7日間の醜いゲーム。 続き22

390: 名前:+椎名+☆2011/10/02(日) 21:13:16
「…えっ?」



俺は彼女のそばに行ってしゃがむ。




今度は自分の気持ちに素直になっただけだ。


友達関係とか…そんなの知らねえよ。




「俺さ、佳暖と別に好きでもないのに付き合ってた。
でもそんな半端な気持ちは駄目じゃないかって。
宮本さんはただ協力者だと思ってた。
俺がどうするかを決める手伝いをしてくれる…

でも…話をしていたらすごく安心するんだ。
なんか分からないけど…そっから宮本さんに会うたびに少しドキ
ドキしてた。





 多分…俺、宮本さんのこと好きなんじゃないかな…」




「…!」



自分に嘘はもうつかない。


これは俺の出した答えだ。

決してそんな軽い気持ちじゃない。



俺は…本当に初めて女の子を好きになったんだな…




「…暁君…私なんかでいいの?
ありがとう…でも…答えは明日でいいかな?
今は凄く緊張しててそれどころじゃないの」




宮本さんは笑いかける。


俺は頷いてもう一度宮本さんを強く抱き締めた。

394: 名前:+椎名+☆2011/10/03(月) 17:25:11
次の日…




俺は寝坊してしまった。


時計を見るとあと10分。


やば!走らないと遅刻する!



「ちょ、母さんなんで起こしてくれなかったの?」

「え?だって鈴ちゃん気持ち良さそうに寝てたもの」



見ての通り母さんは超天然。
こういう理由で稀にしか起こしてくれない。



天然な母親も大変だよな…



「行ってきまーす!」

「行ってらっしゃあい」




まあ走ったら間に合う!




大丈夫大丈夫!





でも…さすがにこの時間帯は誰も歩いてないな。



「あ、やっべ、あと7分」



俺は程ほどの力で走った。




俺は曲がり角を通りすぎようとした。

でも何やら人だかりができていて騒がしい。






ガタン__……






「…え?」





俺は持っていた鞄を地面に落としてしまった。

395: 名前:+椎名+☆2011/10/03(月) 17:37:12
~宮本side~





次の日、




ていうか今日はほとんど眠れなかった。



だって昨日のこと思いだして…その……





大好きだった暁君に告白されて…抱きしめてくれたのよ…?


あんなことがあって落ち着いていられないよ…


あの時はパニックになってて返事できなかったけど…
今日ちゃんと返事しなきゃ…



だから返事はこの手紙に書いてきたの。


「あら、おはよう。今日は早いのね」


「…うんっ」

「あ、朝ご飯置いてあるから」



…私はこんなに優しいお母さんを殺そうとしてたんだ…


自分勝手な理由で…





暁君が止めてくれてなきゃ私殺してたな…

それも含めてお礼言わないと!




「行ってきます!」



私は告白の返事の手紙を片手に家を飛び出した。



どうやって渡そう…



ありきたりな靴箱…?
渡してもらう…?
ちょ、直接…?




…でも私自身の返事だし…



よし、会ったら渡してさっさと立ち去ろう!





それが一番かな…



ていうか恥ずかしくて顔会わせられないかも…





ドスッ……





え…?



今のは…何?








…私に…何か突き刺さって……



痛い…よ…


私の体から何かが流れ落ちていく…


意識も遠く…なって……く…





……あか…つ……き…君……

397: 名前:+椎名+☆2011/10/03(月) 17:50:05
~十六夜side~





あーあ、つまらないな。



暁君が来たおかげで宮本ちゃん、殺すのやめちゃった。


僕さ、はっきり言うけど…





ハッピーエンドって言葉、苦手なんだよね。




僕が求めているのはお互いを傷つけあっている姿。


人が人を傷つけるところを見たいんだよ。





だからこんな茶番…悪いけどつまらないよ?




あーあ、しかし宮本ちゃんは本当につまらなかった。



だってすぐ飽きちゃったもんなー。







飽きたおもちゃは…




『片付けないと』…ね?




ドスッ…




だから僕は彼女にナイフを突き刺した。


真っ赤な血…なんて綺麗なんだろうね?
こんなに綺麗なもの、他に存在しないよ。










だから…君をもっと壊したくなってくるよ。



そして……あの暁君も狂わせてあげるよ。

398: 名前:+椎名+☆2011/10/03(月) 18:10:45
~暁side~






何が起きてるんだ…?



どういうことだよ…


嘘…だろ?




…宮本さん…か?



俺は必死で人を掻き分けて前へ進む。



「可哀想にねぇ…まだ13歳なのに」

「犯人目撃されてないんでしょ?怖いわね…」





うるさい…


そんなの聞きたくねぇ!




人々の声を聞くことで俺は更に不安を増した。





一番前に出るとパトカーが何台か止まっていた。
そして警察…
床には赤黒い血の跡…




そして丁度遺体を運ぶところだった。




……あ…



嘘…だろ……




見覚えのある長いロングの髪。
レンズの割れた眼鏡…



それは昨日まで…あんなに元気だった…



「…宮本さん!」



昨日俺が告白した時は…あんなに元気だったのに…
あんなに可愛らしい笑顔を浮かべていたのに…



なんでだよ…



なんでだよ…!




なんで寝てるんだよ?

なんで笑ってくれないんだよ?

なんで…動かないんだよ……




「宮本さん!待てよ!宮本さん!」

「君っ!ここから出ちゃ困るよ…」

「待てよ!なあ、あいつは俺が好きになった女の子なんだよ!
昨日は…あんなに……」



俺は気づかないうちに涙を貯めていた。




「…もしかして君が暁君かい?」

「…えっ?」

「実は宮本さんの遺体の近くにこれが落ちていたんだ」



そういって渡されたのはすでに開封された手紙。
手紙と封筒には血が染み込んでいた。




俺は中に入っていた手紙を読んでみた。

399: 名前:+椎名+☆2011/10/03(月) 19:00:00
『暁君へ

昨日は返事できなくて……んなさい。
だから手紙で返事を書き……。
私……暁君は遠い憧れでした。
人気者で頭も………頼りになって…
だから…告白された時………も嬉しかったです。
私も暁君が好き…す。
もし私で良ければ付き合…………
        宮…苗木…り』


所々血が滲んで読めなかった。


でも内容は伝わった。



…あれ?


雨…か?



手紙に雫がこぼれてる…



変だな…


今日の天気予防は晴れだって言ってたのに…




俺は血で滲んだ手紙をぎゅっと握りしめた。
そしてその場で泣き崩れた。



「…ごめん……宮本…さん……」



俺は裏に血文字で何か書いてることに気がついた。

そこに書いていたのは何となく意味のわかる英文。








『She for you.
(彼女は君の為に)

Her`s tear is you pains.
(彼女の涙は君の苦しみ)』




……!















『 Your joy is her death.
  (君の喜びは彼女の死) 』






誰が…こんな…


俺の喜びは…こいつの……死?



それって…


俺が……



俺が…こいつを……殺した…?




俺のせいで…こいつは死んだのか?



俺のせいで…


俺のせいで…






俺のせいで宮本さんは死んだ…




そうか…



俺が…宮本さんを……殺したのか?



俺があの時に宮本さんをとめて告白したから死んだのか…




…俺が……




俺は…最低な男だ……

400: 名前:+椎名+☆2011/10/03(月) 19:17:04









その後、俺は学校に行った。



でも先生は今朝の出来事で俺を保健室で休ませた。






「暁君、ショックよね…目の前で死体を見ちゃったもの…」

「暁君が告白した子でしょ?
確か五組の宮本さんよね…」




俺のことを心配して見に来る女子達。



でも…今は何とも思わない。



心にぽっかり大きな穴が空いたようだった。





「鈴地君、大丈夫?無理しなくていいのよ。
気持ちが落ち着くまで先生も一緒にいてあげるから」



保健の先生が言う。


そしていつものように抱きしめてくる。




いつもなら…優しい感じがするのに…




何にも感じない…



優しさも…今は分からないよ……




ごめんな、先生……





俺の心は…壊れちまったんだ…







だから…涙も出ない…



俺は…あの時に死んでおくべきだったのか?




そもそも俺がいなければ…宮本さんは…


俺に恋することもなかった。

俺のために他人を殺す考えも持たなかった。

俺のせいで狂うこともなかった。



俺が宮本さんの人生を狂わせたんだな…



俺が存在したせいで…



………







もう…俺なんかどうなってもいいよ。





別に傷ついても


死んでもいい。



俺なんかがどうなっても…何とも思わないよ…



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最終更新:2012年08月11日 06:43
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