君を好きになる5秒前 続き6

189: 名前:雷蓮☆2011/07/30(土) 16:09:17


~蓮side~


「なら、一刻も早く消えてくれ」

優しい言葉で言うつもりが、

最低な言葉になってしまった。

舞のあんなに泣きそうで、つらそうな顔は初めてだ。

「さよなら…元気でね」

これが俺の残したかった結果か…?

いや、違う。こんな残酷な終わり方じゃない。

なら、なぜ謝らなかった?

また俺は素直になれないで、

プライドを優先したのか?



192: 名前:雷蓮☆2011/07/30(土) 18:45:25 HOST:kd111110238164.ppp-bb.dion.ne.jp


~舞side(普通視点)~


これは悪い夢…?

こんなにも罪悪感を覚えたことはなかった。

蓮くんに伝えたかった言葉も、

今は泡となって溶けた。

「お父さん? うん、私。
 どう、最近の会社の売れ行き。
 うん、うん、そっか。良かった。
 …あのね、明日そっちに行こっかなって思って。
 …んー、海外のこと勉強したくなったから。
 ごめんね、明日また電話する」

  ガチャッ

お父さんには明日のことは伝えた。

あとは荷物をつめて…。

  ♪~~♪~~♪

携帯の着信音がなる。

とりあえず出てみることにした。

  ピッ

「はい、もしもし」

「あ、舞ちゃん!!俺だよ!!」

かけてきた相手は蔵間くんだった。

「蔵間くん、私…」

「明日、海外に行くの?」

「…うん」

「やっぱりね。今日、蓮にヒドいこと言われたんでしょ」

「…ううん、別になんにも---」

「泣きそうな声なのは気のせいかな?」

「蔵間くん、ごめん…」

「何か言われたんだね」

「もう話すこともないって…」

「舞ちゃんは話そうとしたんだし、偉いよ」

「偉くないよ。私は蓮くんを傷つけてばっかり…」

「蓮も舞ちゃんの事、傷つけてばっかり」

「そんなこと…」

「舞ちゃんは優しいからね。あんま責めないで」

「ありがとう…」

「…で、どうするの?」

「明日、お父さんのいるハワイに行く」

「どうしても?」

「あそこまで蓮くんに嫌われたら、仕方ないよ」

「蓮に俺、言っとくね」

「言わなくてもいいよ。不機嫌になるから」

「なんないよ。舞ちゃんの事、好きだし」

「友達としてでしょ…? もういいんだ」

「明日、少しだけ学校に来る?」

「ううん。未練残っちゃうから…」

「分かった。力になれなくってごめん」

「違うよ。
 充分、楽しい蓮くんとの時間が過ごせたよ。
 本当にありがとう」

「じゃあ、明日、気をつけてね」

 プツ…

蔵間くん、ありがとう…。

また、どこかで会えたら…。

193: 名前:雷蓮☆2011/07/30(土) 18:55:45


~翌日~


出発の日。

私はこれから前を向いて生きるんだ。

未練なんて残してはいけない。

蓮くんとの時間も、貴重な体験になった。

それでいい。

昨日、心の中を整理した。

まだ好きって気持ちが大きいけれど、

ウジウジしてらんない。

新しく暮らすところで、また恋をすればいい。

だからもう、ここには戻らない---。

194: 名前:雷蓮☆2011/07/30(土) 19:01:47


~蓮side~


雨の日---。

最悪の雨。

あの日と同じ雨。

これからこと天気になる度、

思い出すんだろうな…。

ふと窓の外を見る。

アイツなんているはずないのに…。

昨日帰り際、聞こえたんだ。

 “舞ちゃんが海外に行くって本当らしいよ”

そんなわけない。

アイツは海外に行くなんてことできない。

今日も舞は学校に来るよ。

 ガラッ

教室に入ると、蔵間が舞の机の中をあさっていた。

「おい、何してんだ?」

「舞ちゃんがね、蓮に書いた手紙探してるの」

「俺に…手紙…?」

アイツが俺に手紙なんて…。

「ま、読んでみてよ」

手渡された手紙。

さっそく読んでみることにした。









195: 名前:雷蓮☆2011/07/30(土) 20:17:39


  • 蓮くんへ-


一昨日はごめんなさい。

私の言動と行動が矛盾していたから、

怒っているんですよね。

これだけは伝えておきたくて、

この手紙を書きました。

聞きたくも思い出したくもないでしょう。

けど、最初で最後のお願いです。

聞いてください。

私が蓮くんを突き飛ばしたのは、

告白されてもいないのにキスされたからなのです。
本当は嬉しかったんです。

けど、彼女でも何でもない私と

こういうことをするのはどうかと思って

突き飛ばしてしまったのです。

本当にごめんなさい。

蒼太くんとああいう状態になってしまったのは、

私が足を崩してしまったからです。

それを抱えようとした蒼太くんに、

間違ってキスをしてしまったのです。

だから、蓮くんだから嫌だったというわけじゃないんです。

私がしっかりしていないから、

蓮くんも怒ってしまったんですよね?

本当にごめんなさい。

最後に、これだけ言っておきたいことがあります。

あなたのことが大好きでした。

今もこれからもあなたのことを想っています。

私は父の住んでいる海外へ旅立ちます。

もう会うことも話すこともないでしょう。

ですから、どうかお元気でいてください。

蓮くん、ありがとう。さようなら。

    舞


これを見て、俺は後悔した。

何であのとき、聞いてあげなかった?

どうして好きな人を突き放した?

結局俺も、舞を傷つけていたんだ---。

196: 名前:雷蓮☆2011/07/30(土) 20:23:53


「蓮、舞ちゃんの乗る飛行機はあと1時間で…」

「決まってんだろ。答えは…」

「…クスッ。そうだったね。
 今すぐ車を手配させるよ」

蔵間は俺と同じ不良をやってるが、

実は大金持ちの社長の息子。

「すまない」

「いいや~。舞ちゃんにゾッコンの蓮ならと思って~」

俺は急いで学校を出た。

早く舞に会いたくて、この気持ちを伝えたくて。

もう誰にも止められない。

俺は舞が好きだ。

言葉じゃ表せないくらいに。

どれほど愛の言葉を言っても足りないくらい。

こんな最低な男だけど、

今なら言える。

心のそこから愛してる、舞---。

197: 名前:雷蓮☆2011/07/30(土) 20:31:18


~蔵間の車~


「空港まで飛ばして」

「はい、じゅん様」

運転手つきの高級車。

「おい、こんな豪華だったか?」

「うん。あ、やきもち?」

「いや、無駄に広い」

「嫌なとこさすね~」

学校から空港まで30分。

舞に会うのには余裕か。

俺の気持ちが焦り始めた…。

「大丈夫だよ。舞ちゃん、まだ蓮に未練持ってる」

「…」

「緊張すんなよ」

「してねぇ」

「舞ちゃんは海外には行かせないでしょ?」

「当たり前だ。行ったら一生パシリ」

「いじめすぎないでよ~?」


200: 名前:雷蓮☆2011/07/31(日) 13:40:24


~空港~


空港に着いた俺たちは、手分けしてアイツを探す。

「舞ーーー!!」

いくら呼んでもアイツの声はない。

アイツの姿さえ見えない。

不安がつのっていく。

「舞ちゃーん!!」

蔵間が二階をくまなく探す。

どこを探しても見つからない。

最終手段はアナウンスで呼び出すか…。

俺はあたりを見回した。

とりあえず、荷物をチェックする人に聞いてみる。

「こういうやつ、見ませんでしたか?」

「さぁ…。見ていませんが…」

てことは、まだこっちには飛行機には乗ってねぇな。

「ありがとうございます」

「蓮!!」

「蔵間!いたか?」

「いいや、見つかんない。…あ!!」

「何だ!?」

「あ、あれ!!舞ちゃん!!」

「っ!!」

「蓮!!」

ダッ

舞はベンチに座っていた。

  ギュッ

俺は舞に駆け寄り、

強く、離れないように両手で抱きしめた。

201: 名前:雷蓮☆2011/07/31(日) 14:00:31


~舞side(普通視点)~


私は心の準備をしていた。

馴染みのあるこの街にも、

もう足を踏み入れることはない。

蓮くんにも…。

…あれ…? 昨日は大丈夫だったのに…。

涙が止まらないよぉ…。

ねぇ蓮くん…。

叶うのなら、今すぐあなたに会いたいよ…。

その瞬間、誰かに後ろから抱きしめられた。


202: 名前:雷蓮☆2011/07/31(日) 14:06:28


驚いて後ろを振り向くとそこには---

愛しいあなたがいた。

「ど…して…」

「ごめん。
 俺、ヤキモチやいてた。
 自分以外にキスするなんて耐えらんなかったんだ。
 けど、誤解だって分かって後悔した。
 本当にごめんな」

蓮くんはもう一度、強く抱きしめた。

それは温かくて、優しいぬくもりだった。


203: 名前:雷蓮☆2011/07/31(日) 14:18:42


「蓮くん…会いたかったぁ…」

私は次から次へとこぼれる涙を、

手で拭いながら言った。

「私こそ、ごめんね…」

「もう泣くなよ。俺はここにいる。
 何があってももうお前を離さない。
 お前が海外に行くなら、連れ戻すまでだ。
 なぁ…舞? お前は…?
 俺だけ誓っても不安なんだ…」

「うん、私も蓮くんが大好き。
 これから何があっても、離れないよ」

「フッ…。ゆびきりな?」

「うん!」

これはお互いの誓いの指切り。

永遠に切れることない、絆。

「なぁ、舞」

「ん?」

「俺はお前が好きだ。
 もちろん、恋愛対象として」

「うん」

「いつまでも愛してる」

「私もだよ」

そう告げて、私は蓮くんにキスをした。

甘く、深く、優しいキス---。

お互いの気持ちが今、この胸に伝わってくる。

私はもう、あなたの虜---。

204: 名前:雷蓮☆2011/07/31(日) 14:27:08


~蓮side~


「いつまでも愛してる」

これが俺の素直な気持ち。

「私もだよ」

アイツは最高に可愛い笑顔で言ってキスをした。

お互いの気持ちが分かる、甘いキス。

こんなにも舞を想うなんて、予想外。

それもコイツの魅力なんだな。

蔵間が言ったとおり、

俺はコイツにゾッコンなのかもしれない。

たとえ何があろうと、

俺は舞を手放したりはしない。

絶対に離さない。

これからは俺だけしか見られないようにしてやる。

他の事も考えられないくらいに。

もう一度、俺から最上級のキス---。

205: 名前:雷蓮☆2011/07/31(日) 14:37:57


~蔵間side~


おいおい…。

お二人さん、勘弁してくださいよ~。

俺、いつ声かければいいか分かんないんですケド…。

ラブラブなのはいいんだけどさ、

ここ公共の面前だよ!?

そろそろキスは終わりでも…。

って、またしてるし…。

「はぁ~…。俺の気持ちも分かってほしいよ~」

蓮はなんというか…いろんな意味で最強だと思う。

まぁ、それに関しては舞ちゃんもだと思うんだけど…。

でも、お二人さんが結ばれて良かった~!

このまま海外に行かれたら、

蓮が毎日抜け殻になっちゃうからね~。

「おーい、お二人さん!
 そろそろ車に乗ってもらってもいいかなー?」

「蔵間くん!?」

「ど~も~」

舞ちゃんったら、顔真っ赤にしてー。

可愛いなぁ、もぅ!

蓮が好きじゃなかったら、

俺が彼女にしようと思ってたのに。

こんなこと、蓮には口が裂けても言えないけどね…。

言ったらこっぱみじんだよー。

「舞、行くぞ」

「うん!」

幸せそうな二人。

俺は二人の笑顔が見れれば嬉しいかなー。

あ、ハートの雲発見~!

いいことありそう!

ねぇ、神様。

俺はこの二人に出会えて、本当に良かったよ---。

ありがとう---。

214: 名前:雷蓮☆2011/08/02(火) 08:40:51

☆番外編☆

「夏休み旅行編」


~舞side(普通視点)~


今日から夏休み。

この蒸し暑い日々を耐えていかなくちゃいけない。

あぁー…。

みんな、何してるんだろう…。

私だけかな? こんなだらけてるの…。

ソファに寝っ転がって、ぼーっとする。

お母さんは長期出張でまだ帰ってこない。

あ、せんぷうき出さないとっ!

熱中症になっちゃう!

  ピーンポーン

ん? 誰だろう…??

「は~い」

  ガチャ

「はろはろ、舞ちゃ~ん」

「蔵間くん!」

私服姿の蔵間くん。

なんかいつもよりカッコよく見える。

後ろにいるのは…

「蓮くん!?」

蓮くんも蔵間くんと一緒だった。

制服とは違った私服のカッコよさ。

ヤバい//// すっごいかっこいいよ////

「何赤くなってんだよ、舞」

「ちっ、違うの!!ちょっと風邪気味で!!」

「そんな堂々とした嘘つくやつ、初めてだ」

「なっ!?」

「はいはい、蓮はいじめない」

「もぅ、蓮くんなんて知らない!」

「そうか…。じゃあ、どれだけ顔が近かったら分かる?」

「えっ…」

なんか嫌な予感…。

もしかして、蓮くんのドSスイッチ入れちゃった…???

「これくらいだったら、俺の事…分かるよな…?」

グイッと蓮くんの胸に引き寄せられて、

逃げられないように腰に手を回されて、

キスをするかしないかの距離まで顔を近づけられた。

私は心拍数が急上昇してしまい、

息をするのにも精一杯。

てか、蓮くんの顔が近いっ!!

「なぁ…俺のこと見えるか…?」

「み、見えます…」

「なんで知らないって言ったわけ?」

「い、いじめるから…」

「好きな奴にしか俺、ここまでいじめたことないんだけど?」

「うぅ…。も、もう離れてよ…」

「いやだ」

彼はいじわるそうに微笑んだ。

「キスしてくれるまで離さないから」

「えぇっ!?」

「代償が必要なんだよ」

「そ、そんなこと…」

「じゃあこのままでいいじゃん」

「い、いやだ…」

「クスッ。なら、キスして?」

「うぅ…。目、閉じてよ…」

「ダメ」

「何で?」

「舞の可愛い顔が見えないから」

「っ……。じゃ、するよ?」

  チュッ

「…んん!?」

私がキスした瞬間、蓮くんが深いキスをしてきた。

大人の甘いキス---。

「っはぁ…。な、何するの!!」

「何ってキスのお礼?」

「それをキスで返さなくてもいいの!!もぅ!!」

彼と付き合って一ヶ月…。

いつもドキドキしっぱなし。

これじゃあ、心臓いつまで持つか分からないよ。

愛しいあなたに触れられて、

私はどれだけ愛を感じることか。

217: 名前:雷蓮☆2011/08/02(火) 16:28:38


「はい、ちょっとストーーップ!」

ラブラブ(?)モード展開中の私たちの間に、

蔵間くんが乱入してきた。

「俺もいるんだから、忘れないでね~?」

「蔵間、お前どこにいたんだ」

「え…。蓮、ひどい…」

「あーあー。蓮くん、泣かせちゃダメだよ!」

「いや、俺、女じゃないからね? 舞ちゃん…」

「どーでもいいけどよ、早く用件言えよ」

「あ、そうそう!舞ちゃん、今度みんなで旅行に行かない?」

「旅行?」

「蔵間が旅行チケット、親戚からいっぱいもらって困ってるんだと」

「す、すごいね、蔵間くん家…」

「そーかな? とにかく、一緒に行かない??」

「一緒にって誰と?」

「俺と蓮と、武塔先生に花先生、鈴音に康介、伊玖に蒼太…」

「おぉ!」

「そんくらいかな~。蓮と舞ちゃんは、部屋一緒ね~」

「え!? ど、どうして!?」

「必然的にそうなるだろ」

「あなたの必然は、どういうのを基準にしてらっしゃるの…」

「大丈夫!隣に俺もいるから」

「男2 対 女1?」

「ダメだった? 天然の舞ちゃんだからスルーすると思ってさ」

「絶対ダメでしょ!!てか、鈴音もいるじゃん!!」

「康介と鈴音は自分たちから2人だけにしてって頼んできたよ?」

「……」

「舞も自分に素直になったらどうだ」

「常識を越えた素直さはいりません」

私は蓮くんと一緒の部屋ってだけで、

心臓が爆発しそうなのに!!!

218: 名前:雷蓮☆2011/08/02(火) 16:57:37


~旅行当日~


「はい、みんな揃ってる~?」

武塔先生が確認する。

この旅行に先生を入れた理由は、

保護者代わりにするため。

でも蔵間くんは、先生に「日頃の感謝です」って

ピュアな笑顔で言ってた。

きっとあれは嘘だな…。

最近の蔵間くんの予想外の行動も、

読めるようになってきた。

花先生は彼氏探しするために来ているらしい。

というか、旅行の話をしていたらそれがバレて

先生も連れていくならいいよって言うことになったらしい。

地獄耳なのだろうか、花先生は…。

「ロリコン、よく見ろ。
 全員メンツ揃ってんだろ」

蓮くんがもたもたしている武塔先生に、しびれをきらしている。

「じゃ、行くか!」

遠くの田舎に行くから、キャンピングカー。

車内は意外と大きい。

車内ではみんなで雑談をした。

223: 名前:雷蓮☆2011/08/02(火) 19:52:27


「いよっしゃぁぁぁぁ!!」

康介が車内で雄叫びをあげる。

今、ばばぬき中…。

「へへんっ!ざまーみやがれ!!
 この俺様、いざとなったらつえーんだよ!あーっはははは!」

超どや顔で、ふんぞり返っている。

ドS組…蓮くんと鈴音は、それを気にくわない顔で見る。

あぁ、いつも言うけど、学習しないな康介は…。

「あーあ。康介、ちょっと謝っといた方がいいんじゃない?」

蔵間くんが助け船を出す。

優しいからね、蔵間くんは。

私もその作戦にのってあげよう!

「そうだよ、康介。この二人に今まで何されてきたか…」

「だーーーっはっはっはっはー!
 この俺様に不可能などない!!!!
 どーだぁ!? 悔しいかぁ!?」

終わったな…。

バイバイ、康介…。

せっかく蔵間くんと助け船出したのに、

君はあっさりぶち壊したね…。

もう、助けてなんかやらない。

  バキボキッ!!
  メキバキッ!!

「あーーっはっはっは…は、はー…。
 あ、あれぇ~? い、嫌だなぁー。
 れ、蓮くん、鈴音ちゃーん?
 お、そんな恐ろしい凶器しまってー?
 ほら、蓮くんはお手々、パーにして平和を象徴しようー?
 鈴音ちゃんに関しては、もう恐怖でしかないよ~?
 その武器はどこから持ってきたのかな~?
 チェーンソーなんて、今時流行んないよー。
 って…あれ? ちょ、待って!!
 こっちこないで!!いいえ、こっちこないでもらえませんか!?
 え、まっ、ちょっ、なっ、
 ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

蔵間くんは私の目をかくして、

まだ舞ちゃんには早いよ~って苦笑いしながら言った。

康介の絶叫と、「おい、嘘でしょ!? おまっ、やめろーーー」っていう声が

エンドレスに続いた。

武塔先生と花先生は、仲良く話していて気づいていない。

いや、どんだけだよ!!?

224: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 09:19:33


康介が天に召されて1時間---。

まだ目的地にはついていない。

高速道路に入ってるから、

窓も開けられず…。

「舞ちゃん、どうしたの?」

蔵間くんが気をつかって声をかけてくれた。

「いや、何か道のりが長いなーって」

「具合悪いのか?」

蓮くんも心配そうに見つめる。

「ううん、全然大丈夫だよ」

「無理しないで具合悪くなったら言えよ?」

「ありがとう、蓮くん」

「道のり、長いからね。
 途中で休憩とるって先生言ってたから
 安心していいよ~」


225: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 11:39:33


「蔵間くん、ありがとう」

蔵間くんはこんなに優しくてモテるのに、

彼女さんがいない。

みんなすっっっっごく意外に思ってる。

彼は女の子に優しいのに、

本格的に好きになったことは一度もないって

蓮くんは言っていた。

ラブレターもほぼ毎日のように机に入っている蔵間くん。

そこだけは、いつまでたっても読めない…。

鈴音もこの前、意外だよねって言ってたし。

もしかして蔵間くん、恋のキューピットだから

恋ができないの!!?

「ご、ごめんね!!? 蔵間くん!!!」

「えっ? 何がっ?」

「あ、ううん!何でも…」

いつも一緒にいる蓮くんも、

女と2人で出かけているとこは、

見たことがないという。

謎……。

226: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 11:48:53


~田舎に到着~


「ふーーーっ!!やっと着いたぁぁぁぁ!!」

鈴音が背伸びをして、

思いっきり大自然の空気を吸い込む。

康介も車から出てきた。

「すっげぇ田舎!おい、トンボ!!オニヤンマじゃね!?」

すっごい小学生っぷりを発揮している康介。

「子供だな。幼稚園児か、お前」

蓮くんがだるそーな声で言う。

「何だよ~。お前、本当ははしゃぎたくって我慢してんだろ~?」

蓮くんの額に血管が見える。

これはもぅ止められません。

「康介、いいものやるからこっちこい」

「え~? なになに~?」

  ボコッ!

みぞおちのクリティカルヒット。

倒れた康介を荷台に乗せて、

宿泊先へと向かった。



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最終更新:2012年08月13日 01:21
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