どうして変態なんですか 続き5

慎也に腕をつかまれたまま客室に入る。

電気はついているが、暖房が効いていないのか肌寒い。というか寒い。

「はい」

慎也はテーブルの上に置いてあった、ハーゲンダッツ(ティラミス)のカップを俺に渡した。

「な、に?」

こんな寒い部屋に置いてあったにも関わらず、それは開けないでも溶けているのがわかる。

カップには水滴が滴って俺の指先が濡れた。

「…やるよ」

テーブルの前に敷いてある座布団に座ると、慎也はもう一つのカップを開けて食べだした。

彼はジーパンを履いているものの、上半身は半袖のTシャツ一枚のみで、冬にはありえない格好をしている。

しかも暖房は効いてない。

オマケにアイスクリームを食べているなんて、何とも異様な光景である。


「食べないのか?」

慎也にそういわれ、俺は何となく座った。

「お前が買ってきたの?」

「そうだけど」

「いつ?」

「風呂上がってすぐ」

慎也は俺を向くことなくアイスクリームを食べ続け、淡々と質問に答える。

「…待ってたわけ?」

そう聞くと、木製のスプーンの動きがちょっと止まった。

慎也のサファイアみたいな瞳がゆらっと揺れたかと思うと、少々微笑みながら、

「俺が旭と一緒に食べたかっただけだよ」

と言う。


俺は、そんな慎也の表情と言動を前にして一瞬、動悸が走った。

ドクンと一気に全身に血が駆け巡ったかと思うと、暖房は付いていないはずなのに頬が熱くなっていくようだった。

「そ…、そら悪かったな」

途端に慎也と目を合わせていられなくなり、視線を逸らしてハーゲンダッツに食いつく。

ドロドロに溶けて、もはや固形ではなくなっている。

それを食べる俺は、何だか慎也に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

「うまいか?」

「え? …ああ、うまいけど」

「あそ。良かった。溶けてるから…」

慎也のそういう言葉が更に罪悪感を募らせる。


それ以降、慎也は何も言わなかったが、俺がアイスを食ってる様子をじっと見ている。

「…そんな見られると食いづらいんだけど」

「あ、気にすんな。俺はただ妄想してるだけだから」

「っは!!!? 妄想すんなよ!!」

いつもの変態発言をかました慎也にはもう、さっきの動悸がしなくなっている。

頬杖を付いていた慎也は俺の手からスプーンを取り、カップからアイスを一口分すくうと俺の口元に持ってきた。

「なんだ」

そんな彼を睨みながら俺は低い声で言った。

「この状況だったら、"あーん"しかないだろ」

「バッカじゃねーの!? 誰がするかよッ!!!」

「俺と旭以外誰もいないぜ? 恥ずかしがんなよ」

「恥ずかしがってるんじゃない。慎也に食べさせられるのが生理的に受け付けないだけだ」

「んじゃ、俺が食べよっと」

慎也はすくったアイスが乗っているスプーンを、今度は自分の口に運んだ。

「ちょ、やめろ! 俺のなくなるじゃねーか!!」

俺は慎也の手首を掴み、こちらへ引き戻した。

手に持っているスプーンの先にちょこんと乗っかった一口分のアイスを、パクっと食べてやった。

すると、慎也は茫然としたまま、しばらく動かなかった。


「はっはっは。バーーカ。食いモンの恨みは重いんだぞ!! 取ろうなんて考えんなよ」

「…このお馬鹿さんが」

「は?」

少し、驚きに満ちた表情を崩すと慎也は、スプーンをカップの中に入れた。

そして俺の肩を掴み、そのまま倒れこんだ。

「なっ…?」

幸い、布団は敷いてあるのでそれほど痛みを感じないけど、物凄いビックリした。

驚きで心臓がバクバクと高鳴る。

「寒くねーか? 暖房つける?」

天井からぶら下がっている電灯から洩れる光のせいで、慎也の輪郭がたいそうはっきり見える。

逆光で暗く、表情があまり見えないけど、あらためてじっくり見るとやっぱり彼は男前だ。

って、こんな状況で俺は何思ってんだろう。脳内おかしくなっちゃってますよ。


「え、あー、うん。ちょっと寒い…かな」

俺がしどろもどろそういうと慎也は立ち上がって柱に備え付けてあるエアコンのリモコンを操作した。

ピッと音が鳴ると、モーター音がして生暖かい風が顔にあたる。

「ごめん、気がつかなくて。俺は全然寒くなかったからさ」

「へ、へえ?」

曖昧な返事をしながら、上半身を起き上がらせる。

何気なくそこを動かないで入ると、慎也は自分のカバンの中から大き目の巾着袋を取り出した。

「それ…何?」

おそるおそる聞く。

何だか禍々しいオーラがその袋から出ているような気がした。

すると慎也はニコッと笑い、こう言った。

「"大人の"オモチャ、だ」


「は? ハァ?? 何言ってるんだよ!!?」

顔を引きつらせて俺は後ずさりをする、が。

「大丈夫、痛くはしない。ただちょっとアレ的な悟りが開けちゃうだけだ」

慎也はむずと俺のジャージの裾を握る。

「アホかー!! そんな悟り開きたくねぇッ」

手を振り回してみたが意味は無く、するっと慎也はジャージを剥いでしまった。

「ちょ、う…ぐ」

上裸のまま左手をぐいと引っ張られた俺は、布団の上にうつぶせになって倒れこむ。

「な、にする気だ!?」

そのまま両手を背中に回され、押さえつけられる。

「し…慎也」

言いようのない恐怖が感じられた。

慎也は巾着袋の中の黒くて細い、腰に巻くにしては短すぎるベルトを出したかと思うと、

「何するんだよ、って…嘘ぉッ!? 」

俺の両手首を束にして、そこに括りつけた。

「や、やめろッ」

「待たせてもらった分、きっちり楽しませてもらうぜ?」

眼鏡をかけたあの人のような鬼畜な声を漏らせる慎也に吐き気がしそうだった。


「し、信じらんね!! 友達にすることかよ!?」

もがけども慎也の力にはなぜか勝てない。

同じ男だってのに。

「本来友達にすることじゃないこと、今まで結構して来たじゃねーか。今更なんだよ、そんな嫌がって」

慎也の言葉のニュアンスに、多少不満が含まれているように聞こえた。

ベルトを巻きつけ終わると、慎也はその端を障子と障子の間の柱に括りつけた。

「旭」

俺を前に、視線も合わせてそっと名前を呼ぶ。

「なんだよ…」

じっくり見られると、何となく目をあわせられなくなってしまう。

彼の薄青の瞳に吸い込まれそうで。

理不尽な状況だってのに、それを忘れそうで。

「可愛い」

頬に慎也の、温度の高い手が触れた。

先ほどの鬼畜声からは考えられないほど、優しい微笑を浮かべると、慎也は俺の目に手の平を覆い被せ、視線を遮った。


「???」

途端に目の前が暗くなって動揺が生じる。

慎也の手を退かせようとしても、手の自由を奪われているため、できない。

「わわ、ちょっと!!」

見えてないのだが、ジャージのズボンが引き摺り下ろされたのはわかる。

「や、やめろよ!!」

首を振って慎也の手の平を退かせてその有様を見る。

「…このッ変態!!」

いうなれば俺は、全裸である。

柱に両手を括り付けられ、眼前には変態だ。

「おま…ッ、死ね! つかこれ外せ!!」

右手を引っ張ろうが左手を引っ張ろうが、ベルトはガチャガチャいうだけで外れようとはしない。


慎也は、今度は太股を押さえつけると、もう一つ短いベルトを取り出した。

「旭にも焦らしプレイっての、教えてやるよ」

「いらんわボケー! 離せ!! 離せってッ」

あーダメだ。いくら言っても無駄です、慎也には。

罵声は喜びやがるし。

慎也はそのベルトを、俺の陰茎の根本にきっちり縛り付けた。

…ええ、もちろん暴れたんですけどね、うん…はぁ。

何で俺は慎也に力が及ばないのかなぁ~、神様意地悪すぎるよ(遠い目)。


「んぅ、…ん」

そこに触れられると、いつもの倍は感じた…気がする。

なぜだろうか。

「効いてきた?」

「ん?」

「アイス、美味かったんだろ?」

ごめん、何が言いたいのかまったく分からん。

俺が疑問の表情を浮かべると、

「催淫剤入りの」

と、慎也はニヤっと答えた。

…え。催淫剤ってことはつまり…、アレ、ですか。

「ま、平たく言えば媚薬だな」


依然として悪魔のように微笑んでいる慎也の目を見ると、俺の顔は自分で分かるほど青ざめた。

「本気…かよ…」

そういえば、先ほどから全身がむず痒いというか、変な気持ちがするというか。

「ふふ、極限状態なのに扱くことが出来ずにいたら人間はどうなるんだろうな」

「…あ、…はなっ…せ」

どこも触れられてもいないのに、身体はなぜかびくっと震える。

「慎也……って、何…撮ってやがる」

当の本人はデジカメのシャッターをしきりに切っていた。

「見たいか? 自分のエロい姿」

クスッと笑うと、デジカメの液晶画面を俺の方に向けてきた。

最近の機器は優れていて、自分の裸体が鮮明に目に映る。

汗ばんだ肢体に、紅潮した顔。

こんな状況下で感じている自分がものすっごく嫌だ。

これなんて羞恥プレイ?

「お前なんか…嫌いだッ…」

首を傾けると、重力にしたがって目からは涙が流れ出てきた。

くそ…何だよコレ…。

何で、何で、いっつも慎也にこんなことされる訳??

「お、俺…なんか…した?」

慎也に泣き顔を見せたくないのに、涙は次から次からあふれ出てくる。

手を拘束されているから、それを拭うこともできない。

「旭…」

親指でピッと俺の涙を拭う慎也。

「あ…っ」

媚薬の効果で、触れられるとぴくっと体が反応してしまう。

「…んぅ…、なん…で…こんなことばっか…」

男であるのにボロボロ泣いて、情けないことこの上ない。

「性対象で…見るなって言っ…てんだろ」

慎也は何も言わない。

黙ったまま、俺の頬にあてた手の平を、するする下に降ろした。


「あ…あぁ…、バカッ…や…めろ、」

慎也の手と俺の肌がこすれると、それに反応して口から嬌声が洩れてしまう。

感じて勃っているチクビに、慎也は親指を触れさす。

「ひ…ぁ…あ、ん」

まったくこんな高い声、どこから出てくるんだろ。

慎也が指先を俺の身体の上で動かすたび、身体はビクビク跳ねる。

「んぅ…はッ…あぁ」

これほどにも感じているが、下半身の根本は縛り付けられてイくことは出来そうにない。

「悪い…けど、"性的対象で見るな"なんて、そんな選択肢俺にはない」

意味分からんことほざいてんじゃねーよ。

友達とセックスしたいと思うかって聞いたら百人中百人、いいえって答えるもんなの!


「もっと淫乱な旭が見たい…」

「…は…あ?」

俺の耳元で囁くと、慎也は再び巾着袋から何かを取りだした。

「そ、それ…」

さっき、女の子の下着の間に挟んだヤツと同じヤツだ。

「だッダメだ! お前…バカじゃ、…やッ」

慎也は俺の身体を引っ張って横たわらせると、

「ちょ……な、…い、やだッ」

右脚と左脚の間に、その棒状の物を入り込ませた。

「ああぁッ…や、っぁ…いや…ッ」

ズチュ

と淫猥な音をたんと響かせ、細いバイブは俺の身体に入っていく。

「嫌だっ…やめろッ…、ん」

脚をバタつかせ、身体を仰け反らせ、必死で抵抗するが慎也もまったく妥協しない。

「ホントに…信じら…ね…」

「でも、シて欲しいんだろ、本当は?」

「ん…はぁ…?」

「合宿までにそういう身体にしてやるって言っただろ。本当は俺に抱かれたいんだろ。気持ちよくなりたいんだろ」

…聞いててあきれ返ってくる。

どっから湧き出るんでしょうか、その根拠ない自信は。


だが…焦らされず早く極限に達したいという気持ちがあるのは認めざるを得ない。


「や…っ、ぁあ…う」

穴の中にバイブを差し込むと、慎也はスイッチ入れたり消したりを繰り返した。

「ん…はあ…、お前その…断片的なの…やめろッ…ぁ」

ヴーッと音がしては数秒で消え、また合間を少し置いて機会音が鳴り出す。

「やぁ、ん…っんはッ」

「やめたら焦らしプレイの意味なくなるだろ」

「プレイすんなよッ! …あぁッ」

カチ、ヴーという音が何度も繰り返される。

その度に俺はみっともない声をあげ、身体を仰け反らせて喘ぐものの、精液を出すことは出来なかった。

「ああぁ…も、や…だ…。んぁ…ッ、ふ…ぁあ…」

快感と、イけない悔しさしか感じられない。

あとは身体をくねらせることしか出来ない。

「慎也…お願い、おかしく…なりそう…ッぁあ」

イかせてくれと懇願するが。

「もっと楽しみたいな、俺は」

彼はそうはさせてくれない。

俺が感じて動くたびに、中にある、白濁物を付着させたバイブがぬるぬる感じる。

気持ちいいのだが、そう思っている自分がすごく嫌になってきて。

かといって抜くことも出来ない。


「お願い…イ、かせて…ッ」

俺の目から再び涙が流れた。

頬を伝って畳みに落ちる。何粒も。

「慎也…慎也ぁ…」

すがるように慎也の名を呼ぶ。

と、慎也は手を俺の肩に回した。

「あぁ…ッ」

またもや媚薬効果で、生身の人間の手が触れると変な反応をし、声を漏らした。

肩に手を回した慎也はそのまま、自分の方へ引き寄せる。

俺は目を瞑っていたから、何が起こったのか一瞬分からなかった。

「ん…ん、ふぅ…」

ただ、口の中に何か、柔らかいものが入ってきたのは理解した。

「ふぁ…ッは…」

次に目を開けたときは、慎也は俺の髪の毛を掻きあげ、唇をふさいでいるのが見えた。


「ん、あ…ちょ…っと」

しつこいほど口の中に舌を入れる慎也から、頭を横に向けることでようやく逃れられた。

「…は…ぁッ何の…つもり、だ」

「ご、ごめ…」

口元を押さえてぱっと我に帰ったように慎也は俺から飛び退く。

「キス…は、好きな…、ん…ッ人としろ…って、…お前、が」

「悪い、今のはノーカウントだ」

ちょっと米国人なまりがある言い草で慎也は言う。

「お前の泣き顔が、あまりにも綺麗だったから…」

いつもと正反対の、細々とした恥じらいのある声でそう続けた。

へえ、お前にも恥じらいスキルがあったとは。

普段のひょうひょうとした表情とは考えもつかんな。


慎也は赤らんだ顔を落ち着かせると、俺に付けられた拘束道具を一つ一つ外した。

下半身の細いベルトを外されると、急に尿意を催したような気分になる。

なんか…。

あ、別にもっとしてほしいとか言ってる訳ではないんだけど、

…やけにあっさりしている、気がする。

「慎…」

俺が何か声をかけようとした瞬間、慎也はぎゅっと俺の身体を抱きしめた。

「…んッ」

媚薬の効果はまだ残っている。触れられると感じるのは依然として変わりない。

「抱いても…いいか?」

と、慎也の声が俺の耳に残った。


「な…何言って…ッあ」

慎也の下半身が服越しに俺の腰に触れる。

「お、まえ…っ、ん…」

「早くもう…挿れたいんだけど」

勃起して凝り固まっているのがすぐにわかった。

はぁはぁと彼の息は荒い。

体温も通常より上がっている。

「あ…ッ、ちょ…ッと…ゃあ…」

慎也の中指が、トロトロに溶けた穴の入り口に触れるとそこは痙攣を起こし、そのまま指を飲み込んだ。

「…ぁあッん」

俺は座っているのも困難になって、慎也のシャツを掴みながら、伏せの状態までずるずると滑り落ちた。

「慎也…ッ、やめ…て…ッ」

指で内部をかき回されて、ともすれば極限に達しそうだ。

片腕で身体を支え、俺はもう片方の手を自分の陰茎に持って行った。

「そんなことしなくても、俺がイかせてやるから」

と、慎也は俺が自身を扱くのを止める。

「ダメ…もう、…早くッ」

もう限界でどうしようもない。

これ以上このままの状態が続けば、俺は間違いなく気が狂ってしまう。

「…しん、や…頼む、は…早く…イかせて…」

媚薬プラス拘束プレイで疲れ果てた俺は彼に身を委ねることにした。

「わかってる」

慎也は相槌を打って、ベルトを外してジーパンを脱ぐと俺の後方へ回った。


「や…やぁ…、んッ…ぁ」

腰を振るたび、慎也の肉棒が穴の奥を突く。

抜いたり挿したりを繰り返すと、そこはズチャッズチャッと音を立てる。

「あさ…ひッ」

息を切らせて俺の名を呼ぶ、と慎也は片腕で俺の性器に触れた。

「あ…あぁんッ…慎…也ぁ」

後ろも前も攻められるともう俺は、間もなくイってしまっていた。

「やぁあ…ッぁあ…」

下半身から前方に精液が飛び出すとほぼ同時に、慎也は俺の中に液を噴射する。

ピチャッ

ねっとりした白い液体で、せっかく旅館の仲居さんが敷いてくれた布団が汚れてしまった。

慎也がゆっくりと下半身を引き抜くと、俺は脱力してその場に倒れこんだ。

「はぁ…はぁ…ッ」

息を整え、身体に付着した精液を拭き取る。

「お前…中出ししやがったな」

ゴムをつけていたものの、慎也の物だと思われる液を内部に感じる。

「ごめん。抜いてる余裕なかった」

と、他人事のようににっこりと慎也は笑った。


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最終更新:2010年05月22日 15:53
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