番外編②
桜田くんと岸くんの話。
中学時代くらいと思ってくださいm(__)m
あたし的にはこの二人、結構ラブラブだと思います(←
お互い彼女いるんですけどねw
☆ヤンキーくんと眼鏡くん☆
夏休みに入って一週間。
もう既に宿題を全部終わらせた岸悠樹は、クーラーの当たる部屋で悠々と本を読んでいた。
黒毛の短髪で眼鏡が彼の特徴といえる。
(ダメだ、これも外れ)
悠樹は本屋に通っては適当に小説を買い、読み漁っている。
だが彼に合う本は少なくて、大概が面白いと感じていないようだ。
外れと思いつつも読書が好きな彼はその本を全部読み終え、本棚にしまった。
「ゆーーーうーーーきーーーーっ」
窓の方から、お隣に住んでいる桜田隼人の声が聞こえた。
悠樹はちらっと窓の外を見る。
明るい茶髪。
校則で禁止されているというのに諸ともせずに普通に耳にはピアスを開け、前髪はピンで留めてある。
まさしく不良って感じだ。
「ま・ど・あ・け・て」
口パクでそういう隼人。いや、口パクでは無いが窓が閉まっているのでこもって聞こえる。
悠樹は窓を開けた。
「何か用か?」
部屋と部屋の間は、たったの50cm強しかない。
隼人は軽々とその間をまたいで、悠樹の部屋に入ってきた。
古典的なこの出入りの仕方は、二人にとっては当たり前のことである。
隼人は何かのDVDを持っていた。
「これ、一緒に見ようぜ!」
『呪怨』と書かれたそのDVDを、悠樹の目の前に突き出す。
「そんなことより、宿題やったのか?」
悠樹は隼人の持っているDVDを無視し、本の山からまた新たな本を取って読み出した。
「全然。でもまだ7月だしー、大丈夫だって」
にっこりと笑って隼人はそういった。
(そういっていっつも8月下旬に俺のところに泣きついて来るんだよな…)
心の中で呟いて悠樹は隼人に、
「ダメだ。見るなら一つでも宿題終わらせて来い」
と諫言した。
「えええッ!? …むぅ~、せっかく悠樹と一緒に見ようと思ったのになぁ~」
隼人は不満げに口を尖らせる。
それから餌を請う子犬のような目で悠樹を見た。
「なー頼むよ。一人では見たくねーんだよぉ」
「じゃあ見るなよ」
「でも見たいの! ホラーってそんなもんだろ」
「…見たら勉強する?」
「する! あ、でも悠樹に教えてもらう」
悠樹は溜め息をついた。そして小さい声で、わかったと告げる。
隼人の頼みは、いつも最終的に受け入れてしまうのであった。
約三十分後。
「うわあああッ! やべーこれマジやべぇ!! 男の子!! エレベーターのところッ!!!」
悠樹にしがみつきながら隼人はこれでもかというくらいに叫びまわる。
(うるさい…)
恐怖で慄いている隼人を横目に、悠樹は早く終わって本でも読みたいと思うのであった。
「ちょッ、悠樹!! どこいくんだよ!!」
少しでも動くと(別にどこかにいこうとはしていない)、隼人は必死で悠樹を止める。
「マジでっ、俺ホラー無理!!」
悠樹の腕を掴む力が秒を刻むごとに強くなっていく。
「じゃあ何で見るんだよ?」
そういったが、隼人の叫び声でかき消された。
「ゆ…悠樹、…トイレ」
終盤に差し掛かったとき、隼人は悠樹のシャツの裾を引っ張った。
「は?」
「トイレ、付いて来て」
「…まぁいいけど」
仕方ないな、という表情で悠樹は立ち上がった。
隼人も一緒に立ち上がる。裾は掴んだまま。
部屋を出、階段を駆け下りると、悠樹の母親がソファに座っていた。
「あ、隼人くん来てたんだ」
「うん、こんちは」
例え玄関から入って来てなくても、悠樹の母親は驚いたりしない。
家が隣で、小さい時からずっと一緒にいるから、お互いの家族は自分の家族みたいなものだ。
悠樹の家の構造を熟知している隼人は、トイレの中に駆け込んだ。
「ぜ、絶対そこにいろよ。先に上がったらダメだからな!」
「はいはい」
命令されたとおり、悠樹はトイレの前の壁にもたれ掛かって隼人が出てくるのを待った。
(ホントに)
悠樹の顔に、自然と笑顔がともる。
(昔っから全然変わらないなぁ)
人懐っこくて少し意地っ張りで、でも可愛げのある。
そんな隼人を、悠樹は腕を組んで微笑みながら待っていた。
番外編②終わりです☆
今回こそほのぼので攻めてみましたww←
岸くんは桜田くんのおかーさんみたいですねw
番外編③
葵くんの話。
高校一年生の時です。
☆立花葵の憂鬱☆
僕、立花葵。高校一年生です。
はぁ~…。また"朝"がやって来ちゃった。
朝は憂鬱すぎる。身体が重いなあ。
「行ってきます…」
制カバンを持つと僕は、蚊の鳴くような声で言って家を出た。
学校、行きたくないなぁ。
でもどこかで時間潰すわけにもいかない。
そんなことしたら、お父さんやお母さんに迷惑かけちゃうし。
仕方なく僕は校門をくぐる。
1年A組の教室へ向かう。
今日は…よし、黒板消しセットされてない。
扉の上を見上げてまずはホッとした。
教室に入る。くすくすと笑い声は聞こえるけど、今日は何もされない。
第二関門クリア。残りは机だ。
僕はくまなく机をチェックした。
落書きだけだ。菊の花も添えられて無いし、中にゴキブリとかの死体を入れられてもいない。
僕はカバンの中から消しゴムを取り出すと、机の上の落書きを消し始めた。
書いた相手も、見つかるとまずいと思っているのか、マジックや彫刻等での落書きはしていなかった。
「…はぁ」
今日は全然マシな方だった。
前を見ると他の生徒達が僕の方を見てずっと笑っている。
「よお、立花」
生徒の一人が僕の席へやって来た。
な…なんだろう。お金よこせ? それとも殴られるかな?
その男子生徒は、机をガンっと蹴ると、
「立てよ」
って言って僕を睨んだ。
言われるがままに立つ。相手の言うことを聞いてしまうから、いじめられるんだって分かってはいるけど。
「な…何なの…?」
他にも3人、男子生徒が集まってきた。
僕はリーダー格の人に腕をつかまれ、廊下に連れて行かれた。
周りの人は見てるだけで、助けてくれることなんてない。
むしろいじめられている僕を見て笑っている。
僕は恐怖にまみえ、身体の震えが止まらなくなった。
「あ…あの…」
誰もいなく、シンとした踊り場。
4人の男子生徒は僕に、
「服脱げよ」
と言った。
「え…?」
すっごく戸惑う。今まで喝上げされたり殴られたりはしたけど、"服脱げ"なんて初めて言われた。
「何で…」
「立花くんのぉ、恥ずかし~ぃ写真をネットに載せるためだよん」
もう一人のクラスメートが言った。
残りの二人が僕の両腕を押さえつける。
「や…やだッ」
更にもう一人が脚を押さえ、無理矢理学ランを脱がされかけた。
抵抗しても、4人に敵う訳はない。
「や、やめてッ! お願い…」
学ランを剥ぎ取り、一人が携帯をカメラモードにする。
「誰か…ッ」
「誰もこねーよ。来たとしても~、立花くんなんて助けないでしょ」
誰か…助けて…。
このままだと僕、ホントにネットに写真ばら撒かれて…。
親に見つかったら何て言われるか。どうしよう…どうしよう…。
「なーにしてんの、そんなトコで」
僕が必死で抵抗していると、男子生徒達の後ろから、違う人の声が聞こえた。
学ランを脱がせようとしていた彼らの手がハタと止まる。
「面白そーなことしてんじゃん」
誰だろう。
めちゃくちゃカッコイイ人がそこに立っている。
薄い、栗色のサラサラの髪の毛に、淡い青色の瞳。
身長もスラッと高くて、モデル体型って感じ。
「な…ッ、中田慎也…」
リーダー格の一人がそう呟いた。たぶん、その人の名前だと思われる。
「こんなことしなくたって、俺が掘ってやるって」
中田くんは一人の男子生徒の耳たぶを舐めた。
「ぎゃあああッ」
そいつは中田くんを突き放し、叫び声を上げるとどこかに逃げて行ってしまった。
他の3人も慌てて後についていく。
「へえ」
僕と中田くん以外誰もいなくなると、中田くんは僕をじろじろ眺めた。
「随分可愛いねぇ、名前は?」
「え…あ、立花…葵です、けど」
「立花葵くん。早く学ラン着てくれないかな。俺襲っちゃいそうなんだけど」
中田くんにそう言われ、僕は服が肌蹴ていることに気付いた。
途端に恥ずかしくなって、慌てて着なおす。
「いつもこんなことされてるの?」
「えと…こんなことは初めて…だけど」
いじめられている、とはどうしても言えない。
すると中田くんは、わかったような顔つきをして、
「俺があいつらに言ってやるよ」
と言って笑った。
中田慎也くんって人は、かなりの有名人らしい。
知らない僕は相当変だってくらい。
男女問わず、生徒先生問わず、誰にもかれにも手を出してみんなから気持ち悪がられている。
中田くんに助けてもらった日以来、クラスのみんなは僕のことをいじめなくなった。
友達も出来た(女の子ばっかりだけど)し、もう"朝"は憂鬱じゃなくなっていた。
「行ってきます!!」
以前とは見違えるくらい明るい声で僕はそういう。
学校に行くのが楽しみで仕方ない。
中田くんを見ることが出来るから。
あの日以来、僕はずっと中田くんを見ていた。
すっごくカッコイイ。みんなは変態だって遠ざかっていくけど。
クラスは違うけど、移動教室で見かけるたびに幸せな気分になる。
中田くんはたぶん、他に好きな人がいるみたいだけど、僕はただ見てるだけでよかった。
雪代くんていう、中田くんといつも一緒にいる男の子。
彼には絶対敵わないけど、それでもいい。
僕は中田くんが好きだ。
いつか、気持ちを伝えられればいいけど、今はこの幸せに浸っていたかった。
番外編③終わりですッ!!
葵くん個人的に好きw
何か不憫だけど気にしないで下さいw←
んでもってまとめ方下手くそすぐるorz
最終更新:2010年05月22日 16:33