最後の希望


「今回は痛いぞストラウス。」

現に部下が死んで上では大変な騒ぎになっていた。

署の調べによるとあの夜に襲って来たのは経済破綻のしたマフィアだったことが判明する。

あの時に逃げて行った男達は誰かに殺された。

しかも殺した武器はあの時のライフルではなく
黒色火薬を使用している拳銃でやった。

殺され方は非常に奇妙な物だった
あの時逃げ出した後雇い主と口論になったのだろうと鑑識はそう推定する。

 鑑識の想像するその時の様子が次の文章である。

「まず一人目をナイフで首を切り殺した
そして二人目は腹を刺され死亡。

そこでそれに驚き拳銃を発砲。」

しかしここからがおかしくなっていた。

発砲した男は裏の世界では名の通る者だった。

依頼主が防弾チョッキをつけていることなどいや、どんな相手だろうと可能な限り近ければ頭を撃つだろう。

何がともあれその男もナイフで殺された

その他の男達は逃げてる所例の黒色火薬使用の拳銃で殺された。

その他の男達が、その時に何故依頼主に発砲しなかったのは不明である。

後驚いたことに依頼主は防弾チョッキをつけていない可能性が高いことだった。

ストラウス達が森にいた時に一気にマシンガンを撃つことによって
服の切れ端を採取出来た。

しかしその切れ端の中に血はついていなかったしかも胸や腹部分の切れ端まであったのにも関わらずにだ。

そもそも防弾チョッキを着ていてもあれだけ撃たれたら普通は死ぬ少なくともあの時みたいに立ったままでいるのは不可能に近い。

「血一滴ぐらいあったら犯人を特定出来るのに・・・」

ストラウスはちらっと願望を言った。

ストラウス含めキャルロンやその他の部下が署長室に呼ばれた。

ストラウスは余り行きたくない顔をしながら高価そうな木製のドアを開ける。

「失礼します」

中では疲れはてた顔をしている署長がいた。

「そこに座れ」

皆、客人用の席に座った。 

「マスコミがまた騒ぎ始めている・・・この意味がわかるか?」

「はい。」

その声はもう気力を失っていた、事件は今度こそ迷宮入りだと。

「犯人は特定出来ずにこのまま終わりだ・・すまないがストラウス君諦めてくれ。」


それから数カ月後

 あの頃屋敷では。

「酷い有様ですね、カスミンティ刑事」

 屋敷ではストラウス達を迎えていた執事が死体袋にいれられていた。

「転落死とは妙だな・・・」

 カスミンティ刑事は車に戻って書類を読み始めた。 あの事件の後ストラウス達と親しかった執事やメイドがいきなり死んだのだ。

「全く何だこりゃ?」

 遺書や証拠物も見事に核心にかすりもしていなかった。

 「もっと骨のある証拠はないものかね~っん?」

 「何かわかりましたか?」 

 トーマスが書類を覗き込んでいた。

 「ブォごほごほ何で車の中に!?」

 「何故ってひどいですね大分前にあなたがここにいるように言ったじゃないですか・・」

 トーマスは不快そうな顔をした。

 「あ、ワリィ・・・なあ確かストラウスだっけ?この前の刑事どんな感じだった?」


 「まあ貴方と比べマジメでした。」

 「・・・お前顔に似合わずハッキリしているな。」

 「まあ、十年前のある人を思い出させるほどの優秀な刑事でした」

 「・・それってクラウスのことか」

 トーマスは寂しい瞳を見せつけながら言った。

 「彼は小さい頃の私を虜にしましたよ、私から見たらヒーローでしたから。」

 「そして行方不明ってわけか」

 それから話したいことは話しトーマスは屋敷へ帰って行った。

 「あの坊ちゃん辛いだろうな」

 自分の回りが次々死ぬとたいていの人なら、少なくとも自分も殺されると勝手な思い込みに飲み込まれる。 

 加えて一番親しかった執事が死んだのだから気が狂ってもおかしくないはずだった。

 「あ、刑事どんな感じでした?」

 「そうだなあいつ何かを隠していることは確かだ。」 

 「何故そうお思いで?」

 カスミンティ刑事は城のような屋敷を見て溜め息を吐いた。

 「あのトーマス坊ちゃんから本当の悲しみが感じられねえ。」

 「・・そうですか?」

 刑事は煙草に火を点けて何かを考え出した。

 「ストラウスだっけあの事件で捜査しにきたのは。」 

 「はい、そうです」

 「成る程俺にいい考えがある。」

 カスミンティ刑事は車の無線機で何か話し予定よりも早く現場から引き上げた。

##署

 「ストラウスお前に電話だぞ」

 ストラウスはあの事件後資料あさりをしていた。

 何故あの時ああなったか、何故数ヶ月たった今彼らが殺されたのかを。

 「はい##署のストラウスですどなたですか?」

 「やあストラウスか?俺はカスミンティ刑事だ確かあの事件の捜査をしてたんだっけな。」

 「はいそうですが」

 電話とはいえ初対面でこの馴れ馴れしい態度をとるカスミンティ刑事に少し反感を持った。

 話しによるとあの事件で参加していたメンバーを揃えて一緒に捜査しようと言う内容だった。

 「そりゃ無茶だ第一そんな権限自分にはない。」

 「チャーチル怪死事件の捜査許可を得ることが出来たじゃないか。」

 「そう簡単に出来るもんじゃないそれに今は仕事中なんでね、今度はアポを取ってこいこんな話電話で片付けるもんじゃない!」

 「そーだな、そんじゃいつ空いてる?」

 ストラウスの怒鳴り声に怯まずぺらぺら一方的に話を進めてきた。

 「分かった2週間後にビックベンで待ち合わせだそれで」ガッチャンと電話が切れた。

 ストラウスは話を最後まで聞かないカスミンティと話を終え、早速半信半疑でキャルロンやハットンに電話を入れる。


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最終更新:2011年10月30日 20:14