273: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 11:39:47
やっとみんなが席につく。
蒼太は小腹なのかな?
量が少ない。
…けど、お皿にのってる食べ物が
全部野菜って…。
だからこの子は、こんなにスポーティーなのか。
伊玖は、お皿に食べ物を綺麗によそっている。
几帳面の性格がここに表れているな。
絶対、いいお婿になるよ…。
舞は…いくら丼しかない。
と思ったら、他にデザートのいちごプリン。
……3歳児対象って書いてある。
舞の隣は、蓮くんだ。
彼も伊玖くんと同じく、綺麗によそってある。
意外だなー…。
というか、栄養バランス考えてよそってる!!
お肉と野菜が平等の量で、
一食にこだわっていない!!
これは…もうおふくろでしかない。
康介は…よそり方、ハンパない。
もう好きな食べ物、一皿にたくさんのせてるから
食べ物の上に食べ物がのっかってるよ…。
…彼は満足のご様子。
もちろん、野菜もよそっているけど
デザートの量の方が圧倒的。
武塔先生と花先生は、普通に綺麗。
言っちゃ失礼だけど、正直よそり方きたないと思ってました。
じゅんは…蓮くんと同じくパーフェクト。
あの二人の、日頃の食生活が気になる…。
私がみんなのお皿を見回していると…
「ぶくくっ!舞の皿、いくら丼ばっかじゃねぇかー」
康介がっまた、喧嘩を売り出す。
「プククッ!康介だって、お皿に盛りすぎて
食べ物の原型とどめてないじゃんか~!
ぶふっ!恥ずかしい~」
「んなっ!?」
「せんせー!!舞さんが俺に喧嘩売ってます!!」
「せんせー違います!!
康介くんが私のいくら丼に目をつけて
ウ阿波って食おうとしてまーす!」
どっちも低レベルな争い。
武塔先生が呆れ顔で言う。
「康介ー、レディをいじめるなー」
もちろん先生は、舞の味方。
喧嘩を売ってきたのは、康介の方だから。
「ちぃっ!」
これだけ威勢のある康介に、
じゅんが少し気にかけていたらしく
私に声をかけてきた。
「鈴音、康介さ…熱ない?」
ドキッ
「何で…」
「康介の顔、少し赤いし何か変なテンションなんだよね」
「っ…」
「もしかして、気づいてた?」
「うん…」
「彼、何て?」
「康介は熱なんてないって…。でも…」
「実はあるってことかー。たぶん、あいつ自身も気づいてる」
「えっ…」
「だから、あえて逆にいつものテンションでいってる。
それが大分体に効いてるんじゃないかな?
熱くなってきてるみたいだしね…」
じゅんが推測したところで突然大きい音が響く。
ドォン!!
「こ、康介っ!?」
「おい、康介!どうしたんだ!!?」
康介が倒れた---。
274: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 12:43:57
「康介っ!!」
私は血の気が引いた。
康介が倒れているのを見て、体がふるえ出す。
「こ、すけ…」
「鈴音、大丈夫。舞ちゃん!救急車!」
「おっ、ほいさー!」
ダダッ
「康介? 康介!!」
返事がない。
意識さえもうろうとしている様子。
「こうすけぇ…」
「大丈夫だよ、鈴音ちゃん」
蒼太が優しく手を握る。
でも、私は落ち着いてなんかいられなかった。
私があのとき、無理やりにでも病院に連れていけば…
もっと早く気づいてあげれば…。
その後、康介は救急車に運ばれた。
275: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 13:21:25
~病院~
「疲労と高熱ですね」
医者が診断結果が書いてある紙を渡す。
武塔先生が手渡された診断結果を見て、
少し驚いた。
「こいつが、疲労…」
「休養をとっていないせいで、倒れたんですよ。
食事の栄養バランスもとれてません。
今日一日は、ここで様子をみます」
「そうですか…では、よろしくお願いします」
「では、私はこれで。何かありましたらナースコールで」
バタンッ
「康介…」
康介がうっすらと目を開ける。
「はは…かっこ悪ぃ…」
「康介、あんまり喋るな。早く寝ろ」
蓮くんが康介のおでこに優しくデコピンする。
「蓮…ごめん…心配…かけたな‥」
「は? 俺は心配なんざしねぇよ。
一番お前を心配してたのは、
そこの毒舌サディスト女王だ」
「鈴…音…?」
「康介ぇっ」
「ごめ…んな?」
そう言って弱った体を起こし、
残っている力をふりしぼって康介は私を抱きしめた。
「俺は…だいじょう…ぶ…だから」
「うんっ…うん…」
私も力いっぱい抱きしめ返す。
康介は私の頬の涙を手で拭って、
おでこに優しくキスをした。
「心配、かけて…ごめんな…。明日…ちゃんと元気に…なっから、よ…」
「そ、だよ? じゃないと私、康介のこと嫌いになるから」
「ははっ…それは嫌だな…」
そう言って彼は眠りについた。
私はその夜、康介が心配だから一緒に病院に泊まった---。
276: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 15:33:05
~翌日~
「こっすけぇーーーっ!!」
病室に勢いよく飛び込んできた舞。
康介のベットにダイブ。
「ふごぉっ!!?」
康介は回復していたけど、
昨日無理したせいで筋肉痛らしい。
「ってぇ…」
康介はお腹に乗っかってる舞を、
はらうことができない。
そこに蓮が来る。
「っ!!康介っ…お前っ…」
蓮くんは、変な誤解をしてしまったらしい。
「ちっ違っ!」
ぎいいいいいやあああああーーー…!!
~五分後~
「すまねぇな」
「み、みんなひどい…」
蓮くんは康介に謝っている。
誤解したおわびに、康介に肩もみ。
「ごみんね、康介」
舞も珍しく康介に謝っている。
「本当は驚かそうとしただけで…」
「あ、あぁ…もういいんだ。き、気にすんな…う゛いっ…」
「もう、退院できるの?」
「あ、あぁ…。昨日、医者に何回も言われた…ろ…」
「そうだった!んじゃあ、入り口で待ってんね~」
「ほら、行くぞ、舞」
「うぃ~」
タタタタッ…
「あいつ…いつかお返ししてやる…」
康介はいたむお腹をかかえて言った。
私は荷物をとって、
彼の手をとり、病室をあとにした。
「ねぇ、康介」
「あぁ…?」
「今度は、二人きりで…旅行だよ?」
「え…」
「ね?」
ニッコリ笑ってみせると、
彼は少し照れてから言った。
「あぁ。今度は必ず、お前を楽しませる。約束な」
「うん!約束!」
朝のひざしが眩しくて、
視界がよく見えなくても、
あなたの姿だけは、
私の目にハッキリと映っているよ---。
-鈴音side 終わり-
277: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 15:57:29
~舞side(普通視点)~
旅行の帰り。
車の中。
「本当にお前ら、ラブラブだよな」
蓮くんが不愉快な目で鈴音&康介を見る。
「何だよ~。妬いてんの~?」
「蹴るぞ、エスカルゴ」
「エスカルゴって言うなよ!!」
「昨日、ホテルでエスカルゴ見て騒いでた奴が
今更何を言ってやがんだ」
「だからってエスカルゴ言うな!!」
「あーあー。ギャーギャーギーギーうるさいな~」
蔵間くんが耳をふさぎながら、
二人の間に割って入った。
「ほら、喧嘩しない!」
「だってこいつがっ!」
「康介も、売られた喧嘩は買わない!」
「ぶー」
「蓮も!大人げない!」
「うっ…」
「康介、これでも蓮はお前を心配してたんだよ?」
「えっ俺?」
「そう。張り合う相手いなくて寂しそうにしてた」
「ちょっおい!!蔵間!!てめぇ!!」
「だーって、本当のことじゃん~」
「後でぜってぇーぶっ殺す!」
「じゃあ、今日の夕飯はいらないねー?」
「あたりま…はぁ!? ちょっ、それはないだろ!!」
「そっか~。俺、今日蓮に殺られるのかぁ~」
「ちょっ、嘘!嘘だっつってんだろ!!」
「蓮も寂しがり屋なんだね~」
私が面白がってつい、言っちゃった。
すると蓮の視線は私に向けられ、
腕をグイッと引っ張られた。
「えぇっ!?」
ボフン
私はすっぽり蓮くんの腕の中。
「やっぱお前の飯、いらねぇ」
「え? いいよ、遠慮しなくても~」
「こいつを飯にする」
「へ? 蓮くん、意味わかんないよ?」
彼の発言に、みんな顔を真っ赤にさせる。
「何だよ? 俺、悪いこと言ったか?」
ニッと笑う蓮くん。
その後は蓮くんに触れられないように、
みんなが私を取り囲んだ---。
283: 名前:雷蓮☆2011/08/09(火) 08:45:39
~舞side(普通視点)~
晴れ晴れとした青空の朝---。
今日から「星光学園」の学園祭の準備です!!
「舞、おっはよ~」
「あ、鈴音」
「はよ!今日から学園祭の準備だね」
「そうだね!気合いれてこぉー!」
「ははっ!毎年、お祭りごとには燃えるよね、舞って」
「もちろんだよ!!祭って書いてある服着たいくらい!!」
「お祭り女ですか」
「今日はクラス委員が出し物決めるんでしょ?」
「そうそう!うはぁ~楽しみ~」
「舞、ムフムフ言い過ぎ…」
「舞…楽しみだからね」
「わっ!伊玖!!?」
「あ、伊玖~!伊玖も楽しみだよねーっ」
「…あんまり」
「えぇっ!? そんなぁー…」
お祭りって楽しいじゃんかよぉー。
うちだけノってたら、浮くじゃん!!
「伊玖、何で嫌なの?」
鈴音が私を慰めながら伊玖に聞く。
「…うるさいから…」
「あぁ…。そういえば、伊玖って小学生のときも…」
「うるさいのは好まない。だから見てる…」
「本当に伊玖らしいっつうか、何ていうか…」
「伊玖も参加しようよぉ~」
「…舞が出るなら…ちょっと…くらいは…」
「本当に!?」
「あー。なるほどねー…」
「う…ん…」
「じゃあ参加しよっ!」
「…うん」
今年は伊玖も参加するなら、
もっと楽しくなるよね!!
あ、蓮は出るのかな…?
聞いてみようかな。
284: 名前:雷蓮☆2011/08/09(火) 09:32:59
「蓮っ!!」
「却下」
「まだ何も言ってない!!」
「どーせ俺も参加しない? って誘うんだろ?
ぜってぇー断る!!」
「違うよ!!一緒に参加しよう!!」
「一緒にを付け加えただけだろーが。
俺は大人数でたわむれるのが嫌なんだよ」
「不良だから?」
「これ、俺の性格だから」
「そっか。分かった…」
「そ。そうやって素直に諦めれば…」
「委員長ー!蓮もすっごい参加したいってー!」
「ちょっ、てめっ!おい、チビ!!」
「彼女に向かってチビはないよ!!バカ!!」
「なら、彼氏に向かってバカもダメだろ!!
てか、何で勝手に俺も参加にするんだよ!!」
「いいじゃん!別に!」
「良くねーから怒ってんだろーが!!」
「はいはい、喧嘩しなーい」
「俺は参加しねぇ!!」
「じゃあさ、舞が伊玖にとられてもいいんだ?」
「は? 何、あいつも参加すんの?」
「うん。舞がいるならってね」
「やっぱ俺も参加する」
「切り替え早ッ!!」
「本当!? 蓮、絶対だよ?」
「あぁ。祭り事は嫌いだけどな」
なぜか分からないけど、
最初は嫌がってた蓮も参加してくれることになった。
蓮が出るなら俺も出るよと言って、
蔵間くんも参加表に名前を書いてくれた。
もちろん、康介は一番最初に名前を書いている。
一番張りきってるのは、康介の方だから。
285: 名前:雷蓮☆2011/08/09(火) 12:10:16
鈴音がさっき、
蓮を説得してくれたおかげで
クラス全員が参加することになった。
「では、出し物について話し合います」
委員長が黒板に議題と、人数を書く。
「まず、みなさんの希望をとって
その中から多数決、という形になります」
委員長はメガネをクイッと持ち上げた。
「はい!!」
勢いよく手を上げたのは、康介。
「俺はやっぱ、コスプレ喫茶!!」
「あ、それいいね~」
蔵間くんも絶賛する。
担任の武塔先生も面白そうと言う顔で見物。
「他には?」
「はーい!」
珍しく蒼太くんが手をあげる。
「蒼太くん」
「えっと、おばけやしきがいいな~」
まわりの女子が賛成!と声をあげる。
「他にはないですか?」
「はーい」
「えっ…。れ、蓮くん…?」
まさかの蓮が手をあげた。
これにはさすがの委員長も腰が引く。
「どどどど、どうぞ…」
康介が面白がって蓮をいじる。
「えぇ~、蓮がアイディアなんて~。
まさかアジトを作るぜ!なんて言わないよなー?」
蔵間くんが康介の口を慌ててふさぐ。
「おぉー…。そうか…。
康介はそんなにいじられたいんだな?
よぉーし、分かった。委員長!!」
「はいい!?」
「康介を好きなだけ殴ってください店ってのは~?」
「えぇっ…」
「何言ってんだよ!!バカ蓮!!
俺が死んでも良いってのかよぉ!?」
「あぁ」
「ひどいっ!!」
「んで、本題。
おばけやしきとコスプレ喫茶を合体させれば?」
「「え?」」
クラス中のみんなが ? を頭に浮かべる。
「だからよ、
最初はおばけやしきのコーナー作って
通り抜けたら喫茶店みてぇな」
「なるほどね~。
同時に2つも楽しめるってことか」
蔵間くんが賛成する。
「それいい!」
鈴音も大声で賛成。
290: 名前:雷蓮☆2011/08/10(水) 11:53:00
「それでは、クラスの出し物はこれでいいですか?」
「「は~い!」」
ここのクラスは団結力がすごいから、
何があっても大丈夫なハズ。
だって、蓮も蔵間くんも鈴音もいるからね。
ドS不良派と、頭脳派、毒舌サディスト派が揃ってるし。
康介もある意味、重要人物であったりする。
あ、蒼太くんもか。
女の子と男の子に絶大な人気だしね。
「舞ちゃんはコスプレ、何するの?」
蔵間くんがニコニコしている。
「んー、まだ考え中…。蔵間くんは?」
「え、俺? 俺はね、宇宙人」
「えっ!?」
「ははっ!嘘。ごめんね?」
「び、びっくりしたよー」
「あははっ。そうだなー。俺は執事…かなー」
「執事?」
「そう。だって、いつも蓮に遣(つか)えてるでしょ?」
「ん、まぁ…確かに…」
「だから、ちょっと大人っぽくなりたくて執事にしよーかなーって」
「なるほどー。蓮は何になんの?」
「俺か?」
「うん」
「これ、強制?」
「だって、コスプレしないとお店になんないじゃん」
「げ…。俺はー…そうだなー…。誰かに決めてもらう」
「えー、自分で決めた方がいいよー?」
「なんでだ」
「変なのに決められるよ? 康介がいるからさ」
「あ…」
「俺が決めてあげよーか?」
ひょっこり出てきたのは、蒼太くん。
「蒼太か…。ま、お前ならセンスあんだろ。決めてくれ」
「うん、いいよー。んー…」
「…」
蓮もちょっとドキドキしているらしい。
蒼太くんはまじまじと蓮の顔をガン見。
緊張の空気がはしる。
「…海賊…じゃないかな?」
「海賊?」
「うん。蓮は俺様なとこがあるし、独占欲強いからね」
「俺、独占欲強いのか…」
「どう? 気に入ってもらえた?」
「あぁ。確かに、俺にぴったりだな。さんきゅ」
「いいえ~。それで? 舞ちゃんは何に?」
「私は…」
「女の子なんだから、可愛いのにしてほしいな」
蒼太くんはニコッと笑って私を見た。
ちょっと恥ずかしくなった私に蓮が
「こいつに変なこと言うと、しっぺされるぞー」
「ちょっ、何変なこと言ってるの!?」
「変なことじゃないだろ。しっぺは本当じゃねぇか」
「うっ…」
蒼太くんがクスッと笑う。
委員長がうるさくなる教室を、
懸命に静めようとしていた。
「ちょ、静かにしてくださーい」
武塔先生は、見物だから指示はしない。
けど、すっごい剣幕でうるさい人を睨む。
それに気づいた蔵間くんが蓮の口をふさぐ。
「武塔先生が珍しくすごい剣幕だから、静かにしてあげよう」
「ん、そうだな。あいつ意外とこえーもんな」
最終更新:2012年08月13日 01:26