83: 名前:覇王 (L4nNqWs2T6)☆2012/03/25(日) 11:18:11
僕が学校へ行くと、龍神はもう席に着いて本を読んでいた。
本が好きだったのは変わらないんだね……
それはちょっと嬉しい。
「ねぇ龍神」
声をかけると、本を読むのを止めてこちらを見てくれた。
昨日は見てくれなかったけど、今日はしっかりと、僕の目を見
てこっちを向いてくれる。
それだけでちょっと満足かも……
「ちょっと来て?」
僕が手招きをすると、龍神は静かに立ち上がり着いて来た。
~屋上にて~
思いを伝える場所に到着するやいなや、僕の心拍数がどんどん
上昇していった。
上手く呼吸が出来ない……
こんな時こそ深呼吸して気持ちを落ち着けるんだよね!
龍神に気付かれないよう、静かに深呼吸をした。
よし、そろそろ言うか!
「「あの」」
え? 今ハモった?!
「え、あ、龍神どうした? 先言っていいよ」
「いや、美麗からで……」
出来れば龍神から言っていただきたい。
「わーったよ! 美麗からで!」
「お前からじゃないんかい!!」
ノリでツッコミを入れてしまった。
でも、前に戻ったみたいですごく嬉しい!
「「あはははは」」
お互い顔を見合わせて声をあげて笑った。
あー・・・なんか勇気出てきた!
「ははっ、龍神、僕から言うよ!」
「おぅっ!」
勇気は出て来たのに……
言葉は出てこない!
84: 名前:覇王 (L4nNqWs2T6)☆2012/03/25(日) 11:37:57
どんどん高鳴る鼓動……
相手に聞こえてるんじゃないか? ってぐらいヤバイ。
これを抑えるためにはさっさと言った方がいいよね。
でも、言葉が……ッ!
「美麗?」
「え あ、ごめんごめん! 言うね」
っつっても言葉が出ない限りは言えないよ……
「ぼ、僕ね……」
頑張れ美麗。
「実は……」
頑張る自分。
きっと……
「龍神が……」
きっとゴールは……
「まだ……」
すぐそこだから__________
「好き」
「え?!」
い、言えた……
言えたよ……
言っちゃったよ!?
龍神のポカン顔が面白い。
笑っちゃいそう!
「マジで……そうだったの……?」
「うん」
言わない方が良かった?
でも、言わないと自分がすっごくダメな人間になっていく気が
してならなかった。
85: 名前:覇王 (L4nNqWs2T6)☆2012/03/25(日) 11:58:51
「まじで……良かったー!」
「うん…… …ふぇ?!」
良かったっつったよね今?!
え?! 良かった?!
「実はさ、俺、美麗がもう俺のこと嫌いなんじゃないかって
思って。だからこんなにキャラチェンしたんだ」
「そう……なんだ」
「でも、俺の思い込みだったんだな!」
その時、僕の身体がふわっと宙に浮いた。
ふ、ふぇ?!
「美麗、大好きだ!」
ちゅっ
ま、ちょ、え!?
キ、キスぅぅぅぅ?!
「不意打ちすぎるでしょ! あと、下ろしてーっ!」
ジタバタ動くと、抱っこしていた僕を、龍神はストン と地面に
下ろした。
今絶対赤面だよ……
「悪りぃ! でも、ね! 許して」
そう言うと、龍神は満面の笑みを見せた。
そ、そんな笑顔見せられたら許すしかないじゃんよ……
「んでさ」
「なに?」
まだ何かあるの?
「俺と 付き合ってくれますか?」
告白だった。
これ逃したら、もう
歯車は噛み合わない_________________
「そんなの……はい に決まってるでしょ!」
大好きな龍神からの告白。
これを拒まなければいけない理由を逆に聞きたい。
「よっしゃぁぁぁぁぁ!」
龍神は、拳を上に突き上げて、今まで聞いたことないような大
声で喜びを示した。
「くすっ」
それに小さく僕は笑う。
「やったぜやったぜ! 美麗、これで約束果たせたな」
「約束……? 覚えてたの!?」
「あたりめーだろ!」
嬉しい嬉しい嬉しい……!
今にも涙が零れそう……!
「ではでは、教室戻ろうぜ!」
龍神は右手を差し出す。
それに応えて、僕はその手の上に自分の手を添え……
「うんっ!」
勘違いのせいで一度は狂ってしまった歯車。
勇気を出して気持ちを伝える事で、2人の歯車は噛み合うよう
になりました。
噛み合っていますか?
ーENDー
最終更新:2012年09月06日 04:28