DARK EATER

1: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/10/19(水) 16:27:31
 闇を喰らう物。
 それは選ばし存在であり、神に認められた正義の心を持っている人物にしかなれない存在。
 それが“ダーク・イーター”である。


神殿

 ここは神々が集まる集会場である。
 大体はここで神同士の情報交換・団員の育成プログラムなどを行っている。
 そんな場所に集められた神々が消息不明になった。

〈第1話〉
神々の消息不明を知る者

2: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/10/20(木) 16:33:00


渋谷某所

 ビルの屋上に人影が揺らめく。
 その人影は右手にアイスバーを持ち、左手にスマートホンを持っている状態で下を見下ろしているのだった。
 そして、その人影はスマートホンに向かって気がかりなことを語る。何もかも見据えているのかの様に。
「今回の事件の犯人はわかっている。だからお前は闇の生命体“闇人(やみびと)”でも喰らってろ」と人影の正体・ユラキが言った。
 神々の消息事件の犯人はユラキの兄・サラキなのだ。
「サラキは俺がぶっ潰す。だからお前は闇人でも喰らっていればいいのさ」とユラキは続ける。
 そして、スマートホンの通話を切り、ビルから飛び降りた。
 見事に着地成功。
 そして、ユラキは呟く。「小腹すいたなー。闇人でも喰うか」と。

6: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/10/24(月) 22:22:03


東京A地区高等学校

 ある大臣の提案で関東をアルファベットで分けることになった東京都。
 一時期反対の声が挙がったが、今では何とも思っていない都民。
 ここはそんな東京A区の中でレベルが高い高校である。


 ズラっと並べられた順位。それを真剣に見つめる生徒達。
 それもそのはず。何せテストの学園の順位なのだから。
「やっぱ比奈乃ちゃんはすごいね」と一人の女子が呟く。
「それに比べて秋太はビリ。本当に幼なじみかよ」と一人の男子が呟く。
 名前があがった二人の男女。
 斉藤比奈乃。彼女は学年1位の成績を連続で所持中の高2。
 秋山秋太。彼は万年学年ビリ。比奈乃の幼なじみである。ちなみに高2。
 そんな二人に迫る脅威にまだ二人共気づいていなかった。というか気づけるはずがないのだ。


補修室

 ここはダメな人が集まる補修室。それもそのはず。補修が行われるところなのだから。
 真剣な表情で補修を受ける秋太。そんな彼の姿を見つめる比奈乃。どうやら彼が補修を終えるのを待っているようだ。

7: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/10/25(火) 17:30:06


数十分後

 秋太は補修室から出てきたのをみはらかって比奈乃が秋太に「一緒に帰ろ」とニコやかに言った。
 秋太は頷いた。


帰り道

 秋太と比奈乃は楽しそうに話しがら帰っていた。
 すると、がたいのいい三十代の男が二人に向かって「私の獲物になってもらいます」と言った。
 その男は唸りながら“変形”した。“闇人”に。

〈第1話〉…おわり

8: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/10/26(水) 16:50:51
〈第2話〉
闇を喰いし者

 秋太と比奈乃はただ呆然と立ち尽くしている。
 頭には疑問府で埋まっているかのような表情で闇人を見ている。
 闇人は口をニッとして「チャーンス」と呟き、二人に飛びかかる。
 すると、秋太と比奈乃と闇人の間にユラキが空からダイブして、まるで二人と闇人の間に割ってはいるかのように登場した。

9: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/10/27(木) 16:07:55
「ドーーーン」という音が二人と闇人の周囲に轟く。
 しばらくするとユラキが首を「コキリッ」と鳴らし「何だ。“全体系”か」と呟く。闇人に向かって。
 すると、焦った表情を隠しきれない闇人が「お前は……ダーク・イーター!」と言った。
 ユラキはニヤッとして闇人に飛びかかる。
 それを見た秋太と比奈乃が声を合わせて「「危ない!!」」と叫んだ。
 闇人は自分の手を挙げた。
 すると、その手が伸びてユラキに襲いかかる。
 しかし、ユラキはあっさりとそれを交わし、右手を握りしめ、それを闇人の顔面にめり込ませながら「右腕、解除!」と言った。
 すると、ユラキの右腕が光りだした。
 闇人は「うわ……うわーーー……」と叫んだ。表情は恐怖におびえている子供の様に。
「ドゴーーーン」といういびつな音が響きわたった。
 その音は……闇人が破裂した音だった。

10: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/10/28(金) 23:33:53
 しばらく沈黙する二人。それをよそにユラキはその場を去ろうとした。
 すると「おい! 待てよ! さっきのは一体何なんだよ! お前は何者なんだ?」と秋太が言った。
 ユラキは秋太に振り向き、「お前には関係ない。今日あったことは忘れろ」と言い残し、その場を立ち去った。
 そして、この出会いが秋太と比奈乃と彼等の周りの人物の人生を変えるのだった。

〈第2話〉…おわり

11: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/10/30(日) 16:43:50
〈第3話〉
祈りと野望

某所

 サラキは人間界を見下ろしていた。
 そして、呟く。「第一段階完了。ここまでたどり着いてこい。でき損ないの我が弟よ」と。


東京A地区 某所

 ユラキは実の兄・サラキを追って人間界にやって来たのだ。
 しかし、何故か闇人がユラキを襲う。人間に化けて。
 ユラキはただ、闇人を喰らう。人間が肉を喰らうかのように。当たり前に。
 そんなユラキに一通のメールが舞い込む。

12: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/10/31(月) 17:01:26
 頭に疑問府を浮かべながらユラキは携帯を開いて未開封のメールを開く。
 すると、「闇人“コア系”出現。直チニ始末セヨ。現在エー区ヲ往来中。被害者数不明」とメールに書いてあった。
 それを見たユラキは「必要以上に片仮名を使うな!」と画面に向かって怒鳴った。
 しかし、ユラキはあることに気づいて「“ホルダー”を呼ぶか」と呟いてその場を後にした。


帰り道

 秋太は頭を抱え込んでいた。
 なぜならば、小テストを見事に0点を採ってしまったからである。
 それとは対象に比奈乃の小テスト用紙には数個の丸と100点という文字が書き込まれていた。
 秋太はいつも(何故、こんな僕と一緒に帰ってくれるんだろう)と思った。
 すると、秋太と比奈乃の前に不良が立ちふさがった。
 不良は「おい。そこのかわい子ちゃん。俺と遊ぼうよー」と言ってきた。
 比奈乃は震えている。
 それに気づいた秋太は比奈乃を守ろうと決意したのだった。

13: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/11/03(木) 07:49:31
 しかし、秋太は喧嘩などしたことのないただの頭も悪く、運動音痴のただの高校生。
 それに対して相手の不良はいかにも喧嘩と言う名の競技に連勝中という雰囲気を醸し出していて厳つい顔をしている。
 しかし、秋太はあのことを、ユラキと出会ったあのことを思い出す。闇人という化け物にあったことを……。


東京A地区 某所

 ユラキの前に右膝を立て、その上に右肘を置き、左膝を地面に付き、左手をその上置き、「お呼びいただき光栄です」と一人の男が言った。
 それを見たユラキは「お前は相変わらず堅苦しいな」と言った。
 このユラキに堅苦しい挨拶をした人物が“ホルダー”なのである。

14: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/11/03(木) 12:07:38


帰り道

 秋太は不良によって町の灰となった。
 喧嘩で手も足もでなかったという結末。
 比奈乃は涙を流しながら泣き喚いていた。
 不良は表情を硬直したまま体をブルブル震えている状態。
 何故、不良が平常心ではないのかというと……秋太を……殺してしまったからである。


東京A地区 某所

 二つの人影がビルを跨ぐ。
 もう一つの人影・闇人を追い詰めていく二つの人影・ユラキとホルダーのラント。
 二人と一匹と少年の死で東京全土が混沌に包まれる長い一日なるとはまだこの時、誰にも予想できなかったに違いない。

15: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/11/03(木) 14:32:55


帰り道

「おや、お嬢ちゃん達どうしたの?」と神父服の男が比奈乃と不良に話しかけてきた。
 しばらく黙ってから「あの人が秋太を殺したの……」と比奈乃が不良を指さして言った。
 すると、神父が「ではあのかたを殺して彼を生き返らせて差し上げましょう」とにこりと笑みを浮かべていた。
 比奈乃は混乱しているうえ、不良が憎くて仕方がなかった。
 だから、彼女は誤った選択をしてしまった。「お願いします」と言ってしまったのだ。


高層ビル 屋上

 ユラキは追ってきた闇人をしとめてふと思った事を口にする。
「情報によると今回の獲物は“コア系”だった。でも、こいつは“全体系”だった」とユラキが言った。
 すると、ラントが「どうやら獲物を間違えたようですね。しかし、本部からの命令の闇人を喰らわないと大変なめに遭ってしまいます」と言った。
 しばらく黙ってからユラキが「探すか」と呟いた。

16: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/11/04(金) 16:25:21


帰り道

 比奈乃の目の前で非常事態がまた発生した。
 神父が不良に近づき、首に掛けてある十字架を不良の顔に近づけて呪文のようなものをブツブツと言いながら唱えている。
 すると、不良の口から白い固まりが出て来た。
 それを見た比奈乃は一目で魂と言うことがわかった。
 神父はそれを手で掴み、秋太の口に突っ込んだ。
 不良はバタリと倒れてピクリとも動かない。
 それを見た比奈乃はさらに沈黙を深める。
 それを見た神父が「大丈夫。不良の魂は秋太君の中で秋太君の魂になるから。それに記憶も秋太君のだから心配しないで」と言った。
 それだけを言い残し神父は去ってしまった。
 しかし、神父は心の中で呟く。
(これが祈りと野望。人の祈りを叶うことにより自分の野望に近づく)と。

〈第3話〉…おわり

17: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/11/05(土) 17:46:07
〈第4話〉
東京A地区、混沌に陥る

東京A地区 路地

 ラントがアタッシュケースを開きながら携帯電話をいじっている。
 ユラキは携帯電話を耳に当てながら“本部”と連絡をとっていた。
「だから今回の闇人の出現情報とは違う闇人が出たんだよ! お前等は“コア系”つったけど俺が喰らったのは“全体系”だ!」と半ば怒鳴り気味のユラキが言った。
 それを聞いた“本部”は「確かに我々が受け取った情報は“コア系”だ」とユラキとは対象的な冷静さで答えた。
 ユラキは眉間にシワを寄せながら携帯電話の電源を切った。
 すると、「ユラキさん、今回のターゲットの正体がわかりました」とラントが冷静に言った。
 それを聞いたユラキは「そうか! なら教えてくれ!」と半ば怒りを押さえながら言った。

18: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/11/06(日)


某教会

 神父はニヤけながら首に掛けてある十字架を弄んでいた。
 そして、心の中で(もう少し。もう少しで俺の計画は達成される)と神父が心の中で呟く。
 しかし、神父の予想を遙かに越える出来事が始まる。
 数分後、バゴーーーンという爆音が教会に響きわたった。
 神父は頭に疑問府を浮かべた。
 しかし、神父はすぐに出来事を理解した。
“ドアを爆破された”ことに。

19: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/11/06(日) 19:50:26
 すると、神父が眉間にシワを寄せながら立ち上がり「テメー等はダーク・イーターと“ホルダー”だな」と言った。
 それを聞いたユラキは「そうだぜ。かかって来いよ」とニヤッと口を歪ませながら言った。
 すると、神父が「なめんじゃねーーーーー」と怒鳴り散らした。


帰り道

 今だに比奈乃は秋太が生き返ったことが信じられないでいた。
 しかし、比奈乃は秋太は前と何も変わっていないことは確かめてわかっている。
 だが、秋太が生き返った事がまだ、これから先も信じられる自信がなかった。

20: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/11/07(月) 22:26:32


某教会

 神父が十字架を右手に握りしめながらブツブツと呪文を唱える様に言った。
 すると、十字架が超薄型のブーメランに変形した。
 それを見たユラキが「おい、ラント。刀を出せ」とニヤけながら言った。
 それを聞いたラントが「畏まりました」といってアタッシュケースから刀を取り出してユラキに渡した。
 ユラキは刀を手に取り、「サンキュー」と言って構えた。
 そして、ユラキはニヤッと口を歪ませながら「始めようぜ。偽善者神父さんよー」と挑発口調で言った。

21: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/11/08(火) 15:57:04
 すると、神父が「ほざけっ! クソガキっ!」と言い終わった後に地面を蹴り、ユラキに襲いかかってきた。
 ユラキは心の中で(ブーメランって投げるものだよな?)と呟いてから地面を蹴った。
 すると、キンッ…という金属音が教会に響きわたった。
 ユラキは神父の弱点“コア”がどこにあるのかを事前にラントから聞いてあった。
 しかし、いつそのコアを壊すのかをタイミングをみはらかって考えようと思ったユラキだが、神父がブーメランを握りしめながら振りかざす。
 ユラキは心の中で考える。ない知恵を振り絞って。
 そして、ユラキは閃く。一つの策略を。
 神父の右足ががら空きなのに気づいたユラキは自分の右足で外側に払った。
 すると、神父が頭から倒れた。
 これを見逃さなかったユラキは勝利を確信したが……思わぬ展開になるとは思っても思えられぬはずがない展開が起こるとは知るはずがなかった。

22: 名前:カロン (83LTWsJLJQ)☆2011/11/11(金) 15:11:29
 ユラキは神父の上に跨り、コアである“十字架”を刀でまっぷたつに斬った。
 すると、斬られた十字架が黄緑色に光りだした。
「なんだこりゃっ!?」とユラキは思わず目を塞いでしまった。
 その隙を見逃さなかった神父はブーメランをユラキに向けて投げつけた。
 しかし、それは空しく空振った。
 神父は舌打ちをして体が消えていった。神父だけが。
 この時、ユラキとラントは終わったと思った。完全に。
 しかし、これは東京A地区の混沌の序章にすぎなかったと気づくのにはまだ、時がそれほど経っていなかったのだから気付けるはずがないのだから。


比奈乃の家

 比奈乃は今日あった事を忘れようと決意した。
 そして、いつも通りに秋太と一緒に帰ったり、しゃべったり、笑ったり、泣いたりしようと決意した。
 決意したのに何故か彼女の目から涙が溢れていた。混乱状態に陥ったかのように。


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最終更新:2012年08月11日 08:24
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