笑顔の悪魔
「ふむ、殺し合いとは……俺も厄介事に巻き込まれたようだな。
果たしてこれが真か偽か。そして、どう行動するべきか」
青紫色の長髪に、袴の衣装。
そんな和風な格好をしながらDQNの髪の色をする彼。
他人から見ればただ和風な人だと思える。
ただ、彼は侍。踊る侍なのだ。
侍には刀が付きものだ。
ただ―――ダンシングサムライである神威がくぽの刀は違うのだ。
その刀の名「楽刀・美振」は楽器の力を秘めている。
刀の紋様が音を発し、振り下ろすことによって相手の体にある
ビート感を刺激、相手は感化したり仲間と共に音楽を楽しんだり出来る。
そんな刀をがくぽは常に持ってる、その筈だった。
―――なのに、彼からはその刀が消失していた。
マイクは残ったままだったが、刀が無い事に気付いた時、
がくぽはヘコみつつ、この会場の何処かにあると意気込んだ。
あの刀は宝物、あれが無くてはならない。
命と音楽と次に、あるいは同等に大事なものなのだ。
―――そんな、がくぽは現在 古びた校舎にいた。
別館――どこか気がおどろおどろしい。
何か狂気を感じさせるこの気にがくぽは少なからず違和感を感じていた。
実際はこの殺し合いが始まる直前、謎の会場でも感じていたが、
この学校、この校舎はそれとは比べ者にならないおかしさを発していた。
思えば会場で既に人の死を見ているがくぽだが、動揺はしていなかった。
死が怖くないのかと言えばそうではない。
だが、そんな恐怖を感じつつ生きていたって楽しくない。
ダンシングサムライはいつも楽しくしていなくちゃならない。
このダンシングサムライになるにはとても辛い。
自分の才能がまず大事なのだ。このダンシングサムライになる為の
ひとつの条件としてはリズムに乗れないとダメなのだ。
もし失格ならその時――斬り捨てを覚悟しなくてはならない。
それ程、ダンシングサムライになるにはきついものを乗り越えなくてはならない。
現在、がくぽはダンシングサムライだ。
つまりそのキツイそれを耐えて、合格をもらった数少ないダンシングサムライ。
そして、がくぽは心得ているのだ。ダンシングサムライとして。
―――この狭い日本に男として生まれたなら―――
――― 天下を取れるまで止まんな ―――
――― どんな壁も超えてゆけ ―――
――― 武士として天辺へ登ってやる ―――
――― 立ちはだかるものは一瞬で ―――
――― 一刀両断してやる ―――
自分はいつの日か、真のサムライになる。
この殺し合いの場は狂気で溢れており、非常に良くない場所だ。
おそらく笑顔も無い、楽しいと感じる者はいない。
こんなゲームは非常にあってはいけない。
だが、実際に起きてしまった。
これも、一つの壁というのなら乗り越えるしかない。
そして殺しにかかる参加者はやむを得ず一刀両断するしかない。
それがサムライとしての行動なのだから……。
(……だが、俺は未熟だ。まだ誰しもが認めてる訳じゃない。
この時代に戦を巻き起こされたからには未熟も関係無い。
全力で攻めて、勝利を勝ち取るのみ。
このゲームの頭領、敵軍は主催者にあり。
音楽も無いこの土地に活気を溢れさせるべく――俺はやってやる!)
未熟など関係無く、がくぽとしての、サムライとしてのやり方をする。
敵軍である主催者を一刀両断してこの土地に笑顔を作る。
平和な土地をただ築きたい、その一心でがくぽは主催への対抗を決意した。
(しかし、それにはまず刀だ。さすがにあれが無いとキツイ。
もしこんな時に誰かと出会えば………)
そう思って周りを見ると、ひとつの姿が見えた。
見にくいが、どうもあれは女子のようだった。
わかってる。未熟な俺にはまだ早いのはわかっている。
………だが俺は声をかけてみることにした。
「おい、そこの者」
この後、どうなるかなんてわかっていた。
俺は歌った歌詞通りの展開になるのはわかっていた。
結局、無視されるなんてわかっていた。
だから―――こんな展開は予想してなかった。
「な……何でしょうか?」
普通に近付いて来てくれた。
正直、困った。
無視されるオチなのに女子が近づいてこられて困った。
何か話すこともないのに………。
「?」
前の子は困ってる。
俺も困ってる。
よく見れば、この子は変わった子だった。
美味しそうな帽子、それと尻尾。
茶色のワンピースと、全体的には茶色。
そして小柄な体系から年齢はおそらく5~7程度か?
足が若干震えてる様子から俺が怖いんだろう。
そうやって冷静に判断すればする事はわかってくるもんだった。
「大丈夫だ。サムライは子供には手を出さん」
「っ!!………?」
俺が喋ると同時に体をビクッとさせる。
震えつつもこっちを見て、首をかしげてる。
おそらくは俺が信頼出来てないのであろう。
しかし、この女子は本当に臆病者だな。
まあ所詮は女子なんだろうが………。
「何も悪い事はしてないし、戦いだってしたことないんだろう?」
俺がそう聞くと、女子……いや、むしろ少女か?
少女は縦に頷くと予想していたが………違った。
横に首を振ったのだ。
つまりは戦いをした事があるというのだ。
当然だが、俺はそんなの信じる訳が無かった。
「嘘はよい。本当の事を申せ」
もう一度、問う。
今度こそ少女は縦に頷くと予想していたが………違った。
少女は悲しそうな目で俺を見てから、下を向いた。
それから静かに少女はその場を去ろうとしていく。
当然だが、俺はそれを止めた。
「何処に行くつもりだ?ここがどういう場所か、わかっていないのか?」
少女は首を振った。
つまりはわかってるということなのだが、嘘に決まっている。
こんな子が戦場を知る筈が無い。
何故、この子は嘘を申すのか?
がくぽには理解が出来ない。
「…………です」
「ん?」
何か、少女が言ったかと思って―――
がくぽはもう一度少女を見た時。
走って俺から逃げていた。
何故なのか?意味がわからなかった。
追いかけるべきだとは思った。
………が、そうはさせてくれなかった。
「あっ―――」
少女は前を見ず走ってたのか知らないが、
何かにぶつかって、地面へと倒れていた。
がくぽにもどういった事になってるかわからなかった。
前を見れば――少女と比べて一段と大きな影が一つ。
その影から発されるオーラは、何処か不吉だった。
よからぬ気がする、そんな嫌な予感がした。
「ん?大丈夫かな?」
前の少女に声をかけてあげる大男。
少女は相変わらず無口で何も言わなかったが、
大男は少女に逃げて来た方を見て移るがくぽを見て察した。
がくぽも感じた。この場にはいない方がいいという気を。
だから移動をしようとした―――と、別の方の道にも何かが見えた。
その姿は同じく少女で――今度は黒い髪をした少女だった。
ただ―――他の者よりも何処か各段に見やすい外見をしたその少女。
外見に合わない包丁―――黒のない目―――。
―――そして―――
「見つけた……」
少女は近づいて来る。
その姿を茶の少女と大男も捉えたようだった。
ただ、その少女の狙いはどうやらがくぽであった。
大男と少女には目もくれずがくぽしか見えてないような―――。
「このままではいかん………」
さすがに命の危険を感じて―――がくぽは大男のいる方へと逃げた。
逃げ道は一つしかないのだ。ここは廊下だ。
一方通行の通路には二つしか方向が無い。
………いや、教室という3つ目の方向もある。
だが、それは無意味な行動なのはわかりきったことだ。
ならば大男の方へと逃げるしか無い。
大男はまだ行動に移さず、逃げていない。
「逃げるんだ!!急げ!」
がくぽはそう叫んだ。
―――でも、大男は逃げようとしない。
理解ならないが、策でもあるのだろうか?
取り敢えずがくぽは横を通り過ぎる事にした。
自分から死にに行く者は放置する。
天下を取れるのは一人だけなのだ。
―――だから、大男の行動も間違っていなかった。
次に気がつくと、がくぽは地面に倒れていた。
一体、何が起きたのか?理解ならない。
目線を上にむけると、大男ががくぽを見下していた。
男は笑顔のまま、こう言った。
「生き残るのは一人だけなんだー。だから、君には悪いけど―――
―――――――――――――死んで―――――――――――――」
笑顔のまま、そう言うと男はもう一蹴りしてからがくぽの前から消えた。
目的は不明だが、大男は先程の少女を連れ去っている。
少女の意識は失ってるみたいだった。
………それどころじゃない。
痛みを堪えて、がくぽが再び立ち上がる時―――。
包丁少女は目の前に来ており、包丁を振りかざそうとしていた。
がくぽは咄嗟に行動に移って少女に一撃を加える。
と、同時にがくぽの右腕に包丁の一撃も加わる。
その二つは同時に起きた。
軽い包丁少女は吹き飛び―――。
対するがくぽは、右腕が切断され―――。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
右腕に激痛がはしり、見ると切断されている。
がくぽの右腕は地面へと落ちた。
自分はVOCALOID、だから血は流出されない。
それに機械だからただの包丁では斬れる筈が無い。
なのに斬れた、その現実にただがくぽは理解が出来ない。
がくぽは知らないのだ。
その少女は包丁さんであるということを。
包丁さんの包丁はドアをも、何もかもを斬れるのだ。
空間とか斬れる訳では無いが、機械ならた易い御用なのだ。
それを知らないから、がくぽは尚更混乱した。
機械をも斬れる包丁だったのだろうか?
少女の力がただ異常な怪力だったのか?
何が起きたかわからず、がくぽは右腕を失ったまま意識をログアウトさせた。
機能は停止せず――まだ、がくぽは生きている。
がくぽが先に起きて行動するのか?
包丁さんが先に起きて行動するのか?
時間は刻一刻と動いて行く。
【D-4 - 別館 廊下】
【神威がくぽ@VOCALOID(ダンシング★サムライ)】
【状態】ログアウト 右腕切断
【服装】袴
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:主催者を倒し、この土地に活気を取り戻す。
1、何が―――――。
2、あの大男は一体何が―――。
【学校の廊下】
【刺身包丁さん@包丁さんのうわさ】
【状態】気絶
【思考】基本思考:???(とりあえず殺害に動かされている?)
1、……………。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「見てきたよー。この子が眠ってたかなー」
大男、コートを着た笑顔の人……ロシアがそう言う。
教室の中……その中にもう一人、姫の様な少女がいた。
彼女こそ蓬莱NEETこと蓬莱山輝夜である。
輝夜はロシアを見もせずあっそと一言。
「この子をどうするのかなー?」
ロシアが笑顔で輝夜に問うと、
「まあ……人質用に殺さずとっておくことにするわ。
取り敢えず面倒は見てあげてね。子供は我儘だから」
「わかったー」
と、この様なやり取りを見てわかるだろうがこの二人は組んだ。
それは数時間前―――。
………
「殺し合い?はー、面倒くさい事するわねぇ……」
輝夜は殺し合いが面倒くさいと考えていた。
自分は永遠亭の中で早くネットを―――のんびりしたいと思ってた。
なのに時間を無駄に使わせやがった主催者。
とにかくイライラしていた。
おまけにパソコンもないからネットも出来ない。
輝夜は不死だから、永遠に死なない。
だから殺し合いなんざやっても無意味だと、本人は思っている。
―――実際、不死の能力を制限されているのだが………。
そんな輝夜は永琳のいないこの現状、誰か自分の下についてくれる奴が来ないかと思いつつ、
直ぐそこにあったデイパックの中身を見た。
すると、中身にはPSPが入っていた。
しかも何かのアニメキャラクターがデザインされた、所謂 痛PSPという奴だ。
さらにおまけにソフトまで入っていた。
幻想郷には無い物な筈なのに輝夜はこれを知っている。
そこに入ってたのは大人気ソフトである「モンハン」が入っていた。
輝夜は適当に時間が過ぎてくれればいいと思ってたから、これで暇潰そうとした。
だが、する前に来訪者が現れた。
コートの大男、ロシアがそこに登場したのだ。
輝夜は使えそうだと思って、言った。
「良い所に来てくれたわ。アンタ、私のかわりに勝手に人殺して来てくれない?
私はとっとと帰りたいの。だから早くこの殺し合い終わらせてくれない?」
「い、いいけど……。何が目的なのかな?優勝したいのなら君も動いたらいいんじゃないかなー?」
「めんどくさいじゃない。だって、終わったって何もないんでしょ?」
「それは違うね。優勝すると何でも願い事を叶えてくれるみたいだよ?」
「!!!」
輝夜はその言葉に反応した。
何でも願い事を叶えるという事に。
色々な事が頭に思いつく。
ほとんどがパソコンに関する事だったが………。
「乗ったわ!よし、手を組みましょう!しばらく一緒に人を減らして参るわよ!」
「いいよー。(ふふふ……ドキドキしてきたー)」
こうして、二人は手を組んだのだ。
互いに優勝を狙うスタンスだったから気も合った。
参加者を減らすのは一人ではキツイ。
だが組めばそれなりに効率良く行くのは間違い無しだ。
輝夜に至っては、不死(笑) ロシアには威圧感がある。
ある意味、最強である。
こうしたコンビにとらわれた少女は無事に済むのだろうか?
………
「次はどうするー?」
ロシアが次の行動を聞く。
輝夜は考えずにこう言った。
「勝手にして。人殺して来てくれるなら歓迎するけど」
「わかったー」
ロシアはそう言うと、笑顔のまま出て行った。
向かう先はがくぽのいる方。
死体となった筈の彼――次の狙いは支給品だ。
回収しておいて吉なのはわかっているのだ。
そして、いつかは輝夜をも殺し―――
「フフフフフ………」
黒の笑顔を浮かべ、ロシアは廊下を歩いて行った。
【D-5 - 別館 廊下】
【ロシア@ヘタリア Hetalia Axis Powers】
【状態】健康
【服装】ロシアのコート
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:優勝の為に輝夜と組んで人を減らす。最終的には輝夜も殺す。
1、フフフフフ………
2、男(がくぽ)の支給品を回収しにいく。
【D-5 - 別館 とある教室】
【蓬莱山輝夜@東方project】
【状態】健康 蓬莱NEET
【服装】輝夜の服
【装備】なし
【道具】基本支給品 痛PSP in モンハン@現実 不明支給品1~3
【思考】基本思考:願い事の為に優勝する。自分は何もしない。
1、ロシアを利用。
2、モンハンで暇潰し。
※不死の能力は制限されていますが、気付いてません。
【D-5 - 別館 とある教室】
【パイの実ちゃん@ニコニコ食べ物戦争シリーズ】
【状態】気絶
【服装】茶色のワンピース
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:???
1、……………。
【痛PSP in モンハン@現実】
アニメのキャラクターがデザインされたPSP。
中に入っているゲームはモンハンであり、時間潰しにはもってこい。
だが………痛い……。
| sm032:それぞれの思惑 |
投下順 |
sm034:危険な刻命 |
| START |
神威がくぽ |
sm:[[]] |
| START |
パイの実ちゃん |
sm:[[]] |
| START |
ロシア |
sm:[[]] |
| START |
蓬莱山輝夜 |
sm:[[]] |
| START |
刺身包丁さん |
sm:[[]] |
最終更新:2011年03月14日 19:20