アットウィキロゴ

禁断の愛、残酷な現実




(成程……そういうことか……)

夜の公園の中で一人、男が立っていた。
眼鏡をかけ、服装はスーツと、賢そうな外見。
その通り、右代宮譲治は優秀な人だ。
頭脳だけではなく、武術にも長けており油断すれば直ぐに決着がつく。
文武共に優秀で親達も自慢出来るぐらい。
その頭の良さは、このバトルロワイアルでも活かされる。

先ずは冷静に殺し合いというゲームのルールを把握し、考える。
譲治の行動は早く、支給品の確認を先に済ませた。
ここに玩具でも入っていれば、一種の冗談事で済ませたかもしれない。
が、譲治は運が良い。中には立派な日本刀が一本。
これが殺し合いが嘘では無く、本物であると確信させた。

(参加者は50人……僕が知ってる人は4人……紗音……。
 そうか……紗音までいるのか………)

名簿を閲覧して、譲治は顔を曇らせた。
生き残れるのは一人だけ。だが、どうしても殺せない名前がある。
紗音。譲治が婚約を求めた右代宮家に仕える使用人の一人。
そして、ここへと送られる直前に一緒にいた。

譲治は殺し合いの地へと召喚される前、逃走していた。
礼拝堂にて無数の黄金の蝶が現れ、紗音と郷田、そして譲治は逃走。
夏妃の部屋へと急ぎ部屋の中へ入った。
悪夢のような一日の中、あの時が一番緊張したかもしれない。
礼拝堂内の親達の死体を見た時は緊張ではなく悲しみや怒りの感情が芽生えたし、
その後も人数が減っていくが、自分達が危機に直面したのは無数の蝶を見た時。
部屋へと入った後も緊張していたが、結局あの後はどうなったか?
それも分からず、そして今この殺し合いの地へといる。

そう、譲治は既に失っている。
家族というものを失っている。
ただ残っているのは一人の愛人。

その一人の愛人が、この場所で失ってしまうかもしれない。

それは嫌。当たり前だけど、そんなの嫌だった。
紗音を失う、そんなこと考えたく無い。
愛してしまった以上、そう思うしかないのだ。

万が一、紗音を愛していなければ譲治はどうしていたか?
冷静に優勝を狙ったか、主催に反逆する為に動いていたか。
生存を優先して動いたか、積極的に人を殺していたか。
ただそれは永遠に分からない。
譲治は愛している。紗音を愛している。

勿論、愛人を失いたくない気持ちは強い。
その強さは、何を犠牲にしてまでもそうでありたいぐらい。
譲治はあまり考える事も無く、ただ感情のままに方針を定めた。
何があっても紗音を失う訳にはいかない。
だから、障害をなる存在全てを抹消する。

日本刀は強く、握りしめられる。
もう後戻りする気は無い。
人を殺す事に躊躇わず、積極的に人数を減らす。
紗音と共に、この殺し合いを乗り越えて見せる。
これは一つの試練。そうであると考える。

(紗音………絶対に、生きて帰ろう)

目の前にはいない愛人に、そう呟いた。



             ◆◇



私は皆が大好きだ。
自分が行き過ぎたら止めてくれる人がいる。
拒絶しつつも、愛しいあの子がいる。
あともう一人はいたような気がしなくもない。
私が作った私の部。七森中ごらく部。

黙って見つめるその先には名簿がある。
そこには、大好きなごらく部の部員全員の名前が書かれていた。
つまり、この殺し合いというゲームに皆がいる。

私はゲームが好きだけど、こんなゲームは楽しめない。
当然、人を殺すなんて私には考えられない事。
画面の向こうなら平気でやれるけども、リアルは無理だ。
おかしいかもしれないけど、二次元とリアルは別だから出来る出来ないもある。
今、ここに立ってる。このゲームは嘘じゃなく本当?
本当に殺し合いをする事を目的としたゲームが開催されている?
それともこれは一種のドッキリなんじゃないか?

だとすれば、かなり作り込まれたドッキリだ。
人の首が飛んだ光景が作られたものだったりするのか?
そう、空洞の中にトマトジュースか何かを入れておいて、
爆発させると共に中の液体が一気に飛び散る仕掛けとか。
……正直、それは現実から目を背けてるようにしか見えない考え方だ。
あんなにリアルに生きてるように見せかける。あれが本当に出来る?
ロボットでもあんな滑らかに動くまでは技術は進んでいない。
人間はまだ、あれ程に高度な技術を持ち合わせてはいない。

つまりあれは本物としか考えられない。

本物の人間が、目の前で死亡した。

今思えば信じられない。でも、信じるしか無い。
あれが嘘には見えないから。夢オチでも無さそうだから。
本当に夢だったらいいんだけどな。
殺し合いが本物で、ここにごらく部の皆が勢揃いしている訳だ。
考えたくないけど、ごらく部の日常が奪われてしまう可能性が凄く高い。
いや、既に奪われたのかもしれない。
生き残れるのは一人だけ。ごらく部は全員で4名。
必ず3人は死ななくちゃいけない。
残酷過ぎる。ごらく部の日常が、懐かしく思える。
もうあんなに自由にやれていた空間もお終いになってしまうんだろうか?
ラムレーズンも食えない。ミラクるんも書けない。

最悪過ぎるBAD END。それが回避出来ない。
チェックメイトか。自分には何も出来そうにない。
ごらく部の部長としてやれるのは、精々皆を守る事。
最後の最後まで協力して一番最後に部内で殺し合う。
………嫌過ぎる。後味が悪過ぎる。
それ以外、皆で助かる方法が一つでもありはしないのか?

必死に頭を働かせる。それでも、答えは出てこない。
仕方ない。殺し合いなんてやったことないんだから。
それはここにいる皆も同じなのだろうけども………。

とにかく考えていても仕方なさそうだ。
取り敢えずその辺を歩き回ってみようかな?
案外あっさりと部員に出会える事を祈って………。


"ごらく部の部長、歳納京子は周りを見渡した"


「あ、あれはっ……!!」


"歳納京子は何かを発見した"


それを見つけた瞬間、無我夢中となって対象へと走って行った。
殺し合いならもっと慎重に行動するべきなのだろう。
でも、今回ばかりは自重せずに直ぐにかけつけたかった。
何故ならそこにいたのは、大好きなごらく部の部員だったから。

「ちなつちゃぁ~~ん!!」

吉川ちなつ。ミラクるんそっくりの可愛い後輩。
毎度、抱きつこうとすれば拒否られてしまう。
だが今回ばかりは拒否されない自信があった。
殺し合いに恐怖するちなつちゃんなら、あっさりと自分を引き受けてくれる。
そんなちなつちゃんを部長らしく、安心させてあげるんだ。

「っ!?京子……先輩?!」
「そうだよちなつちゃんっ!!」

ちなつちゃんは驚いた表情でこちらを見ている。
可愛いな。いつもの日常じゃ見られない顔をしている。
やっぱり精神的に不安定となる場所じゃ表情も変わるものなのか。
じゃあ自分はどんな顔になっているんだろう?
多分、ちなつちゃんに会えた嬉しさに満面の笑顔を浮かべているんじゃないかな?

「会いたかったよ~!ちなつちゃ~~ん!!」

そして、ちなつちゃんを抱きしめた。
予想通り、いつもとは違って拒否する事無く受け入れてくれている。
このままキスでもしようかな。と、顔を近付ける。
顔を近付ける、近付けるんだけど……………あれ?

顔が、遠くなっていく。

視界がぼやけていく。

どうなっているか、まったくわかんないよ?

ちなつちゃんの顔も、何もかもにモザイクがかかったみたいな視界。

そんな視界から見えたちなつちゃんの顔は、日常では見せない顔。

自分の身体は倒れ、ちなつちゃんが近付いてくる。

キスでもしてくれるのかな?


あはは、本当にそうだったら良かったな~。


「許してください……京子先輩」


良く分からないけど、自分が殺されようとしているのはわかった。
自分を殺すのは、愛しい後輩………吉川ちなつ。

ちなつちゃんに殺されるなら、本望さ。


―――さようなら、私のごらく部。


【歳納京子@ゆるゆり 死亡】



             ◆◇



「随分と容赦無いね」
「っ!?」

京子を殺害したちなつの背後から現れたのは眼鏡をかけた男。
右代宮譲治、彼は公園から出た後に京子とちなつの一部始終を観察していた。
結果、ちなつは京子を容赦無く殺害した訳だ。

「あんなに会えて嬉しそうだったみたいだけど、君は嫌いだったのかい?」
「五月蝿い……貴方には関係ないです………いいから、死んで………。
 私の為に、結衣先輩の為に………死んで……!」

ちなつの目は生きているような目ではなかった。
何かに取り憑かれているような、そんな感じだ。
譲治は明らかに異常な様子なのを理解していた。
ただ異常なのは様子だけで戦力など所詮ただの少女。
武器の優劣もこちらが圧倒的有利。日本刀に対してあちらは家庭用の包丁。
武術においても譲治が有利。そんな勝敗が見え透いた戦い。
負ける要素が無い勝負を目前に、死んでと頼まれてOKを出す訳が無い。

「無理な話だね。そちらこそ、僕達の為に死んでもらうよ」

譲治が日本刀を構える。ちなつがそこへと突撃しにかかる。
決着は直ぐに着く。余裕の表情のまま、譲治は隙だらけのちなつへと刀を振り下ろす。
そしてちなつの身体は一刀両断。そんな未来のシチュエーションが100%実現する。
実現する筈だった。そこに何も現れなかったなら。

イレギュラーは、計算を狂わせて未来を変える。


「救いが無いなら、俺が救いになればいい!」


突然現れた男は、譲治の態勢を一気に崩した。
圧倒的なパワーとスピード、それだけで強い相手なのは把握した。
黄色のシャツに緑色の短パンの男は、譲治を倒すと次にちなつの態勢を崩した。
その二つの動作により、譲治とちなつ戦いは直ぐに終わった。

「全てはチャンス!」

男はどちらにも味方するつもりはなかった。
理由は双方共に武器を握り殺し合いをしていたからか?
救いは無いんですか!?救いが無いなら俺が救いになればいい!
だから戦場へと出て、殺し合いを阻止した。
その行動は、お互いに男を敵と認識させることになるのだが………。

「この辛い世の中に救いは無いね。だから、それなりの心構えが大事だね。
 仕方ないね。何でも挑戦するのは良いが、それが殺し合いとなると見逃せない。
 君達にだって未来がある。歪みない未来があるかもしれない、そんな星を潰す訳にはいかない。
 未知のエリアへ♂いざぁ………行け!なんばパークス!」

男が望むのは、男同士♂の勝負。
譲治の強さを知りたい。その想いも混ざった人助け。
強くなりたい………様々な者達と交戦して己を磨く。

「邪魔者は殺――「出ていけぇ!」………チッ」

それでもちなつは、殺そうとしたが結局は男の気迫に敗北した。
仕方なく、本当に仕方なくちなつはその場から離れた。
自身が助けられたなんて事を知る筈も無く、ちなつは未だ結衣の為に殺し合いを続けるつもりだ。

(結衣先輩……必ず、二人で帰りましょう……ああ、結衣先輩……)

ちなつの眼中には結衣先輩ただ一人。
ごらく部なんかじゃなく、船見結衣という人ただ一人だけ。
京子の殺害に戸惑いを一切感じず、おかしくなったいつも通りの少女は地を歩く。

京子のデイパックを回収して、ちなつが向かう先は向こうの島



そして、男達は戦う。


「結構すぐ立つんだね」
「……獲物を逃がした分、払ってもらうよ?」

譲治は、目の前の男を殺害する。
男は譲治とただ戦おうとするだけ。
そんな意志の違う者同士のぶつかり合いが始まる。



【D-4 公園周辺・一日目/深夜】
【吉川ちなつ@ゆるゆり】
【状態】健康 制服に少量の血
【服装】七森中学校制服
【装備】家庭用包丁@現実
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:結衣先輩の為に、皆を殺す。
1、結衣先輩と必ず………。



【右代宮譲治@うみねこのなく頃に】
【状態】健康
【服装】譲治のスーツ
【装備】日本刀@現実
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:紗音を失わない為に参加者達を抹消する。
1、前の男を殺す。
2、紗音は絶対に失いたくない……!



【木吉カズヤ@本格的 ガチムチパンツレスリング】
【状態】健康
【服装】黄色いシャツと緑の短パン
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:強者と戦い強くなる。殺し合いは阻止する。
1、前の男と対決する。


※【家庭用包丁@現実】

一般的な家庭で使用されている包丁。
種も仕掛けもありません。


※【日本刀@現実】

これ持ってると何かカッコイイよね。
一刀両断。斬れ味もリーチも優秀。


sm012:なんと全商品OFFです!(品切れ的な意味で) 投下順 sm014:ダーク♂未来日記
START 右代宮譲治 sm000:[[]]
START 歳納京子 死亡
START 吉川ちなつ sm024:どうやらとんでもない場所に呼ばれてしまったようです
START 木吉カズヤ sm000:[[]]


最終更新:2012年05月13日 19:02