01.Darkness & Reality・・・


青年は眠ると
うなされ
叫ぶ

この光景をさくらは青年と出会ってから何度も見ている
彼女自身ソレを見て最初は驚いていたが
いつの間にか彼女は青年が叫ぶ前に起すようになる

そして青年は彼女に一言声をかけて外に出て行く

起すという行動は
さくらなりの青年を苦しみから救ってあげたいという気持ちだろう
そして青年が彼女に声を掛けるという行動も
気持ちを察して
不器用ながら彼なりに答えたのだろう


宿の窓から月明かりが差している
(マスターと出会った夜もこんな日だったなあ・・)


1年前・・・
さくらは外の世界を見たいが為に村を抜け出し
道に迷ってた挙句モンスターに襲われたのを
青年に助けられたのだ
彼女からして初めて人間と接したのも青年である
(この人と付いていけばいろんな世界が見れるかもしれない)
女の直感なのか興味本位なのか
単純な理由で青年についてきている

色々な世界は確かに見れた
だが青年は1年前からいままで何も変わっていない
まるで何かに呪われているように・・・
そして過去すらも彼の口から聞いたことが無い
深く考えていくうちにさくらの意識は薄らいでいった

気づいたら朝になっていた
いつの間にか寝入ってしまったようだ
まだ青年は宿に戻っていない
さくらが青年を探しに宿の外に出てみると
近くの木に寄りかかって寝ている青年を見つけた
(良かった・・うなされてない)

青年の安らかに顔を見届け
さくらは宿に戻り旅の準備を始めた
最終更新:2009年07月20日 15:19