306: 名前:+椎名+☆2011/08/29(月) 12:45:24
しばらくすると再びノックされる。
また…かよ。
「今日は来客が多いのね。誰かしら?」
「私です」
ん?この声って……
「宮本…さん?」
「あっ……暁君…」
そういえば宮本さんと最後に会ったの告白された時か…
気まずいな……
俺はすぐに顔をそらした。
「……どうしたの?宮本さん」
「…あの…さ、サボり…に……」
…えっ?
「そう?最近来てくれないから暇だったわー」
最近って…宮本さんもここ(保健室)の常連!?
あんなに真面目そうなのにまさかいつもサボってるとは…
「へーえ、ナルホド。じゃあ先生書類まとめてくるわ。
サボり楽しんでねー。二人で」
先生はとびっきりの笑顔で出ていく。
あ、あの教師……!
気まずいってのに二人きりじゃ…
無理矢理寝る…いや、話題を考える…
「あの…」
「…え?」
「…どうですか?今の気持ち…」
何のことだ?
「…山下さんのことどう思ってるんですか……?」」
「…わからない。みんなが言ってもどうしたらいいかなんて…」
「…自分で…決めないといけませんよ……」
俺を励ましてくれてるのか…
俺は付き合ったことないし、いろんな奴に迷惑かけてるな…
「……ごめん」
「…?……いいんですよ…」
俺は宮本さんといるこの時間が何故か安心する。
静かな時間だ……
307: 名前:+椎名+☆2011/08/29(月) 13:07:00
俺達は休憩時間になるとそれぞれの教室に戻る。
ていうかもう下校時間だけどな…
「 あ、あの…暁君…帰りに相談…のりますよ…
待ってて…くれれば……」
彼女はライバルのはずなのになぜ協力してくれるんだろうか…
そうだな、これからどうするか決めないとな。
「わかった」
責任無しに付き合うのは悪い事…だよな。
そういえば今日佳暖委員会だったな…
まああいつ居たらちょっと相談できないし……
…あの時の佳暖の告白、断っておけばよかったかな…
佳暖は気持ちが重い。独占欲が強い。天然……
別に好きでも嫌いでもない。
でも…佳暖は俺を好いてくれてる。
冷たくあしらったり突き飛ばしたりしたのに…
「鈴地!」
「佳暖…」
佳暖は俺の鞄を持って待っていた。
俺の姿を見た瞬間抱きついてくる。
……まったく、こいつは……
「佳暖、委員会行ってこいよ」
「…うん、門で待っててね…」
…多分その約束守れないな。
「じゃあ行ってくるね」
佳暖は階段を降りて委員会へと向かった。
確か宮本さんも委員会入ってたな。
確か美化委員会…だっけ?
あれ?待てよ。
……しまった……
今考えたら佳暖も美化委員会だ……
308: 名前:+椎名+☆2011/08/30(火) 19:22:47
両方美化委員なら終わるのも一緒か…
なら宮本さんに相談にのってもらうのも難しいな。
はー…忘れてた…何やってんだ俺…
俺はその後もしばらく門で待った。
多分30分くらいたったかな…
美化委員を終えた彼女は俺のもとに近づいてくる。
「…宮本さん…」
「…おまたせ…しました……
山下さんは…今日委員会に来てませんでしたよ…」
え?
でもあいつ委員会って言って飛び出して行ったけど…
「気になるので……調べたら…その、
靴箱に…上履きが入ってました…」
上履き?
あいつ先に帰ったのか?
なんだよ、待っとけっつったの佳暖なのに。
…でも気になる…
佳暖が俺を置いて帰るなんてな…
何か嫌な予感がする……
「どうしました…?」
「…ん?あぁ、いや…」
空も怪しげな雲が広がっていた。
時期に雨が降るだろう。
310: 名前:+椎名+☆2011/08/30(火) 19:29:24
ザァー……
「わ、降ってきました…」
「…おりたたみ持って来ててよかった…」
俺はおりたたみ傘を素早く開いた。
まあ少し濡れたけど。
宮本さんはおりたたみ傘をなかなか開かない。
「…嘘、傘壊れてる……」
「…大丈夫か?入れよ」
俺は宮本さんに傘を被せる。
「…あ、ありがとう…ございます……」
あ、そういえば…本題に入らないと…
「宮本さん…相談……」
「…あ、そうですね…」
情けないよな。
女の子に相談するなんて。
俺達はその後相談にのってもらい、
少しお喋りをして一緒に帰った。
312: 名前:+椎名+☆2011/08/30(火) 19:55:58
次の日、
学校に行くといつもよりざわざわしていた。
何の騒ぎだ?
「あ、暁くぅん!これって…本物?」
一人の女子が携帯を見せてくる。
!!!
なんだよ…これ……
そこにうつっていたのは…
昨日のお帰りの…俺と宮本さん。
斜めを向いているが顔ははっきりとわかる。
誰かが後ろから撮ってやがったのか…
「暁君って宮本さんと付き合ってるんでしょ?」
今度はそういう話か…
「違……」
「…宮本さんと付き合ってるなんてショックだな~…」
なんかおかしい…
こいつら佳暖の時は否定したのに
なんで宮本さんは認めてるんだ…?
ガラッ
「おはよ」
気まずい空気の中、佳暖が入ってきた。
みんな…男子も女子も佳暖を冷たい目で見ている。
佳暖はそれに見向きもしないで俺の所に来る。
「鈴地、昨日はごめんね?
トイレに閉じ込められちゃったの」
嫌な予感は的中か…
つまりこの写真を撮った奴が主犯か?
多分佳暖のこと相当嫌いなんだろうな。
「鈴地、座らないの?」
佳暖は俺の手を持つ。
おいおい、空気を読めって。
すると今まで静かに見ていた女子が佳暖を突き飛ばした。
!?
「きもい!暁君に触らないでよ!」
「人の彼氏取るなんて最低!」
「…まさか山下がそんな奴なんてなぁ…がっかりだ……」
また新たな誤解がうまれる。
「待て!俺はあいつの彼氏じゃない!」
「そうだよ、鈴地は佳暖のものだもん」
お前は喋るな!
佳暖が言った事により、また佳暖の好感度が下がった。
そしてみんなの佳暖に対する態度は酷くなってしまった…
316: 名前:+椎名+☆2011/08/31(水) 12:40:46
「ねぇ、鈴地。昨日宮本さんと帰ったの?」
佳暖は俺に聞いてくる。
あの写真のことか…
「ああ、悪いな…そんなつもりじゃ…」
「ううん、いいの。怒ってないよ。
絶対鈴地は私の下にくるから」
そこまで信頼(?)されてたんだな…
ならなおさら期待に答えるべきか…?
「佳暖、あんまり俺に近づかない方がいいぞ」
佳暖を遠ざけることで多分少しはマシになるだろう。
しかし佳暖は首を横に振る。
「気にしなくていいよ」
俺が気になるんだが……
「ねぇ鈴地。私ちょっと外行ってくるね」
そう言って佳暖は珍しく自分からどこかに行った。
なんかひっかかるけど…あいつの好きにさせればいいか。
317: 名前:+椎名+☆2011/08/31(水) 12:51:35
佳暖side
私は五組の教室に入る。
宮本さんに言っておくことがあるの。
宮本さんは後ろの方の席で本を読んでいた。
「ねぇ、宮本さん」
「……!」
一瞬驚いて私を見てくる。
ふふ、可愛いなぁ宮本さん。
「…何?」
「お話しよ?少しいいかな」
私は返事も聞かずに宮本さんの手を引っ張る。
そして屋上に行った。
「……何?」
「…宮本さん、ごめんね。
鈴地は…私の事が好きなの。
だから多分振り向かないよ」
鈴地は私の事が大好きだ。
だから宮本さんと結ばれる事はない。
せめて謝って伝えておかないといけないと思ったの。
「でも鈴地と話をしてても佳暖は怒らないよ。
鈴地は佳暖の所に戻ってくるもん」
別に鈴地が他の女子と話していても気にならない。
あくまでも彼女は私。
鈴地が浮気なんてするわけないもん。
「…れに………」
「…?…なぁに?」
私が問いかけると宮本さんは笑って言う。
「…誰に口聞いてるんですか?」
327: 名前:+椎名+☆2011/09/07(水) 17:58:54
え?
突然感じが変わる。
そして彼女は私を突き飛ばした。
「宮本さん?」
「汚らわしい、名前を呼ばないでください」
普段より声が低い。
そして普段より…怖い。
「あなたなんかに暁君を愛する資格なんてありません。
1つ言いますよ?
あの時の告白、あれは暁君の同情なんですよ?」
何言ってるの?この子。
鈴地は私が好きだったからOKしたのに。
「私は…前から好きだったのに…今さらしゃしゃり出てきて…!
あなたに…あなたに人生を壊されたんですよ!」
私は宮本さんの人生を壊してなんかないよ。
だって私は鈴地だけを見ていたいから。
宮本さんには興味なかったもん。
最終更新:2012年08月11日 06:35