※短編だらけ※ 続き10

422: 名前:灰人 (L/G6UpmrlY)☆12/15(火) 21:42:55
怜様リクエストの【3Pで2攻め(後輩、同輩)受け目線】です!!
お待たせ致しました!!! しかもこんなお待たせしておきながら温い上にグダグダ…ですorz
3P…見事に撃沈orz
少しでも楽しめて頂ければ幸いです(^_^;汗
※※




【私の意思とは無関係に躯も眼球も五感も全部そちらに向かいました】




 訳あって僕には二人も、しかも同性の恋人が居る。
 遊びに行く時だって三人でだし、もちろんそういう“コト”をする時だって--




「あっ、ちょっ……やぁ、っ」


 ただでさえ恥ずかしい行為が、人数が増えるとその恥ずかしさも倍だ。
 今だって、全裸にひん剥かれて僕の平らな胸に申し訳程度に乗った二つのそれをそれぞれ違う二人に嘗められてる。始めこそは触れられてもただくすぐったいだけだったそこは、二人に事あるごとに弄られて今じゃ僕の性感帯の一つにまで昇格。


「あ、んっ……やめ、ふたりとも……っ」


 右は尖らせた舌先で軽く何度も弾くように転がされて、左は熱い口内に含まれてキツく吸われる。
 左右で相反する刺激を与えられてもどかしい反面苦しかった。


「梓。そんな事言ってるけど梓の、勃ち上がって震えてるぞ?」
「そうそう。俺達に乳首吸われて悦んでるんだよね? 梓ちゃん」


 僕を憤死させたいのかと聞きたくなるような事を言ってきたこの二人こそが、僕の恋人達だ。
 普段は優しくて良く気の回るのに加えて頭も良い同級生の智史と、普段から何かと犬みたいにくっついて離れようとしない一つ下の後輩、廉。
 二人共タイプは違うけど顔も格好良くて学校でもモテる。そんな二人が好きだって言うのが男のくせに母親譲りのただ大きいだけの目と、華奢な体躯がコンプレックスの僕だ。


「ねぇ、今日は俺が梓ちゃんの中に入って良いんだよね? 智史くん」
「そうだな。だから今日は俺は梓に口でしてもらうとする」


 正直、こういう会話は前もって僕の居ない所で二人だけでして欲しかった。
 今にも鼻歌でも歌い出しそうにご機嫌な廉が僕の身体で一番恥ずかしい器官に触れてくる。当たり前だけどそこはキツく閉ざされてて、そのままじゃとてもじゃないけど廉のなんて受け入れられない。
 いや、智史のもだけど……。


「梓ちゃん。俺の方にお尻向けて四つん這いになって?」
「う、うん……」


 どんなに羞恥が伴ってもこれをしないと後が辛いのは自分なんだから、って自分自身に言い聞かせて廉にお尻を向けた。
 頭の方には智史が座ってて、見上げたら大丈夫、とでも言うように優しく微笑まれて頭を撫でられる。


「じゃあ、梓ちゃん。慣らすよ?」
「ひぁ……」


 双丘を開かれて、その奥にある窄まりに柔く濡れた感触。上擦った声が勝手に洩れた。
 口を塞ごうとしたけど智史の低めの声に制されて、恨みがましく見上げたら廉の舌が中に進入してきた。そのせいで不満を洩らす前に明らかに快感が滲んだ声が出てしまう。
 くちゅくちゅと音がする程に丹念に嘗めて濡らされて、舌が抜かれたと思うと指挿入れるね、という言葉と共に廉の長い指が入ってきた。


「智史くんも休んでないで梓ちゃん気持ち良くしてあげたら?」


 中に馴染ませようとしてるのかゆっくり抜き挿しされる指。その多少の異物感に必死に耐えていたら拗ねたような廉の声を耳が拾う。
 話しかけられた智史はと言えば、そうだな、なんて言って僕の身体に手を回してきた。さっき二人に嘗められてたそれを今度は指先で嬲られる。


「梓、ここ好きだよな?」
「好きじゃなっ……っン!」
「あっ。今、梓ちゃんの中きゅんって締まったよ」


 二つの突起を両方とも指先で摘まれて、背筋に甘い痺れみたいなのが駆け抜けたのと連動してか、中の指を締め付けたのが言われるまでもなく分かった。
 僕の胸を弄る智史の指と中を探る廉の指に勝手に神経が集中する。神経が集中するとその場所が更に敏感になった気がして僕は意識を逸らそうと頭を振った。


「なぁに? 梓ちゃん、指一本じゃ物足りないの?」


 廉が何気に中を探る指の本数を増やしながら揶揄う様な口調で言ってくる。違うと反論したいのは山々だったけど、今口を開けても喘ぐ事しか出来なそうだったから止めておいた。


「声出せよ、梓。聞かせろって」
「そーそー。我慢して辛いのは梓ちゃんだよー? えいっ」
「ひゃあっ!? や、あっ……廉、そこやだぁ……っ」


 廉の指が性器の裏側。僕の一番感じる部分を探り当てる。快楽の塊のそれを指先で嬲られるのは強制的に射精を促される様で“気持ち良い”んだけどそれと同時に“辛い”んだ。
 止めて欲しいと頭では思ってても指が中から無くなると途端に物足りなくてもどかしくなる。
 意識した訳じゃなく腰が揺れた。


「……梓ちゃん、挿入れるね?」


 指なんかとは比べ物にならない質量のものが体内の粘膜を擦りながら入ってくる。
 時間をかけて全てが納められて、詰めてた息を長く深く吐いた。


「それじゃあ俺のも頼む」
「んぐ……ぅっ」


 体内にはドクドクと、激しく息づく廉のが。口内には静かに、でも確かに熱く脈打つ智史のが。どちらにせよ僕への興奮を伝えてくる二人の昂ぶりは容赦無く僕をも高みへと連れて行こうとする。


「梓ちゃんの中熱い」
「口の中も熱いぞ」
「んぅっ! ふ、っぅ……んくぅ」


 廉のには指では届かない様な一番奥を突かれて、ほぼ同時に智史のには上顎の敏感な部分を擦られた。
 僕の腰を撫でる廉の手と頭を撫でる智史の手さえもが気持ち良い。


「っは……ん、んぅ……」


 体内の灼熱に喘ぎたくても口内の楔に阻まれる。呼吸が出来なくて苦しくて、でも奉仕を疎かにはしたくなかったから必死に舌を絡めた。
 口に入らない分は根元に添えた手で擦って。頭上から智史の息を詰めるのが聞こえて視線だけで見遣れば色香を滲ませた智史の表情にドキッとした。


「ンっ……梓ちゃん、締め付けないでよ」
「んふぅ……らっれ……んんぅっ」
「“だって”じゃないだろ? 梓」


 掠れた廉の声が聞こえたと思ったら、僕の腰を掴んでた廉の手が僕の放置されてた性器に。その上智史の手まで僕の乳首に伸びてきた。


「ま、待って! 全部はむり--っああ!」


 脊椎に電流の様な鋭利な快感が走る。背中と喉が勝手に反って、耳を塞ぎたくなる様ないやらしい声が響いた。


「う、わ……っ。梓ちゃんの中すご……」
「梓。俺のは? 放置か?」


 頭が真っ白になる程の快感の中、僕は必死に智史のに舌を伸ばす。でも歯を立てないように意識するのが精一杯で、奉仕も何もない。


「ふぅっ……んんっ、んぐぅ」


 口内は智史のに体内は廉のに犯されて。加えて放置されてた、先走りでぐずぐすになってた僕の性器を扱かれて、乳首は指先で転がされてたまに抓られる。
 止むことのない快感にもう頭がおかしくなりそうだ。


「ひ、あっ……も、僕っ……ぁあ」
「っ……イキそうか? 梓」
「良いよ、イッて? 梓ちゃん」


 二人の声に一気に極みへと昇り詰める。身体中の熱が快楽が、一点に集中する。
 身体中が発熱したみたいに熱くなって熔けてしまいそう。
 何も考えられない。
 僕はただ二人の熱と二人に与えられる快楽に溺れていくしかなかった。


「んくぅっ--!」


 最後に僕が感じたのは自分の胸と腹に飛沫が飛び散った感触と、喉と体内にほぼ同時に灼熱が浴びせられた感覚だった--。




 私の意思とは無関係に躯も眼球も五感も全部そちらに向かいました。
 僕の全ては彼等の物なんだ。



417: 名前:灰人 (L/G6UpmrlY)☆12/14(月) 21:02:14
【指定席はキミの膝の上】




 この日、龍と恭悟が同棲する家に小さな訪問者がやってきていた。


「龍兄ちゃん!」


 大きな歓声を上げて龍の元に走っていく小さな少年--翔は龍の父方の歳の離れた従兄弟である。
 この日は、翔の両親が夫婦水入らずで温泉旅行に行っていて、たまたま連絡を受けた時に暇だった龍達の家へと一日預けられる事になったのだ。
 この年、小学三年生になった翔は、頻繁に会える訳では無かったが自分と遊んでくれる龍に懐いていた。心なしか言動等も龍の影響を受けている気がしなくもない。
 恭悟とも、龍と一緒に遊んだ事があり顔見知りだ。


「翔。どうした?」


 ソファに座っていた龍の膝に翔がちょこんと座る。因みに恭悟は台所で三人分の昼食を作っていた。
 普段ならガキはウゼェ、などと言って相手にもしない龍だが、親戚というのも含めて、実の弟達よりも自分を慕ってくれる翔を少なからず可愛がっている。


「一緒に風呂入ろう!」
「おぉ、いいぞ。少し早いけど飯食ったら入るか?」
「うん!」


 満面の笑みで元気良く返事をした翔に龍も釣られて口許を綻ばせる。
 そこへ、三人分の昼食をトレーに乗せた恭悟がやってきた。龍の膝に乗る翔の姿に僅かに目を瞠ったが、すぐに何でもなかった様に繕う。そして二人が見ている前でトレーに乗った皿を次々にテーブルに並べていった。


「うまそー!」
「翔くんはハンバーグが好きだって聞いたからね。口に合えば良いんだけど」


 自分の好物に目をキラキラさせてはしゃぐ翔に恭悟が微笑みかける。その微笑を直視した翔はどこかハンバーグの興奮を残した様子で口を開いた。


「恭悟兄ちゃん、いい嫁になれるな!」


 恭悟の顔が引きつる。
 翔の背後では龍が声を殺してはいるものの笑っていて、恭悟がキッと睨み付けるが龍は相変わらず表情を崩したまま。
 小学校低学年の少年に言われただけならまだ笑い流せたかも知れなかったが、龍のこの反応はさすがに癇に触った。


「恭悟兄ちゃん美人だし、絶対いい嫁になるって!」
「あ、ありがとう……。でもオレも男だから嫁はちょっと……」


 困った様に曖昧に笑う恭悟に翔は頭を大きく振る。
 未だに口を押さえて表情を崩している龍を視線で牽制する事も忘れない。


「おれ恭悟兄ちゃんなら嫁にしたいぞ!」


 言い切った翔についに龍が噴き出した。声を上げて笑い、その眦にはうっすら涙までもが滲んでいる。


「龍! 笑うな!」


 さすがに我慢出来なくなった恭悟が怒鳴るが、龍はどこ吹く風といった様に気にする様子がない。
 翔も突然怒鳴った恭悟に驚いたものの、さすが龍の親族。それ以外に動じた様子もなく、肝が据わっている。


「翔。ダメだぞ。恭悟は俺の嫁だからな」
「そうなのか!? じゃあチューとかもしたりすんの?」
「さぁ、どうだろうな?」


 実際はチューどころか、それ以上の事もしているのだが、それはさすがに龍も言わなかった。
 当の恭悟は居心地が悪くて仕方が無い。


「そんな事より、翔。手ぇ洗って来い。飯冷めちまうぞ?」
「あっ。分かった! その後は龍兄ちゃんと風呂だもんな!」


 おぉ、と龍が頷けば翔がぴょん、と龍の膝から降りる。足早に洗面所へと向かう小さな背中を見送って、完全に見えなくなってから恭悟が口を開いた。


「何と言うかさすがだな」
「親戚だからな」
「……オレだって男だ」
「しゃーない。俺の家系だ」


 恭悟の嫌味にもあっけらかんと言いのけた龍に恭悟が眉を寄せ、そんな表情に小さく笑った龍が恭悟の身体を引き寄せた。
 不意を突かれた恭悟は短い声を上げ、半ばなだれ込む形で龍の胸に倒れる。


「ちょっ……!」
「翔! しっかり洗うんだぞ!」


 恭悟の腰を抱きながら龍が声を掛ける。奥から元気良く返事が返ってくれば、龍がニヤリと口許を吊り上げた。


「これで時間稼ぎは出来たな」


 ふざけるな、と恭悟が口を開こうとしたのを龍が己のそれで塞ぐ。すぐさま恭悟が抵抗すれば、思いの外あっさりと龍が引いた。


「--どうせ今日一日だけだぞ?」
「なんの話だっ」


 龍の言葉に恭悟が端正な顔を歪める。そんな様子に龍は無自覚なのか? と苦笑を洩らした。


「オマエ、翔に妬いただろ?」
「え……、?」


 恭悟が目を瞠る。どうやら本気で無自覚だったらしい。


「最初に驚いてから一瞬嫌そうな顔してたぞ?」
「う、嘘だ……っ」


 みるみる内に恭悟の頬が上気していく。自分の顔が熱くなるのを感じながら、何を言えば良いのかと金魚の様に口を開閉させた。
 たかだか小学生の子供相手に大人げなく嫉妬してしまったなんて恥ずかしくて顔から火が出そうになる。うぅっ、と唸る様な声を洩らして、龍の首もとに顔を埋めた。


「明日になれば、ずっとくっついてられるからさ。今日は我慢しろよ?」


 龍の声に甘く耳朶をくすぐられ、もうすぐ翔が戻ってくるのを判ってはいるのに、恭悟は龍から離れられなかった。




 その後、手洗いを終えて戻ってきた翔に『兄ちゃん達ラブラブだな!』と笑顔で言われ、恭悟が思わず龍を殴ってしまったのは三人の秘密となった--。








※※
はいはいまたもやお兄ちゃんズです!!
これは“嫁”呼ばわりされたり、無意識に焼き餅を焼く恥ずかしい恭悟を書きたくなった結果です←
龍がまたも可哀想になってしまった(^_^;


427: 名前:灰人 (L/G6UpmrlY)☆12/16(水) 21:27:21
鵺様リクエストの【>>117のもう一人目線(両思い前提)】ですww
お待たせ致しましたorz
少し無理があった気もしますが…(^_^;汗
少しでも楽しんで頂ければ幸いですm(_ _)m※※




【愛され方を知らないの(愛し方も知らないよ)】




 世間体ばかりを気にするクソみたいな両親に与えられた、ただでさえ広い家は自分以外に誰も居ないせいか余計に広く、寂しく感じられた。
 リビングのソファに深く腰を掛けながら胸ポケットにあった煙草を取り出して銜える。かと思えば火を切らしてた事を思い出して舌打ち。


「ハァー……」


 大きくため息を吐いて、ソファの背もたれに凭れながら、高い天井を見上げて今は居ない同居人の事を思う。
 今日もまた、アイツはどこの誰とも判らないクソ共に汚されている。……いや、もう汚れてるのか。アイツに、俺だって。
 本当に馬鹿だと思う。いくら好きだからって、そいつの遊ぶ為の金の為に同性の、しかも変態相手に自分の身体を売るなんてさ。




「……いくら貰った?」
「あ……うん」


 この日コイツは何時にも増してボロボロになりながら帰ってきた。
 俺が手を差し出せばなにか言いたげにしながらも寂しそうに目を伏せて俺から視線を逸らす。
 なにか言いたい事があるならハッキリ言えば良いのに。思うだけで言わないのは俺が臆病者だからだ。コイツが何を思っているのか、考えているのかが解らない。知るのが怖い。
 差し出した手にどこにでもある茶色の封筒が乗せられる。
 早速中を見ればそこには諭吉が9枚。


「9万か。ギリギリだな」


 一日のノルマは8万だ。ノルマといっても、俺は金に困ってないのに何を思ったのかコイツが勝手に言い出した事。しかも毎夜俺が使い切ってると思ってるみたいだが実際は俺の部屋の金庫に入ってる。
 いつか、いつかコイツが俺から離れる時に纏めて渡すつもりだ。


「あ、あのさっ」
「なんだよ」
「傷、酷くてさ。明日は休んでも……」


 自分の表情が険しくなるのが分かる。
 そんなに酷い傷が付くような事をしたのか。汚い親父共にケツの穴無理矢理開かれて汚いモン突っ込まれてそれで金貰って。


「何言ってんだ? ふざけんなよ。だってそれ、セコい事して一回で多めの金貰おうとしたからだろ? 手でも口でも他の使えるもん使って稼げよ」


 イライラする。ムカつく。腸が煮えくり返る。
 感情に身を任せて、自分が何を言ったのかと思った時には遅かった。


「うん……分かった。そ、する」


 今にも泣き出しそうな顔を隠すように俯いて、唇を噛んでるのが見える。
 本番無しだなんてそんな物好きな客、普段以上に探すの大変だろうし、貰える金だって圧倒的に少ない筈だ。
 さっさと弁解でもなんでもすれば良いのに、くだらないプライドが邪魔をする。


「あっそ。んじゃ、俺もう寝るわ」


 この場に居るのが息苦しくて俺は逃げるように背を向けた。


「あ、待って!」


 そうしたらまだ話があったのかそんな声と共に腕にアイツの荒れた指先が触れた。


「触んなッ」


 反射的に手を払っていた。部屋に乾いた音が響く。
 触れられた場所からぞくりとした熱が広がっていく気がした。
 見れば隠そうとする余裕も無いのか、明らかに傷付いた表情をするアイツが居て、余計に居心地が悪くなる。


「誰に抱かれたのかも分かんねぇような汚い手で触ってんじゃねぇよ」
「…… ごめん、っ」


 謝るのはどう考えたって俺の方なんだ。でもどうしても“悪い”の3文字が言えなくて、結局俺は何も言えずに自分の部屋に逃げ込んだ。


「クソッ……!」


 そのままベッドに倒れ込んで、天井を見上げながら毒づく。
 瞼に焼き付いて離れないアイツの傷付いた表情。泣きそうに歪められた悲痛そうな顔がチラついて。
 ふと手に持ったままだった封筒の事を思い出した。普段だったらすぐにでも金庫にしまうのにそんな気分にすらなれない。
 気を緩めたら泣き喚きだしそうになってる自分に吐き気がする。


「ムカつく……ッ」


 本当に辛いのはアイツの方なんだ。
 アイツに触れたジジイ共に対して俺がどうこう思うなんて間違ってる。あそこで泣きそうだったアイツを抱き締めてやれば良かったなんて思う方が間違ってるんだ。
 頭ではそう思ってても感情がついていかない。
 いっそただの金づる程度にしか思えなかったら良かったのに。


「泣いてんのかな、アイツ……」


 判ってる。
 後悔したって今更遅い事くらい。




 だからって、
 俺は人からの愛され方を知らなくて
 まともな愛し方なんて知らないし判らない。

442: 名前:灰人 (L/G6UpmrlY)☆12/17(木) 21:47:54
【羊水で夢見る】




 夜も更けた頃。
 龍は普段二人で使用している広めのベッドで、一人規則正しい寝息をたてている恭悟に覆い被さる形で恭悟の寝顔を見下ろしていた。
 大人の男が二人で寝ても十分に余裕のあるベッドの龍の場所を開けた左半分で眠っている恭悟は未だ夢の中。
 龍が恭悟の頬を撫でてみても余程寝入っているらしい。起きる様子がない。


「起きないとキスシちまうぞ?」


 とは言うものの、囁き程度のそれで恭悟が起きる筈もなく。先程の宣言通り恭悟の薄桃色の口唇に己のソレを重ねた。
 一回だけでは飽き足らず、何度も何度も角度を変えては唇を同士を重ね、ついには無防備な口内に熱い舌を進入させる。


「ん……っん……」


 奥で縮こまっていた舌に己のを絡め、軽く吸い付けば無意識ならではの素直な反応が返ってきた。
 切なげに眉が寄せられて鼻から甘い吐息が洩れる。ぴくりと身体が跳ねたかと思えば、震えた長い睫毛に縁取られた瞼がゆっくりと開かれていった。


「ぅ、ん……?」


 眠たそうなぼんやりとした恭悟の眼が龍を映す。
 奇妙な沈黙が辺りに流れた。


「……なにやってるんだお前は」
「夜這い?」


 寝起きの割りにはハッキリとした口調の恭悟に龍はわざとらしく疑問系で答える。すると何故だか恭悟が呆れたように息を吐き、龍に向かって腕を伸ばした。伸ばされた恭悟の腕が龍の首に絡められ、その腕に引き寄せられた龍の唇に恭悟のそれが重ねられる。
 すぐに離れたかと思えば龍の目の前には不敵な笑みを浮かべる恭悟の顔。


「オレは眠い。後は一人でなんとかしろ」
「は? ちょっ、オイ……ッ」


 単調な声色でそう言い放ち、身体を横に向けたかと思えば本当に眠かったのか、はたまた寝付きが良いのか、本当にすぐ寝付いた恭悟。
 一人残されてしまった龍は再び聞こえてきた恭悟の寝息に肩を落とした。


「……起こしたら怒るよな。やっぱ」


 呟き、恭悟を起こさないようにそろそろと空いている自分のスペースに移動。
 背中を向けている恭悟を背後から抱き締め、自分も眠りに就こうと瞼を下ろした。


 --なんだ。拗ねてるのか、コイツは。暑苦しいだろ。


 背中に感じる自分以外の体温とすぐ耳元で聞こえる規則正しい呼吸音に、まだ起きていた恭悟は小さく息を吐いた後に身体の向きを反転させた。
 胸板に耳を寄せれば聞こえる鼓動を刻む音。


 --明日はオレから押し倒してみるのも一興かもな……。




 羊水で夢見る。
 意識の境目でたゆたう。








※※
危うく更新するのを忘れるところだった←
442: 名前:灰人 (L/G6UpmrlY)☆12/17(木) 21:47:54 HOST:a2YDLd8N2O4fkUqo_softbank.co.jp
【羊水で夢見る】




 夜も更けた頃。
 龍は普段二人で使用している広めのベッドで、一人規則正しい寝息をたてている恭悟に覆い被さる形で恭悟の寝顔を見下ろしていた。
 大人の男が二人で寝ても十分に余裕のあるベッドの龍の場所を開けた左半分で眠っている恭悟は未だ夢の中。
 龍が恭悟の頬を撫でてみても余程寝入っているらしい。起きる様子がない。


「起きないとキスシちまうぞ?」


 とは言うものの、囁き程度のそれで恭悟が起きる筈もなく。先程の宣言通り恭悟の薄桃色の口唇に己のソレを重ねた。
 一回だけでは飽き足らず、何度も何度も角度を変えては唇を同士を重ね、ついには無防備な口内に熱い舌を進入させる。


「ん……っん……」


 奥で縮こまっていた舌に己のを絡め、軽く吸い付けば無意識ならではの素直な反応が返ってきた。
 切なげに眉が寄せられて鼻から甘い吐息が洩れる。ぴくりと身体が跳ねたかと思えば、震えた長い睫毛に縁取られた瞼がゆっくりと開かれていった。


「ぅ、ん……?」


 眠たそうなぼんやりとした恭悟の眼が龍を映す。
 奇妙な沈黙が辺りに流れた。


「……なにやってるんだお前は」
「夜這い?」


 寝起きの割りにはハッキリとした口調の恭悟に龍はわざとらしく疑問系で答える。すると何故だか恭悟が呆れたように息を吐き、龍に向かって腕を伸ばした。伸ばされた恭悟の腕が龍の首に絡められ、その腕に引き寄せられた龍の唇に恭悟のそれが重ねられる。
 すぐに離れたかと思えば龍の目の前には不敵な笑みを浮かべる恭悟の顔。


「オレは眠い。後は一人でなんとかしろ」
「は? ちょっ、オイ……ッ」


 単調な声色でそう言い放ち、身体を横に向けたかと思えば本当に眠かったのか、はたまた寝付きが良いのか、本当にすぐ寝付いた恭悟。
 一人残されてしまった龍は再び聞こえてきた恭悟の寝息に肩を落とした。


「……起こしたら怒るよな。やっぱ」


 呟き、恭悟を起こさないようにそろそろと空いている自分のスペースに移動。
 背中を向けている恭悟を背後から抱き締め、自分も眠りに就こうと瞼を下ろした。


 --なんだ。拗ねてるのか、コイツは。暑苦しいだろ。


 背中に感じる自分以外の体温とすぐ耳元で聞こえる規則正しい呼吸音に、まだ起きていた恭悟は小さく息を吐いた後に身体の向きを反転させた。
 胸板に耳を寄せれば聞こえる鼓動を刻む音。


 --明日はオレから押し倒してみるのも一興かもな……。




 羊水で夢見る。
 意識の境目でたゆたう。








※※
危うく更新するのを忘れるところだった←
いやー、本当は最後までさせたかったんですけどね。力尽きました←

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最終更新:2010年05月25日 21:23
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