22: 名前:雷蓮☆2011/07/16(土) 23:24:14
~教室~
「おい、まーいー??」
心配そうに覗き込む康介。
「いいかげん、機嫌なおせよぉー」
ごめんね、康介。まだ、許せないんだよね。
「舞ちゃん」
声の主は、蔵間君。
「さっきは連が失礼な事言って、ごめんね」
「蔵間君が謝ることないよ」
「蓮は言われるまで気づかないから・・・」
「だからって、甘やかせちゃダメだよ!!
蔵間君も困ってるんならなおさらだよ!!?」
「う、うん・・・」
蔵間君はおどおどしてる。
オネエの時のあの自信は、どこへ・・・。
我慢の限界がきて、私はアイツの席に行く。
バァンッ!!
「っ!?」
突然、私が机を叩いたから驚いた蓮君。
「チビにもプライドがあるの!!
ちょっと腕だして!!」
「はぁ・・・?」
訳が分からない蓮君、怒り狂ってる私。
「いいから!!腕、出してってば!!」
「は?え、ちょっ・・・!!」
グイッ!!
強引に蓮君の腕を引っ張って、
パシッ!!
思いっきりしっぺをした。
見ていた康介、鈴音、蔵間君、
そしてやられた蓮君は唖然・・・。
「もうチビって言わないでよ?」
「・・・・・・」
「ちょっと?」
「・・・・・・・・・」
「ねぇってば!!ちょっと!?」
「・・っく、ぷく、く、あっはははははは!!
ダメだぁーーーー!!我慢できねぇーーーー!!
あはははははははは!!」
私の開いた口がふさがらない・・・。
どうしてこんな状況で笑えるの・・・?
「おっ、お前っ・・・・くくくっ・・・。
お仕置きに“しっぺ”って・・・くく・・!!
お笑いにもほどがあんだろ!!」
「なっ!?バカにしないでよ!!
暴力は嫌いなだけ!!」
「おっ、おい、・・・くくっ、早乙女!
こういう奴なのか?・・・ぷっくく!」
「うん・・・まぁね。あんま笑わないであげて」
なぜか、笑いがどっとこみ上げてるみんな。
私だけ、その日の数時間は不機嫌でした。
24: 名前:雷蓮☆2011/07/16(土) 23:48:28
~教室~
私は久しぶりに朝早く登校。
まだクラスの中には誰もいないから、
教室の窓から一人で景色でも眺める。
こうやってゆっくり景色を見るのもいいよね・・・。
「何やってる、ストーカー女」
そう、こういった幻聴も聞こえるんです。
そう、聞こえるんです。
え?聞こえるんです?幻聴?ちょっと待って。
今、もんのすっごい聞いたことのある声が・・・。
「何スルーしてんだ、しっぺ女」
「な、何でいるんですか!?」
「何でっていて悪いのか?」
「いや、全然いいよー。ってチガウ!
何でこんなに早く来てるの?ってこと!!」
「あ?そりゃー、お前だって同じだろ?」
「私は気になるから質問してんです!」
「気になるも何も、俺ら日直じゃん」
「あ・・・」
何のために早く来たの・・・。
何のためにめざましを早くセットしたの・・・。
そう、日直だから・・・。
言われるまで全然気づかなかった。
学校にくるまで全然思い出せなかった・・・。
「お前、天然だよなー。ぜってぇー告られても分かんねーよ」
「失礼な!告白くらいは分かりますー」
「フン・・・。ま、鈍感女にゃそれぐらいがいいんじゃね?」
何、その言い方。また、頭にくる・・・。
でも・・・なんかこの時間が楽しく感じる。
蓮君といれるこの時間が・・・。
私のことは、チビとしか見てないだろうけど
それでも会話で目が合ってるなら幸せだな・・・。
「おい?なに、ニヤけてんだ?」
「えへへっ!別にー」
「・・・変な奴」
「お互いさまにね」
不良を感じさせない蓮君の態度、
それになにげに優しくしてくれる。
そういうところがもっと愛しくなるんだよ。
ねぇ、天然なんかじゃないよ。
ねぇ、鈍感なんかじゃないよ。
ちゃんとこの気持ちが何なのか、分かってる。
蓮君の目に私が映るように頑張るよ・・・。
心の中でそう語りかけた。
君に夢中になるまであと5秒・・・。
25: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 10:16:36
~4時限目 数学 ~
「ですから、ここにXを・・・」
先生は必死に黒板に板書。
それをもろともせずによそ見している、蓮君。
蔵間君はちゃんと集中してるのに・・・。
この差はなんだろうか・・・。
「じゃあ、亜久間君、ここの問題解いてください。
よそ見しているほど、この授業はつまらないようですからね」
先生がイヤミっぽく言う。
蔵間君が心配した顔で蓮君を見る。
「そうっすね。つまらなかったんで。
ここの問題解きゃいいんですね?」
「もちろんです。まぁ、難問ですからすぐには・・・」
「解けました」
「!?」
先生もクラス中もこれにびっくり。
何より先生の顔が、驚きと悔しさであふれてる。
蓮君はなにくわぬ顔で、席に戻る。
男子なのに、字が綺麗なのも驚き・・・。
それにクラスの女子(鈴音と舞を除く)は、
もろともしない蓮君を見て黄色い歓声・・・。
「先生、これで文句ないですか?」
「え、えぇ・・・」
先生も面目丸つぶれ・・・。
蔵間君は安心した顔で、私に微笑んだ。
蓮君、不良なのに頭良かったんだ・・・。
新たな発見に、少しドキッとした4時限目の数学---。
26: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 10:48:39
~お昼休み~
「あぁーーーー!!やーーっと終わったぁ~!!」
康介が4時限目終了のチャイムと同時に叫ぶ。
蓮君は相変わらず、つまらなそうな顔。
蔵間君はお昼の準備・・・。
私と鈴音はいつも屋上でお昼を食べる。
「舞、屋上行こう」
「あ、うん。待ってね、今行く」
お弁当箱を出して、屋上に向かうその時・・・。
「しっぺ女」
呼び止められた・・・。
「な、なに?」
声をかけられたのに内心驚く。
「蔵間もいっしょだから、俺らと食え」
「何を?」
「昼に決まってんだろ。嫌か?」
嫌も何も・・・いきなり??
「んと、鈴音も一緒でいいの?」
「俺が特別に許す。屋上で食べるぞ」
本当に俺様だなぁー・・・。
すると後ろから康介が「俺も!」ってねだるから
仕方なく康介も・・・。
- ん?待ってよ。このメンツでお昼って・・・。大丈夫なの??
27: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 11:44:38
~屋上~
「へぇ~、鈴音ちゃん一人っ子かぁ~」
「まーね。寂しく感じる日、多いけど」
「じゃ、その時は俺、鈴音ちゃん家に行くよ」
「本当?ありがとう!そういや、蔵間くんオネエはどうしたの?」
「んー?あぁ、入学式限定のキャラ!」
「元は普通なんだね?安心したー」
「ありがとね。あ、鈴音ちゃんアド交換しようよ」
「全然いいよ~」
鈴音ちゃんは普通に蔵間君と仲良くなってる。
康介は蓮君に質問の嵐。
「なぁ、不良やって何年目?」
「知るか。いちいち数えてっほど暇じゃねぇんだよ」
ぶっきらぼうな蓮君。それでもめげない康介。
「じゃさ、何で頭いいの?」
「勉強もすんだよ。たまーにだけどな」
「へぇ~。んじゃさ、喧嘩したこと・・・」
「あるに決まってんだろ。じゃなきゃ不良じゃねぇよ」
「だよなー。過去に彼女は何人いた?」
え・・・。ちょっと、康介!?
気になってること何で康介が聞くの!?
「それ聞いてどうすんだよ」
蓮君が康介を睨む。
「どうもしねーよ。気になるんだ」
「女なんてつくらねぇよ、アホ」
「なんだ、てっきりいるんだと思ってた」
「いたらどうするつもりだったんだ」
「ん?紹介してもらうつもりで・・・」
「バーカ。誰がお前に言うかよ」
「なんだとぅ!?もっかい言ってみろ!!」
ギャーギャー
意外と息が合ってる二人。
漫才でもやっているように面白い。
なんだか蓮君が悪い人には見えない。
正義のヒーローじゃないのかなって思ったりもする。
「おい、何ニヤけてんだ?」
「わあっ!?」
「お前、今日の朝もニヤけてたよな?大丈夫か?」
「なっ!?病気じゃないから大丈夫です!」
慌てて手で顔をかくす。きっと顔真っ赤だよ・・・。
「舞・・・?」
後ろから声がした。
「ふぇ?あ、伊玖!」
驚いた顔で立っている伊玖。
「伊玖、はよ~」
康介がお昼なのに朝のあいさつ。
「伊玖、やほ~」
鈴音もにっこりあいさつ。
「鈴音、康介、新しい友達??」
「あぁ!蔵間じゅんに、亜久間蓮!」
「どーもー(ニコッ」
「フン・・・」
蔵間君は、愛想よく笑顔であいさつ。
蓮君は相変わらずぶっきらぼう、
「俺は蓮堂 伊玖」
珍しく伊玖が自分からあいさつする。
「伊玖くんってさ、無口なんだって?」
蔵間君が言う。
「人見知りだから・・・。みんなでお昼?」
「まぁね。伊玖くんもこない?」
「俺、先生に呼ばれてるんだ。じゃ」
タタタ・・・
口数少ない伊玖は、仲良くないとたくさん話さない。
「伊玖くんて、モテるでしょ?」
ふと蔵間君が聞く。
「小学校、中学校ともに大人気。
自覚ないんだけどねー」
康介が羨ましそうに言う。
「舞と伊玖のウワサが流れたときは、
伊玖が怒ってさー。すごかったね、あれ」
康介が懐かしげに語る。その脇で鈴音もうなずく。
「お前らがか?」
予想外のことに、蓮君が聞く。
「そうそう。仲がいいから勘違いする女子が増えてねー」
鈴音が腕を組みながら思い出している。
「舞が伊玖とのウワサは嘘って言ったんだけど、
嘘じゃないんだろって言った女子一人がね、
舞の頬を平手打ち・・・」
「あの時は仕方なかったんだよ」
私は少し痛い思い出を思い出した。
「んでそれ聞いた伊玖が、
その女子にすっごく怒ったの。
その時の顔が、今まで見たことない顔でねー。
男らしいって言ったらいいのかなー。真剣だったね!」
康介がうなずく。
「そんなことがあったんだ」
蔵間君が意外そうに私を見る。
「お前でもそういうことあんだな」
驚いた顔する蓮君。
なんか言い方が引っかかる。
キーンコーンカーンコーン・・・
「あ、そろそろ教室に戻らないと」
私が言うとみんなお弁当を片付け、
教室へ向かった。
その途中、蓮君の視線が私に向けられていたことは
知るよしもなかった・・・。
28: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 12:18:38
~放課後~
放課後。
私と蓮君は日直で、
教室の窓が開いてないかとか
念入りにチェックしなければならなかった。
「チョークの本数、よしっと」
チェックシートに次々と書き込んでいく。
蓮君は何してるんだろう・・・。
さっきからずっと黙ってこっちを見てる。
気になるものでもあるのかな?
「あの、蓮君??」
「・・・。」
返事がない。私の顔をじっと見る。
「もぅ、なにしてるの!?早く終わらせて帰ろうよ!」
仕事してくれないと、帰るのが遅くなる。
「・・・お前・・・」
「なに?」
「・・・」
「蓮君??」
「近くで見ると、可愛いんだな」
「・・・・・・え?」
「聞こえなかったか?なら、・・・いい」
そう言うと、蓮君は教室のカーテンを結び始めた。
え・・・?ちょっと待って・・・。
今・・・なんて?
「勘違いすんなよ。ただ、可愛いって言っただけだからな・・・」
夕日のせいだろうか。みるみる顔が赤くなる。
「ん?なっ!?お、お前、何赤くなってんだよ!!?」
「へ!?な、なってないよ!!夕日の性だから!!」
慌てて後ろを向いて顔をかくす。
もう、何で“可愛い”なんて言うのー・・・。
ドキドキが止まらない。
と同時に、どんどん蓮君に惹かれていく。
この気持ち、言葉には表しきれないでしょう---。
29: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 12:44:48
~蓮side~
「・・・お前・・・」
「なに?」
「・・・」
「蓮君??」
「近くで見ると、可愛いんだな」
あ・・・。心のなかで思ったことが、自然と口に出ていた。
舞は唖然としてこちらを見る。
これ以上、見つめられたらヤバい・・・。
「・・・え?」
「聞こえなかったか?なら、・・・いい」
俺は舞から視線を外し、
教室のカーテンを結びに窓の方へ行く。
「勘違いすんなよ。ただ、可愛いって言っただけだからな・・・」
夕日が俺たちのいる教室を、鮮やかに照らしだす。
ふと、気になって舞の方に視線を移すと舞の顔が超真っ赤。
「ん?なっ!?お、お前、何赤くなってんだよ!!?」
「へ!?な、なってないよ!!夕日の性だから!!」
慌てて後ろを向く舞。
舞に何赤くなってんだよって言っておいて、
自分の顔も赤いだなんて不覚・・・。
最初に逢ったときから思ってたが、
俺はコイツのこと好きなのかもしれない。
一目惚れだったのかもな。
チビで、訳も分からずしっぺしてくるコイツに。
ま、そーいうとこが可愛い。
女に「可愛い」なんて言ったのは初めてなんだからな。
佐藤舞、覚悟しておけよ?
ぜってぇーに振り向かせてみせる。
だから、よそ見すんじゃねーぞ。
舞の後ろ姿に語りかけた・・・。
30: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 13:27:53
~舞side(普通視点)~
私と蓮君は日直の仕事が終わり、
担任の武塔先生に提出しに職員室へ向かう。
「先生、これ」
「おぉー!待ってたぞ~!どれどれ・・・」
武塔先生はまだ二十歳ちょっと過ぎくらい。
女子からの人気は絶大で、ファンレターが毎日机に置いてあるという。
「よしっ!完璧だな!!お疲れさま!」
先生の元気な声とその姿には、さすがにキュンとする。
「あ・・・。おい、蓮!」
「何か用か、ロリコン」
ちょっ!?蓮君!!?先生に向かってその口は・・・
「相変わらず、口の悪さと喧嘩ごしなのは健在だな」
え・・・?先生がニッと笑う。
「うっせーよ。早く用件言えや」
「カギ、忘れてったろ?ほい」
「フン。たまには役に立つんだな」
「お前の担任なんだから、ちょっとは敬え」
「誰が敬うかよ」
どういうことなのだろうか・・・。
先生と蓮君は、、、友達???
「先生、蓮君とは・・・」
「あぁ、親戚なんだよ。よく小っさいころに遊んでた」
「こんなの親戚の覚えはねぇ」
そうなんだ!だからこんなに仲いいんだ!
「そうだったんですね!仲いいですね~」
「は?コイツと俺?冗談、冗談!もう可愛くないから!コイツ!」
「可愛くなくて悪かったな、武塔せんせー?」
「うわっ!!気持ち悪っ!!せんせー呼ぶな!!」
「はぁ!?おまえが敬えって言ったんだろーが!!」
蓮君の額に血管が浮き出る。
先生は冷静に対応する。
「ほら、すぐケンカ腰。だから女が逃げるの」
「うるせぇよ、フラれたくせに」
「ぶっ・・・!なっ、なんで知ってんだよ!?」
「やっぱマジだったのか・・・」
「おい!誰に教えてもらった!?」
「蔵間に決まってんだろ。
お前に相談されるなんて思ってなかったから
ビビってたぞ、アイツ」
「蔵間ーーー!!」
兄弟のような会話にフッと笑みがこぼれる。
「何笑ってんだよ、舞」
「いや、何か面白くって」
「舞さんは天使だな~」
「お前が言うと汚れるから、もうしゃべんな」
「ひどい!!」
蓮君も楽しそうで、私も嬉しくなる。
蓮君にはたくさんいい人がいるんだね。
また一つ蓮君に近づいた気がして、嬉しかった。
32: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 13:55:16
私がカバンに荷物をつめて、
帰ろうとしたとき蓮君に呼び止められた。
「おい、舞」
どきっ!
改めて名前を呼ばれると恥ずかしい・・・。
「なに?」
ここは普通にいこう。怪しまれないように・・・。
「どっか寄ってくぞ」
え!?
「ど、どっかってどこに?」
「逆に聞く。おまえはどこに行きたい?」
「え・・・?う、うーん・・・」
「特に決まってないなら、俺が決めるぞ?」
「あ、じゃあ蓮君が決めて」
「・・・分かった。じゃ、行くぞ」
「うん!」
前を行く蓮君の背中を、追いかける。
今、蓮君は何考えてるのかな・・・?
「・・・」
どんっ!
「わっ!?」
どすっ!
急に止まった蓮君にぶつかった。
「いたた・・・。ご、ごめんね、蓮く・・・」
「蓮・・・?」
蓮君の視線の先には、綺麗な女の子。
髪の毛はカールで、薔薇のいい匂いがする。
足も細くて、美人とはまるでこの人のことを言ってるよう。
「瑠菜・・・?」
私はこのときまで知らなかった。
この女の子が蓮君にとってどんな関係の人かを---。
34: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 14:20:40
~夜~
あの後私は、
「ごめん。ちょっと急用できたから、帰っていい」
って蓮君に言われたから帰ってきた…。
なんだけど……。
さっきから心がモヤモヤしてしょーがない…。
どうしたんだろう…?風邪かな…?
目を閉じれば、さっきの光景が浮かぶ。
ズキンッ!
「痛ッッ……!」
心臓が…痛い…。
今日は早く寝た方がいいのかな…?
明日、鈴音に相談しよう。
その夜、私はあまり寝付けなかった。
35: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 14:52:25
~翌日~
学校に行く足取りが重い…。
やっぱり、風邪なのかなー…?
「舞ちゃん」
この声!!
「蔵間君!!」
「ちょーっと、時間もらえる?」
「え、あぁ、もちろん!」
「じゃ、屋上でもいいかな?」
「うん、全然いいよ!」
こうして二人、屋上へ向かった。
~屋上~
蔵間君は、
辺りに誰もいないかを確認してから言った。
「あのさ、昨日蓮と女の子に会わなかった?」
「え…」
「図星って…トコ?」
「っ……」
「そんなに蓮のこと、好きなんだ?」
「なっ…!?」
「やっぱりね~。舞ちゃん、素直だから分かるんだ~」
「いじわるしないで…」
「え?あぁー!!ご、ごめんね!ごめん!!だから、泣かないでーー!!」
-3分後-
「心臓が痛い??」
「うん…。ズキズキしてね、痛いの」
「そりゃー…」
「…?」
「ヤキモチ…じゃないかな?」
「やき餅?」
「ううん、ヤキモチ」
「それって、病気?」
「いいや。あー、でもある意味そうなのかな…」
「えぇ!?」
「あ、大丈夫!安心して!死にはしないから!」
「よ、よかったぁー…」
「舞ちゃん、蓮を好きな気持ちは今も同じ?」
「え?あ、そ、それはもちろん」
「じゃぁ、俺、協力したげる!」
「本当!?」
「うん、舞ちゃんには蓮と仲良くしてもらってるしね。
それと、今ちょーっとピンチなんだ」
「ピンチ? 誰が?」
「舞ちゃんの想い人だよ」
想い人って…蓮君!?
37: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 15:56:25
「舞ちゃんの想い人だよ」
蔵間君がそう言った瞬間、
冷たい風が私をに吹き抜ける。
「ど、どういうこと…?」
「昨日会った女の子の名前は、鳳来 瑠菜 (ほうらい るな)。
有名な会社の社長のご令嬢。
この子に気に入られたのがやっかいだったんだ」
「気に入られた?」
「そ。父親に内緒で夜中に一人で出かけてたその子は、
街でガラの悪い不良たちに絡まれたんだ。
んで、そこをたまたま通った俺と蓮が、その子を助けたってわけ。
そーしたらさぁ、蓮に惚れたご令嬢が
婚約をせまったんだけど、みごとにフラれてねー。
んでね、その子、今度フランスに留学すんだって。
だから、まだあきらめられないお嬢様は、
無理やり海外に連れてって
誰にも邪魔されないところで結婚式を挙げようってわけ」
「ずいぶんと強引だね…」
「そーなんだよー。
それに蓮が海外に行ったら、
ここら辺をおさめてる大将がいなくなるってことだ。
そしたらここらは、不良の戦争場になる。
治安が安定しないのと同じくらい、ヤバい。
そこで、あのご令嬢を説得して、
何とかあきらめるようにしてほしいんだけど…」
パンッ!
蔵間君は、両手を合わせて頭を下げる。
「舞ちゃん!! 協力してください!!」
穏やかな朝に、冷たい風が吹き抜ける。
想い人をかけてのゲームスタートまで
あと5秒---。
39: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 16:30:27
~蓮side~
昨日、瑠菜に会って言われた言葉…。
まさかここまでつけこまれるとは…。
-昨日の回想シーン-
「さっき一緒にいた女の子、誰?」
「お前には関係ないだろ」
「関係ある!私の好きな人に女がいるなんて…」
「日常生活につけこまれるくらいお前とは仲良くねーんだけど?」
「っ……!!」
「分かったらさっさと行け」
「…嫌よ…。そんなの、絶対に許さないから!!」
「何を許さないんだ?お前の夫になったつもりはねぇんだけど」
「私にできないことはないわ!!
あなたを無理やりにでもフランスに連れていく!!」
「できるわけねーだろ。現実見ろ」
「この私はお嬢様よ?私一人でとは言ってないわ」
「セコい奴だな…。女のくせによ」
「別にそう思われても気にしないわ!そばにいるだけでいいの…」
「そういうのはぬいぐるみだけにしとけ」
「必ず、あなたをフランスへ連れていく。
どんな手を使ってでも…ね」
「だから金持ちは嫌いなんだ。特に女はな」
「さっきの女があなたのタイプ?」
「お前よりは何倍もマシだ」
「私、ここにいられるのはあと2週間だけなの。
それまであなたの学校でお世話になるわ。
せいぜい、最後の学園生活楽しんで。
では、ごきげんよう」
コツコツ---
-現在-
あぁー…。蔵間にバレたかな…。
瑠菜、本気の目だったしヤバいかもな…。
男だったらボコボコだが…。
さすがに女相手だと、それは無理だ。
ご令嬢だしな。
下手すれば舞に何かしかけるかもしれねぇ。
ったく…。どうすりゃいいんだ…。
2週間の間に何かいい方法でも探さねぇと…。
俺がここを離れるわけにはいかねぇし、
ロリコン(武塔)に相談すっか…?
-その頃の武塔-
「ぶえっくしょん!! あー…。風邪かなー。
ちゃんとネギ食わねーとな…」
最終更新:2012年09月06日 04:31