君を好きになる5秒前 続き7

227: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 12:15:07


武塔先生が、

それぞれに部屋の鍵を渡す。

「みんな、なくさないように!
 今からちょっと自由行動だ」

「そういえばよ、伊玖と蒼太の姿がないんだが…」

康介がキョロキョロする。

「さっき車の中にはいたよね?」

鈴音も心配そうに辺りを見渡す。

「伊玖と蒼太は部屋で休憩してる。
 昨日の部活の疲れがまだ、完全にとれてないらしくて。
 さっきも二人だけは寝てただろ?」

武塔先生は感心しながら言う。

「せっかくの自由行動、もったいないね」

「舞みたいに何でもかんでも楽しく思えねぇよ」

「その言い方、頭にくるよ蓮くん」

「俺はお前の大バカっぽさにイライラする」

ムッ……。

「はいはい、喧嘩しなーい」

苦笑いしながら止めた蔵間くん。

「んじゃ、12時にはここに戻ってきてくれ」

「「はーい」」

私は蓮くん&蔵間くんと一緒。

鈴音と康介は、ラブラブだからついていかない。


228: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 13:24:56


「ねぇ、ここって田舎?」

じゃり道を歩きながら、

蓮くんと蔵間くんに尋ねる。

「うん、田舎~」

蔵間くんは優雅に、田んぼとか写メってる。

蓮くんにたまに「これ、綺麗じゃね?」って自慢している。

「お前、今度からここに住めば?」

「いやだよ!!蓮くんに会えないじゃん!!」

「っ……!!!」

「あーらら。冗談を仇で返されちゃったね~」

蓮くんが顔を真っ赤にしている。

私、変なこと言ってないと思うんだけど…。

「さすが舞ちゃん。凶器の天然、発揮したね~」

蔵間くんがニッと笑った。

何がいけなかったのかな…??


229: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 13:37:27


歩いてる途中、

広い川があったのでそこで休憩。

そこで蔵間くんに疑問をぶつけた。

「ねぇ、蔵間くん」

「ん~?」

「何で彼女さんいないの?」

「は…え、舞ちゃん?」

「ずーっと疑問に思ってたの!」

「うーん…」

「俺も聞いてなかったな」

「げ…。何で蓮まで…」

「いいだろ。早く言え」

「はいはい。んーとね、簡単に言うといらないんだ」

「いらない?」

「そうそう。そういうの、まだ考えてないしさ」

「蔵間くんて、女の子みたいなこと言うね」

「そうかな? ま、これが理由だから」

「今もつくる気はないの?」

「んー…少しくらいならある…かなぁー?」

「ふーん…」

「もう質問終わり?」

「え? あぁ、うん」

「じゃ俺、あっちの下流に行って写メってくるね~」

  タタタタ…

「あいつ、大人だよな」

「うん…」

「でもよ、意外と甘えたがりなんだぜ、あいつ」

「そうなの!?」

「あぁ。ずっと一緒にいりゃ分かるぜ?」

「そっか。蔵間くんにいい人、できればいいね」

「そうだな。お前みたいにバカだったら、手に負えねーけどな」

「何でもかんでもバカって言ったら、バチ当たるよ?」

「へぇー、そりゃ大歓迎だな」

逆効果だった…?



232: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 15:39:46


今、気づいた。

私、蓮くんと二人きりじゃん。

そう思ったら、急に緊張してきた。

「舞…」

「ひゃい!?」

「何変な声出してんだよ」

「ご、ごめん」

「俺に惚れ直した?」

彼はニッと笑ってみせる。

「ううん」

「即答かよ…」

そんな彼が可愛くって、笑っちゃう。

「何笑ってんだよ…」

「可愛くて」

「自分が?」

「蓮くんが」

「好きな奴に可愛いって言われてもな…」

「ねぇ、蓮くんはさ…」

「あン?」

「私のどんなとこに惚れたの?」

「ブッ!!なっ、おまっ!!
 いっきなり何てこと聞いてんだよ、バカ!!」

「だって、何か聞きたくなったんだもん」

「は、はぁ? お前、頭大丈夫か?」

「大丈夫だよっ!!」

「俺にはそうは見えねぇ…」

「だから!!せっかく二人きりになれたんだし、
 その…こういうこと言っても…いいんじゃないかなって…」

「っ…。そーだな…。
 そこまで言うなら、言ってやるよ」

「本当!?」

「でも、あっち向け!!」

「えっ!? 何でっ!?」

「恥ずかしいんだよ…。真っ正面は…」

蓮くんが真っ赤になってる。

そんな彼がたまらなく愛しくなる。

「分かった」

私はくるりと後ろを向き、

蓮くんに背を向くかたちになった。

「はい、いいよ。言って?」

「っ…あぁ…。
 俺がお前に惚れたのは、性格だ」

「性格?」

「あぁ。
 初めて会ったとき、
 お前はこの俺をけむたがらなかった」

「あぁ、あの時…」

「それに、まっすぐな眼差しで俺を見ていた。
 俺はあのとき、女のお前に疑問を抱いた。
 何で不良を怖がらないんだ?って。
 どうして怖いところに一人で来たんだ?ってな。
 でも、お前と関わって分かった。
 性格が優しくて、友達思いで、いつでも笑顔にしてくれるやつだから
 あの時も、まっすぐに俺を見てくれたんだって。
 ま、惚れたところはもっとあっけどよ」

私の体温が、どんどん上がってく。

この感じは…何だろう…?



233: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 16:03:17


私は自分の気持ちに素直になろうと思った。

蓮くんがこんなに私を求めてくれるなら、

私も我慢せずに求めよう。

私は向きをかえて、蓮くんの真っ正面に座った。

「なっ、おまっ、こっち向くなって…」

 ギュッ

「蓮くん、大好きだよ…」

私は力いっぱいに、蓮くんを抱きしめた。

「なっ…!?」

「本当に愛しく思うの。
 いつでも蓮くんが大好きだよ…」

「っ…俺も…お前のことが好きだ」

「ふふっ…。ありがとう」

「そういう笑顔、俺だけにしとけ」

「うん!愛してるよ、蓮くん」

「…呼び捨て」

「え…?」

「呼び捨てにしろ」

「あ…」

「恋人同士、呼び捨てするだろ?」

「ふふっ。そうだね、蓮」

「あぁ。俺も愛してる…舞」

  チュッ

私たちは幸せな時間を過ごした。

誰にも邪魔されない、愛しい時間。

あなただけを感じていたい。

心からそう思ったのは、蓮だけだよ?


234: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 16:56:21


しばらくして蔵間くんが戻ってきた。

「ごめん、ごめん!ちょっと珍しい魚がいて」

「大丈夫だよッ」

「ごめんね~。…あれ? 何かいいことあった??」

「何もねぇよ」

「そう? あ、じゃホテルに戻ろっか!」

「うん!行こう、蓮」

「あぁ」

「あれ~? ラブラブ~」

「羨ましいか?」

「はいはい、どーせ俺はフリーですよーだ」

蓮と私は、手をつないで歩いた。

もう人前だからとか、関係ない。

好きだって気持ちがあれば、何でもできるよ。

ありがとう、蓮。

あなたが教えてくれたコト---。

235: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 18:17:23


ホテルに戻ると、

もうみんな集まっていた。

「ちょっとー!!5分も遅刻!!分かってんの!?」

武塔先生がキレた。

「分かってまーす。わざと遅れましたー」

「キサマーーーー!!」

シャーーっと猫のように襲いかかる先生。

あっけなく花先生に回収される。

「生徒に暴力はダメなのですよ~?」

「シャーーーっ!!」

キバを立てる武塔先生。

蓮は、どや顔で仁王立ちしている。

さすが蓮…。

相変わらず、向かうところ敵なしだね。

「んで? どこ行くんだよ?」

「とりあえず、観光?」

武塔先生の機嫌がなおった。

「あ、伊玖と蒼太くん!
 体調はどう?」

「大丈夫。ありがと、舞」

「俺も大丈夫だよ。ありがと」

「そっか、良かったー」

割り込んで話したせいで、

武塔先生の機嫌が、また悪くなった。

「もー行くぞ!!おいてくぞ!!」

「先生、自己チューなのですよ~」

「グサッ!!」

「生徒を気遣うのが、教師たるものなのですよ~」

「……ごべんなだい(ごめんなさい)」

「みんな、私が先頭を行くので、ついてくるなのですよ~?」

「「はぁ~い」」

花先生の言うことだけは、

素直にきいた蓮だった。

236: 名前:雷蓮☆2011/08/04(木) 08:06:25


まずは、車でお土産やに行く。

「は~い。ではここで、お土産を買うなのですよ~」

みんなそれぞれ、お目当てのものをカゴに入れていく。

「蓮、なんかお揃いの買わない?」

カレカノだし、お揃いのもの持ってて当たり前だよね。

「あぁ、そうだな。何がいいんだ?」

「んー…。このペアリングは?」

「いいぞ」

「じゃあ、これね。水色でいい?」

「あぁ。いつもこれ、つけて学校来いよ?」

「ふふっ。うん!」

二人でお揃いのもの。

恋人同士だってすぐに分かるペアリング。

同じものを持っているってだけで、舞い上がってしまう。

蓮は今、何を想っているのかな…?

私と同じ気持ちなのかな…?

245: 名前:雷蓮☆2011/08/04(木) 17:31:19


車に乗ろうとしたとき、

伊玖が声をかけてきた。

「舞」

「ん? あ、伊玖じゃん。どしたの?」

「蓮とつきあってるって本当?」

「うん」

「俺に何で言ってくれなかったの」

「え…。だって、そんなの報告しなくても…」

「っ…。ごめん、やっぱいい」

「え、あ…」

タタタ…

伊玖が何か言いたそうにしていた。

私は伊玖があんな寂しそうな顔したのを初めてみた。

~車~

「次はどこ行くの~?」

蒼太くんがウキウキしながら聞く。

「ホテルにバックなのですよー」

「えぇっ!? もう戻んの!!?」

「はいー。何かご不満がお有りで~?」

「あ、いえ…」

花先生は、可愛いのに隠れた怖さを持っている。

それが彼女の唯一の凶器(?)

合コンしてた中に花先生が嫌いなタイプが一人いて、

そいつに話しかけられたとき超怖い顔してたって噂がある。

246: 名前:雷蓮☆2011/08/04(木) 18:20:14

~蓮side~

「おい、舞」

車の中。

うとうと眠気に誘われていた舞は、

俺の声で少しだけ目を開けた。

みんなは疲れたのか、爆睡している。

みんな寝ているせいで、

舞が横に寝れないからつらそうだと思ったから

俺は舞に声をかけた。

「ん…んー…。…ふぁ~…。なぁにぃ?」

「横に倒れるスペースないから、ヒドそうだと思ってよ」

「ん? あー…だいじょぶやよぉー…んー…」

「眠いか?」

「うーん…。んー…眠いぃー…」

舞は目をこすって必死に俺と話している。

可愛いな…こいつ…。

「俺の膝(ひざ)、かす」

「いいのぉ…?」

「あぁ。遠慮すんな」

「そぉ? じゃぁー…ごみんにぃ~…」

「あぁ」

「おやしゅみ、れ…ん…」

「おやすみ」

「あ…」

「どうした?」

「忘れもにょ…」

  チュッ

「っ!!!!!?」

俺は突然の出来事に絶句。

これはどうリアクションするべきなんだ…。

忘れ物と言って、舞が俺にしたのはキス…。

新婚夫婦みてぇになってる!!

こいつがこんなにも積極的だったとは…。

天然のクセして、いざとなってやることは一人前だな…。


258: 名前:雷蓮☆2011/08/05(金) 16:21:05

仮眠をとって1時間くらい…。

「おーい、お前ら起きろー」

武塔が、運転席から顔をだす。

「んー…スー…スー…」

舞はまだ、夢の中。そして俺の膝の上。

「あれっ? 蓮、舞ちゃんとラブいねぇ~」

蔵間がニヤニヤしながら、舞を見た。

「うっせぇよ」

「また~!照れちゃって、かわうぃ~い~」

康介もニヤニヤしながら言う。

こいつだけ、何かウゼェ…。

「おい、康介。
 今は身動きとれないから反撃はできないが、
 後で思う存分楽しませてやるから覚悟しろよ?」

俺は裏の笑顔でにっこり笑う。

康介の顔中から、変な汗が溢れ出ている。

さまーみろ。

「蓮くん、それじゃあ康介が可愛そうよ」

珍しく鈴音が康介をかばった。

ま、カップルだから当たり前か。

「もっと痛みを与えなきゃ、彼は喜ばないわ」

------…前言撤回。

こいつは俺よりヒドいドS…いや、

サディストだったのを忘れていた。

「もぉ康介ったら、我慢やさんなんだからぁ」

ピュアな笑顔で、恐ろしいことをさらりと言う彼女。

学校では「毒舌サディスト女王」の名で知られている。

女子からは普通に人気なのだが、

男子は数多くの奴等から、要注意人物とされている。

「り、鈴音ー? そこは俺をフォローするところだろー…?」

「…フォロー…?」

鈴音の表情が急に曇った。

彼女のオーラは、どす黒く変わった。

「康介…。
 人にものごとを頼むときは、
 特に彼女という特別な存在ならなおさら、
 手の甲に誓いと忠実を表す、くちづけをして跪(ひざまず)くのが
 一般的なやりかたよ!!!」

いったいどこの国の頼み方だよっ!

それはサディスト国とマゾヒスト国の間でのやりかただろーが!!!

「鈴音って、こんなんだったっけ?」

蔵間が震えながら俺に尋ねる。

「…知らねーよ、俺は…」

伊玖と蒼太も、かなり驚いている。

いや、ドン引きか…。

康介も、よく付き合ってられるよな…。

もう別れ話が出るんじゃ---

「鈴音…」

 チュッ

なっ!!?

康介が嫌な顔せずに、鈴音の手の甲にキスをして跪く。

こいつは…本物の大バカなのか!?

鈴音は急に顔を赤らめて、康介に抱きつく。

「っばかぁ…」

…こんだけラブラブなのか、こいつらは。

俺らのいないときは、もっとイチャついてんのか…。

悪ィけど、こいつらにはマジでついてけねぇ…。

ふと運転席から震える声が聞こえる。

案の定、武塔だった---。

「ふ、ふ、不埒者ぉ~…」

顔を真っ赤にしてこの光景を見ていた。

気絶すんなよ、ロリコン---。

「んー…」

愛しいお前は、まだ夢の中---。

幸せそうでいいな、お前は…。

259: 名前:雷蓮☆2011/08/05(金) 16:39:04


~舞side(普通視点)~


「ん…んー…。…ふぁ~あ…」

よく寝た…。

ん? みんな、何で静かなんだろ…。

あ、なんか、枕が温かいな…。

温かい…温かい…あたたかい…?

そうだ!!私、蓮に膝を貸してもらってって今何時!?

あっ、あれから1時間もたってる!!

ガバッ

「ご、ごめんねっ、蓮!!」

私は焦ってすぐ体を起こし、蓮に謝った。

彼は私を見ると、微笑した。

「俺がいいって言ったんだよ。謝んな」

 ドキッ

バカ。

また、ときめいたよ…。

ドキドキするよ、もぅ…。

「ありがとう」

彼のちょっとした行動、仕草にもドキドキする。

これが、生まれて初めての私の恋。

改めて、愛しさを感じた。

蓮から視線を外し、

前を向くとそこには互いに抱きしめている鈴音と康介の姿。

「のわっ!!!?」

「おっと、自主規制の時間だよ~」

私に気づいた蔵間くんが、

私の目を手で覆う。

「舞ちゃんには、まだ早いかな~」

「私、大人だよっ!? もう高校生だよっ!!」

「人にはね、精神年齢って言うものが存在するんだよ~」

「せいしんねんれい? ? ?」

「ほらね。そういうとこで、まだ見せるのは早いかな~」

「私、大丈夫だよっ」

「だーめ」

なんで~?

私、もう高校生だよ!?

義務教育じゃないから、

自主規制なんていらないよ~!!

260: 名前:雷蓮☆2011/08/05(金) 17:20:37


~ホテルの部屋~


私の部屋のパートナーは、蓮。

夕飯までまだ、時間があるから

部屋でそれぞれ過ごす。

「舞」

「なーに?」

蓮が小袋をもってきた。

「お前にプレゼント」

「え、いいの?」

「当たり前だ。お前のために買ったんだからな」

「わぁ、ありがとう!開けていい?」

「あぁ」

 カサカサ…

袋を開けると、ハートのキーホルダーが入っていた。

色はピンクで、暗いところでも光るものらしい。

「すっごい可愛い!!蓮、ありがとう!」

「お前が喜んでくれたら、俺は満足だ」

彼はそう言って、私の頭を撫でる。

私は嬉しくて、笑顔があふれるばかり。

自分のために買ってくれたもの。

これは大事にしなきゃね!

私は手のひらに包み、ギュッと握った。


261: 名前:雷蓮☆2011/08/06(土) 14:25:41


~鈴音side~


~部屋~


「康介、荷物はここにまとめて」

「あいよ~」

付き合い始めて、3ヶ月…。

初めての旅行。

「康介」

「んー?」

のんきにテレビを見ている彼。

「付き合ってから、今日で3ヶ月だよ」

「あぁ」

「覚えてた?」

「当たり前だろ!彼氏として覚えてなきゃ恥だ!!」

「ふふっ。康介にしては、珍しい」

「バカにすんなよな!ちょっと後ろ向いてろ」

「どうして?」

「いいから」

「わ、分かった」

私が後ろを向くと、

康介が自分の荷物から何かを取り出して

私の首につける。

「わぁ…綺麗なネックレス…」

「記念にプレゼント」

「いいの? 高かったんじゃ…」

「それくらい安いもんだよ。
 これからもよろしくな、鈴音。
 愛してるよ」

「ありがとう、康介。
 私も愛してるよ」

私が康介の手を握ったとき、

尋常じゃない熱さを感じた。

「あつっ…。康介…あんた、熱ない?」

「えっ…そ、そんなのあるわけないだろ」

「でも、手が…」

「さっき熱い茶、飲んだからじゃね」

「そっか…。本当に大丈夫?」

「あぁ、気にすんな」

私はそのとき、気づかなかった。

後に悲劇が起こることに---。


268: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 08:57:20


~武塔side~


「はぁーー!!疲れたぁーーっ!!」

  ボフンッ

自分の部屋についた俺は、

勢いよくベットにダイブする。

「…腹減った…」

ここの部屋は、俺一人。

「独り言」、言ったって

一人でゲラゲラ笑ったっていい。

なんてフリーダムな世界!!

  バァンッ!!

いきなり、部屋のドアが開いた。

「おっと、蹴りすぎた」

とんだ怪力男めっ!!

「蓮!! もっと優しい入り方はできないのかなぁ!!?」

「何時から食事だよ?」

「え? あぁ、えーっと…」

腕時計を見て、今の時間を確かめる。

「んとね、今17時だからー…
 あと一時間かな」

「18時にどこ行けばいい?」

「あぁ、俺がみんなの部屋回って
 呼びかけするから大丈夫」

「分かった。んじゃあな~」

  バタムッ

もう…やりたい放題して…蓮は…。

あ、そういえば花先生に食事の時間伝えてないや!

俺は急いで花先生の部屋に向かった。

~花先生~

 コンコンッ

「花先生ー」

 ガチャ…

「何なのですか~?」

「あの、食事の時間なんですけど…」

「18時からなのですよねー?」

「あれ? 何で知って…」

「さっき蓮くんが教えてくれたのですよー」

クソゥ!!あいつ、いいとこどりしやがって!!

まぁ、伝えそびれた俺が言うのも何だけど!!

「す、すみません」

「気にしてないのですよー。
 ところで先生、今夜みんなで花火大会に行かないですかー?」

「花火大会?」

「はいなのですよ~。
 さっきこのホテルの人が
 おすすめしてくれたなのですよ~」

「それはいいですね!!」

「浴衣、ここの人が無料で貸してくれるなのですよー?
 私たちも浴衣着るなのですよ~」

「浴衣ですか~!何年ぶりでしょうー。
 もう23だから、似合わないかもしれません」

「そんなことないと思いますですよ」

「え…?」

「武塔先生はかっこいいから、
 何歳になっても似合いますなのですよ」

「え…」

「それじゃあ、呼びかけお願いしますなのですよー」

 バタン

花先生のまさかの発言に、

俺は立ちつくしていた---。

270: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 10:20:17


~鈴音side~


18時---。

武塔先生の呼びかけで、

全員ホテルのロビーに集まった。

私はさっきの康介の体温が、

気になって仕方なかった。

康介は伊玖と蒼太と喋っている。

「どうしたの?」

舞が気にかけて私に言う。

「あ、ううん。何でもない」

「そう? あぁ、康介と話せなくて妬いてるの?」

ここで初めて、舞が天然&鈍感でよかったと思う。

「あ、あぁ!そ、そうなの!!ちょっと妬いちゃって~」

「心配しなくても、康介は鈴音にゾッコンだよ」

無邪気に笑って言う舞。

あぁ…この子はどんだけピュアなんだ…。

「あ、もうお店の中に入っていいって!
 先に行ってるよ~」

「あ、うん」

「おーい、鈴音~!!」

「康介…」

「となり座ろーぜー!」

「そうだね」

店の中に走って入る康介。

胸騒ぎがするのは、なぜだろう…。

272: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 10:59:03


ホテルの中の店は、

バイキング専門店。

康介ははしゃいでいた。

「いえっふーーっ!」

ドタドタ走って、

食べ物が並んでいるお皿へと向かう彼。

「康介!!そんなに走ったら、ほこりが‥」

「うっひょーっ!!すっげぇ!エスカルゴ!!」

私の声は聞こえていなかった。

「康介!!こっちにいくら丼あるよ!!」

舞は我を忘れて、

いくら丼を自分のお盆にたくさんのせる。

舞…あんたって子は…。

「マジで!? ちょっと俺にもよこせよ!!」

「いーやーだー!!」

すでに喧嘩が勃発。

そこに蓮くんが来る。

あぁ、ここに大人が…

「これは舞のだ。触んじゃねぇ!」

自分の彼女を有利にたたせたーー!!

「うぅっ…」

もぅ、康介泣きそうなんですけど…。

「鈴音ーー!!こいつに何とか言ってやれー!!」

「何で私も康介を有利に立たせなきゃいけないの!!」

「俺のいくら丼がかかってんだよ!!これくらいできんだろ!!」

「おんまえは、もっと成長せい!!」

なんやかんや言って、私も喧嘩になる。

あぁ…私も充分子供じゃんか…。



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最終更新:2012年08月13日 01:25
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