7日間の醜いゲーム。 続き28

480: 名前:+椎名+☆2011/12/28(水) 11:54:05
「はぁっ……!」



私は目を覚ました。


…夢?



私は気がつくと汗だくになっていた。


そしてそばには鈴地とリリスちゃん。



「雪奈、大丈夫か?」

「雪奈ちゃん、うなされてたよ…それにすごい汗……」



私は二人の顔を見ると少し安心した。


「うん、大丈夫…でもどうして?」

「もう8時過ぎてるのに雪奈ちゃん来ないから心配になって…」



そっか…


8時…つまりもうここでも殺せることができる時間帯。


顔を知られた私を心配して……



「…今日から…3日目だっけ…?」




そういえば忘れてた。


このゲームは7日間、


7日間の醜いゲームなんだ。



7日間で殺し合うゲーム……



「雪奈、俺の後ろに隠れててもいいんだぞ?」

「ううん、それに鈴地も顔知られてるから危険でしょ?」



今私達のチームで顔を知られているのは私と鈴地だけ。


そして相手は正式発表じゃないけど十六夜君…



残り人数は参加者が6人、
管理人チームが5人…



少しこちらが有利だ。


でもまだわからない。



正式発表じゃないから私達以外は十六夜君の事を知らない。




ここは…協力してもらおうかな…



でも誰に……

485: 名前:+椎名+☆2011/12/31(土) 14:58:35
「…あのー、葉山さん。ちょっといい?」



…?


教室に向かう途中、誰かが私を呼び止めた。



確か…同じチームの……



「安部さん?」



安部さん…


このゲームが始まってから話はあまりしてないけど…

深刻そうな顔をしてる。



「ちょっと話があるんだけどいいかな?」



私は安部さんに連れられて安部さんの部屋に行く。


とりあえず安部さんは相手にまだ知られていない。
だからここが安心なのだろう。


部屋は窓も扉も完全に閉めきり、
誰も来ないように鍵も閉めてある。



誰も部屋の近くにいないことを確認すると
ベッドに座り、話をし始める。



「ねえ、1つ聞いていい?」


「何かな…?」



「…何であの人と一緒に行動してるの?」



あの人…?



「あの人って?」

「あのリリスとか言う人。敵チームなんでしょ?」





…!


そういえばみんなあの日のことを知らないんだ…



だから敵と一緒に行動してる理由なんてわかるはずもなかった。

491: 名前:+椎名+☆2012/01/05(木) 14:15:59
私は安部さんに全て話した。


あの夜に起こった殺しあいのことも。


「ふーん…そんなことがあったんだ」

「うん…だからリリスちゃんは…」

「信用出来ない」


「えっ…?」


「敵だったんでしょ?なら信用出来ない。
いきなり仲間になって…不意打ちとかあるかもよ?」

「そんなことない!それにリリスちゃんは
もうゲームに参加できない…」

「嘘だったら?」


嘘…?



「参加できないとか言うのが嘘で
実は殺そうとして騙してるんじゃ…」


「それはない!」



私は強く口論した。


ありえない。リリスちゃんが騙すなんて…

絶対…ありえない!




「なんで言いきれるの?確証はないんでしょ?
敵なんか信用したら自分が殺されるのよ?
それに、暁君の腕の怪我…あれ、あの人がやったんでしょ?
それに田中君の殺し方も…残虐だったじゃない」


「………」


私は黙っていた。


確証はない。
腕の怪我も田中君のことも事実だ。



でも…嘘をついてるようには思えない。

だって…弟想いのいいお姉ちゃんだよ?


「…葉山さんは同世代の友達と思ってるんでしょうけど…
私は絶対あの人のことなんか信用しない」

……ん?


ちょっと待って……

「あの…安部さん?」

「ん…何?」

「リリスちゃんは同世代じゃなくて24歳だけど……」

「え…」


安部さんは硬直する。


私も最初は同じ年頃と思ったけど…



「は?24!?敵のうえに年齢までさばよんでるの!?
結構歳いったおばさんじゃない!」

「…おばさん?」


その時、入り口のドアが開いた。


そこにいたのは…不気味に微笑むリリスちゃん…

ってか怖い!



「ちょっと…あんた鍵かけて…」

「鍵?あー…これで開けちゃった♪」


リリスちゃんの手には針金…

ってか泥棒紛いすぎる!


「そんなのどこから…」

「それより、安部さんだっけ?私のことなんて言ったのかな?
お…?」



リリスちゃんは安部さんが逃げないように袖を握る。
それも今にも引きちぎれそうな力で…

それにリリスちゃんの顔は異様なほど笑ってる。


「お…お……」

「『お』…?」

「お…姉さん…かな?」

「…合格!」



袖を放す。
安部さんはこっちにぺこと軽くお辞儀して部屋を出ていった…



よほど怖かったんだね……


あれ?でも……聞いてたってことは…



「リリスちゃん、聞いてたの?」

「…うん、最初からね。雪奈ちゃん達が部屋に入っていくのを見
て…ね。
でも大丈夫。…私が敵だったのも…二人のことも本当だし…」



そう言って一足先に部屋を出ていく。


その背中はどこか悲しそうな感じがした。

492: 名前:+椎名+☆2012/01/05(木) 14:47:33
~リリスside~





私達は先に行こうとした。


でも雪奈ちゃんがさっきから追いついて来ない。



私は気になって引き返した。


すると誰かに話しかけられているのを見た。



こっちのチームの子じゃない…


あれは…十六夜に襲われてた女の子?




すると、彼女と雪奈ちゃんはとある部屋に入っていった。




鍵もかけているみたい…


私はドアにもたれかかってずっと話を聞いてたの…


聞くつもりはなかったけど…




その話は私のことについてだとわかった。



あの子は…私を信用できないって言ってたっけ……



「それに、暁君の腕の怪我…あれ、あの人がやったんでしょ?
それに田中君の殺し方…残虐だったじゃない」



残虐…


聞き慣れてるはずの言葉なのに深く突き刺さる。

いや、何か違う…


聞き慣れてるけど…管理人チームに言われる『残虐』と
この子達に言われる『残虐』は何か違う…


私は…田中君を殺すことを楽しんでいた。

最後は…首を切り落とした……


そして暁君も…痛かったのかな…



だめだよね…人殺しを楽しむなんて…


私には…あの子達といる資格なんてない。



そういえば…十六夜も言ってたっけ……



『管理人チームのメンバーを相手に全員教えると
裏切り者として…本当に死ぬ』



管理人の力でも生き返ることが出来ない。
本当に死ぬ……



…私は……それを…する。



本当に死ぬのは怖いけど…

あの子達と一緒にいたら……



…ううん。もう…いいんだ…


…敵なのにあんなに仲良くしてもらって…


私には幸せすぎることだよ…



その幸せをくれた雪奈ちゃんと暁君には…勝ち残って欲しい。


でも…いずれは……


ううん、今は考えないことにしよう…




龍…ごめんね?


もう一度この世界に生かしてあげられなくて…




代わりに…龍が寂しくないように
お姉ちゃんもそっちに行くから……

493: 名前:+椎名+☆2012/01/05(木) 14:58:30
私達はその後教室に向かった。



…昼休み……


昼休みに…管理人チーム全員の名前を教える。




今は丁度9時。


そして昼休みは12時半。



12時半の昼休みに全員の名や場所を教えると…



最後の一人を言い終えた時、



その命は尽きる。



二人の前で…死ぬのかな……


二人はどう思うのだろう。



いっそのこと二人の前で消えるより
どこかで一人で消える方が…




二人も悲しまないかな。



そもそも悲しんでくれるかな…


…でも二人のためなら仕方ないこと。






私の命が尽きるまで…あと2時間半。

494: 名前:+椎名+☆2012/01/05(木) 15:10:28
~雪奈side~



今は一時間目の途中…


さっきの話を聞いてからリリスちゃんは上の空。


やっぱり…辛かったのかな…



信用されないことは辛いよね。


リリスちゃんはペン回しをし始めた。

が、いつもとは違い、落としまくる。




よほど気になってるのかな…



でも私は信じるから…



なら今までよりさらに信じないと!




「では、ここを…葉山さん」

「え?」



いきなり当てられ、私はびっくりして立ち上がる。



全然聞いてなかった…


リリスちゃんも鈴地もこっちに注目している。



「えーと…あ、アイドントノウ?」

「…葉山さん、今は理科ですよ……」



先生に呆れられ、生徒達も笑う。

しかも質問にI don't khow(私は知りません)と答えたのだ。

笑うに決まってる。



「ふふっ…」



あっ…



リリスちゃんも笑ってる!



…よかった……間違えて。


いや、よくないのか…

495: 名前:+椎名+☆2012/01/05(木) 15:24:28
休み時間…



「雪奈ちゃん、何?アイドントノウ?って!」

「本当、俺より一個年上なのになー」



う…


「い、いや!話聞いてなかったの!」



もう…


まさかこのゲームでバーチャルにまで笑われるとは…



「くくく…やべ、腹いてぇ…」

「れ、鈴地酷い!ふーんだ!もういいよ。
次の授業さぼってやるー!」



私はそう言って教室を飛び出した。



酷いよ…あの二人!


そんなに笑わなくても…




さぼるって言ったけど…どこで…



そうだ、屋上……!



あそこならサボるのに最適!



何度かサボったことはあるけど…



保健室は消毒液臭いから…苦手かな。



でも…それ以外になぜか保健室が嫌い…


小さい時も身体測定とかで泣いてたとか言われたし…




とにかく保健室は…なんか嫌い。



だから屋上でサボる!

496: 名前:+椎名+☆2012/01/05(木) 15:37:40
~リリスside~




ふふ…


さっきの雪奈ちゃんの珍回答面白かったなぁ。



明るい気持ちになれた気がする。



でも…雪奈ちゃんサボりに行っちゃった。



「もう、暁君が笑うから…」

「赤星だって笑ってただろ?」




だって面白かったんだもん。



やっぱり、雪奈ちゃんには周りの人を明るくする力があるのか
な。



でも、サボりに行っちゃった。



私が死ぬまでもっと一緒にいたいのに…
二人と…




「ねえ、暁君。大丈夫かな?」

「ん?雪奈か?心配ねーだろ。
保健室なんか怪我する奴くらいしか来ないし」



保健室かー…


私もサボりに行きたい…

雪奈ちゃんと一緒にいたいな……



「ねぇ、暁君もサボりに行く?」

「あー、俺はサボりたいけど……
サボりすぎて成績不良だから…」



頭いいのに成績不良って…



まあいいや。



なら…私も雪奈ちゃんが帰ってくるのを待とう。





『キーンコーンカーンコーン』



授業開始のチャイムが鳴る。



今は…9時55分。




少しずつ確実に死へと近づいている。





私の命が尽きるまで…あと2時間35分。



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最終更新:2012年08月11日 07:00
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