113: 名前:+椎名+☆2011/06/07(火) 22:06:17
今の状況はね…
葉山雪奈が左手で柵を持って身を乗り出し、もうひとつの腕で私を……
「はなしてっ…あんたも落ちるから!」
巻き込みたくない。
この子を死なせるわけにはいかない。
死ぬのは私1人でいい……
「死なせない!そんな悲しいこと言わないでよ!」
何で?
何で私のために命がけで助けてくれてるの?
何で私みたいなのを助けているの?
何で私のことをそこまで思ってくれるの?
わからない…
もう何が何だかわからないよ…
嘘?本当?教えてよ……
「それは嘘?本当?」
私が聞くと彼女の目から何かがこぼれる。
「今は嘘も本当も関係ないじゃん!ただそれだけだよ。」
関係ない…?
やっぱり…この子は私にはない信頼の心を持っているのかも……
彼女はすごい力で私を引っ張り、私はもうひとつの手で屋上の床につかまる。
…私も…この子を信じてみようかな。
114: 名前:+椎名+☆2011/06/10(金) 22:59:58
「……」
しばらく沈黙が続き先に口をひらいたのは葉山雪奈だった。
「ねぇ、さっき言おうとしてたコト…」
「えっ…」
私はあんたと…友達になりたいってやつかな?
「もう一度最後まで言ってよ」
「え?」
わかっているくせに言わせようとする。
い、意地悪!
「と……」
「…え?」
「友達…に……なり…たい…」
私が言うと彼女は笑ってくれる。
わかってたんじゃん。
「もう友達だよ!」
私の右手をぎゅっと握る。
今なら…信じれる。大丈夫。
「よろしく…」
「えと、名前香菜…だよね?雪奈って呼んでくれていいから。」
私の手を握ったまま引っ張り起こしてくれる。
「よろしく!香菜!」
「よ、よろしく。雪奈」
それからというもの雪奈のおかげでいじめは徐々に無くなった。
また、唯科とも仲直りして元の関係に戻った。
全部雪奈のおかげだよ。
ありがとう。雪奈…
115: 名前:+椎名+☆2011/06/10(金) 23:11:44
「…はぁ……覚え…てる?」
「うん、思いだしたよ」
雪奈は涙を目に溜めて言う。
私のために泣いてくれてるの…?
「雪奈…のおかげ…で……また…人を…信じれる…ように…なった……」
苦しい…
もう声も…あまり出ないし……
意識も薄れてきたよ…
「…!?」
手に懐かしい感覚が蘇る。
手を握ってくれた感触…
雪奈が暖かく包んでくれてる……
「私だけじゃない、香菜も変わったよ!」
え…?
私が……?
そうかな……
「そうだよ…生きて帰ろう!みんなで!」
…ありがとう……そこまで想ってくれるなんてね…
私ってばどれだけ幸せ者なのかな……
まああの時はないこんなこと思いもしなかっただろうな…
ははっ……そろそろ限界…か……
「ゆ…きな……」
私は必死の力で声を出す。
それもかすれて聞こえにくい。
「…あ……りが…と………」
でもごめんね?雪奈……
その約束、守れそうにないや…
「香菜!?しっかりしてよ!ねぇ!」
必死に名前を呼んでくれる。
そしてついに目から涙がこぼれる。
ありがとう雪奈……
あなたは…私の光だったよ………
___4日目 死亡者 渡辺香菜___
116: 名前:+椎名+☆2011/06/10(金) 23:27:53
~雪奈side~
「……」
私の目の前には幸せそうな顔をして死んだ香菜…
…もう嫌だよ……友達を…傷つけるなんて…
誰も失いたくない。
もう…誰も……
…あれ?
もう……?
誰のことだろ…
わからない…思い出せない……
「………!」
私はあたりを見回す。
何日か前に死んだ2人の血…
そして目の前の香菜……
たった4日で…3人も死んでしまった…
もう参加したくないよ…こんなこと。
うつむいていた真波が不意に言う。
「ねぇ…雪奈。………………しよ?」
えっ…?
何て言ったの?真波……
嘘…だよね………
「何を言ってるの…!?」
「殺し合い…しよ?」
117: 名前:+椎名+☆2011/06/11(土) 12:57:02
殺し合い……
一番聞きたくない言葉が親友の口から飛び出す。
「どうして……」
「もうあと2人しか残ってないんだよ?
どうせなら決着つけようよ」
いつもの真波はこんなこと言わない…
すると真波は私に向かって銃を投げ渡す。
「1、2、3でうちあうよ?あ、本気だから。
手ェ抜いたら許さないから……」
やめようよ…こんなこと……
思惑に乗っちゃだめ…
「じゃあ、いくよ」
お互いに少し離れる。
私は震えた手で銃を構える。
もう…やるしかないの…かな……
118: 名前:+椎名+☆2011/06/11(土) 13:06:07
「ねぇ、真波。こんなことやめようよ!」
「はぁ?何言ってんの?まだわからないの?
このゲームは誰か1人だけが生き残れるゲーム…
全員で生き残るなんて無理なのよ?」
ズキッ…
全員で生き残れない…
その言葉が深く突き刺さる。
「数えるよ。いーち…」
カウントダウンが始まる。
「にーぃ…」
お互いが銃で狙いをさだめる。
「…さん!」
カチッ…
真波の銃が早くに鳴る。
そして少し遅れて私が目を瞑りながら銃をうつ。
パーン!
真波の方がわずかに早かったというのにまったく痛みがない。
目をゆっくりひらくと目の前で胸から血を沢山流している真波がいた。
真波の手は震えていて銃を地面に落とした。
「ま…真波!」
私はすぐさま駆け寄る。
…なんで?
119: 名前:+椎名+☆2011/06/11(土) 13:15:57
私は倒れる真波を支える。
「真波…ごめん…ごめんね……」
すると真波は表情を柔らかくして意外なことを言う。
「何言ってんの…雪奈の勝ち…だよ」
勝ち負けなんていらない!
なのに私は撃ってしまった……
「おめ…でとう……雪奈。あんたが…優勝……だよ……」
真波の声はどんどん弱り、ついに真波は瞳を閉じた。
とうとう私一人……
私が優勝……
私は後ろを見た。
そこには真波の銃が落ちてある。
「…!」
私はその銃を見て涙が溢れる。
…弾が入っていなかった。
私を…生かすためにわざと……
「真波…うわああぁぁ!」
私はただ1人、大声で泣き叫ぶ。
ごめんね…真波……ごめんね…
私は何度も何度も心の中で謝る。
120: 名前:+椎名+☆2011/06/11(土) 13:28:08
「……」
カチッ
しばらくすると枷が外れる音がする。
そしてまた液晶画面が降りてくる。
「おめでとうございます。葉山雪奈様。
そちらのドアを出て階段をおあがりください」
とうとう管理人とご対面なの…?
…まあ行けばわかる…
私は銃を隠し持ち、部屋を出て階段をのぼる。
そして大きな扉を開くと見覚えのある兎の仮面をつけた管理人がいた。
「ほほほ、雪奈様。おめでとうございます。
あなたが優勝いたしましたよ。」
……!
この管理人…何か変……
「どうされましたか?」
判笑いの声で言う。
まさか…やっぱりそうだ……
この管理人…女性だ。
121: 名前:+椎名+☆2011/06/11(土) 15:44:09
「ねぇ、あなた…女だよね?」
「…!」
管理人の動きが止まる。
図星か。
「よくわかりましたねぇ~。さすがです。」
突然懐かしい感じがする。
何者なのかな…どうでもいいけど。
「願いを一つ叶えましょう。」
「それは……」
私は隠し持っていた銃を出し、管理人に向ける。
「あんたが死ぬこと!!」
こんなゲームをしている管理人に憎しみを覚えていた。
こんなゲームさえなければみんなは…みんなは……!
だからみんなの仇…とらせてもらう!
引き金をひこうとした瞬間、体に電撃が走る。
スタンガン…!?もう1人誰かいる…!
私はあまりの衝撃に倒れ込む。
気が遠くなっていく時、管理人から何かが聞こえた。
「…ごめんね……」
…!?
あなたは何者なの…?
どういうこと…?
私はそのまま気を失ってしまった。
122: 名前:+椎名+☆2011/06/11(土) 15:52:08
~管理人side~
私はとあるゲームの管理人。
そのゲームの殺し合いを見るのが唯一の楽しみです。
今まで色々な殺し合いがありましたよ。
友達の首にナイフを刺したり…
7日間の間に全員殺せず、ゲームオーバーになり全員の手首が落ちたり。
こんなに楽しいことはないですよ。
たとえ友達であれ自分が生きるために友達を殺す……
いやぁ、やはり人間とは実に醜いものですね。
「失礼します。参加者の名簿表を持ってきました」
そしてまたゲームが幕をあける。
さて、今回はどんな参加者が………
「…!」
私はとある名簿を見て驚く。
「…葉山…雪奈……」
「どうかなさいましたか?」
「…い、いいえ」
彼女が参加しているとは思いませんでした…
しかし、会うのは久しぶりですね…
だって彼女は………………
123: 名前:+椎名+☆2011/06/11(土) 15:58:59
今目の前には気絶した彼女が倒れています。
「ミナキ」
「お怪我はございませんか?」
助手のミナキがスタンガンをしまう。
「大丈夫です。私ならどんなことがあっても死にはしませんよ」
「しかし…彼女は合格ですね」
まったく残念です。
まさか彼女が合格なんて…
「そうですね。…雪奈様、簡単に死なないでくださいよ?
私はもっと楽しみたいですから」
必ず……生き残って私の下まで来てくださいよ。
「今回は丁度7人ですよ。この子を連れて行きます」
「よろしくお願いしますよ」
ああ、久しぶりですね…
何年ぶりでしょうか……
第2ゲーム開催は。
125: 名前:+椎名+☆2011/06/14(火) 17:26:36
「…おい、大丈夫か?」
誰…?
男の子?
でも知らない子……
「……う…」
「大丈夫か?」
目を開けると目の前には爽やかでスポーツ好きそうな男の子がいた。
誰?
それにここは……管理人の部屋…でもないし…
まわりをよく見るとすぐ隣には階段。
更に私達の他に5人がその場にいた。
学校かな?ここは……
「えと……皆さんは?」
多分同じぐらいの年の子だけど聞いてみる。
「私は草野 和美!よろしくね」
ツインテールの甘い香りがする女の子が言う。
「俺は新崎 亮!」
髪がツンとしたチャラそうな男の子が言う。
「あたしは安部遥。とりあえずよろしく」
気の強そうなショートの女の子が言う。
「田中宏富!よろしくなっ」
やんちゃそうな男の子が言う。
「あ、俺は暁 鈴地。よろしく」
さっきの爽やかそうな男の子が言う。
「私も?…私は
上原岼華よ」
…!?
岼華って……まさか…!
最終更新:2012年08月11日 06:00