君を好きになる5秒前 続き4

128: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 16:10:01


~舞side(普通視点)~


ガラガラッ…

教室の戸を開けて入ってきたのは蓮くん。

先生が困った顔をする。

「蓮くん、授業が始まっているので早く席に」

「はい」

珍しく言うことを素直に聞く蓮くんに、

数学の先生は驚愕する。

そこまで驚いた顔すると、

逆に蓮くんに失礼なんじゃないかな?って思った。

「クスクス…」

蔵間くんがこらえきれない声をもらす。

キッと蓮くんは蔵間くんを睨みつけた。


129: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 16:56:38


「それじゃ、授業続けますよ」

先生はどことなくご機嫌。

蔵間くんはまだ笑っている。

「クスクス…」

もう一人声がしたと思ったら康介…。

何で学習しないんだろ。

蓮くんがだまってるはずはないと思うんだけど…。

蓮くんを見ると…あれ? 笑顔で康介を見つめてる。

でもなんか、覇気がすんごい漂っている。

あぁ…あれは笑ってるんじゃないのか!

分かった時にはもう遅かった。

康介のおでこにコンパスが刺さっていた。

てか、蓮くんなんでコンパス持ってんの!?

鈴音は康介に刺さったコンパスを抜いて、

傷口に “ 故障中、触るな ”と書いた札を貼った。

康介も大変そう…。

私は苦笑いで康介を見つめた。

130: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 17:33:16


「こーすけー」

返事が返ってこない。

さすがに鈴音も心配な顔。

「失神ぐらいいつものことじゃない」

…前言撤回。

鈴音は物足りない顔をしていました。

ドSだったことを忘れていた…。

蔵間くんは康介の傷口に薬をぬっている。

気が利く蔵間くんには関心する。

「康介、傷口は深くないからね。
 2、3日で治ると思う」

処置が終わった蔵間くんは、

お昼の準備にとりかかる。

みんなで屋上でお昼を食べるというのに、

びくともしない康介。

仕方ないけど、置いていこう。

でも、鈴音は意識が戻るまで

康介のそばにいてあげると言うので

蓮くんと蔵間くんと私で屋上へ向かった。

133: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 21:39:50


~屋上~



「何でいつも起きる康介が…」

私は疑問に思ってつい、つぶやいた。

「あれ? 舞ちゃん、気づかなかった~?」

「んん??」

「蔵間、コイツに鋭い感なんてあるわけねーだろ」

「あ、そりゃそうか!」

???

私は頭に ? を3つ浮かべている。

「なーに?」

「康介はね、
 鈴音と二人きりになりたくて演技したの」

「えぇっ!?」

私は驚きのあまり、

フォークに刺していた卵焼きを落としてしまった。

「あぁ…卵焼きぃ…」

「泣くなよ、バカ。俺のやる」

「うぅ…ありがどーーー」

蓮くんは私に卵焼きを一つくれた。

「もー、びっくりしたよ蔵間くん」

「ははっ!舞ちゃんらしい反応だね」

「私は楽しくないよー」

しぶしぶお弁当のおかずを食べていく。

「ところで、舞ちゃん。
 今日の放課後さー、蓮を見張っててくんない?」

「えっ!?」

「はっ!? お前、一緒に手伝うって言って…」

「俺、合コンの約束あってさ!ごみんに~」

ごちそーさま!と元気に手を合わせて、

お弁当を片付け始める。

「ちょっと待てよ!!俺は、お前に…」

「舞ちゃんだし、問題ないでしょ?」

「っ!!」

「蓮くんを見張ってればいいの??」

「そーそー!蓮が逃げないようにね」

「分かった!!…でも、どこで??」

「ここだよ!武塔先生に居残り命令が出されたんだ」

「蓮くん、武塔先生の宿題出さないから…」

「うっせ。アイツにおめおめ従いたくねーんだよ」

「そういう個人的な問題は、返って仇になるよ?」

「…アイツに倍返しするって決めてっから、問題ねーよ」

「もう!すぐ熱くなるんだから…」

「てことで、蓮が居残りから抜け出さないように
 見張っててほしいんだ。
 俺にも連帯責任がかかってるんだよね」

「ざまーみろ」

「ちょっと蓮くん!? 反抗期はロリコン教師だけにして!!」

「ちゃんと見張っとくね!安心して!」

「そう? じゃ、お言葉に甘えて~」

「チッ…」

「こら、蓮!!舌打ちはレディーに失礼だよ?」

「誰がレディーだ、バカ」

「ひどい!!歴とした女性です!!」

「ちび」

「う、うるさいなーもーーー!!!」

私の怒声が軽く響いた後、

お昼の終わりを告げるチャイムが鳴った---。

138: 名前:雷蓮☆2011/07/25(月) 20:10:08


~教室~


「康介、楽しかったか?」

蓮くんがニヤリと笑いながら康介に話しかけた。

「あぁ!!おかげさまで!!……え?」

「どーもね、康介」

蔵間くんが蓮くんに続いてニヤける。

私は苦笑いで康介に手をふる。

「し、しまっ…」

「どーーーーしても、
 二人きりにならなきゃダメな理由があったんだな~?」

ほくそ笑む蓮くんに、康介は後ずさる。

相当、怖がっているようだ…。

蔵間くんが止めようとしたとき---

     ちゅっ!

「「「!!!」」」

私と蓮くんと蔵間くんは、絶句。

突然教室に響く、リップ音。

そう、鈴音が康介にキスしたのだ…。

ちょうど幼なじみの伊玖も教室に来たところで、

突然のことに衝撃を受けていた。

クラス中のみんなが振り向くまで、

あと5秒---。

139: 名前:雷蓮☆2011/07/25(月) 20:22:03


「あ!!康介が鈴音に---」

一人の男子が声を上げたとき、

 ガラガラっ!

武塔先生が教室に入ってきた。

「はーい、お前らー。席につけ…」

ふとまわりを見回した武塔先生。

二人のまさかの光景に赤面する。

「そそそそそ、そこの二人ぃぃぃぃぃ!!」

武塔先生が声を裏返す。

「学校で不純な行為は…」

言い切る前に、気絶してしまった。

なんでだろう…?

147: 名前:雷蓮☆2011/07/26(火) 19:43:26


ただいま自習中のこのクラス…。

何を隠そう、武塔先生がまさかの気絶…。

みんなにみせびらかしてもなお、

康介と鈴音の二人の世界は続いている。

この状況にいいかげんイラつき始める蓮くん。

蔵間くんは「まぁ、いいんじゃない?」って

面白そうに笑いながら言っている。

私はと言うと、もくもくと勉強中…。

だって頭よくなりたいじゃん!!

かといってはかどっているわけじゃ、ないんです。

やる気がおきないんです…。

とりあえず休憩ついでに、まわりを見回して見ることに。

149: 名前:雷蓮☆2011/07/26(火) 22:00:08


「あ!!」

ふとあることに気づいた!!

さっき遊びに来ていただけと思っていた、

伊玖がなぜかこの教室にいる!!

しかも新しい席に!!

「い、伊玖!?」

私が叫んだと同時に、

蔵間くんがやっと気づいたんだと言った。

「俺、理事長に言ってここのクラスにしてもらった」

「あ、そうなんだ~。……どえぇ!?」

驚きのあまり、いや、理事長のテキトー差のあまり

言葉がでない…。

伊玖は成績優秀だから、まぁ、信じられなくもない…。

「それに、舞が蒼太と蓮に奪われそうだったから…」

「ん?伊玖、何か言った?」

「…いや…」

伊玖が何かボソッと言ってたけど

よく聞き取れなかった…。

てか、伊玖…。あなたはどんだけの権力持ってんの…。

152: 名前:雷蓮☆2011/07/27(水) 19:09:28


~HR~


「ほれ~、席につけ~」

あれ? 小向花 (こむかい はな)先生だ!!

背、小っちゃいなー…。

どのくらいかと言うと、……とにかく小さい。

このクラスの全員より、小さい。

白衣きてるけどぶかぶかで、

手を伸ばすと、先の袖(そで)の方が垂れる。

しかも、顔がかわいすぎる。

言い方悪くすると、童顔の先生。

顔だけじゃない、声もだ。

一応言っておくけど、この方、女性の化学教師。

彼氏はいないらしい。

うちのクラスの化学は、この先生に教えてもらっている。

クラスのみんなに先生の印象を聞くと、

同じ答えが返ってくる。

「「小学生がコスプレしてると思った」」。

これが花ちゃんの人気の秘訣(?)でもある。

「武塔先生の代わりに、わたしゅがHRを担当するなのですよー」

先生の特徴はまだある。

語尾に必ず「~なのですよー」をつけるのと、

自分のことを「私」じゃなくて「わたしゅ」と呼ぶこと。

癒しキャラの花ちゃん(花先生)は、もう可愛くてしょうがない!!

学園中の愛されキャラでもある花ちゃん!

「私語はなるべくつつしむなのですよー?
 でないと、わたしゅの剛速球のチョークが
 君たちのおでこに突き刺さるなのですよー?」

こういうマニアックな説明も、特徴。

それでも許せる、この先生。

噂では、花ちゃんは以前にこの学園をスパイしていたけど

学園長に見つかって、

んで学園長がお前の命を助ける代わりにこの学園の教師になって

恩返しをしろって命令して今に至ってるらしい。

詳しいことは誰も知らないけど、

花ちゃんがスパイだったことは本当らしい。

155: 名前:雷蓮☆2011/07/27(水) 19:38:45


「はいはーい、それじゃ始めるなのですよー」

チョークを取り出して、黒板に今日のお題を書いていく。

もちろんイスに登って、つまさき立ちで書いている。

  “節電”

あぁ、なるほど!

いまの季節は夏だからね!

クーラーをとっても使う時期だし!

「我が校は、節電…つまり省エネを行うなのですよ!!」

「「おぉ~」」

クラスの歓声。

「クーラーを絶対に使うなとは言わないなのですよー?
 ただ、自分たちができる範囲の節電をしてほしいなのですよー。
 学園長からも協力要請がでているなのですよー。
 だから、みんなで頑張って省エネするなのですよ!!」

「「いえーい!!」」

なぜかクラスはまとまっている。

クーラーをできるだけ使わないというのに、

なぜそこまで喜ぶんだろ…。

「なお、毎日お昼休みにアイスが支給されるのですよ~」

「「待ってましたーーー!!」」

あ。なるほど。そういえば、

ここの学園長は、太っ腹だったんだよね。

アイスが支給されるなら、どこまでもって感じ。

蔵間くんは超ノリノリ。

康介は「そんな子供みたいなのにのるか!!」って

反抗しているけど、まんざらでもないような顔してる…。

ていうかむしろ、喜んでいる…。

蓮くんはまったくの無反応。蒼太くんも。

鈴音はアイスの味をさっそく希望している。

伊玖は外を見て、ぼーっとしていた。


162: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 08:28:04


~放課後~


私は変える準備をしていた。

明日は遊園地に行くし、気分は上々。

蓮くんは窓側の方で蔵間くんと雑談中。

蒼太くんはもちろん、今日も部活の助っ人。

鈴音と康介はラブラブだから、もうどっかに行っちゃった。

明日の遊園地のことはまったく頭に入ってなさそう…。

伊玖は用事で先に帰った。

さて、私も帰るとしますか。

立ち上がろうとした瞬間---。

「おい」

蓮くんが私を呼び止めた。

「蓮くん、どうしたの?」

「送ってく」

「え? 別にいいよ。一人でも」

「俺が送りたいんだ」

「そう? じゃあ、お願いしようかな?」

「あぁ。蔵間、おまえは?」

「え、俺!? 俺はいいよ~。
 さすがに間に入るわけにはいかないし」

「じゃあ、また明日な」

「あぁ。明日の待ち合わせは夜にメールするから」

「わかった」

「蔵間くん、また明日」

「うん、じゃあね~」

スタスタ…

「蔵間くんと雑談中じゃなかったの?」

「ちょっと時間つぶししてただけだ」

「そうなんだ」

「あぁ。行くぞ」

「どこに?」

「帰るんだよ。お前こそ、どこに行くんだ」

「あ、そうだった!」

「……お前、本当に大丈夫か?」

「なっ!? ちょっとド忘れしただけです!!」

「お先まっくらだな」

「うっ…。蓮くん、もうちょっと優しい言い方できないの!?」

「できないね。不良だから」

「理由になってないよ!!」

教室でコントする私たち。

蓮くんが私を見ていることに、少し恥ずかしさを感じた。


163: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 09:18:54


~下校中~


夕日が照らす坂道の途中---。

蓮くんと私は無言だった。

話すことはあるのだけれど、どう切り出そうか悩む。

すると蓮くんが突然、私の方を向いた。

「ど、どうしたの?」

「舞、お前は…」

「ん?」

「……なんでもねぇ」

「えっ!? ちょっ、蓮くん!?」

「なんでもねぇ!!」

「えぇ!? 逆ギレ!?」

蓮くんはわtsiに何か言おうとしたけど、

結局何にも言ってくれなかった。

こうなったら意地でも言わせてやろうかな…。

でも、後で怒られるからいっか…。

「蓮くん」

「…」

「ねぇ?」

「…」

「無言はいやだよー」

「…」

「蓮くん」

「…」

「明日、遊園地だね?」

「あぁ・・・」

「楽しみ?」

「…」

「ねぇ」

「忘れたのか…?
 俺と蒼太が勝負すること」

「あ…」

「やっぱりお先まっくら…」

「だから、違うってばー!」

「ハン…」

「だからさ、明日楽しみ?」

「全然楽しみじゃねーよ」

「なんで?」

「お前がもし、蒼太に惚れちまったらって考えると…」

「っ!!!」

蓮くんの言葉に私は赤面する。

熱くて顔が火照る。

蓮くんへの愛しさが溢れ出てくる。

ねぇ、蓮くん…?

私はもう、誰が好きかなんて決まってるんだよ?

蓮くんの背中に小さくつぶやいた。



164: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 09:31:08


~蓮side~


アイツに明日、楽しみか?なんて聞かれた。

なんで楽しいなんて思うんだよ。

お前の事好きな男がくるのに、

楽しみもクソもねぇだろーがよ。

どうしたって、こんなに熱くなるんだよ俺らしくねぇ…。

コイツも蒼太に惚れる可能性だって、ないわけじゃねぇのに…。

舞…。

お前もそろそろ気づけ。

俺の気持ちによ…。

お前だけは、どうしても譲れねぇんだ。


165: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 10:00:54


~舞side(普通視点)~


「蓮くん」

「なんだよ」

「私ね…」

「あぁ…」

蓮くんに自分の気持ちを伝えようとしたとき…。

「いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

大声で叫ぶ声。

聞き覚えのあるよーな…。

あ。

「っせーなぁ!!何病院抜け出してんだ、ロリコン!!」

先ほど、失神で病院に運ばれた武塔先生が

猛ダッシュで叫びながらこちらに向かってきた。

用件は分かっている。

居残りをサボってしまったから。

サボった理由はちゃんとあるんだよ?

見張り役の私でも、言い訳できるもん!

だって、先生が学校にいないのに居残りしても意味ないじゃん!!

「先生、ちゃんと理由はあるよ?」

「ハァ、ハァ…。
 失神した当日に走る患者なんて、この世にいないよね?」

「そーいうことするバカはここにいるけどな。このバカ!!」

「蓮くんは患者を労る(いたわる)ということを知らないのかい!?」

武塔先生は、相変わらずツッコミ。

イケメンで頼れる先生なんだけど、

蓮くんと会話してるところを見るとそうでもない。

「それより、居残りサボったな!?」

「先生がいないとやる意味ねーよ」

「いなくても、当たり前にできるのが大人だ!」

「バカがいなくなったとこで、何も変わることはねーけどな」

「蓮くん!?」

「冗談だよ、バカだなー。冗談じゃねーけど」

「聞こえてるよ!!」

本当にこの二人は面白い。

武塔先生は、おせっかいだから蓮くんのことも心配になるんだと思う。

そこが武塔先生らしいというか、なんというか。

「お前、もう退院したのか?」

「失神ぐらい大丈夫だ」

「その原因はダセーけどなー」

「だ、ださくなんてないもん!!」

「十分ダセーよ。お前、どんだけピュアなんだよ。
 今時そんな奴、どこにもいねーぞ」

「メルヘンで何が悪い!!」

「見てる俺の気持ちにもなってみろよ、バカ」

蓮くんは武塔先生に数々の暴言を吐く。

負けじと対抗する武塔先生。

私の気持ちは伝えられなかったけど、

明日はきっと伝えるよ。

蓮くんと多くの時間を過ごしたいから…。



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最終更新:2012年08月13日 01:18
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