岡田斗司夫『僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない』
僕が思うに、携帯音楽プレーヤーを入手するには六種類の方法があります。 ①新品を定価で買う。②ネットで安く買う。③中古を買う。④何かと交換してもらう。⑤だれかからもらう。⑥必要なときだけ借りる。 ①ほど割高で独占できる、⑥に行くほど安く皆で使える。二十世紀のあいだは、誰の世話にもならず、大量に所有・消費する方がカッコいい気がした。だから、僕たちはお金が欲しかったんです。でもこれからは「所有」から「共有」の時代、「孤立」から「つながりの」時代、「お金の豊かさ」から「周囲との関係性の豊かさ」の時代へと変わるのです。
いい人
人間の値打ちは3つのC、すなわち「コンテンツ」「コミュニティ」「キャラクター」の3つで決まる。というのが最近の僕の考えです。最初はコンテンツからしか始められない。これを「キャリア」と呼ぶ人もいます。つまりどんな仕事をしてきて、どんな仕事ができるのか。コミュニティは仕事を頼んでくれる人間関係のことで、無料の仕事内容も含みます。そしてキャラクター、仕事をせっせとこなすうちに、その人の人柄が認識されるようになると3つのCが効率よく回ることになります。もし就いた職のスキルだけで食べていこうとすると、しんどいはずです。知らない人に依頼するのは気が引けるし、能力が落ちるとすぐ別の人へ依頼に行ってしまうからです。でも人柄が認知されるところまで行くと、コミュニティにの誰かが助けに入ってくれます。新しい技術を教えてもくれますし、新しい人も紹介してくれるようになります。コンテンツからコミュニティへと昇華させるキーワードは「お手伝い」です。自分が儲けるのでも、相手が儲けるのでもなく、相手が求めていることを理解して少しラクをさせてあげること。まずやるべきことは無数のお手伝いです。言い換えるなら、ニコニコして仕事を手伝っていい人になるということ。この社会で生き残るためには自分の能力を開発するとか、資格を取得するとか、ついついコンテンツの量と質が決め手だと思い込んでしまいます。だから「スキルを磨け」「論理的思考」「プレゼン力」のような本が山のように書店に並ぶのです。これがひと段落した人は世の中って、コネだよ人脈だよと言い出します。お分かりの通り、この二つだけでは足りません。最後のピース、それがキャラクターです。玄人受けするような濃いキャラを求めてるのではありません。気のいい奴で、親しみやすく、ちょっとしたことでも頼みやすい存在になることが大切です。ここでのポイントは、分かりやすい「いい人」になること。本当はいい人だったり、深く知り合ったらいい人だというのは遠回りです。愛想が悪い、挨拶しない、人と関わろうとしない、不潔、陰口を言う…こういった印象が広まると、生き辛くなるのです。
学生のうちにすべきこと
3つのC、コンテンツ・コミュニティ・キャラクターの充実を目指します。とくにコミュニティの充実です。学生のうちから「いま、こんなアルバイトをしている」とか「自分にはこんな仕事ができる」とか「おすすめある?」とかいつも書き込んで、みんなに相談する癖をつけておきましょう。たとえ言いにくい内容でもカミングアウトして相談する方が絶対にいい。その代りに、うまくいったときは感謝とアドバイスを周りに教えてあげる。友達が頑張っていたら、応援したり相談に乗ってあげる。そういったことを面倒がらずにやりつづけて、自分が持っているコミュニティを地道に育てるしか道はありません。学生のうちになっておくことは、就活セミナーや会社説明会に行くことではなく、自分が何をしているのか、自分はどのようなことができるのかが常に見えるようにアピールしつづけること。多くの友達にそのコミュニティに入ってもらって、つながりをますます広げるようにすることです。