329: 名前:+椎名+☆2011/09/07(水) 18:13:08
~宮本side~
あれは五年生の時。
私は親の事情でいろんなところに転校を繰り返した。
おかげで友達が出来てもすぐ転校して離ればなれ…
だから私に友達と呼べる本当の友達はいなかった。
でもね、ある日私に好きな人ができた。
暁鈴地君。
彼は男女共に人気で頭もよかった。
私は暁君をじっと見つめてた。
いつもいつも遠くの方から。
そしてある日。
また引っ越しすることになったの。
「…転校しても元気でね」
「…うん…」
悔しかった。
親の理由で転校を繰り返して何も出来ない…
本当に好きな人がいる学校にさえもういられない。
その時それを見ていた暁君が近づいて来て声をかけたの。
「なあ、あんたさ、親の理由で転校繰り返してるって本当?」
「うん…」
「この学校にいたいなら…
親を説得すればいいじゃん」
こんな事言われたのは初めてだった。
「いざとなったら俺も一緒に行ってやるよ」
そう言って微笑みかけてきた。
優しいな…
説得か。
よし、してみるだけしよう!
そう思って私はなんとか頑張って説得したの。
1時間ずっとお父さんに頼み込んでみたの。
そしたらお母さんとここに残っていいって……
暁君のおかげだよ。これも。
その時から暁君とはあまり話していないが
暁君の事を私は頑張って追いかけるようにした。
332: 名前:+椎名+☆2011/09/08(木) 20:08:46
私は他の男子には目もくれずただ暁君だけを見ていた。
私を救ってくれた。
おかげで転校せず、友達と呼べる本当の友達ができた。
でも中学に上がった時だった。
山下佳暖という女が現れた。
どうやら転校してきたようだった。
そして初めて出会ったにも関わらず。
みんなの目の前で
暁君に抱きついた。
「うわ!なんだよお前!?」
「ごめんごめん。君かっこよかったからさ。
ねえ、私は山下佳暖。君は?」
「俺は暁鈴地。じゃあな山下」
その時暁君は大胆すぎる山下さんにイライラしてあしらってい
た。
「ふふ、冷たいなぁ。でも可愛い」
「…あぁ!?お前馴れ馴れしいぞ!」
そして暁君は怒って行ってしまった。
誰でもあんなことしたら怒るだろう。
馬鹿だなぁ。
でも山下さんはそれを続けていた。
するといつの間にか暁君は山下さんとよく話すようになってい
た。
「…ふふ、鈴地面白い」
「余計なお世話だよ…」
そして私は
どんどん暁君から遠くなっていく気がした。
…このままの気持ちは嫌だ…
告白…しよう……
333: 名前:+椎名+☆2011/09/08(木) 20:23:39
そして私は暁君を放課後に教室に呼びだした。
「…何?宮本さん」
「あ、その…えっと…暁君。小学生の時は…ありがとう…」
暁君はあぁ、と思い出したようでにこっと笑う。
「ああ、大したことしてねえけど」
「…ううん、嬉しかったの。
…あの日以来、ずっと暁君を見てた。
私は…暁君の事が……」
ガラッ
その時、教室の扉が開く。
山下…さん……
「告白のところごめんね?」
…!?
聞いてたの…?
「委員会終わったから帰ろ?」
山下さんは暁君の手を引っ張った。
「え?ちょ…待てよ…あ、ごめんな宮本さん」
教室にはただ私一人が残った。
告白を……邪魔…されたの…?
……私は…告白をして…気持ちを…どうにかしたかった…
なのに…あの子は…あいつは……
私の告白をまるで今まで聞いていたかのように…
許さない。
私の気持ちを踏みにじって…!
その日から私は
山下佳暖を痛めつける方法を考えた。
そして…今がその時……!
337: 名前:+椎名+☆2011/09/11(日) 12:42:07
私は…告白をこいつに邪魔された。
そしてこいつは痛い目見ないとわからない。
だから…私は女子達に水をかけたりするのを頼んだ。
そう、いじめの主犯は私……
女子達は山下をいじめてと頼むと喜んで承諾してくれた。
みんな…進んでこいつをいじめるのに協力してくれた。
別に暁君を奪いたい訳ではない。
こいつに復讐さえできればそれでいい。
暁君を遠くから眺めているだけでいい。
けどいつも見ていると視界に目障りな奴が入ってくる。
そいつを消したい。
目障りなんだよ。
存在自体が。
私は山下の髪を引っ張る。
「痛いなぁ」
こんな状況でもまだ笑ってる。
気持ち悪い。
私は思いっきり床に叩きつける。
顔面ヒットって感じね。
「痛いなぁ。でも鈴地はこんなので私を嫌いにならないよ?」
顔から血を出して言うことじゃないでしょ。
ていうか…キモい。
鈴地鈴地うるさいんだよ。
そうだ。
暁君に嫌われるくらい顔をぐちゃぐちゃにしてやればいいんだ。
私は何度も何度も山下の顔を
固くてく冷たい床に叩きつけた。
顔が醜くぐちゃぐちゃになるまで。
338: 名前:+椎名+☆2011/09/11(日) 12:57:23
チャイムが鳴る。
でも授業なんかどうでもいい。
私はこいつの顔を潰す。
山下の顔はすでに血だらけで多分鼻の骨は折れてるだろう。
ははは、ざまぁ。
もっと潰してやるよ。
まぁ元々潰れた汚い顔だけどさ。
気に入らないんだよね。
なんでこんな奴が暁君と……
そうだ、いいこと思いついた。
私は制服のポケットからライターを取り出す。
元々こいつのノート類全部燃やしてやろうと持ってきたけど…
どうせなら残るような傷を作ればいいよね?
ジュボっ…
私はライターの火を
ゆっくりと山下の顔に近づける。
346: 名前:+椎名+☆2011/09/15(木) 20:18:12
…!
私は手を止めた。
なぜなら屋上の入り口に誰か立っているからだ。
「…あれ?やらないの?燃やすんでしょ、
その子の顔をさっ♪」
ここの生徒ではない…
というか…見たことがない。
それに止めないの?
「…止めないんですか…?」
「…なんで?楽しいじゃん。血だらけの顔を燃やすなんてさ」
何この人…危険かもしれない……
「やだなぁ、警戒しないでよ。敵じゃないよ?」
私は一歩近づく彼にライターを向けた。
「ふふ、可愛いな。だから面白いんだよね」
「…?」
この人馬鹿にしてるの?
「…あなたも…燃やしますよ……」
すると彼は高らかに笑う。
その声は屋上に響いた。
「はは、頼もしいなぁ。言ったろ?敵じゃないって。
僕のことは十六夜って呼んでよ」
い…十六夜?
やっぱり聞いたことない…
私が山下の方に顔を向けると動かない。
どうやら気を失っているようだ。
「早く燃やさないと誰か来るかもよ?」
「…今は授業中なのに誰も来る訳……」
「暁君」
…!
「彼女の彼氏の暁君なら来るかもね?」
そんな…暁君に見られたくない…
暁君に…幻滅されたくない…
暁君に……嫌われたくない!
「へーえ、燃やさないの?じゃあ僕が燃やすよ」
十六夜は私のライターを取り上げて火を出す。
そして山下の胸ぐらをつかんで顔に近づけた。
「……ま、待ってよ…!」
「あれ?何?この醜い顔潰したいんでしょ?」
「………」
いきなり出会った奴がまさか…
それに…もういい。
「あ、飽きました…」
私がそういうと彼は僅かな微笑を見せる。
「飽きたんだ?じゃあさー………」
「……!」
その一言で
私は彼についていくことにした。
347: 名前:+椎名+☆2011/09/15(木) 20:26:48
~十六夜side~
ふふふ、面白い光景が見れそうだったのに。
真面目そうな女の子が嫌われ者で不思議っ子の女の子の顔を燃や
そうとしてる。
でも彼女は燃やさなかった。
あーあ、残念。
面白いものが見れそうだったのに。
彼女は僕を警戒してる。
だから……
「じゃあさー……」
僕は彼女の耳元で言う。
すると彼女は改心した。
ふふふ、これから楽しくなりそうだな…
不思議っ子の彼女。
理想のかっこいい彼氏。
そして恋心を抱く遠き存在の子……
あはは、こんなにうまい三角関係はないよ。
だから徹底的に遊んであげるよ。
まあ飽きたら殺しちゃうかもね?
覚悟してね。
僕の新しい玩具の『宮本さん』?
352: 名前:+椎名+☆2011/09/18(日) 22:47:26
~宮本side~
フフフ…
そうだよ。
そうだったんだ。
あの人の言うことは間違っていない。
正しい…
なぜ今まで気づかなかったのだろう…?
十六夜って人はただ一言しか言ってない。
私はそれで気がついたの。
『飽きたんだ?じゃあさー…
愛を行動で示したらどうかな?』
愛を行動で示す…
そして彼はナイフを渡したの。
そう、暁君をこれで…
そうすればずぅっと私のもの…
私だけの…暁君。
私が暁君に愛の傷をつける…。
私が彼を殺した瞬間から山下は暁君の彼女じゃなくなる…
本当に…私の暁君になる。
私だけの…私色の暁君。
私はあなたの全てが欲しい。
あなたの思いも。
あなたの気持ちも。
あなたの心も。
全て私のものにしたいの…
だから…死んでくれる?
暁君。
ごめんね?
これは私の愛情表現なの。
353: 名前:+椎名+☆2011/09/18(日) 23:02:36
私は山下を置いて保健室に向かう。
サボるの。
別にどうでもいいの。受験なんてまだまだだし。
それに今はどうでもいい。
暁君を殺したいの。
憎いわけじゃない。
愛しているから。
山下みたいな女に暁君は渡せない。
あいつは暁君を振り回しているだけ。
あんなやつ彼女にふさわしくない。
私の方が彼を愛している。
暁君が私のものになれば山下も苦しむ。
あはははははははははは!
山下!お前なんて苦しんでしまえ!
苦しんで…消えてしまえ!
あはははははははは!
最終更新:2012年08月11日 06:37