183: 名前:時雨☆10/26(月) 20:14:46
【三回回って好きって言え】
「『わん』じゃなくて?」
時々涼はこうやって変な事? を言う。素直に「好きって言って欲しい」って言えば良いのに。
ていうか三回回れって……。これ完全に兄貴の影響じゃん!
「『わん』が良いならそれで良い。四つん這いで回れよ?」
床に直接座ってる俺とは違ってソファに座ってる涼は、その長い足を組み替えながらまるで子供にでも諭すような声色でそう言ってきた。俺は別に断る理由も特に無かったから言われた通り、犬みたいに四つん這いで三回涼の足元で回る。そして組まれてる長い足に手を置いて、自分と同じ顔をした弟を見上げた。
「好き。大好きだよ」
言ってから気付く。“わん”付けるの忘れた。
「……わん」
取って付けた様に“わん”て鳴けば涼が小さく吹き出した。
「遅くね?」
「いいの。気にしない」
「忘れてたくせに」
分かってるなら言わないでよ。
俺が言うのもなんだけど、年相応の笑顔を見せながら俺の頬を両側から引っ張ってくる涼。痛いし喋り難いったらありゃしない。
「いひゃいよ……」
「気のせいだ」
いやいや、そんな訳ないでしょ。
そう思ってもこんな状態だから言葉に出来ない。それも計算の上なのかは分からないけど、涼は多分すごい事になってるであろう俺の顔を見て笑うだけ。
双子だから同じ顔はしてるけど、涼の笑顔は俺から見ればすごい--……
意地が悪いと思う。
可愛くない。なにそれ、真っ黒じゃん。こんな所まで兄貴に汚染されちゃったの? あの頃の純粋で可愛かった涼ちゃん帰ってきて!?
そんな思いが顔に出てたのか、涼が訝しげに顔を歪めた。視線だけで“何考えてんだ”って訴えてくる。あれだよ、俺きっと今捨てられた子犬みたいな顔してるんだと思うんだよね。目潤ませてさ。
「酷い顔してるぞ、爽。すっげー不細工」
「ひろっ!?」
「あん? 何つった? 酷い?」
分かってるじゃん!
というより自分と同じ顔した奴を不細工だってはっきり言える涼はすごいと思う。だって自分も不細工だって言ってる様なものでしょ?
そうは思ってもこのままじゃろくな会話が出来ないから、俺の頬を引っ張る涼の手をペチペチと軽く叩いて離して貰う。ひりひりするはジンジンと熱を孕んでるはでなんだか痺れてる感じだ。
「赤くなってる」
「誰のせいだと思ってるの……、っ?」
つい今まで引っ張られてた頬を撫でられたかと思えばちゅ、と軽いリップ音をたててキスされた。涼の髪が俺の顔に当たるのがくすぐったい。まさかキスされるとは思わなかった俺は半ば呆然と涼の顔を見つめた。当の涼は特にいつもと変わった様子は無くて、自分だけ妙に意識しちゃったのかと思ったら恥ずかしくなった。
「顔真っ赤。タコかよ」
「……せめて林檎にしてよ」
そう進言すれば「そんなに可愛くないだろ」って。また酷い。
そんな事を思った時、玄関の方から物音がした。誰か帰って来たのかな? って玄関の方を振り返ればそこには久し振りにウチに帰ってきた長男の姿。ソファに座ってる涼と、それに向き合う形で床に座り込んでる俺の姿に玄関を入った所で固まってる。
「兄貴おかえりー」
数年前から美人だけど男の恋人と同棲してる兄貴がこっちに帰ってくるのは珍しいことで、手を振れば我に返ったのか兄貴がこっちに歩いてくる。しかも鬼の形相で。
「なに? どうしたの? ねぇ、涼……あれぇっ!?」
なにを怒ってるのか分からなくて涼の方に視線を戻したらそこには誰も居ないソファ。
「爽…… テメェ、久し振りに実家に帰ってきて玄関入った途端、実の弟達がイチャついてる現場に出くわした俺の気持ちが分かんのか? あ゙ん? お陰で気分最悪だコラ」
あ、兄貴恐いよ……っ。
とりあえず良く分からないけど謝っておく。
兄貴は自分中心に世界が回ってると思ってる……は言い過ぎかも知れないけど、とにかく俺様だ。何度その毒牙にかかったか分からない。
「や、うん。ごめんなさい」
「誠意が伝わって来ねぇな。取り敢えず三回回って土下座しろや。もちろん四つん這いで」
ほらきたぁ……。絶対涼のアレは兄貴の影響だよ。
しかも三回回って土下座ってわざわざ回る必要無いよね!?
「か、勘弁して下さいぃっ!」
「テメッ、待てコラッ!」
後ろに兄貴の怒声を聞きながら自分の部屋に避難。そしたら部屋には居なくなってた涼の姿が。
「あぁっ! ちょっと涼っ! 一人逃げるなんてずる、っん!?」
全部言い切る前にベタな方法で口を塞がれる。喋ってる最中にだったから開いたままだった口から湿った軟体物が侵入してきて口内を荒らされる。顎を固定されて口を閉じる事もキスから逃れる事も出来ない。
「んっ、んんっ……」
熱い舌先に上顎を舐められて背筋がゾクゾクして、息を吐く暇もなく舌を搦め取られて、舌先を吸われた時なんか腰が抜けるかと思った。
「んぅ……ふ、はっ」
「ぎゃーぎゃー喚くな」
涼の低くてどこか甘さも含んだ声に鼓膜を愛撫される。俺の腰に涼の腕が回されて無かったら床に座り込んでるところだ。
「でも、ずるいよ……」
「お前も逃げれば良かったろ?」
言い返す言葉が見つからない。なんか俺お兄ちゃんなのに悔しい。
良い様に遊ばれてる気がするし、今だって弟に口で負けて。
「……わん」
頭上で涼が噴いた声が聞こえた。
「三回回れよな」
またそんな事を……。
可愛くないのに可愛い弟。
「やだよ。涼が回れば?」
「バカ。お前がやるから可愛いんだろ?」
そんな弟にこんな風に弄ばれてる俺って一体なんなんだろう。
小さな子供みたいにむくれる俺の耳朶に涼の唇が当てられる。
「好きだぞ? お兄ちゃん?」
「っ……卑怯だ」
普段絶対呼ばないくせにこーゆー時だけ俺を“お兄ちゃん”なんて呼んで。
ねぇ、涼……?
「三回回らなくて良いから、もう一回好きって言って? お兄ちゃんじゃなくてさ」
ところで同じ顔した人を犬扱いって実際どうなわけ?
三回回って好き、ってさ。
※※
はい、またまた双子達です。
今回はチョロッと長男出てきました。因みに長男の恋人(男)って言うのは>>128で出て来た恭介くん……のお兄さんです。美人さんです←
幼馴染み設定大好きなんです←(雑食ですから
長男…(名前出てないですけど)龍とは歳が7、8つ程離れてます((聞いてない
恭介くんのお兄さんも同様にd(・ ω・´)
恭介くんのお兄さんの名前は恭悟です。
兄弟の名前が似てるのはそうじゃないと私が忘れそうだからなのは秘密←
以上っ!
誰も興味無いであろう裏設定でした!!←
ところで双子達を書くとどうしてもグダグダになる……orz
184: 名前:時雨☆10/26(月) 20:44:15
なんだ双子。長過ぎるよ←
こっちはそんなに長くないです。
そして纏まりがありません!←
ただシてるだけです←(自重しろ
※※
【中に……出して……っ】
愛しい人の熱を感じながら僕は絶頂を迎えるのが好きなんだ。
男同士なんていう重荷を背負っていたって、例え不毛だと言われたって。
それだけは、譲れない。
「ひぁっ! ぁ、あんっ」
「気持ちぃ?」
同じ男に穿たれてあられもなく声をあげる事だって今となってはどうってことはない。
僕が素直になる事で、快感を得る事でこの彼を悦んで貰えるなら僕は幾らでも素直になる。声をあげる。
「気持ち、気持ちいいよぉ……っんぁ!」
「そっか。……ごめ、俺もう限界っ」
「あっ、ああっ! 激し、ぁあっ!」
彼に奥まで突かれて、大きく揺さぶられて。身体中を津波の様に激し過ぎる快感が駆け巡る。
僕はただただ言葉にならない声を喉が嗄れそうな程に発した。
そうなれば絶頂なんてすぐ目の前だ。
「あッ、イクっ! 僕イッちゃう!」
「っ、うん。一緒にイこう、か」
僕は必死に頷いて、彼の腰に足を絡めて腰を押し付けた。
「中に、中に……出して……っ!」
彼の灼熱が僕の前立腺を巻き込みながら突き上げて、僕は我慢なんて出来る筈もなく自分のと彼の腹に飛ばした。
「ッ、うっ!」
僕が達してすぐに僕の奥に熱い彼のが叩き付けられた。
この幸せは何物にも代えがたい。
189: 名前:時雨☆10/27(火) 20:58:07
【触れられた場所】
某日。
真夏日は過ぎた筈なのにこの猛暑。地球温暖化が進んでるのがモロ感じられるこの日。
災難が訪れた。
ウチで唯一のクーラーがぶっ壊れた--
よりにもよってこの日。今月に入って最高気温をマークした今日この日に壊れなくても良いだろう。なんて思いながらも、急いで隣りの部屋から扇風機を持ってきた俺は偉いと思う。
それでも無いよりは、って程度。窓を開けても今日に限って無風で、むしろ閉めてた方がいくらかマシ。
「なぁ、やっぱ外行かね? クーラー利いてる所とかさ」
「別に。俺は平気」
せっかく気を利かせて言ってるのに、遊びに来てからずっとウチにあった雑誌を読んでるこいつはそれを拒否。しかも雑誌から顔を上げようともしない。
平気とか言ってる割には額や首筋には汗が光って見える。でも無理してるようには見えないから凄い。
本人が「平気」って言うんじゃしょうがないから、さっきお菓子と一緒に持って来たコーラを飲もうと、ガラスの表面に水滴が着いたコップを掴む。冷たくて気持ちが良い。
「冷てぇ……っ!」
「え?」
「なぁ、せめてコーラくらい飲めよ。冷たくて生き返るぞ」
「あぁ、うん。頂きます」
それまで雑誌から一瞬たりとも目を離さなかったそいつが初めて雑誌を視界から外した。雑誌をひとまず自分の横に置いて、コップを傾けて。
無防備に晒された綺麗な喉のライン。ゴクゴクとコーラを飲む音に合わせて男らしい喉仏が上下する。
「な? 冷たいし美味いだろ?」
「まぁね。でも……」
不意に言葉を切ったかと思えば、コップがテーブルに置かれて、そいつが身を乗り出してきた。
「ッ!?」
近付いてきたそいつの汗の匂いと甘い体臭が鼻先を掠める。
何が起ったのか俺の脳が理解する前に首に冷たい感覚。
反射的に身をずらせば、四つん這いの格好で薄く笑うそいつの顔があった。ペロッと赤い舌が自分の唇を舐める。
「俺にはお前の汗の方が魅力的だよ」
舐められた時は冷たかったのに。
気付けば
そこが身体中で一番熱くなっていた。
※※
さて、今は夏どころか冬を目の前にしてますね←
でもこれ書いたの9月なんでギリギリ許して下さい←(日本語もギリギリ((殴
なんだこれ。このままもっと暑くなる様な事すれば良いんだ←
いや、こいつらはスるね!(殴
193: 名前:時雨☆10/28(水) 19:44:13
怜様リクエストの【後輩×先輩】です。
先に謝ります。
駄文でグダグダでごめんなさいm(_ _)m
せっかくリクエストして貰ったのに…orz
※※
【つかみどころが欲しいです。】
「先輩は俺のことスキでしょ」
出たな、この野郎。
放課後、今から帰ろうとしたところで、他にも人が居るっていうのに臆面もなく堂々と同性の俺にこんな事を言ってきたこいつは一つ下の後輩。しかも先輩相手だっていうのに余裕そうなこの笑み。なんて憎たらしい。
大体なんだ。俺がお前を好きって。どうやったらそんな風に思えるんだ? 不思議すぎてしょうがない。
「好きな訳あるかよ。つか、先輩“は”ってなんだ。ならお前はなんなんだよ」
「俺? あぁ、うん。好きだよ?」
こいつの“好き”発言に、存在をすっかり忘れてたクラスメート達が一斉に俺達の事を囃し立ててきた。他人事だと思って楽しんでるのがあからさまに伝わってくる。
ムカつく。後で絶対殴ってやる。
「……場所変えるぞ。此所だと目立つ」
「うん。了解」
そうしてやってきたのはたまたま見つけた空き教室。多少埃っぽいが、そんな長い時間居る訳でも無いから気にしない。
「で。なんなの、お前は。俺が好きとか冗談なんだろ?」
面倒な前置きとかは一切無しで単刀直入に聞けば、この後輩は語尾に音符でも付きそうな風の声色で「マジだよ」なんて答えやがった。
「…… お前、ゲイなの?」
「うーん……しいて言えば両刀かな。彼女居た事もあるし」
全然慰めにならねぇよ。むしろ男も対象になるって確定して余計自分の首を絞めちまった。
「てゆーか先輩の方こそ、俺の事スキでしょ?」
「だから、なんでそうなんだよ」
「だって先輩、俺の事良く見てるじゃん」
……は? 誰が、誰を見てるって? 俺がお前を良く見てるだと? いやまさか。んな訳ねぇって。デタラメ吐かすなよ。
しれっ、と俺が思わず自分の耳を疑ってしまった様な事を言った後輩に、俺は一瞬軽い目眩を覚えた。
「先輩大丈夫? 顔色悪いよ?」
誰のせいだと思ってんだ。
さも自分の所為だとは思っていない飄々とした様子に苛立ちが増す。これが多少なりとも煩悶する様が見て取れれば他にも何か思ったのかもしれない。それこそベタに友達から始めようだとか。
「そんな先輩もイイね」
だけど煩悶どころか、俺がそう見えてるだけなのかも知れないけど揶揄いが混じった嗤笑をされればもう有り得ない。
「お前、ほんといい加減に--」
いい加減にしろと言おうとして、虚しくもそれは野郎の唇によって遮られてしまった。
まさかの行動よりも、自分の唇に重ねられてるそれが信じられなくて頭の中が一瞬真っ白になる。でも俺の唇に触れてるこの柔らかい感触は間違いなく本物で、俺の頭はプチパニック状態に。
「…… 先輩の唇柔いね」
「っ! に、しやがる!」
今度は明らかに揶揄いの色を含んだ声で言われてハッとしながら野郎を押し返す。
野郎は少しバランスを崩しただけですぐ持ち直した。
「照れなくても良いのに」
「照れてねぇっ! つか帰る!」
そう言い放って、教室を出る。野郎が追ってくる様子は無くて胸を撫で下ろしたのと同時に感じる掻痒感。自分の胸を掻き毟りたい衝動を必死に押さえながらもう誰も居ない廊下を歩く。
大体なんだよ。俺が野郎を見てる? 有り得ねぇ。絶対勘違いだ。
「先ぱーい! 一緒に帰ろうー!」
背後から聞こえた今更なそれに、思わずコケそうになった。振り返らないまま俺は駆け出す。
そうすれば背後に居る筈の野郎の足音の間隔が速まった。
「あぁっ! なんで逃げるの!?」
「うるせぇっ!」
男のくせに男の俺を好きだって言ったり変な勘違いして突然キスしたりするは、最初は追いかけて来なかったのに後から追いかけて来るは。最後に至っては今現在進行形で怖い。
ほんとなんなんだこの野郎。
つかみどころが欲しいです。
じゃないと俺はこいつとやってけない。
194: 名前:時雨☆10/29(木) 19:00:34
【君とお揃いと思えば、このダサい制服も悪くない】
学校なんて友達と遊ぶ為に行ってる様なもんだ。
勉強なんて面倒臭い。規則なんてかったるい。制服もダサいし、ホント、やってらんねぇよ。
「せめて制服くらいはまともなのになんないのかよ。つか私服にするべきだ」
「そうか? 確かにダセェけどさ。オレは制服も嫌いじゃないぞ?」
正直意外だった。てっきり俺に同意してくれるもんだと思ってたから。
「だってさ、お前とお揃いじゃん」
「お揃いって他の奴ともそうだろ?」
そう言ったら膨れられた。
「うるさい。他の奴はどうでもいーの」
頬を膨らませながら俺の背中に体重を預けてきて、すぐに聞こえてきた規則正しい呼吸音。
どんだけ寝付きが良いんだよって聞きたくなる。
ほんの少しだけ制服でも良いかな、って思った午後だった。
※※
「制服、おそろいじゃん」
ありがちですね(笑)
195: 名前:時雨☆10/29(木) 19:58:58
【車道側の君】
休日に龍と買い物にやってきた。
特に宛てもなく色々な場所を回る。休日となれば人がひしめく細い道はもちろん、車が通る様な大きな道だって通る。
この時代、歩道はしっかりと整備されてガードレールがあったりと絶対ではないにしろ、安全だ。
それに一緒に居るのが女性とかならまだしも、恋人ではあるがオレも男。
何故この男は毎回車道側を歩こうとするんだろうか。
「どうした? そんないかにも不服だ、って言わんばかりの顔して」
しかも無意識の行動らしい。
これか? 無意識にこーゆー事が出来るからモテるのか?
「別に。そんな顔してるつもりなんてないけど?」
そんなに顔に出ないオレの表情だって幾ら幼馴染みだからって読み取って。なんなんだこいつは。
「嘘吐くなよ。『なんなんだこいつは』って顔してるぞ?」
だからなんで判るんだ。
「俺なんかしたか?」
「何でもない。少し気になっただけだ」
「何が?」
答えなきゃいけなそうな雰囲気だから一応答えておく。これも幼馴染みだから分かる空気だ。恋人だから尚更あるのかも知れないが、他の人に「なんで分かるの?」なんて聞かれる事だってしょっちゅうある。
「どっかの誰かはいつも車道側を歩くな、ってな」
「あぁ、そんな事か。言っとくけど意識してんのはオマエだけだぞ? てか、もう癖になってる」
「は?」
どうやら龍によると初めはオレと歩く時だけ意識して車道側を歩く様にしていたらいつの間にか癖になってしまっていたらしい。今じゃこれが当たり前なんだそうだ。
これは喜んで良いのか、?
「そうか……」
「ン。やっぱそーゆーモンだろ。ソイツが大事な奴なら尚更」
指先同士が一瞬だけ触れた。
たまたまぶつかった様にも見えるそれはオレ達が意思疎通するには十分過ぎて、オレは思わず小さく吹いてしまう。隣りからも龍がクッ、と喉を鳴らしたのが聞こえてなんだか色々と満たされた気分になった。
そして気付けば辺りは暗くなっていて二人で家へと点々と街灯が照らす道を歩く。
辺りには自分達以外人気は無くて、普段なら有り得ないけど龍の荷物を持っていない方の手に自分の手を絡めた。
「恭悟?」
「今日だけな。今までのご褒美だ」
答えは無かったけど、代わりに繋いだ手をぎゅっと握り返された。
これからもオレは歩道側を歩く事になりそうだ。
※※
双子&恭介のお兄ちゃん達です。
なんだこの恥ずかしいのは(*/ω\*)←
普段は違うんですよ??←
とりあえず龍より恭悟の方が色んな意味で強いです。
龍が焦れて強行手段にでる度に恭悟に怒られます←
でも恭悟も流されたり。
そんな感じです、きっと←
205: 名前:時雨☆10/30(金) 17:57:10
【背徳の吸血鬼】
「美味いか?」
私の足元に跪き、垂らされる紅に必死に舌を伸ばす愛しくも哀れな私の弟。
私達の様な所謂吸血鬼と呼ばれるものは人間から見れば血に飢えた畜生同然だが、今私の元に跪く弟は私の目から見ても理性を持たない獣[けだもの]の様。
「ん……もっと……」
手を弟の両手に固定される。鮮血が滲む指先を食まれ、吸血鬼特有の発達した牙に皮膚を突き破られた。
「っ、はぁ……」
突き破られた痛みと自分の血を啜られる感覚に堪らず熱を含んだ息を吐く。私の血を嚥下するのに合わせて上下する喉元にある男の証が、兄弟でこんな事をしている背徳感を殊更煽った。
人間のそれと比べて私達吸血鬼の血は同じ吸血鬼が摂取すれば飢えが満たされるのと同時に、相手が自分よりも格上ならば強い力を手に入れる事が出来る。それ故に弟は私の血を本能的が赴くままに貪っているのだろう。
「満足するまで飲みなさい……」
私は数百年ほど前に私から弟を奪おうとした身内を皆殺しにした。
そして今まで同様、これからも弟以外を自分の側に置くつもりはない。
今では数少なくなった先祖代々の血脈に人間の血が一滴も混ざっていない純血の吸血鬼。純血が減ってからは近親交配を続けてまでも、純血を守ろうとした先祖達を裏切る行為。
罪悪感など最初から無い。
私には弟さえ居ればそれで構わないのだから。
「ん。兄、上……?」
「うん? もういいのか?」
鮮血が滲む手は弟の私のより小さな両手に包まれたまま。空いている方の手で弟の柔らかい髪を撫ぜ、飲みきれなかったのか顎を伝う私の血を拭う。
「兄上も、飲む?」
「たった今、私の血を飲んだばかりなのにか?」
「そう。……飲む?」
どうしても自分のを飲んで欲しいのか、尋ねてくる割りには有無を言わさない雰囲気に私はつい苦笑いを洩らした。
細身の弟を抱き上げて己の膝に乗せる。
「兄上?」
私の顔を覗き込んでくる弟に微笑んでから色の白い首に舌を這わせ、噛み付いた。
「ぁッ--……」
悲鳴にも似た微かな声を耳の端で聞きながら、弟の甘い、私からすれば極上のそれを飲み下していく。
「あ、あっ……あ、に、うえ……」
首に顔を埋める私の頭を抱かれる。ぐっと更に深く歯を立てれば、頭を更に強く掻き抱かれた。
「ひ、ぁ…… 兄上、ぇ……っ」
「……なんだ?」
顔を上げれば虚ろな瞳でどこかぼんやりと空中を見つめ、浅く呼吸を繰り返す弟の姿。どこか恍惚としている様にも見えるその表情は私の調教、いや教育の成果だ。
血を摂取しないと生きてゆけない吸血鬼が、自らの血を捧げる事に至高を覚えるなど滑稽にも程がある。しかも、血の繋がった実の兄になんて。
「兄上……疲れた……」
「眠りなさい。ゆっくりと」
弟の身体から力が抜けていく。数分もしない内に聞こえてきた寝息。
普段寝かせているベッドに運ぶ。
適当に血を貰って早めに弟の元へと帰ろう。
私はそんな事を思いながら今夜の食糧を求めて月明りが照らす街へと出た。
己の欲望を抑えられない
私の方がただの獣なのかもしれない。
※※
こ、これでも200達成のお礼ですっ!!
前回の吸血鬼ものは【吸血鬼×人間】だったので今回は【吸血鬼×吸血鬼】にしました。しかも【兄×弟】の近親ネタってね←
見事やっちゃいましたね。でも楽しかったです。吸血シーンが特に←
美形の足元に美形が跪いて、しかも血を啜るってね!?←((落ち着け
弟くんは精神的に幼いんです。お兄ちゃんが全てなんです。お兄ちゃんは悪く言えばただのブラコry←
長々とすみません。
少しでも楽しんで頂ければ幸いです(笑)
213: 名前:時雨☆10/30(金) 21:44:12
前に書いて、そういえばあげて無かったなと。
タイトルの通りです←
馬鹿っぽいな。あ、馬鹿なのか←
変態……しかも一歩間違えれば(手遅れか?)犯罪です←
リア友に見せたら笑われました (笑)
※※
【いとしい変態】
「ん……ぅ、ん……?」
休日の朝。いつもならまだまだ睡眠を貪ってる時間にふと腹の辺りに違和感を覚えた。
「あ。起きた?」
っ!?
目を開けて一番に目に入った“ソレ”に一気に意識が覚醒する。
「なっ、お前どっから入ってきた!?」
苦しいと思うのも当たり前だ。そりゃ人が自分の上に乗ってたら苦しいに決まってる。
「ちょっとね」
“ちょっとね”じゃねぇーよ! なんだコイツ! マジでどっから入って……
「……おい。ベランダに出る所のあれ、鍵の横に開いてる穴。なんだあれ」
昨夜寝る前に閉めた筈の、ベランダに面した窓が開いてると思えば鍵のすぐ横にぽっかりと開いた穴。あれだ、良く空き巣とかが開けるやつ。綺麗に丸くそこだけガラスが無い。
「……えへ」
「「えへ」じゃねぇーよ! 可愛くねぇーんだよ!」
つか、コイツいつまで俺の上に乗ってんだ? いい加減降りろよ。
「つか、降りろ」
「やだ。せっかく君に会いたくて会いに来たんだよ? 今日お休みなんでしょ?」
「そうだけど、なんで知ってんだよ」
俺は職業柄休みが決まってない。今日だって昨日突然知らされた訳だから、俺が連絡しない限りコイツが知る訳がない。で、俺はコイツに一切連絡なんかしていない。
「それは僕が仕掛けた隠しカメラに独り言が入ってたから……あ」
「ほぉー。隠しカメラねぇ……」
馬鹿なコイツのある意味衝撃の告白に、手加減無しで顔を片手で掴んでやる。唇を尖らせてタコみたいになってるコイツに顔を近付ければ、
「きゃっ。そんなに顔近付けたら照れちゃうじゃん! 僕の貞操の危機?」
なんて抜かしやがった。しかも喋りにくい筈なのに異常に綺麗な発音で。
「そーかそーか。じゃあお望み通り犯し尽くしてやるよ」
「……きゃあ?」
コイツは俺の為に平気でまんま空き巣染みた事や盗撮をするような馬鹿で変態で。
なんだかんだでコイツを抱こうなんて思っちまう俺も十分馬鹿で変態なのかも知れない。
要するにどっちもどっち。二人共馬鹿で変態って事なんだ。……多分。
あぁ、愛しき変態。貴方に幸あれ。
225: 名前:時雨☆10/31(土) 11:32:14
【チャイムと君の背中】
昼休みには俺の悪友でもあるこいつと一緒に、屋上で菓子パンを食いながらたむろするのが俺の日課みたいなもんだった。
二人共パンのクズをコンクリートの地面に落としまくりながら昨夜の飯とかそんな他愛も無い話を延々と続ける。
俺とこいつは残念な事に今年のクラス替えでクラスが別々になってしまった。しかも俺のクラスとこいつのクラスは結構距離があるせいで、中休みなんかの短い休み時間だとろくに会話も出来ない。
「…… でさ、兄貴がキレて殴りかかって来たんだぜ? 有り得なくね?」
「マジかよ。兄貴怖ぇな」
ケラケラと、その場面を思い出してるのか楽しそうに笑うこいつに釣られて俺も笑う。
でもこんな楽しい時間もずっと続く訳じゃない。始業開始五分前を告げる予鈴が鳴れば、俺もあいつも急いでまだ四分の一程残ってたパンを一気に口の中に詰め込んで屋上を後にする。
「ほら急げよ!」
俺の前を走る背中を追いかければ、俺は十分急いでるつもりだけど更に急かす様に言われて俺は無意識に頷いてた。
「分かってるって!」
教室に戻れば放課後まではもうこいつには会えない。長い様で短いのかもしれない微妙な時間。
チャイムなんて鳴らなきゃ良いのに。
俺は良く見ると意外にも広かった男らしい背中を追いかけながら心の中で呟いた。
※※
片思い…
イチャイチャしてる方が好きですw←
最終更新:2010年05月18日 20:35