36: 名前:時雨☆10/06(火) 18:20:21
【吐き気がする……】
「うぅ……」
気分の悪さについつい唸ってしまう。
なんだか最近暑い日が続いてるせいか、調子が悪い。
暑さで頭がクラクラして食欲も全然ない上に吐き気までする。
「どうしたんです? 顔色悪いですよ?」
またもや連絡もなしに遊びにきたそいつが、勝手に買って来た材料で勝手に作った食事を前に唸れば、向かいに居たそいつが心配そうにオレの顔を覗き込んできた。
因みに、こいつは変態だけど料理っていうか家事だけはちゃんと出来る子だ。
「最近、調子悪くてさ……」
普段なら、勝手にウチにやってきた時点で蹴りの一発や二発飛んでいる所だけど、今日はそんな気にすらなれない。
「これだって美味そうなのに、吐き気とか酷いんだよ……」
「夏バテだよな」って言おうとしてはたと気付いた。
いつもなら何かしら気持ち悪い事をほざいてくる筈のそいつが今回はやけに大人しい。視線を上げてみたら、そこには目を丸くさせて驚いた表情をしたそいつの顔があった。
「あの……それってまさか……っ!」
「え?」
訳が分らなくて、そいつを見つめながら首を傾げる。
「俺の子ですかっ!?」
一瞬思考が停止した。
そしてこの“バカ”に、ここ最近の猛暑とは対照的な吹雪でも起りそうな程の冷ややかな視線をやる。
「あ゙ぁ?」
「男の子ですかね? 女の子ですかね?」
「どっちもある訳ねぇだろうがーッ!」
オレの冷ややか過ぎる視線にも気付かずに、気持ち悪いくらいに鼻の下を伸ばしたそいつ。
今日一発目の上段蹴りがそいつの顔面、左頬にヒット。座っていた椅子ごと、頬を真っ赤に腫らしたそいつが床に沈んだ。
「うっ……調子悪いのに……」
第一、キスだってした事ない(これからもするつもりはない)のに、有り得ねぇだろーが。
吐き気がする……
しかもさっきより酷いやつ。
40: 名前:時雨☆10/06(火) 23:01:24
【おまえのソレは萎える】
「なぁなぁ! 見てこれ。どうよ?」
普段より3割増しのテンションでテレビを見てた俺の目の前に現われたそいつに、俺は危うく手に持っていたコーヒーを落としそうになった。
「どう?」なんて言われても、正直これはツッコミどころが満載でツッコミ体質の俺でも全部のボケを拾うのは骨が折れそうだ。
「おーい。どうした? あ、似合い過ぎて言葉が出ないとか?」
「……何故セーラー服?」
漸く口に出来た言葉がこれって……
もう自分にツッコミを入れそうだ。
「似合うだろ?」
何故こんなに自信満々に言えるのかが不思議だ。腰に両手を当てて、どうだど言わんばかりにふん反り返って。
「スカート短くね?」
「燃えるだろ?」
いやいやいや。確かにムラムラしなくはないけど、そんな膝上何cmだよそれ。そんなんでくるりなんて回るなって。
バレリーナの如く。いや、男だからバレリーノ? の如くその場で回ったそいつ。
そのせいでただでさえ短いスカートがふわりと舞って、その中の下着が見え……
「なんで中は男物なんだテメーッ!」
「そこかよっ!?」
セーラー服着て、しかもかなりスカートを短くしてるのになんでその中は女物じゃねぇーんだよ!? あ゙ぁん?
「そこかよ」ってそこだろ!?
「とにかく、セーラー服にトランクスとか無い。萎えた」
「酷っ! なんだよ、お前に喜んで貰おうと思って着たのに!」
「だったら中も女物で来るべきだったな。しかもなんだ、イチゴ柄って。ファンシーだな」
言った瞬間、そいつがあからさまに不貞腐れて。しかも俺の足元で『の』の字を書き出した。
え。なにこのウザさ。
「とにかく、お前のソレは萎える!」
でもコスプレは正直可愛いと思った。
本人には絶対言ってやんねぇけど。
41: 名前:時雨☆10/07(水) 16:38:04
※グロ・意味不(え)注意
私の貧困な知識で書かれてますのでその辺はご容赦下さい。いえ本当に。これでも頑張ったんです!!←
【熱いものが流れ出した】
夢を見た。
一面真っ白な世界にあいつが居た。あいつは俺に優しげに微笑みかけてくれて、俺もまた、あいつに笑いかけた。
暫くは割りとどうでも良い話をしてたんだと思う。会話の記憶が酷く曖昧だ。でも俺の話を聞いてたあいつの顔は鮮明過ぎる程に覚えている。
何故そうなったのかは良く覚えていないけど、突然あいつはどこからか取り出したナイフで自分の腕を裂いた。もちろん血が噴き出して、真っ白だった世界に“赤”が生まれた。
俺はそんなあいつの様子をただ見つめるだけだったんだけど、あいつが裂いた腕を俺に差し出しながら言ったんだ。
「舐めて?」
俺は言われた通りに腕から次々と溢れる赤を舐めた。生温くて鉄臭くて、あまりの量に自分の喉にへばり付く様で飲みづらかった。それでも俺は舐めて飲み続けた。
腕に垂れてきたのじゃなくて、俺はついには傷口から直接血を啜る様になってて、不意に夢中になっていた自分に気付く。
「美味しい?」
「まだ分かんねぇ」
「そう……」
気のせいかあいつの声がか細くなった気がしたけど、そんな事はなんだかどうでも良かった。
「もっと僕を……食べる?」
「ン。さっきのナイフ貸して」
「うん……一つに、なろうか」
俺は頷きながらさっき腕を裂いたナイフを借りる。それを片手に血を啜りながら、俺は手に持ったそれをあいつの柔い太腿に突き立てた。
足を裂かれたあいつは膝をついて地面に倒れる。俺も一緒に膝をついて、太ももに刺さったままのナイフを引き抜いた。
そこからも赤が溢れてくる。太ももの傷口から覗く“赤味”は美味しそうで、実際旨かった。
駄目だったのは尻とか脂肪の多い所。水っぽくてとてもじゃないが食えたもんじゃない。
いつの間にかあいつは動かなくなっててやっちゃった? だなんて思ったけど、それもすぐにどうでもよくなった。
もう止まらない。いや、止まれない。
中国では『両脚羊(ヤンシャオロウ)』なんて言って人の肉を食ってたらしいけど、両脚羊は一統価値の低いものと見なされていたそうだ。なんて勿体ない。
「眼の周りが旨いって聞いた事あるな。視神経は珍味だっけ。……最後に食べよ」
好物は最後まで取って置く派の俺は一人そんな事を口にしながら最早“食事”と化してしまった行為を再開させた。
筋張った歯ごたえも、顎が疲れる感覚も癖になりそう。内臓も思ってたよりは全然旨いし食える。男の大事な所もな。意外とイケた。
特に、最後に残して置いた視神経。あれは確かに面白かった。
眼球はあいつの『一つになろう』って意思を汲み取って噛まずに丸呑み。喉に詰まりかけたけど、それで死んでも別に構わなかったから気にしなかった。
「ふぅ。……御馳走さま」
そう言って、何も無い真っ赤な地面に向かって手を合わせた。
という所で目が覚めた俺。目を覚まして一番に目に入った白い天井に何故か俺は吹き出した。
笑って、笑って、とにかく笑った。
「あー…… 懐かしい夢見たな」
そう言って俺はふと、気付いた。
おいおい、夢精なんて何年振りだよ。
50: 名前:時雨☆10/07(水) 22:07:20
SMの筈がただの鬼畜(でもない?)に……あれ?←
でも楽しかったのは……秘密です←
【黒い欲望】
「ぐっ! ゔぐぅぅ」
獣の唸り声の様なそれは間違いなく人間の喉から発せられていた。
しかしそんな声を出す男の格好は衣服を一切身に纏っておらず、四つん這いに床に這う姿は声同様まさに獣の様。
異様なのはそれだけでは無い。男の首、両手首、両足首には鎖の伸びる枷。大分余裕のある鎖の先は男を囲むように配置されたポールに繋がれている。そして男の目元には布が巻かれ更には猿轡までもを噛まされていた。
完全に男は拘束されていたのだ。
「耳障りな声を上げるな。黙れ」
拘束された男の側に居た男が手に持っていた一本鞭を振り上げる。
鞭が風を切った音を這った男が耳にしたのとほぼ同時に背中に赤い線が引かれた。
「ぅぐううぅうっ!」
「黙れ、黙れ、黙れッ! 黙れと言っているんだこの屑がッ!」
怒声に近い声と同時に鞭が振り下ろされる。次々と裸の背中に赤い線が引かれ重なっていく。
男が背中に傷を刻まれる度に身動ぎ、鎖が床と擦れ鈍い音を立てた。
意識を途切れさせる事は許されない。例え、意識を飛ばした所ですぐにでも下ろされる鞭によって、痛みによって引きずり起こされるのだ。
「ぐッ! ゔぅ゙ぐゔ」
皮膚を裂く強烈な痛みに轡をされているとはいえ声を出さないのは到底無理な話。背中に線が描かれる毎に轡の隙間から低い呻きが洩れた。
一向に静かになる気配の無い男に思わず鞭の手が止まった男が舌打ちをする。
そして、なにを思ったのか男の轡を外した。途端に部屋に男の荒い呼吸音が響き、それにたまに咳き込む音が交ざる。
「啼くならもっと良い声を出せ。下衆が」
まるで穢らわしいものでも見る様な目で見下す男が容赦無く、黒の見るからに値が張りそうな革靴で床に這う男の腹部を蹴り上げる。
「あ゙ぐっ゙!?」
まさか蹴られるとは思っていなかったであろう男は無防備な腹部への衝撃に遂に身体のバランスを崩した。腹を抱え盛大に咳き込み、そして痙攣しながら胃の中の物を床へと戻す。
ジャラジャラと男を拘束する鎖が床と擦れ、そのお世辞にも良い音とは言えないそれに眉を寄せた男が再び鞭を下ろした。
ひゅん、と鞭が風を切る音と、鞭が素肌に傷を付けていく乾いた音が交互に。そして思わず耳を塞いでしまいたくなるような男の絶叫が絶えず響く。
それでも、鞭を振るう男の顔は先程までと比べると明らかに今の状況を楽しんでいるのが見て取れた。
「そうだ、その調子だ。叫べ。悶えろ。私に赦しを請え!」
「あ゙っ゙、ぐあ! ひぎっ、がは……っ!」
高らかな笑い声に低い呻き声。
男の鞭を振るう手は止まらない。どこか恍惚とした表情で自分の足元で悶え苦しむ男の身体に次々と傷を重ねていく。
「はっ。下衆め。いくらどうしようもない程のマゾ狗でも、ここまでされたらさすがに勃たないか?」
横向きに床に転がる男は無意識の内に防衛本能が働いたのか、まるで母親の腹の中にいる胎児の様に膝を抱えていたが、その膝の間に黒の革靴が入れられ足を左右に開かれた。
足を開かされ、露になった中心はあれだけ激痛を与えられたというのに天を仰ぎ先端からは滴を溢れさせていて。
鞭を持ったままの男の舌打ちが、やけに大きく聞こえた気がした。
「マゾもここまで来ると最早病気だな」
「ぎゃあ゙あ゙ぁ゙ああ゙ぁあッ!」
鞭が正確に熱り立った雄へと振り下ろされる。普通の人間ならば想像を絶する様な痛みに意識を飛ばす筈だろうが、鞭で打たれた男が飛ばしたのは意識ではなく大量の精液。
自分の顔にまで飛ぶ程のそれを放出した男の表情は一段と恍惚とし、半開きの口からは涎と言葉にならない声が洩れていた。
「誰が達しても良いと言った? え゙ぇ?」
「は、ぅ……す、ませ、すみませ……っ」
「私は口先だけの謝罪は嫌いだ」
絶頂を迎え小刻みに震える男を冷徹に見下ろしていた男がついに鞭を手放した。いや、手放したと言うよりは放り投げたと言う方が正しいかもしれない。
「ご、主人さ、ま……?」
「貴様の目の前に貴様のお気に入りの鞭がある。今日はそれを特別に貸してやる」
目を塞がれた男は手探りで放られた、先程まで自分を散々痛め付けた道具を探す。
漸く手に取れた時には男の手は先程の吐瀉物で汚れてしまっていた。
「私はもう寝る。あとは好きにしろ」
「は、はい……」
「なんだ、不満か?」
男の眉が寄る。
それを雰囲気で感じ取り、床に正座する男は反射的に身体を強張らせた。
「あ、いえ……その、目隠しを外して頂けないでしょうか……」
「ふん。仕方ない。その代わり、しっかり後始末はしろ。床に零したものは全て舐めて綺麗にしておくんだ。後で誰か寄越すからその時に身体もだぞ」
「はい。ご主人様」
最後の最後に「いい子だ」とでも言う様に正座をする自分の奴隷ともペットともいえる男の頭を撫でてから、男は部屋を出ていった。
一人、しかも繋がれたまま残された男は預かった鞭で一人慰める事はせず、思っていた以上に酷い有様な部屋の“掃除”へと取り掛かる。
だがしかし、この部屋が完全に綺麗なる事は無いだろう。
男は今終えたばかりだと言うのに、約束を守れなかった自分への、ご主人様からの次のお仕置きの事を考えて男は主人から預かった鞭を抱きながら胸を踊らせた。
熱を含んだ吐息が
男の口から零れて落ちた。
51: 名前:時雨☆10/08(木) 20:37:15
ありきたりなネタ(笑)←
【絶対的愉快犯】
「ねぇ、僕が好き?」
本当に突然、俺は彼にそう聞かれた。
戸惑いながらも俺は「はい」と頷く。
「俺は貴方が好きです」
彼は俺の答えに満足そうに笑って、俺はその綺麗な笑顔につい見惚れてしまう。
「じゃあ、君の全部は僕の物だね」
「え?」
それはそうなんだろうけど、俺はなんだか彼のその言葉に自分が思っている以上の何かを感じた。
言葉にするのが難しいもの。
「僕は君しか愛さないし君は僕しか愛しちゃいけない。君の手や足や首や骨に皮膚に内臓に血液も。全部が僕の物」
彼の言葉は余りにも極端で、俺の常識からはかけ離れてて。
そしてもはや決定事項だと言わんばかりの口調で彼は言い切った。
残酷な程に綺麗な顔で。
「だからね--」
彼の瞳が俺を映す。
目の前が、真っ暗になった。
52: 名前:時雨☆10/09(金) 20:19:51
そういえば一人遊び(笑)ネタを書いて無かったな、と思った結果です (笑)←
とりあえず鬼畜?→病み?→切?と来たので次はギャグ要素が入ったのを書きたい←
【ひとりでなく寂しさは貴方がくれたもの】
「ん……っふ……ぅン」
自宅のリビング。深く腰を掛けたソファに背を預けて、今じゃ完全に頭を擡げてしまっている自分自身に指を絡めた。
掌全体で包み込んで、先ずはゆっくりと手を上下させる。徐々に手を動かす早さをあげて、時折握る手に力を入れた。
「ンッ……ぅぁ」
そっと声を洩らしてみれば洩れた甘いそれに思いの外煽られて、知り尽くしてる自分のイイ所を弄って、擦る。
先端から溢れてきた先走りを自分で絡めながらわざとくちゅ、と濡れた音を立てれば、俺は聴覚からでも快感を得られる事を知った。
この音に俺の声。聞かせられるものならあいつに聞かせてやりたい、なんて無茶な事を思う。
俺がこんな事をしないといけなくなるまで放置して、いつもそうだ。焦れるのは毎回俺の方。こんな身体にしたのは自分のくせに、自分の都合でしか俺の相手をしようとしない。
ずるい奴。
「っ、んぁ……」
まだだ。まだ、絶頂は迎えない。達しそうになれば手を止めてやり過ごす。波が過ぎれば扱くのを再開させるけど、今度はわざとイイ場所を外してやる。
その代わりに頭の中をあいつで一杯に。あいつの顔に身体。声と長い指。俺を掻き乱すあいつの全てを頭の中に描いた。
「ぁッ、ふっ、ぅく……んん」
俺の頭の中のあいつが妖艶に笑って、俺に見せつけるように唇を舐める。そんな妙にセクシャルな仕草に俺は我慢する事も忘れて、ついに昇り詰めた。
「--ッ、あッ!」
一気に脱力した俺の身体。指の間をドロリとした白濁が滴る。
それを見た途端虚しくなって、自分が吐き出したそれを少しだけ舐めてみれば独特の味に一層虚しくなった。
「ばかだな、俺……」
呟いてから後悔。掠れた自分の声に今度は目の前が滲んできた。
テーブルの上の携帯は
未だ黙ったまま。
53: 名前:時雨☆10/10(土) 15:09:22
【一足す一は三にも四にもなる】
扉一枚の向こうに居る相手の事を思い那智は「よし」と心を決める。
扉をノックし中に声を掛けながら那智は部屋の中に入った。後ろ手に扉を閉め、ついでに鍵も閉める。
那智の正面では、一応那智の恋人である理人がベッドに俯せに寝ながら部屋にやってきた那智に首を傾げていた。
「どうかしたか?」
尋ねられて那智が口の中に溜まる唾液を喉を鳴らしながら飲み下す。握り締めてた拳が妙に汗ばみ、那智は自分の服の裾で拭った。
那智が何故か緊張した様子なのは何も知らない理人にも伝わる程で、理人は俯せになっていたベッドから身を起した。
「那智?」
「あ、あのさ!」
理人が更に声をかければ、那智は一瞬どこか意を決した様な表情を覗かせて口を開いた。
それは思いの外大きな声で那智は自分の声に内心驚きつつ真直ぐ理人を見つめる。
「理人、もうすぐ誕生日だろ? 何か欲し」
「那智が欲しい」
せっかく覚悟を決めて来たというのに、「何か欲しい物はある?」と聞こうとして全てを言い切る前に理人に言葉を被せられた那智が表情を引きつらせた。
恋人の為だと自分に言い聞かせ何とか笑顔を作ろうとするが、今の那智の表情はお世辞にも笑顔とは言い難い。
「…… せめて全部言わせろよ」
「あ、ごめん。で、那智が良い」
「“俺”ってお前な……」
正直この答えを予想していた那智は自分の予想を裏切らない理人に心の中でそっと溜め息を吐く。
理人といえばなんだか欲しい玩具を目の前にした小さな子供の様な目で那智を見つめていて、今度こそ那智は長い溜め息を表立って吐いた。
那智が「分かったよ」と頷けば、理人が目に見えて喜びだした。
「那智。オプションとか付けて良い? ネコ耳に鈴の付いた首輪とか。うさ耳に異物挿入(にんじん)とか!」
「よし死のうか」
これでもかと目を輝かせる理人に那智が冷ややかに笑う。那智も今度はちゃんと氷の様な笑みだったが笑みを作れていた。
しかし理人はそれを判っているのか、いないのか、自分の希望を熱く語っている。
理人曰く、猫には鈴。兎にはにんじんらしい。他にも、場所は台所で裸エプロンに異物(野菜)挿入が良いのだそう。それらを合わせる事により、無限に楽しみが生まれる、と理人は言った。
若しくは夢のお医者さんプレイでカテーテルやらクスコを使いたい、と言われた時はさすがに那智も我を忘れそうになったがなんとか自分を抑える事が出来た。
だがしかし、ここまで来ると那智にとってはマニアック過ぎて対応に困る。それに準備だって具体的に何をすれば良いのか那智には見当もつかなかった。
「クスコってなに」
「え? お医者さんプレイが良い? よし分かった!」
思わず呟いた那智の言葉に、どうやら理人の中で自分の誕生日にはお医者さんプレイをする事に決まってしまったみたいだ。
取り残された感が否めない、というより実際妄想の世界に旅立ってしまった理人に現実世界に一人、取り残されてしまった那智。
たった数十分の間で物凄い疲労感が那智に伸し掛かる。
「もう、いいや……」
諦めた様に呟いた那智は、相変わらず妄想の世界へと旅立ったままの理人に一度溜め息を吐いてから、理人に気付かれない様そっと部屋を後にした。
「溜め息、幸せ何回逃げたかな……」
そう言った自分自身の言葉にも溜め息が洩れ、那智は本気で理人とのこれからを心配した。
それから
二人がお医者さんプレイをしたかは、
皆さんの妄想力に任せようと思う。
54: 名前:時雨☆10/11(日) 12:59:03
【解答用紙の裏にメッセージ】
俺の職業は教師。とは言っても今年なったばかりのペーペーの新米だ。
それだから慣れない事ばかり。遅くまで学校に残って残業なんて毎日の事。
今回も例外無く学校が終わってからも職員室に残ってテストの丸付け。
自分の受け持ちの授業のテスト用紙と睨めっこだ。
「お。さすが生徒会長だ。満点、っと」
綺麗に丸だけの解答用紙は見ていて気分が良い。
この日初めての満点だったのもあって、ついその解答用紙を持ち上げて眺めてしまう。
その時、解答用紙の裏が透けて何かが書いてあるのに気付いた。
女子がたまに時間が余ったりとかで解答用紙の裏に落書きとかしてたりするけど、男子生徒、しかも生徒会長が落書きなんて珍しくて好奇心でつい裏返してしまう。
「なになに……好きです」
……は?
解答用紙の裏に書いてあった言葉を声にだしてみて一瞬ポカンとした。
ハッとして“好きです”の文字を再度確認。
「好きです……現国が」
まさかの倒置法っ! しかもこれ数学のテスト用紙!
「なんだこれっ! 喧嘩売ってんのか!?」
思わず叫びながら“現国が” の先を読んでやる。
そこには、
『喧嘩なんて売ってません。あまり大きな声を出すと痛いですよ』
なんて書いてあって。俺は瞠目した。
何故会話が成立してるんだ!? しかも余計なお世話だ!
『すみません。先生って解りやすいので』
どーゆー意味だ! 俺が単純だって言いたいのか!?
『そう言う事になりますね(笑)』
ムーカーつーくーなっ! 特に最後。かっこ笑いかっことじって舐めてんのか!?
『じゃあそーゆー事で。本題に戻ります』
どーゆー事だコラ! 俺が馬鹿みたいじゃねぇかよ!
なんてこめかみをヒクつかせながらここまで来たら最後まで読もうと意気込む。
『好きなんです』
ははん。同じ手には引っ掛かんないぞ。
一番初めに書かれてたのと同じその単語に鼻で笑う。
どうせこの後にも倒置法が使われてんだろう?
見てみれば思った通り、矢印が書いてあって、それを視線だけで辿る。
『先生が。本気です。本気と書いてマジと読みます』
ほぉら見ろ。やっぱり倒置法が……
「えぇえぇぇぇっ!」
『煩いですよ。近所迷惑です』
これが叫ばないで居られるかよ!
冗談とも言えるそれに俺は頭を抱える。
自慢じゃないがこれは俺の人生で初めての告白で。“本気”なんて言われて普通なら喜ぶ所なんだろうけど、相手は自分と同じ男でしかも生徒。
禁断どころの話じゃない。
男同士、年の差、教師と生徒の三重苦。
パニクった頭で更に先を読む。
『付き合って下さい。幸せにします』
俺が女だったらプロポーズになるような言葉が綺麗な字で綴られてて。
ちょっとドキッとしたのは秘密だ。
『返事は急ぎませんが、明日下さい』
待て待て待て。矛盾してるだろ。明日ってめちゃくちゃ急ぎじゃねぇか!
なんて心の中でツッコミを入れて、その先も読もうと思ったらその先からは白紙。
「これで……終わり?」
俺の思考を読みまくってた文章に、単純だって俺を面白半分にからかってて最後には“冗談です”ってネタばらしがあるもんだと思ってた。むしろそれを願ってた俺の期待は綺麗さっぱり裏切られて。
良くみれば俺の思考を読んでた時の字は綺麗なのに、最後の一文は字が震えてる。
「マジで……?」
字が震えてる事なんていっそ気付かなきゃ良かった。
そんな事思った所でもう遅くて。
ひとまず返事をしなきゃいけないとペンをとる。情けない事に手が震えて、それを気力で必死に抑えながらペンを白紙の部分に滑らせた。
俺がなんて書いたかは俺のプライドの為に言わないでおこうと思う。
一つだけ言うなら、俺も無い頭をフル回転させて返事を書いたって事だ。
解答用紙の裏のラブレターなんて、
一生忘れられなそうだ。きゅんとした。
63: 名前:時雨☆10/12(月) 13:34:42
性描写ってほんと難しいです……←
特に喘ぎとか喘ぎとか喘ぎとry←
グダグダ&ダラダラになってしまうorz
【耳元でそんな可愛い声出すなよ】
「んぁ、あっ……あんっ」
甘い声が鼓膜を震わせる。普段のそれより1オクターブ程高めのその声は、揺さぶる俺の熱を絶えず煽り続けた。
「ね、ひぁっ……ぎゅって、したいっ」
「良いよ?」
そいつの可愛いお願いに、俺は自分の頬が緩むのを感じながら繋がったままそいつの身体を抱き上げた。足の上に向かい合わせに座らせれば、そいつが俺の首に腕を回してくる。
「んんっ……深い、よ……っ」
「奥まで当たってる?」
試しに突き上げてやれば背中が反って可愛い声が上がった。抱き付かれているから俺はその声をすぐ側で聞く事になる。
「可愛い。もっとくっつけよ」
「あぁん……や、擦れるのっ……んぅ」
後ろの刺激だけでも辛いだろうに、その上俺の腹に前が擦れて堪らないみたいだ。
でも俺はそれを分かっている上で腕の中のそいつの身体を軽く揺すってやる。腕の中で快感に震える様子は子猫かなんかを思い起こさせた。
にしても、可愛過ぎる。
「ひあぁっ……っん、ぁん」
耳元でこんな声聞かされて、俺も余裕なんてあって無いもんだ。
「なぁ、可愛いのは良いんだけどさ」
「ぁふ……な、にぃ? ぁぅ」
いや、余裕なんて最早無い。
ただでさえそんななのに、耳元でのこんな声。鼓膜をくすぐられて堪らない。
なぁ、頼むから。
「耳元でそんな可愛い声出すなよ」
めちゃくちゃにシたくなる。
80: 名前:時雨☆10/13(火) 18:55:17
【顔、見たいよ……っ】
薄暗い部屋。
ほんのりと淡いスタンドライトの光の中僕は大好きな彼に後ろから貫かれながら声をあげていた。
「あっ、あぁっ! ひあぁぁ!」
僕達の身体が揺れるのと合わせて二人の乗ってるベッドがギシギシと軋んだ音を立てる。
後ろからは彼の荒い呼吸音が聞こえて、僕の背中に落ちてくる彼の汗はより一層僕を昂ぶらせた。
「は、っ……うっ、く」
「やぁ…… もっと、もっと奥して……」
不意に彼が僕を揺さぶる動きを止めれば僕は厭らしく腰を彼に突き出して強請る。
そうすれば彼が嬉しそうに小さく笑う気配がして、僕はほんのちょっとだけ悲しくなった。
今、彼が抱いてるのは僕じゃない。
「あぁぁッ! そこ、そこいいよぉ!」
シーツにしがみつきながら大きく突き上げられる衝撃に耐える。本当は正面から彼にしがみつきたいんだけど、彼はそれを許してはくれない。
彼が抱いてるのは僕じゃなくて僕の弟だから。
彼は僕じゃなくて僕の弟が好きなんだ。でも弟には他に恋人が居る。だから彼を好きな僕が代わりに抱かれてる。
抱き付いたりは出来ないけど、幸い、兄弟だけあって声はそっくりだからこうして声を上げるのは許されてる。
だから僕は弟として、彼を求めるんだ。
「あ、あんっ、ああっ……、イイっ」
男なんだから自分の意思はどうあれ触られれば感じちゃう。
それが今ではありがたい。快感さえ感じてれば今だけは他の事を忘れてられる。彼が見てるのが例え僕じゃなくても、今彼に抱かれてるのは僕なんだから。
でも、でもね?
「あっ、や、イク! イク、イクっ!」
「お、れも……っ、うっ」
彼の出したものが僕の最奥に叩き付けられた。そして収まりきらなくて溢れ出たのが僕の足を伝っていくのと、ナカの彼のが力を無くしていくのが感覚で分かる。
もう終わりなんだ、って、もう僕に話しかけてすら貰えないんだ、って思えば思うほど寂しくて。
「っ、ぅぅ……」
嗚咽が洩れないように必死に唇を噛んでシーツに顔を押し付ける。
僕は代わりで良い。
大好きで憎い弟の代わりで良いから。
せめて、抱かれている時くらいは
貴方の顔を見ていたいよ……。
最終更新:2010年05月15日 23:51