は私に笑顔を見せた。
かわいい…
「…!」
思わず見とれてしまう。
「次移動だよ。一緒に行こう?」
「…は?」
騙されない。
騙されない!
「…!」
彼女は私に手を差し伸べてくる。
私は手を無意識に握ろうとした。
その瞬間はっとする。
だ…騙されない!
パシッ!
私は彼女の手を払いのけて教室を出て行く。
あんな子もきっとみんなと同じようなことしか考えてないのよ…
だって今までそうだったから…
107: 名前:+椎名+☆05/04(水) 18:52:05
…ふぅ……
屋上に寝そべる私。
ここはやっぱり落ち着く……
…それにしても今の女の子なんなの…?
「あっ…」
後々じっくり考えてみる。
あの女の子はクラスの中心的存在の…葉山雪奈?
いつも友達と楽しそうに話してて…
男女共に人気で…
先生からも信頼されてる……
それに比べて…
休み時間もいつも1人ぼっちで…
みんなに不気味がられてて…
先生にまでも不気味がられている…
私とはまったく真逆の人。
あんな人が私に接してくるなんて…
でもあの人の目には…
きっと自分より下の存在としか見えてない。
思い出すと腹がたってくる。
あーもう、いいや。寝よう…
108: 名前:+椎名+☆05/19(木) 03:10:19
「…ん!…」
誰かが私を呼んでる…
久しぶりに呼んでくれてる…
もっと名前を呼んでほしい。
もっと私の…私の居場所を作って欲しい!
「渡辺さん!」
「…!」
聞き覚えのある可愛い声で私は目覚める。
この声…
「授業中だよ?戻らないの?」
「あんた……」
葉山雪奈…
何でここにまで…
「…まぁたまにはさぼりもいいかもね。
よし!私もさぼろっと!」
…は?
私と一緒にさぼる?
「あんた授業出なさいよ。」
「お互い様にね。」
あぁ、なんだろう…
会話してるとすっごく楽しい。
久しぶりだ……こんな気持ちは。
この子なら信用できるかな?
…!
だ、駄目!
楽しいけど…この子を信用したいけど……
私なんかといたら…悪影響を……!
私は不意に立ち上がって屋上端近くに立つ。
「渡辺さん。危ないよ!」
「こないで。」
あぁ…何で気づかなかったんだろう。
私の居場所がないのも…
私のことをみんな奇妙に思うのも…
「私がいらない人間だから。」
109: 名前:+椎名+☆05/19(木) 03:18:29
「何言ってるの?」
「あんたもそう思うでしょ?」
そうだ。世の中は嘘しかない。
母さんも…店長も……クラスメイトも!
私が相手にされないのはいらないから。
突然自分が生きていることが嫌になってくる。
今度こそ死んでやろう…
あーあ、私の人生って偽りばっかだなー。
親友に騙されて信じてた店長に騙されて…
同じ事の繰り返し。
同じ日々の繰り返し。
裏切りはまた新たに裏切りをうむ。
そして裏切り者は…
私だ。
裏切り者がいたら裏切り者が増える。
裏切り者は消すのが当たり前。
何で早く気づかなかったんだろう。
母さんも裏切り、唯科も裏切った…
なのに何で気づかなかったのかな?
最後に言わないと。
「葉山雪奈。ありがとう。
もし生まれ変わったら…私はあんたと………」
友達になりたい。
「……!」
私は葉山雪奈の目の前で
屋上から身を投げ出した。
112: 名前:+椎名+☆2011/06/07(火) 21:42:56
久しぶりに落ちる感覚がする。
それもゆっくり時が止まったように……
今度こそ死ねる…
「…」
駄目だよ…何してるの?私は……
こんなこと許されない。
許されるはずがないよ……
自分に言い聞かせるけどやはり無理だ…
くそっ…裏切り者は静かに死ねばいいのにっ…
私は…思ってはいけないことを思ってしまった……
この手を握って欲しい…
そう無意識に手をのばしてしまっていた。
…本当は……
まだ死にたくない!!
「……!?」
涙を流して目を閉じた瞬間、手に暖かい感触がする。
葉山雪奈が…屋上から身を投げ出して手を握ってくれている…
今にも落ちそうなのに……
最終更新:2012年08月11日 05:58