××× 続き4

episode7


《直人目線》

走って学校から帰ってきて、玄関に愁ちゃんの靴があるのを確認したオレは愁ちゃんの部屋へ続く階段を駆け上がる。

「愁ちゃんただいまーっ! 聞いて! 今度、クラスで劇やるんだ!」

ゼイゼイと息をしながら一気に喋る。

壁にもたれながらベッドの上で勉強していた愁ちゃんは、参考書から目を話すとオレとは対照的にゆっくりと答える。

「おかえりー。劇、何するの?」
「それがねっ! 先生がオリジナルで作ったんだけど、夜の動物園のお話でっ……」

愁ちゃんに帰ったら一番に言おうと思っていたから気持ちが焦って、愁ちゃんが相槌を打つ前にどんどん説明する。

「……それで、みんな一人一種類動物のカッコでするんだよ。クジで決まったんだけど、衣装ももう用意されててね、拓也がライオンで、桜はウサギで……」

次々とクラスの子達の役を挙げていく。
オレが大きく息継ぎをした時、話すタイミングを見計らって愁ちゃんが質問をした。

「で、ナオは?」

そう! その言葉を待ってました!

「……ふっふっふ。ちょっと待ってて!」

ピュッと愁ちゃんに見えないよう扉に隠れてランドセルから衣装を取り出す。
愁ちゃんびっくりするぞー!
これつけて、これ着て、これ履いて……よしっ準備万端!

「ジャジャーン! トラでーす! ガオォー!」
「……! あははっ……ははっ!」

愁ちゃんは一瞬目を丸くした後、大きな声で笑いはじめた。
あれ? なんか意外な反応?

「ぇぇー? なんで笑うの?」

オレはバカにされたみたいでちょっと悔しくて、ぷぅっと頬をふくらませる。

「あははっ……ごめん。いや、あまりにも可愛いトラだなって思って」
「むぅ。ちゃんと尻尾もあるんだよ、ホラ」

くるっと後ろを向いて、フワフワの短パンに縫いつけられた長いしっぽを見せる。
オレの今の格好は、尻尾のついた短パンに、同じ生地で出来たタンクトップ。
なんか、短くておへそ見えるから寒いけど。
それから、ピンで髪に留めるタイプのネコ耳で完成。
もうどっからどう見てもトラでしょ!
愁ちゃんはしっぽを握ってフリフリと遊ぶ。

「トラっていうより、ネコっぽいね……そもそも、縞模様ついてないじゃん」

……そう言われれば、ただの茶色でネコと言われてもおかしくないかも。

「あ、えーと、確か先生がこれだけは家から持ってきたって言ってたよ」
「……なるほどね。先生、いい趣味してる……」

愁ちゃんはまたクスクス可笑しそうに笑い始めた。
……?
良くわかんないけど、とりあえずトラとしては全く見てくれなさそうな感じ。
むうう……。これはトラとしての威厳を保たねば!

「愁ちゃん! 襲っちゃうぞー! ガオォ!」

引っ掻くように手を丸めてベッドの愁ちゃんにダイブした。
愁ちゃんとそのままベッドに倒れこむ。
これでもかと愁ちゃんの脇腹をくすぐる。

「っ!! あははっ……ははっ……ちょっ……ストップ!」
「キャハハ! ガォー!」

そのままジャレていると、クルンと仰向けにされていつの間にか愁ちゃんの方が上になる。
愁ちゃんの顔がいきなり近くなってドキリとする。

「逆に、襲ってもいい?」

低くて、ゾクリとするような声。
……こういう時の愁ちゃんは、恐ろしいほど美しく見える。
ギュッと目を瞑ると唇が触れて、舌が侵入してくる。

「あっ……ふっ……」
「ね、一回ニャアって鳴いてみてー」

付け耳をフニフニとつまみながら愁ちゃんが言う。

「ゃ、だ」

フリフリと首を横に振る。

「いいじゃん一回くらい」
「は、ずかしいもん……」
「俺しか聞いてないから大丈夫」

愁ちゃんに言うから恥ずかしいのに……。
でも、どんな事でも愁ちゃんに頼まれたら最終的にはイヤとは言えなくなる。
……だって、愁ちゃんの事が大好き、だから。
ギュと唇を噛んで少し考えてから、少し躊躇いながら小さく口を開く。

「に……にゃあ?」
「……可愛すぎ」

ギュウと抱きしめられた後首筋に強く吸い付かれる。
そのまま何回もキスを落とされる。

「にゃ、あ……ぁっ、ん……」

首筋を舐められて、鳴き声なのか、喘ぎ声なのかわからない声が出てしまった。

× × ×

《愁目線》

肌にジンワリと汗を拡げながら、直人が本物の猫のような声で喘ぐ。
首筋へのキスを止め、今度はお腹へと顔を移した。
スッと短く縦線を引いたようなおへそを舌でなぞる。

「ふぁ……あっ」

背中を小さく反らせながら直人が反応する。
くびれのラインを沿うように手を滑らせると、直人はひねるように身体を揺らす。

「ゃ……ぁ、くすぐっ……たいよぅ……」
「さっき俺の事、思いっ切りくすぐったくせに」

ひねった方向に直人を回転させて、うつ伏せの状態にする。

「ナオ、四つん這いなってー」
「んと、……こう?」

直人が素直に膝を折って四つん這いの体制をとると、本物の猫のように思えてくる。

「今はネコなんだからちゃんとまだ演技しててね?」
「トラだって言ってるのに……。ぅー……わかった……」

あ、そういえばトラだったっけ。
今、完全に忘れてた。
フワフワの尻尾を手にとり、尻尾の先で背中を撫でる。

「にゃ、あんっ……」

直人が声を上げて首を上に向けると、頭につけているネコ耳がピコピコと揺れる。
……ヤバイ。先生がハマる理由がわかるかも。
手を伸ばしてタンクトップに手を入れ胸の突起に触れる。
突起はすでにピンとすでに硬くなっていて、人差し指でクリクリと回すと直人が甘い声で応じる。

「ん、にゃ、……はあっん」
「ナオ、ここ触られるの大好きだもんね」
「はっ……ぅ……ん、気持ち、ぃ」

素直に感じてくれているのが嬉しくて、直人の背中にいくつもキスを落とす。
直人の感じている表情も声も、全て俺の物にしたい。

「にゃっ……はぁっ、愁ちゃ、ね……下も……して……?」
「えー? もう?」

しばらく愛撫を続けていると、焦れた直人がおねだりしてくる。
……ズボン下ろすと尻尾がなくなっちゃうから、もう少し楽しみたかったんだけど。

「……ね、お、願い」

直人がユラユラと尻尾を揺らす。
可愛いさに負けて、ズボンを下ろすと直人の柔らかいお尻が現れる。
蕾がヒクヒクと誘ってくる。

「ナオー、下ってこっちも触っていいの?」

ツンツンと指で蕾をつつく。

「ぁんっ……やあっ! そこはだ、めぇ……」

蕾を隠すようにキュウとお尻に力を入れる。
ナオのものはもう反り返っていて、先を握ると透明な液で滑りクチュクチュと水音が聞こえる。
前を触っていると、そこだけに意識がいってしまうようで、直人の蕾がゆっくりとまた花開いてゆく。
あ、いい事考えた。
直人にバレないように、俺はさっきまで飲んでいたグラスを手にとる。
溶けかけの小さな氷を口に含むと、そのまま直人の蕾に舌で押し込んだ。

「ひゃ、あぁんっ!!」

直人は大きな声をあげてビクンと身体を仰け反らせる。
そのまま舌で入口をかき混ぜると中の熱で氷は急速に溶け、ポタポタと水となって流れてゆく。
俺は溶けきったところを見計らって、ゆっくりと人差し指を挿し込んだ。

「氷入れたのに……ナカ、全然冷たくなってないね」
「ふぁっぁん、やあっ、あん」

直人はまともに話せないようでガクガクと膝を震わせている。
第二関節まで指を入れると、キュウと指を締め付けられる。
ゆっくりと指を前後に動かしたり回したりしながら直人の身体と指を馴染ませ、そのまま中指も合わせて挿入する。

「んあっ、んんんっぁ!!」
「……痛い?」
「ぁっん、い、たく、んぁ、な……ぃっ、っあ」

前立腺を刺激するため、腹側の肛壁を擦るように動かす。

「やっ、はあっ、ぁっんぁ!」

ビクンビクンと直人の腰が痙攣し、ポタポタと先走りの液がシーツを濡らしてゆく。
……このままあんまり刺激を与えちゃうと出しちゃうかも。
そう思った俺はまたゆっくりとした動きに戻す。前立腺には軽く触れるぐらいに留めて。
しばらくすると直人の呼吸も少しづつ整い、話せるようになってきた。

「んっ……はあ、愁、ちゃっ……?」
「何?」
「…………」

なかなか続きを言おうとしない。

「ナオ、何?」
「も……っ……オレ、ぁっ……イキ……たい、の」

確かに……俺もそろそろ限界かも。
ほんとは中学生になるまで我慢するつもりだったのに、……もう、指だけじゃ満足出来ない。

「……じゃ、入れても、いい?」
「っ、ん、……な、にを……?」

首だけを後ろに向けて潤んだ瞳で尋ねてくる。
指はそのままで身体を伸ばして直人に覆い被さると、口を耳元にあてて直人だけに聞こえるように囁く。

「俺の――」

言葉に反応して、キュウと指が締め付けられる。
耳まで真っ赤になった直人はイヤイヤと頭を振る。

「やぁっ、絶対、入……んぁっない、っよ」
「いや、もう余裕で入ると思うけど」
「ひぁっん!」

人差し指と中指で左右に拡げるとトロトロにほどけた蕾はいやらしい音と共に口を開き、ピンク色の襞が覗く。

「ん……はっ……んん、ぁっ!」
「……ダメ?」
「んっ、んはっ……ふ、ぃ……痛くしない……で、ね?」
「わかった」

チュッと腰に口づけしてから指を抜き、自分のものを取りだす。
先を蕾に当てると、自身の液とも相まってヌルヌルと滑る。

「力、抜いててね……いくよ……」
「ん……っんあ、ああっぁっ……ぁあ!!」

ググッと先を入れると、想像以上にキツいし、アツい。
壁を押し拡げるようにゆっくりと奥へ進んでゆく。

「あっん、はっ、はあっ!」
「痛く、ない?」
「んゃ、は……ぁあっ、ん」

言葉にならない声をあげて、直人が頷く。
全く痛くないはずはない。
多分、無理して言っているんだろう。

「とりあえず、一番奥まで挿れたらしばらく動かないから」
「ぅ、ん、んぁぅっ……んぅ!」
「……っ、……はぁっ……」

少しずつ動く度にギュウギュウと直人の中が締め付けてきて、こっちもツラい。
ようやく一番奥まで辿りつき、下腹部が直人のお尻とピッタリとくっつく。
腰に腕を回して、直人の息が整うのを待つ。

「……はぁっ……はあっ……んぁっ……」
「ちょっとは、楽になった?」
「ぅ、ん……もうちょっと、だけ……はぁっ……ん、動かないで……」
「うん」

背中にキスをする。
ただの従兄弟から――まさか、この想いがこうして実るとは思わなかった。
何年、かかったんだろう。
――愛してる。
たとえ、この先二人が違う人生を歩む事になったとしても、俺は、ナオを愛し続けるよ――。

「……愁ちゃ、ん」

――直人の声に、思考が中断される。

「も、大丈……夫、っん、だと思う……」
「ほんと?」
「うん、ぁ……でも、キス……したい、よ」
「……この体制じゃ無理だよ。ちょっと待って」

直人の腰を持ち上げて、俺の上に座らせる。
すると、同じ方向を向きながら一緒に座るような体勢になる。

「ナオ、こっち向いて」
「……んっ……ふぁ、んんっ」

首に手をやり、深く口づけを交わす。

「愁ちゃ……んん……ふ……好き」
「んっ……っ……ナオ……好きだよ」

舌を絡まなせながら直人の腰を少し浮かせ、下から少しづつ突き上げると整えたはずの息がまた上がりだす。

「あっ! っゃぅ……動く、と……ぁっ……んぅ!」

腰のリズムに合わせて、直人のものに手をやると、ビクビクと痙攣をおこしている。

「も……イッていいよ」
「っああぁっ!!」

大きく突き上げると、ギュウと強く締め付けられる感覚が伝わり、俺自身にも急激に快感の波が襲う。
寸前で抜こうとしたが、締め付けが強すぎて間に合わず直人の中で果ててしまった。
直人からもドクドクと白濁液が掌に流れてゆく。

「……ゴメン、中で出しちゃった……今抜くから、ナオ腰あげて?」

直人の腰を持ち上げようとすると、まだビクンビクンと痙攣が続いている直人が甘い声をだす。

「ぁっあん、やぁっ、今、動かすと、ムリぃっ!」
「えっ、まだ気持ち良いの続いてるの?」
「こんな、の初めて……ちょ……まだ、このままでいてぇ……」

初めての経験でここまで感じてくれたら、俺も本望だよ。

「……いつまででも、こうしてあげる――」

フ、と笑いながら後ろからギュウと抱きしめた。
――いつまでも、俺だけのものでいてくれる?

 × × ×

《番外編 直人目線》

「じゃーみんな各自の衣装に着替えたなー。練習始めるぞー」

先生が台本を片手に指示を出していく。
先生が考えたストーリーは簡単に言うとこんな感じ。

――人間がいなくなる夜の動物園では、動物は人の言葉を話し、オリも器用に開けて朝がくるまでは動物園の中を自由に行動できる。
そんな中、一人仕事を終わらすために園長が戻ってきてしまう。
動物達はありとあらゆる手を使ってバレないように罠を作ったり、驚かせたりしながら、園長を追い出す。

……というストーリーで、園長役の先生は演技もしながらみんなに指示を出して大変そうだ。

「ハイ、そこで安藤吠える!」

先生が拓也に指示を出すと拓也が身体を四つん這いにさせながら吠える。

「ガオオォー!!」
「うわー!」

先生は恐がってしゃがみこむ演技をする。

「ハイ! 続いて桜井達が出てくる!」

ウサギの耳をつけた桜が他の女の子達とピョンピョンと跳ねながら登場し、園長が恐がっている間に穴を掘って落とし穴をつくる。
耳をつけた桜は本当にかわいらしい。
女の子の中でも一番似合っている。

「はー……やれやれ、ビックリしたー……。なんだかライオンがすぐ近くで鳴いた気がするなー。……って、うわあああ!」

先生は少し歩くと桜達が作った落とし穴にわざとハマる。
もうすぐオレの番……。
オレがするトラはこの後木に登って隠れていて、先生が落とし穴から這い出したところで大きく吠えて園長を驚かせる。
ドキドキしながら自分のセリフを待つ。

「ハイ、次、柊!」

先生の指示を聞いて勢いよく吠える。

「グルルル……ガオオォ!」
「ハハッ! アハハハハ……!」
「……先生ー? そこ笑うとこじゃないですよ?」

いきなり笑い始めた先生に驚いて、キョトンと尋ねると先生はゴメンゴメンと謝った。

「はー、いや、柊の声が安藤と比べると全然迫力に欠けるって言うかな……。やっぱり柊にトラは無理があったかなー」
「そーそー! 直人が鳴くとネコみたいに見えるぜ」
「拓也、うるさいっ!」

拓也が笑いながら野次を飛ばすのでキッと睨みつける。

「で……出来ます! もう一回やらせて下さい!」

慌てて先生に言うと、先生は腕組みをしながら考えている様子だった。

「いいけど……、ネコの方がやっぱりしっくりくるなぁー。でも動物園にはいないし……そうだ! サーベルキャットはどうだ?」

なんで……そんなマイナーな動物……!?

「イヤですっ! ちゃんとクジで決まったんだからオレ、トラでやりますっ!」
「わかった、わかった。じゃ、柊は後で安藤と練習でもしとけ。じゃ、次ーー」

先生はそう言ってさっさと次のストーリーへと進めてしまった。
拓也と目が合うと、拓也がニヤリと笑う。

「ニャアって言えばー? 直人君?」
「拓也……もう宿題見せないから」
「ちょっ……お前、それはズリーよ!! ウソウソ! ゴメンって! 直人~~っ!」

平謝りする拓也を無視して、オレは心の中で叫んだ。
――ガオオォ!!!

 × × ×
続き
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最終更新:2010年05月16日 14:56
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