213: 名前:+椎名+☆2011/08/01(月) 17:21:10
私は秋山に刺した包丁を抜き、女の子に近づく。
女の子は怯えているのか逃げようとしない。
「ねぇ、あなた・・・名前は?」
私は怖がられないように優しく問いかける。
まぁ殺すことにはかわりないけど。
「・・・あなたこそ誰?」
えー?めんどくさいな。
「質問に質問で返さないでよ。答えになってないし。
もう一度聞くけど・・・誰?」
だんだんいらいらしてくる。
私は赤い包丁を光らせる。
「・・・森永芽衣子」
私は微笑みかける。
その一方で彼女は笑わない、いや、表情ひとつ変えない。
あきらか警戒されてるなぁ。
「私は佐野蘭。よろしくね、芽衣子ちゃん」
え?なんであっさり名前を言うかって?
そんなの・・死ぬ子に聞かれても問題ないでしょ?
「で、もう1つ聞くけど・・・
どこから見てたの?」
「・・・・」
だいたいなんでこんなところにいるの?
ていうか芽衣子ちゃんって何者?
こんなとこで何してるの?
まぁ相手も同じ事を思っているとおもうけど。
「あなたが・・・俊の顔にボールを投げてたとこからずっと」
ふーん、結構最初じゃん。
「というか何者?あなた」
「私は俊の彼女よ!あなたこそ・・」
なんかだんだん強気になってる。
こっちはあんたを今すぐ殺すこともできるのに・・・
「私・・?私は・・・・」
自分でもわからない。
何者なんだろう・・
でもひとつははっきりとわかる。
「狂った殺人鬼」
214: 名前:+椎名+☆2011/08/01(月) 17:35:47
「殺人鬼・・?俊を殺す気なの!?」
いや、今までを見てたら明らかそうでしょ。
「うん」
「ふ・・ふざけないで!」
彼女ねぇ・・・
あー、いいこと思いついた。
「山田!芽衣子ちゃんをエスコートして?」
「・・・っはい」
山田は茂みから姿を現し、芽衣子ちゃんの両腕を掴む。
さすがに力はあるでしょうね。
「だ、誰?警察?放して!」
必死に抵抗するが、びくともしない。
私はそのまま彼女の手をロープで縛る。
さてさて、愛の関係ももはやここまでね。
「二人とも、私どっちか一人を殺すわ。
芽衣子ちゃんを殺すなら秋山を、
秋山を殺すなら芽衣子ちゃんを助けてあげる。
さぁ、選んで」
究極じゃないけどこういう選択肢、あなたならどうする?
二人の答えは予想通り・・・
「し、俊を殺して・・」
「芽衣子・・っ!」
お互い相手の名前を言う。
はい、残念。
これがお互いの本心。
結局は両方殺すけどね。
「じゃあ二人ね。山田、あんたは芽衣子ちゃんね」
私は山田にナイフを渡した。
山田は迷うことなく芽衣子ちゃんの胸に突き刺す。
「きゃああぁぁ・・・ぁ・・」
芽衣子ちゃんの声はどんどん弱っていく。
芽衣子ちゃんはすぐに動かなくなった。
「で、秋山。あんたはここでね」
私は秋山を引きずって神社の裏に連れて行く。
私が手を汚さなくても出血死するだろう。
あーあ、次のターゲットは誰にしようかな。
215: 名前:+椎名+☆2011/08/01(月) 17:45:45
「山田、あんたは予想以上の働きを見せてくれるわね」
「・・どうも」
あまり嬉しくなさそうに言う。
あー昼って暇。
龍が死んでショックで学校もバイトも辞めたし。
友達にも・・合わす顔がない。
同情されたくない・・・
私は窓から外を見ているとあるものに目が行く。
「山田、止めて」
私は車を止めて近づく。
「・・・捨て猫・・か」
二匹いたが、もう片方の大きめの猫はもう死んでいるようだった。
もう一匹の小さな猫はにゃーにゃー鳴いている。
「・・かわいそうにねぇ・・きっと兄弟なのね」
私と同じ立場か。
家族が死んで一人きりで・・・
でもまったくかわいそうとは思わない。
「・・・・」
私は無意識に猫を持ち上げ、電柱に投げつける。
猫はその衝撃で死んでしまった。
「兄弟のとこへいきな・・」
私のココロは完全に壊れてしまった。
もう嫌になってきた。
いきなり自分のしてることがばかばかしくなってきた。
もう龍の学校の生徒を殺して終わりにしよう・・・
216: 名前:+椎名+☆2011/08/01(月) 17:55:37
時はどんどん過ぎていき、龍の学校でマラソンが行われる日がくる。
「・・・これで目標を・・」
「・・・・・」
山田にはどんどん笑みが戻っていく。
多分もうすぐ私を殺せるからね。
「さぁ、あんたの最後の仕事・・・
山田として一緒に味噌汁を作って毒を入れてきなさい」
やっと龍の無念が晴れる・・・
まってて龍。もうすぐだから。
同時にここで私の人生も幕を閉じるから。
217: 名前:+椎名+☆2011/08/01(月) 18:00:34
時間は流れ、あっという間にマラソンは終わった。
「みんな、味噌汁できたぞ」
「わー美味しそう!」
「いただきます」
みんながつがつ食べておかわりする。
毒入り味噌汁だって気づかずにね。
山田は誰にも見つからないように抜け出してくる。
「よくやったわ。山田」
「・・・俺はこれで解放・・ですか?」
「えぇ、家に帰ったらね」
山田はギュっと拳をにぎって喜びを表現する。
そんな・・・ハッピーエンドな訳ないじゃない。
山田、あんたにはバットエンドがお似合いよ。
218: 名前:+椎名+☆2011/08/01(月) 18:19:31
しばらくすると生徒達が体調不良を訴える。
「先生・・・俺気持ち悪い・・」
顔が?
「先生・・・苦しい」
ざまぁみなさい。
生徒達はやがてどんどん倒れていく。
そして泡を吐いて次々と死んでいく。
先生も。
一年生も。
ふふ、いい気味。
これでようやく死ねるわ。
「山田、開放したげる。家にきなさい」
そして・・・
私の人生の幕が閉じようとしていた。
219: 名前:+椎名+☆2011/08/01(月) 18:37:44
数分後、家に着いた私は先に家に入る。
山田を外に待たせて・・・
電話をかけるためにね。
どうせ開放されてすぐ殺す気なら・・。
警察に見てもらおうかなって。
「も、もしもし!銃を持った男が・・・!きゃっ・・」
私はそのまま演技に拍車をかけ、わざと電話を落とす。
多分そんなに遠くないからすぐ着くでしょうね。
私は山田を呼ぶ。
「あんたは今日で解放。お疲れさん」
山田は嬉しそうにし、何もしない。
「銃とか返すわ」
山田の笑みは銃を渡すとともに最高になった。
「私を殺すんでしょ?」
「・・・!」
気づいてないと思ったのかしら?
「もううんざりだ。お前はここで俺が殺してやる!」
あーあ、言っちゃった・・・
気づいてる?
電話はまだ繋がってるのに・・・
「山田、私を殺すとあんた不幸になるよ?」
「命乞いなんか聞かん!」
本当のことなのに。
「やめて!山田さん!」
私は電話に届く声で言う。
「死ねぇ!佐野蘭!」
バーン!!
私の胸に銃弾が打ち込まれる。
そして私の人生は幕を閉じた・・・
最終更新:2012年08月11日 06:16