恋の歯車 続き

33: 名前:覇王 (nP2UYCm9AU)☆2012/03/12(月) 20:52:24


「お願い……お願いれーちゃん……」

そうか……隼人、泣いてるんだね……
今隼人を泣かせちゃったのは

僕だ

守るとか言ってたのに……泣かせちゃった……

「ね……? ……気持ち聞かせて。れーちゃんの気持ち……」

僕の気持ち?
隼人か龍神かって……事?

隼人は可愛い可愛い双子の弟。
唯一の家族だし大好き。
龍神は僕の大好きな幼馴染。
僕に初めて出来たお友達。
どっちも大好き……
でも、2人の好きは……

違うよね?

隼人への好きはどんな好き?
龍神への好きはどんな好き?
わかんないよぉ……
僕の答えはなに……?

「……僕は……ッ!」


35: 名前:覇王 (nP2UYCm9AU)☆2012/03/12(月) 22:07:27


ー次の日ー

僕は眠たい目を擦りながらベッドから起きた。
はうぅ……眠いよ……
昨日は眠れなかった。はぁ~
……れ? 枕、濡れてる?
あ、昨日泣いたんだっけ。
でも、何で泣いてたのかよく思い出せない。
まぁいいやっ。学校行こう~

リビングへ行くと、机に朝ご飯が置いてあった。
その隣に手紙が添えられている。

れーちゃんへ
今日、僕日直だから先に行くね。
ちゃんとご飯食べるんだよ!

隼人より

先行っちゃったのか……
何か一緒に居たかったのに。


39: 名前:覇王 (nP2UYCm9AU)☆2012/03/14(水) 19:05:05
僕はさっさとご飯を食べて学校へ行く支度をした。
腰まで伸びた長く、黒い髪をポニーテールにし、バッチリとき
める。
ボウタイをしっかりと結んで、スカートは膝より少し………上
にする!
一応校則違反だけど、こんな感じの人はうじゃうじゃ居るし
まぁ平気かな。学校自体そんな厳しくないし。
あ、もう8時だ。
ギリギリ間に合うかな。

家を出ると、僕は足早に学校へ向かう。
僕の人生がガラリと変わる事も知らずに……

40: 名前:覇王 (nP2UYCm9AU)☆2012/03/14(水) 19:22:39


ー学校ー

「おはよー」

ガラッと勢いよく教室の扉を開けると、挨拶をした。
それに気付いたクラスメートは「おはよー」「おっす」などと
挨拶を返してくれた。

「もーすぐで鐘鳴るよ~? 美麗、珍しく遅刻しなかったのにベ
ル席になったら意味ないよ」

苦笑いをしながら、今注意してくれたのは、僕の親友_____窪
川麻妃。
注意してくれたのはいいんだけど、痛いとこを突かれたよう
な……
なんて思ってる場合じゃない!
僕は自分の席に座った。
……と同時に担任の先生____坂田 雅奈恵(さかた かなえ)先生が
入ってきた。

「えー、今日は転校生が来ています! さぁ、入って」

転校生……?
クラスがザワザワする中入って来たのは
少し茶色っぽい髪の毛、制服を崩して着てる男の子。
……ってもしかして……っ!

「龍神!?」

僕は思わず声をあげてしまった。
皆がどっと僕を見る。

「あ、美麗じゃん。やぁ」

「えっとー・・・2人は知り合い?」

雅奈恵先生が僕達に尋ねた。

「はい。幼馴染なんです」

先に言葉を発したのは龍神だ。

「ほほぅ。まっ、とにかく自己紹介してね!」

「へーい。北海道から来た佐藤龍神っす。仲良くしてくださ
い」

ななな、何かチャラくない……かな?

41: 名前:覇王 (nP2UYCm9AU)☆2012/03/16(金) 20:54:08


「じゃぁ、隣はちょうど幼馴染の美麗さんの席が空いてるわ
ね。龍神くん、あそこ行って」

そう先生が言うと、龍神はコクリと頷きこちらへやって来た。
僕の隣に来ると、しばらく僕を見つめる龍神。
どうしたの……?

「龍神?」

「あ、ごめん」

僕の声に我に帰ったのか、そう一言言い席に座った。
SHR(朝の会)が終わると、僕は急いで隼人の居る教室へ向かっ
た。

「隼人!」

「ん? あ、れーちゃん。どうした?」

隼人がニコニコした笑顔でこちらへ来る。

「は、隼人……来て!」

僕は隼人の手を握ると、自分の教室へダッシュ。

「え? は? なんで龍神がいんの? なんでれーちゃんの隣な
の? なんで生きてるの?」

「いや最後のは酷いから」

冷たくツッコミをいれたあと、もう一度龍神を見た。

「龍神チャラくね?」

流石我が弟。
僕の言いたいことをよく分かっていらっしゃる。

「だよね。何があった」



44: 名前:覇王 (nP2UYCm9AU)☆2012/03/17(土) 17:14:51


何があったとか、僕が聞きたいし...
まったく......本当にどうしたんだろう?
心配......
しばらく龍神をみていると、こちらに気付いた相手は近づいてきた。

「よお。なにしてんの?」

多分聞くのは今がチャンス!
僕は相手のてを引っ張り屋上へ......


45: 名前:覇王 (nP2UYCm9AU)☆2012/03/18(日) 22:23:16

「ちょ、何のようだよ?!」

「龍神、変わったね」

ほんとに変わった。
性格も、容姿も、しゃべり方も......
全て変わってしまった。

「......変わっちゃ悪ィかよ」

「悪くない...悪くないよ。でも......」

前の龍神が好き。
......なんて言えないよ......

「でも?」

「......なんでもない」

「なんだよ」という言葉の後に、小さい舌打ちが聞こえた。
怖い...龍神、怖くもなった......
前の龍神はどこへいってしまったの?

「龍神怖い」

「黙れ隼人」

親友の隼人にまでこんな態度......
どこで狂ってしまったのだろう...?
どうして...

「あ?」

どうして......

「だから黙れ」

どうしてこんなになってしまったの?

「やだね」

やだ......

「はあ? いいから黙れよ」

喧嘩しないで......

「黙らないといけない理由は?」

お願い......

46: 名前:覇王 (nP2UYCm9AU)☆2012/03/18(日) 22:34:26


「うざいから」

喧嘩しないで......!!

「れーちゃん......?」

僕を心配する隼人の声。

「美麗お前......!」

龍神も? なにさ......

「「泣いてんのか?」」

「?!」

泣いてる?
え? 僕が泣いてる?

「あ......」

頬に、いくつもの雫が流れる。
僕......泣いてる。
どうして? なんで泣いてるの?

57: 名前:覇王 (L4nNqWs2T6)☆2012/03/20(火) 09:25:25


「あ......れ?」

涙を止めようとしてるのに


止まらない。

どうして? なんでとまらないの?
自分が何で泣いてるのか分かってないから?
だから止まらないの?

「れーちゃん何で泣いてんの?」

「分かんない......」

「おい、りゅ......ってあれ?」

そこには龍神の姿はなかった。


58: 名前:覇王 (L4nNqWs2T6)☆2012/03/20(火) 10:00:31


―隼人side―

れーちゃんが泣いてる理由、僕には分かるよ。
分かるけど言わない。
だって

本当にそれで泣いてるって信じたくないもん。

もし言って本当にそれで泣いてたら、僕が虚しいだけだし。
......僕って嫌な奴だよな。
自分の為にれーちゃんにもやもや抱えさせたまんまでさ。
自己中ってやつか?
今まで自己中の奴ら批判してきたけど
僕が自己中だな......

それより、龍神の野郎何処行きやがった。
れーちゃんほったらかしにしやがって......

わからねーのかアイツ。
お前と話してる時、れーちゃんの顔、すげえ嬉しそうなんだぞ。
お前がこっち来た時に、れーちゃんが自分のクラスに僕を連れていこうとした時......一瞬見えた満面の笑み。
龍神が変わってしまったのに、れーちゃんが満面の笑みを見せたのは何でか分かるか?

お前をそれほど好きだからだよ。

何で分からないんだよ......!
お前もれーちゃんが好きなんだろ?
何でれーちゃんを悲しませるんだよ!
ふざけんな。
あん時、れーちゃんが言ってたことなんだっけ。
ああ、思い出した。

「隼人の気持ちはすごく嬉しい。でも、僕......あたしは、龍神が好きなの」

なんであの時「あたし」と言い換えたのだろう......
「あたし」なんか普段言わないのに。
いつも「僕」なのに。
ははっ......僕はどうしたらいいのかな......

71: 名前:覇王 (L4nNqWs2T6)☆2012/03/22(木) 19:44:06

ー美麗sideー

龍神は……もう、忘れたのかな……
僕が転校する前に交わした約束……
ずっと僕は覚えてるよ。


「りゅーっ!」

僕は昔、龍神の事「りゅー」って呼んでた。
懐かしいな……今では恥ずかしいし、餓鬼くさいから言わな
い。また、あの頃に戻れたらいいのに…

「ん? 美麗どうしたのー?」

僕が呼ぶと、龍神は必ず笑顔で返事をしてくれた。
その時の笑顔が僕は大好きで、何度も何度も「りゅー」って呼
んだ。

「あのね……僕……転校するの」

「え……?」

この時、龍神の顔が真っ青になったのを明確に覚えてる。

「……本当に?」

「うん」

「本当の本当?」

「……うん」

相当信じられなかったのかな。
何回も確認されて、僕はそれに「うん」としか言えなかった。
……それしか言いようがなかった。
できる事なら、「うっそー」とか「転校しないし」とか言いた
かった。
でも言えない……だって本当に転校しちゃうもん。

72: 名前:覇王 (L4nNqWs2T6)☆2012/03/23(金) 00:27:47

「そ……か」

その時、龍神の頬に光る、一筋の何かが流れ落ちた。
そう、涙だ。

「りゅー?」

「あ、ごめん」

涙を拭くと、龍神は力ない笑顔を見せる。

「ねぇ、美麗」

「ん?」

「俺さ…………美麗が好きなんだ」

それは、初めての告白だった。
あの時の僕は頭の中真っ白だけど、今のぼくにとってはすごく
嬉しくて、恥ずかしくて、なんだか切なくて……

「今はまだ小さいだろ? だから、もっと大きくなって美麗を幸
せにできるようになったらそのときは……」

"付き合って"だよね。
あんな台詞言ってるけど、所詮はまだ小さい子供。
"付き合って"などという言葉が出てくるはずもなく……

「えっと……なんていうの?」

なんて聞いてくる始末。
初めての告白された僕が知っているはずないのに。

「わかんない……」

「と、とにかく、大きくなったら美麗を幸せにするから!」


それで今はどう?
幸せにしてくれてる?
今、僕誰かさんのせいで泣いてるんだよ。
なんで側に居てくれないの……ッ!
龍神はいいの? このままで。
僕は____________

76: 名前:覇王 (L4nNqWs2T6)☆2012/03/23(金) 22:07:02


「ねぇ隼人……」

「どうしたれーちゃん?」

「龍神にとって僕ってなんなんだろ」

昔の事を思い出したら、どっと不安になった。
知りたい、龍神の気持ちを……
今の気持ち……

「・・・」

どうして黙るのかな?
隼人には分かるから? 龍神の気持ちが。
だから、だから黙るんでしょ?

「龍神にとってれーちゃんは……れーちゃんは……なんなんだろ
うね」

隼人にも分からない……
龍神が分からない
考えていることが分からない
貴方が変わってしまった理由も 全て……


もう僕は貴方が分かりません

77: 名前:覇王 (L4nNqWs2T6)☆2012/03/24(土) 10:43:09


休み時間が終わるので、とりあえず僕達は教室へ戻った。
隣には龍神……
僕が戻って来ても顔色1つ変えずにジッと前を見ていた。
駄目なのかな……もう、貴方の目に僕がうつることはないの?
ないよね。そうだよね。
無理だよね……

78: 名前:覇王 (L4nNqWs2T6)☆2012/03/24(土) 10:54:21

ー龍神sideー

ちくしょー・・・
美麗に俺を諦めさせるためにキャラチェンしたってのに……
ある意味効果的だったんだろうが、それと同時に悲しくさせち
まった。
俺って何やっても駄目だよな……
俺が、初めて告白したあん時だって、肝心な単語が出てこな
かったし……
メアドを交換して、毎日メールして好感度的なのUPさせよう
としたけど……
あいつの心は結局隼人に向いちまった。
そんでさっき……


美麗を泣かしちまった


最低だ。
女……しかも好きな奴を泣かせた。
男失格だよな……

あ、美麗戻ってきた。
合わせる顔がねぇよ……

79: 名前:覇王 (L4nNqWs2T6)☆2012/03/24(土) 11:03:40


ー??sideー

勘違いが勘違いを生んで、ここまで進んでしまった恋……
さて、2人の歯車はまた噛み合うでしょうか?
それとも……
ふふっ、これからどうなるかは2人次第。
これが勘違いだと分かったら、2人の歯車はまた噛み合うで
しょう。

今はまだ、歯車は狂った状態。
これを修復できるすべは

あるでしょうか?

80: 名前:覇王 (L4nNqWs2T6)☆2012/03/24(土) 20:29:16

ー美麗sideー

~次の日~

あれから一晩考えて、決心しました。
僕、龍神に気持ち伝えます。
このまま放っておいたらいけない気がするから……

龍神の気持ちを確かめたい。
僕の気持ちを言って、確かめたい。
なんてのは僕の我儘かもしれないけど……


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最終更新:2012年09月06日 04:28
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