40: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 18:03:43
~蓮side~の続き…
俺が学校について、一番に向かった場所。
それ、社会科準備室。
ロリコン(武塔)は、世界史などの社会専門の教師。
職員室にもよくいるが、いないときは大抵ここにいる。
コンコンッ
「今は誰もいませ…」
バァン!!
「いるじゃねぇか、ロリコン!」
「あれ??蓮??珍しい…」
「お前に相談したいことがある」
「…?」
「…って訳なんだが、どうすりゃいい?」
「うーん…。ま、どうするかは蓮次第じゃない?」
「そりゃ分かってんだよ。ただ、具体的ないい考えが思いつかねぇんだ」
「んー…。まずは、そのお嬢様を説得しなきゃな」
「それが俺にできると思うか?」
「無理だな。100年かかっても不可能だろうな」
「だろ? はぁー…。
お前が現国の教師なら説得術なんてお手の物なのにな…」
「残念な目で見るのはやめろ!悲しくなるだろ!」
「もう悲しいよ。お前には残念だよ」
「担任にんなこと言っちゃいけません!」
「どーでもいいから、考えろよロリコン」
「ロリ言うな!!んー…。
手っ取り早いのは、蔵間を使う方法が…」
「俺自身のことなのに、蔵間巻き込んで
取り返しがつかなくなったらどうする?
蔵間に合わす顔ないだろ」
「それもそうだな…」
「……」
「相手は女だろ?」
「あぁ」
「なら、舞ちゃんに説得してもらえば?」
「だから…、他人巻き込まない方法だっつてんだよロリ」
「すいません…」
「……」
「じゃ、先生が説得するか?」
「お前に何ができんだよ」
「この学園に来るなら、説得できるだろ?
やれるだけやってみればいいんだよ」
「……できなかったら?」
「そのために予備の方法も考える。放課後、また来い」
「…あぁ。サンキュな」
「お前を絶対に海外には行かせない。約束だ」
ゴッ
お互いのこぶしとこぶしをぶつけて交わした約束。
その時の武塔が、やけに男らしくて憧れた。
「…すまない。よろしく頼んだぞ」
海外か居残るかを賭けた勝負まで、
あと5秒---。
41: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 18:39:24
~舞side(普通視点)~
私は思い出す。
さっきの蔵間君の言葉…。
教室に行く前に言われた言葉…。
「舞ちゃんしか頼れる人はいない!
蓮はきっと、武塔先生に相談してる。
けど、きっと100%先生で説得できるわけない。
43: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 19:05:07
上の続きです!
間違って途中で書き込んじゃいました(汗
続きをどうぞ。。。すみません!
~舞side(普通視点)~
私は思い出す。
さっきの蔵間君の言葉…。
教室に行く前に言われた言葉…。
「舞ちゃんしか頼れる人はいない!
蓮はきっと、武塔先生にそうだんしてる。
けど、きっと100%先生で説得できるわけない。
舞ちゃんに頼る他ないんだ!!」
私に…できるだろうか。
蓮君を救うことが、できるのだろうか…。
「舞、どうした?」
「…康介…」
「何か悩み事でもあんのか?」
「え?あ、いやー……」
ダメだ…。後が続かない…。
「昨日、俺と一緒に遊んだから疲れたんだよ」
蔵間君の声。
「あ…」
私の顔をみて苦笑いする。
「ごめんね」
「ううん、全然」
「そっか。無理すんなよー」
康介が席に戻って何かを必死に考えている。
なにしてんだろう…?
「舞」
「あ、鈴音…」
「疲れてるときは甘いもの!はい、いちごオレ」
「わぁ~、いちごオレ!」
「舞、大好きだもんね」
「うん。ありがとう…」
「どした?」
「ん?眠いだけ」
「そ?…じゃ、私日直だからちょっと行ってくる」
「うん、またね」
「…」
「蔵間君」
「うん?」
「できるかな…?」
「俺らがあきらめない限り、大丈夫」
「フッ…。そうだね。
蓮君にまだ、新しいしっぺ技見せてないし」
「そっか。頼りにしてるよ、舞ちゃん」
「うん!」
鳳来のご令嬢に下剋上申し出るまで、
あと5秒---。
46: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 19:26:47
ガラガラッ
教室のドアを開ける音---。
ついに現れた、鳳来のご令嬢---。
「はーい、みんな席ついて~」
武塔先生の声に、みんな席につく。
瑠菜ちゃんは、堂々とほこらしげな顔で立っている。
「2週間だけだが、
ここのクラスメイトになることになった。自己紹介してくれ」
「私の名前は、鳳来 瑠菜。
庶民だてらのあなた達とは違うことをお忘れなく」
このとき、
クラス中の女子を敵にまわしたことを
まだ瑠菜ちゃんは分ってないだろう…。
47: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 21:10:05
~お昼休み~
「蓮!!」
「あ?」
「お昼、ご一緒しません?」
「無理。約束あるから」
「なら、私も…」
「無理。俺、お前のこと好きじゃねぇし」
スタスタ…
「…失敗だわ」
~屋上~
「わぁっ!蓮の弁当、豪華!!」
鈴音が驚きの歓声を上げる。
「蔵間がつくってるんだ。すげぇ美味いぜ?」
「褒めすぎ、蓮」
「マジだって。
世界中どこ探しても、
男で一番料理が美味いのは蔵間だ」
蓮君がほこらしげに言う。
その横で、康介が蓮のお弁当のおかずを取ろうとしていた。
それに気づかない蓮。
あ。今、康介が蓮の卵焼きを、ぬすんで食べた。
「一番のおすすめは、この卵やきー…」
ふと視線をお弁当に戻した蓮は、目が点になる。
今まであったハズの卵焼きが…ない。
ごくんっ
「…康介」
「ん、ん?」
康介は焦って飲み込んだせいで、
ごくんっと喉(のど)をならしてしまった。
「お前…、今、何食ってた…?」
「え、えっとー…」
「吐け。今、食ったもん吐け!!」
「ち、違う!!俺は食ってない!!マジで!!」
「じゃあ聞くが、
お前のその口の端っこについてる
黄色い物体は何だ……?」
蓮君の覇気がハンパない。
見ている私たちの背筋も凍ってしまう。
「き、ききき、黄色??お、おおお、俺ァ、しし、知らねぇよぉ???」
康介の声が、尋常じゃないくらい震えている。
しかも最後の「ぉ」が裏返ったせいで、疑いがもっと深まる。
「康介~。さっき食べたもの、超おいしかったよね~?」
鈴音は康介が白状(はくじょう)するのを手伝う。
「あぁ!めっちゃ美味かった!!…あ」
康介は自分の気持ちだけは、素直に話す。
だから嘘なんてすぐにバレる。
「嘘つく康介が悪いんだよ。ご愁傷様~」
鈴音が笑顔で康介に手を振る。
鈴音はいわゆる “ドS” なのである。
「鈴音ェェェェェェ!!!」
康介が大きな声で叫ぶ。
「康介…。悪い子にはお仕置きだ。歯ァ喰いしばれ!!」
ぎゃァァァァァァァァァァァァァァァーーーー!!
康介にくだされたお仕置きは、
蓮君によるビンタ500回。
ほっぺはふくれて、
おまんじゅうを頬につめてるみたい。
でも、さっきのは康介が悪い。
「うぅ…」
康介は赤くなった頬を冷やしている。
保健室の先生には、
眠気が冷めないから友達に手伝ってもらっただけです
っていう理由で、氷の入った袋をたくさんもらってきていた。
蓮君が面白そうに、康介を見る。
「なんだよ!!」
康介が反抗すると、
「んだとゴラァ」
不良モード全開の蓮様…。
そうなると子犬のように態度が小さくなる。
「す、すみませんでした蓮様…」
弟子…いいえ、舎弟が一人増えたお昼休みでした。
49: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 21:28:29
~放課後~
「蓮君!一緒に帰んない?」
私は思い切って蓮君に声をかけた。
「あ?舞じゃねぇか…」
驚いた顔する蓮君。
変に思われたかな?
「ごめん。俺、用事あるんだ」
「そっか…。分かった。また今度ね」
「あ、あぁ…」
蓮君は急ぎ足で教室を出た。
…大丈夫かな??
「気になる彼を追わなくてよろしいの?」
後ろから透き通った綺麗な声が教室に響く。
「ごきげんよう、舞さん。
あなたとお話しできる日を待ち望んでいましたわ」
辺りの空気が凍りついていくのが分かる。
気を引き締めて、隙のないように瑠菜ちゃんの方を向く。
すると彼女はゆっくり微笑んだ。
その笑みは天使のようで悪魔のよう。
それぞれの思いが混じり合うまで、
あと5秒---。
51: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 22:16:05
「蓮を追わなくてよろしいの?」
クスクスと笑いながら瑠菜ちゃんは言う。
「うん。…で? 私と話したいことって何?」
すぐ外にあるグラウンドから、
野球部やサッカー部の声がかすかに聞こえる。
「蓮とずいぶん仲がよろしいのね?」
「まぁね。よく話したりするから」
「そう…。ま、そんなことどうでもいいわ。
実は私、あなたと取り引きを行いたくて
ずっと待っていたの」
「…取り引き?」
「そうよ。これはあなたにとっても、私にとってもお得なこと」
「…内容は…?」
「今日、武塔先生からお話があったように
私は今週を含める2週間しか、この学園にいられないの。
それくらいは、ご存知よね?」
「知ってる」
「だから、舞さんには少し身を引いてほしいの」
「え…?」
「たった2週間でいいのよ?
私と蓮との時間を邪魔しなければいいだけ」
「邪魔するって…」
「あなたと蓮が話していることで、
それはもうりっぱな 邪魔 になっているの。
お分かりになって?」
「…でも、どうしても蓮と話さなきゃいけないときは…」
「その時は私の許可を得てから話すの」
そんな…。強引すぎるよ…。
「私は…、2週間だけ話さなければいいの?」
「ええ。そうしたらフランスに蓮を連れていくのはやめるわ」
「!?」
「こんなおいしい話はある? 私だからできたことよ? 舞さん」
「本当に蓮をフランスに連れていかないって約束する…?」
「もちろん。約束するわ」
「…本当だよね?」
「本当よ」
「……分かりました」
「クスッ。素直にそう言えばいいのよ」
「っ……」
「それでは、ごきげんよう」
彼女は私を見て一度微笑むと、
傍にいた執事に迎えの車をだすよう指示した。
私は教室で立ちつくしたまま、しばらく考えていた。
本当にこれでよかったのかと…。
52: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 22:57:55
~蓮side~
俺の用事はここ。
朝に社会科準備室でロリコン(武塔)と約束した。
コンコンッ
「新聞はいりませんよー…」
バァン!!
「来てやった」
「あのさ、蓮くん。
もうちょっと静に入ってこれないかな?
ドアがさっきから壁にぶつかって、壊れそうなんだけど…」
「この冷蔵庫ん中のアイス、もらうぜー」
「そして俺の話もよく聞いて…」
「え!? 舞さんが!?」
「しー…。うるせぇんだよ、バカ」
「だ、だって、まだ瑠菜さんは舞さんのこと…」
「顔はもう知ってる。あの日、舞も一緒だったんだ」
「あちゃー…。そりゃちょーっと、危ないんじゃ…?」
「分かってるよ…。きっといつか手を出してくる。
いや、もう出してっかも知れねぇ…」
「なんで彼女の誘いを優先しなかったの!?」
「男は、約束したら守る。それが仁義だ」
「そんなかっこいいこと言ってちゃ何もできないぞ!?」
「……」
「おいおい…。蓮…、お前、彼女できても
俺との約束を優先すんのか?違げぇだろ?」
「……」
「お前は、好きな奴放っておくほど不良なのか?」
「今は、舞の無事を優先したい。
俺が海外に行かないで、
事件に巻き込まれた舞を探すよりも、
俺が海外に行って舞が無事でいてもらった方が
よっぽどいいんだよ」
「…ふぅーん。蓮が女の子をここまで大事にするとはね」
「っ…!?」
武塔にそう言われた瞬間、
俺の顔がどんどん真っ赤になっていくのが分かる。
「え…。蓮…お前…」
「う、うるせぇロリコン!!こっちみんな!!
彼女いない歴がうつる!!」
「蓮、舞さんを泣かせるなよ!!」
「はぁっ!? おまっ、バカじゃねぇの!?
…って、何泣いてんだ!!気持ち悪ィ!!」
「だ、だっでぇ…!!」
一生の不覚。
ロリコン(武塔)に俺の好きな奴がバレた。
こうやって油断すんのがダメなんだよ、俺…。
不良全開モードで、ロリコン(武塔)を睨んでも
あいつは「よかったな」って言うばっか。
弱みを握られた…。ぜってぇー仇(あだ)で返ってくる。
チッ…。やっかいな奴が増えたな…。
53: 名前:雷蓮☆2011/07/17(日) 23:41:20
~瑠菜side~
コツコツ…
「バカな女…」
「どうされたのですか?」
私が蓮のことをあきらめるとでも?
冗談よしてよ。
私は 舞さんに 身を引いてもらっただけ。
引き下がるわけじゃないから。
それなのに、あっさりと騙されたわあの女…。クスッ。
「何でもなくってよ。これから、楽しみだわ」
「お嬢様、お遊びもほどほどに…。
これがお父様の耳に入れば悲しみますよ」
「あなたは黙って私に従っていればいいの。
忠実な犬で、主人の言うことを聞いてればいいのよ」
迎えの高級車に乗る。
バタンッ!
この執事の名は、 目黒 隆司 (めぐろ りゅうじ)。
私が幼いときから主従関係にある。
最近は私のやることに文句をつけて、
動かないことが多い。
「予定どおり、明後日には蓮を誘拐して空港に向かうわよ」
「…」
「返事は?」
「かしこまりました…」
「お嬢様がない」
「かしこまりましたお嬢様」
「…フン。最近つかえないわね、目黒?」
「…」
「これで最後よ。悪事も。日本も…」
私の顔が悲しく歪む。
車の中から眺める景色は、
まぶしすぎて鮮明すぎて思い出がしみこんでて、
涙が止まらなかった。
「目黒、蓮を手に入れるまで協力して…」
頬を涙で濡らしながら私は言う。
これが最後のわがままよ。
蓮だけいれば、私はどこまでも行ける。
だからお願い。 作戦が成功しますように…。
目黒は何も言わずに、ただアクセルを踏みつづけた。
54: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 09:33:47
~舞side(普通視点)~
私は昨日のことを相談するために、
蔵間君を探していた。
「あ、いた!蔵間君!」
「ん?あ、舞ちゃん」
「ちょっと相談なんだけど…」
私は昨日のことを、蔵間君に詳しく話した。
「…やけにおとなしすぎる…」
「え?」
「あれだけ強引な女の子が、
一晩でおとなしく引き下がると思う?」
「あ…」
「でしょ?」
「確かに、おかしい…」
「きっと罠だと思うんだ。
2週間、僕等が蓮に近づかなければ防御は手薄になる。
つまり、蓮を誘拐しやすくなるってわけ」
「じゃぁ、どうすれば…」
「僕等は正義のヒーローだ。
瑠菜ちゃんと同じく簡単には、引き下がらないよ」
蔵間君はポケットから小さいチョークを取り出し、
地面に棒人間を書いている。
「いい? あのお嬢様は、
僕等が引っかかったと思ってる。
なら僕等はあえて、騙されたフリをするんだ。
だから、お嬢様にも隙の一つや二つは浮き出る」
「なるほどー」
真剣になって蔵間君の作戦を聞く。
「きっとあの子、傍においてる執事を使う」
「ひつじ?」
「ううん、執事。メイドの男バージョンを言うんだ」
そう言うと、蔵間君は地面に「執事」の棒人間を書く。
「ここからだね…。上手くこの執事を利用できれば…」
私たちがいい作戦を考えていると…
「あれ? 蔵間君に舞さん!
どうしたの? 屋上で勉強会?」
いつの間にか後ろに、武塔先生が立っている。
「ん? あ、武塔先生、おはようございます」
蔵間君は礼儀正しくあいさつ。
「おはよー。 作戦、進んでるー?」
え…? 先生、今なんて…?
「今、考え中です」
「え!? ど、どういうこと!?」
「あれ? 舞さんにまだ言ってなかったの?」
「うん。面倒くさかったから」
「蔵間!もっと俺を敬いなさい!
舞ちゃん、実は俺も手伝ってるんだ。よろしくね」
「はい!よろしくお願いします!」
武塔先生がこの作戦に加わってるなら、
結構な戦力になるかもしれない!
また二人、新たな戦力が加わるまで
あと5秒---。
55: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 09:50:04
「先生から話は聞かせてもらった」
先生の後ろから一人の声。
この声…
「康介!?」
やっぱり先生の隣に、康介がいた。
「どんくさいんだよ、蓮も舞もじゅんもさ~」
「本当。じゅんとメアドまで交換したのに、相談されないなんて」
もう一人先生の隣にでてきた。
「鈴音!」
「作戦、考えよ!」
新たに康介、鈴音が加わったから戦力も倍増えた!
「鈴音、康介…」
蔵間君が目を丸くしている。
「コイツらだけじゃないんだ」
「「え?」」
私と蔵間君は、さらに驚く。
「…初めまして…」
「「!!」」
康介たちの後ろから出てきたのは、
瑠菜ちゃんの執事---。
56: 名前:& (ePe9WrGK2o)☆2011/07/18(月) 10:16:18
「私は、鳳来家のお嬢様の執事。
名は、目黒 隆司 と申します」
「先生、大丈夫なんですか?
敵の執事をこっちにつけるなんて」
「うん、大丈夫だよー」
「その根拠は?」
「コイツ、俺の後輩なんだ」
「「「「え?」」」」
この発言には、私含める4人が絶句…。
「俺、高校のときサッカー部だったんだよ~」
先生が誇らしげに語る。
その横で目黒さんが、微笑む。
「私の憧れの先輩でした。
リフティングなどの基礎を極めるために
夜遅くまで練習していたところを
武塔先輩に見つかってしまったんです。
そしたら先輩が何度もアドバイスしてくださって
差し入れにアイスまでもらいました」
目黒さんが嬉しそうに話す。
へぇ~。そんなことがあったんだ~!
なぜか蔵間くんは、武塔先生を軽蔑の眼差しで見ている。
「それで、コイツも協力してくれることになった」
「武塔先生、エサで釣ったんですか…」
「ち、違うよ!協力したいって言ったのは目黒くんなんだよ!」
「え…?」
「私はお嬢様に、目を覚ましていただきたいのです。
どうか私も中に入れてはもらえないでしょうか?」
目黒さんは頭を下げる。
蔵間君は少し間を置いて言った。
「分かった。」
「あ、ありがとうございます!」
「ただし!
俺たちを裏切ったら無事に
日本から脱出できるとは思わないでください」
蔵間君が覇気のある雰囲気をただよわせる。
「はい、承知しました」
目黒さんは右手を自分の左胸にあて、
少し頭を下げた。
58: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 11:12:54
「じゃぁ、目黒さん。お嬢様は何をたくらんでるんですか?」
蔵間君が聞く。
「はい…。明日、お嬢様は蓮様を誘拐なさいます。
それを私は手伝わなければなりません」
「つまり、そこが勝負どきってことだな」
先生が腕を組んで考える。
「ならよ、いっそお嬢様を車に乗せなけりゃいいんじゃね?」
珍しくまともな意見をだす康介。
「それもそうね…。そして目黒さんが、どこかに蓮くんを連れていけば…」
康介の意見に鈴音が続ける。
「いっそ学校に戻ってきちゃえば?」
康介が思いつく。
「学校で誘拐するなら、一旦車に蓮を乗せて
学校のまわりを一周してまた学校に連れてくれば?」
「それならお嬢様もお気づきにはなられないか…」
目黒さんが納得する。
「でも、蓮君を誘拐するって言っても眠らせるんですよね?」
私が疑問をぶつける。
「いいえ。蓮様にも一芝居うってもらいます」
「というと?」
蔵間くんが聞く。
「蓮様には眠ったフリをしてもらいます」
「なるほど。でも、誰がそれを言うんだ?
下手したらお嬢様にあやしまれるぞ。
それに瑠菜ちゃんには何て言って車に乗せないつもり?」
蔵間くんの質問に目黒さんが答える。
「お嬢様にはお父様がお迎えに来ると伝えます。
そのときに舞さんに説得してもらいのですが…」
目黒さんが私を見る。
「説得ぐらいなら、全然いいですよ!
最初からそのつもりでしたし!」
「ありがとうございます」
「じゃぁ、作戦会議は終わり!
それぞれ時間をおいて教室に戻れ。
じゃないと瑠菜さんに怪しまれるからね。
最初は俺と目黒がここからでる。
その後は、鈴音と康介。次に蔵間。最後が舞だ」
「「「「 分かりました」」」」
作戦実行まであと1日---。
最終更新:2012年09月06日 04:31