7日間の醜いゲーム。 続き21

355: 名前:+椎名+☆2011/09/18(日) 23:15:38
ここは私の家?


形もまったく同じだけど何かが違う。


あ、私の愛する人も住んでるからだ。





その瞬間、私の目はその家の部屋の風景がうつる。


そう、私の部屋。



そしてソファーにもたれかかってる男女…


これは私だよ?


もう一人はわかるよね?



「暁君…」

「………」



彼は腹の傷から血を流し、まるで眠っているかのようだった。

私自身も血まみれでお互いに身を寄せあっていた。



「暁君…愛してるよ……」


「………」



私が彼の頬を軽く撫でるも彼はぴくりとも動かない。
私の愛しい彼は綺麗な顔で眠ったままだ。


「ずっと一緒…だよ…私が死ぬまで…
それまで待っててね…暁君…」



やはり返事はない。



私は彼を強く抱き締めた。
それでも返事はなかった。



私の選んだ道に後悔の文字はない。

彼は私のものになった…


それが叶ったからだ。




これ以上何も望むことはない。






あなたも私を愛してくれてるのかな…



「…ね?暁君…」


答えは返ってこない。
そうわかっているも私は話しかけ続けた。




暁君…ごめんね。


もっと生きたかったと思うけど…
私はあなたの心が欲しかった。




ただ、それだけ…






それだけ…なの……

357: 名前:+椎名+☆2011/09/18(日) 23:32:41
ん…夢だったの?


私は目を開ける。



そこは私の家なんかじゃない。





見慣れた保健室の天井…



あの夢が現実なら…


………




いや、今から…もうすぐ現実になるの…
現実にするの…


そうしたらあの夢の通りの風景になるのかな…?

別になんでもいいよ。



さて、どうやって暁君を……






家に呼んで殺すのが一番いいのかもね。


ここで殺しても暁君を家に連れていくのに目立っちゃう。



まぁ見られたら殺せばいいんだけどね。



え?家で殺して親に見られないかって?



大丈夫、お母さんとお父さんにも死んでもらうから。



私と暁君だけでいい。

悪いけど…お父さんもお母さんも邪魔になる…
だからいらない。


二人だけでじゅうぶんだから…
いいえ、二人っきりがいいの……





だから…お母さんとお父さんをまず殺さないとね…





家に帰ったらまずお父さんを殺そっと。

やはり女のお母さんを最後にしたほうがいいよね。




親不孝者でごめんなさい。

反発してしまってごめんなさい。

殺めてしまってごめんなさい。



でも私は彼を愛しているの。



わかって…くれるよね?

358: 名前:+椎名+☆2011/09/18(日) 23:42:56
~十六夜side~





あははは!


あの宮本さんって子、面白いなぁ。


僕は暁君を殺せなんて言ってないのに。

まぁナイフを渡したけどさ。
それ以上は何も言ってないよ?


『愛を行動で示せ』




そう言っただけなのにね。


さてさて、愛しの人を殺すことは愛情表現なのか?
それは誰にもわからない。


少なくとも愛しているから殺すなんてあり得ないよね?

まぁ面白そうな事になりそうだし止めないけどさぁ。



あの子って完全に病んでるよね?

ああいう子はね…











 壊すせば壊すほど面白い玩具なんだ。



僕がいつあの子を壊すかって?


それはまだわからないな。










 …まぁその日はそう遠くないけどね。

362: 名前:+椎名+☆2011/09/21(水) 08:57:18
~宮本side~







私は学校を早退した。




帰って親を殺さないと…



早く私のものにしたいの…



暁君を手に入れるためなら何でもするよ。



親友を殺しても




親を殺しても




大切なものを捨てても






私はそれでいい。


だって私は…彼を愛してるから……


愛してる…から……




私は家までの帰り道、何度も立ち止まった。


なぜかはわからない。




でも……



…………




「…愛は行動で示せ…」



その言葉を思いだすと私はまた歩きだす。



私はこんなことでしか愛を表現できないの。


でもずっと大好きだった。



愛してたからこそ山下と付き合っていても遠くで見守ってた。





でも山下が暁君を振り回す姿を見て
私は初めて他人に殺意を抱いた。



廊下でキスした時もあんなに嫌がってたのに…
謝罪の言葉すらなかった。


私もそんな見せ物にされるのは絶対嫌。




だから別れさせようとしたのに…




女子達にお願いしていじめさせた。


快く協力してくれた人もいれば受け入れない人もいた。

でも私は協力してくれなかった奴らを殴ってまで協力させた。





もう…暁君があいつに振り回されてる姿は見たくないの…!








だから私が暁君を手に入れて救いたいの……

363: 名前:+椎名+☆2011/09/21(水) 09:05:42
~鈴地side~






俺は今迷っている。


いや、どうしたらいいんだろう。


…俺は今不安定な状況に置かれてる。





佳暖と…別れるべきか……


やはり好きでもない相手と付き合うのもどうかと思う。


でもあいつは別れると言って悲しまないだろうか…


………よし、決めた…

後戻りできない。



これが俺の答えだ。



ごめんな…宮本さん。




俺はあんたに気づいてやれなかった。


でももう大丈夫だから……





宮本さん…保健室にいるかな…?



俺は授業を抜け出して保健室に向かった。

364: 名前:+椎名+☆2011/09/21(水) 09:17:17
「先生…いるー……」



保健室のドアを開けると佳暖がベッドに横たわっていた。

顔はアザだらけだ。


佳暖はこちらに気がつくと嬉しそうに手を振る。




「鈴地、来てくれたんだ」

「……佳暖」



俺は佳暖のそばに行く。



「…佳暖」


「鈴地、宮本さんがね、佳暖に嫉妬しちゃったみたい。
可哀想だよね。鈴地と付き合えるはずないのに……
私もう一度行って言ってこよっか」



 『……………』





「……え?」




俺が言うと佳暖は驚いた表情を見せた。


さすがに冷静ではいられない…か…




「…鈴地?何言ってるの?駄目だよ」


「…言った通りだ。それにお前に決める権利はない」




俺はそう言い残して保健室を出ていった。


すると保健室そばに先生が壁にもたれかかって立っていた。




「…鈴地君」

「…先生……決めたことだから宮本さんに伝えたい…
今宮本さんはどこにいる?」



先生は俺の気持ちを察したのか微笑んだ。


そしせ宮本さんの居場所だけを教えてくれてそれ以上は何も言わ
ない。




「ありがとう、先生」


「…ええ、鈴地君いってらっしゃい」



やっぱり先生からは母親のような暖かさを感じた。




そして俺は宮本さんのあとを追いかけて行った…

382: 名前:+椎名+☆2011/09/30(金) 18:43:17




宮本さん…


どこだ?



俺はとりあえず宮本さんの家を知ってはいるが…

宮本さんには本当に悪いことしちまったからな。
謝りたい。


「…いた!」




あの後ろ姿と制服。

間違いなくうちの制服…宮本さんだ。




「宮本さん!」



俺が声をかけるとびくっと反応して振り替える。



「暁君…?」


平然を保とうとしているのだろうか。
てか宮本さん…こんな時間に早退してどうするつもりだ?




「宮本さん…あのさ、ごめんな」

「えっ?あ、ううん……大丈夫です…」


宮本さんはこっちに向かって微笑んだ。

しかしその時宮本さんのポケットから光る何かが落ちた。




「…え?」




これは…ナイフ……?
なんでこんなもの持ってるんだ…?



宮本さんは慌てて拾おうとする。



「あぁ、私の…!嫌……嫌!」





宮本さんの様子がおかしい。
怯えてる?



「暁君に見られちゃった…嫌…嫌わないで……」





俺が嫌う?


宮本さんを?



…そうか、そういうことか……




宮本さんは涙を貯めてこっちに刃先を向けた。



「宮本さん…」

「…嫌…嫌われ…る…暁君に…嫌われる……」

「宮本さん…別に俺はその程度であんたを嫌いにならない」



すると今まで泣いてた宮本さんが驚きの表情を見せる。



「嘘…だって…嫉妬であんなことして…」

「……












   佳暖とは別れたよ」



宮本さんは目を見開く。


やはりちゃんとお互いを好きにならないといけないと思う。



「え…あ……」



俺はナイフを持った宮本さんを抱き締める。



俺に出来るのは…このくらいだからな……
383: 名前:+椎名+☆2011/09/30(金)
~宮本side~



私は今家に帰る途中。


殺すの…両親を殺して暁君も…

そうしたら暁君は救われて私のものになるの…



誰も邪魔させない…



「宮本さん!」



え?


この声は…私の愛しの人の…


いや、そんなことないはずなのに…

怖くて振り替えれない…
お願い…暁君じゃないと…言ってよ。



しかし期待を裏切り、振り替えるとそこには愛しい人…
暁君が走ってくる。



落ち着いて平然を保たないと…
気づかれないように…


「暁君…」



なんで暁君はこんなところに…



私は暁君に近づこうとした時、


歩く振動でポケットに入れてたものが落ちてしまった。




…ナイフ…!



「…え?」



暁君が驚いた顔でナイフを見る。



クラスの女子のポケットからナイフが出てきたらびっくりするよ
ね…



…見られたくなかったのに…


「…嫌……」



私は暁君に刃先を向ける。

もう…ここで殺してしまおう。



大好きな暁君…



「宮本さん、そんなことで俺はあんたを嫌ったりしない」




…嘘!



嘘でしょ?


だってナイフを暁君に向けてるのよ?
ナイフを向けられてるのになんで?

ねえ、なんで?


どうしてあなたは…



「佳暖とは別れたよ」


…!


え?


あの女と別れたって…


そんな…嘘よ…


山下を自ら拒絶して別れたの?



その時、暁君は私に近づいた。



そしてナイフを持っている私を




強く抱き締めてくれた。




「暁…君……」




心のどこかでほっとした。



私は手に持っていたナイフを落とす。




…なんて馬鹿なことをしていたんだろう。



こんなことしなくても…


暁君は自分で……自分の道を選んでるのに…


殺す必要なんてない…




馬鹿…だな…私。

389: 名前:+椎名+☆2011/10/02(日) 21:03:49
~暁side~









しばらくの沈黙がながれる。



俺はそのまま宮本さんの下を離れた。
分からないかもしれないけど外で女子に抱きつくのって…その…
け、結構恥ずかしいんだぞ…



「…暁君…」

「あ、あのさ、ナイフで俺を殺そうとしてたのかも知れないけど
1つ言わせてくれないか?





 俺のために罪を背負う必要なんてないんだぞ…?」




「え…?」



人殺しは罪になる。

愛する者のために…


罪を犯してまで愛する必要はあるのか?





少なくとも俺は…


罪を背負うことなく



二人が幸せそうに出来ればそれでいいんじゃないか?



俺はそう思う。





アニメとかも同じだ。





例え世界のために死んでも



それは決して世界のためにならない。







その世界で生きて見守るのが

本当に『世界を救う』ということじゃないのか?




「…そうですね…ごめん…なさい……」



宮本さんは冷たい地面の上に泣き崩れた。




俺は…決めたって言ったよな?


だから…宮本さんに伝えなきゃな。











「宮本さん…その…俺と付き合ってくれないか…?」







俺のこの想いを。



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最終更新:2012年08月11日 06:40
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