ルーシー「はい、しゅうごう〜〜〜!」
ルーシー「これより第1回ーー『リグバースのかくれんぼ王は誰だ』選手権を開催します!」
ラインハルト「は……? 私はそんなことのために呼ばれたのか?」
リュカ「うぅ……ねみぃ……。お日さんがまぶしい……溶ける……。」
フーカ「ガウガウ、フーカガウガウガー!(かくれんぼ、フーカいっとうしょー!)」
ルーシー「うんうん、みんなヤル気まんまんだね♪」
ラインハルト「いや、不参加を表明したいのだが。だいたい、かくれんぼでなぜ私なのだ。」
ルーシー「そりゃあ、リクバースでかくしごとしてそうな人ナンバーワンだからだよ。」
ラインハルト「な、なにを根拠にそのようなことを。」
ルーシー「だってさあ、いつもむっつり……じゃないや むっすりしてるじゃん?」
ルーシー「そのくせ人前ではにこにこしてさ。ぜったい裏表あるタイプでしょ。」
ラインハルト「見透かされている……この娘、あなどれん……。」
リュカ「うあ〜……ダメだ。オレは帰らせてもらうぜ。」
ルーシー「ふうん、自信ないんだ?」
ルーシー「ま、いいけどね。帰るなら『負けをみとめます』って言ってからにしてね。」
リュカ「あん? 誰が自信がないって?」
リュカ「忍ぶ、隠れるでオレに勝てるヤツなんざいねえ。」
ルーシー「じゃあ、証明してみせてよ。」
リュカ「上等だ。やってやろうじゃねえか。」
主人公(ラインハルトさんとリュカさんが手玉に取られてる……)
ルーシー「じゃあ、アレス(アリス)がオニね! 目をつぶって100かぞえて!」
主人公「ええっ!?」
ルーシー「オニにつかまった人もオニ役にまわって最後までかくれきった人の勝ちね。」
ルーシー「それじゃ、よーいドン!」
主人公「まいったな……。」
主人公「……98…99……100、と。」
主人公「さて……みんなどこにかくれたかな。」
主人公「ラインハルトさん、見つけました。」
ラインハルト「あ……。」
主人公「ぜんぜん隠れてなかったですね。」
ラインハルト「隠れるつもりはあったのだ。なんなら3日でも4日でも隠れているつもりだった。」
ラインハルト「だからその前に、
ベアトリスさまのお食事を作りおきしておこうと思っていたら……見つかった。」
主人公「はは……ラインハルトさんにはかくれんぼよりベアトリスさんなんですね。」
ラインハルト「すまん……遊びといえども手を抜くつもりはなかったのだが。」
主人公「仕方ないですよ。」
主人公「食事の準備が終わったら、オニ役をお願いしますね。」
ラインハルト「心得た。」
主人公「まだ見つけてない人がいるよね。」
リュカ「ZZZ……。」
主人公「寝てる……。」
主人公「あの、リュカさん?」
リュカ「……むにゃ……アレス(アリス)?」
リュカ「しまった! ベッドの中に隠れてたら寝ちまった!」
主人公(本気で隠れる気あったのかな)
主人公「はい、これでリュカさんもオニですよ。」
リュカ「ちぇっ……わかったよ。もうひと眠りしたらさがしに……ぐう。」
主人公「ダメですって。ほら、起きてください。」
リュカ「はいはい……わかってるから……。」
主人公(ぜったいわかってない)
主人公「まだ見つけてない人がいるよね。」
主人公「ルーシー……?」
ルーシー「あわわっ、見つかっちゃった!」
主人公「いや、というか隠れてなかったよね。」
ルーシー「だって……
ジュリアンが迷子になったからさがしてきてってお母さんに言われたんだもん…。」
主人公「見つかる前からオニ役になっちゃったんだ?」
ルーシー「まいっちゃうなあ。あたしが最後ってわけじゃないよね?」
主人公「うん。」
ルーシー「はあ……。1番になれなかった……。」
主人公「でもジュリアンをさがすオニ役はルーシーが1番だよ。」
ルーシー「だよね! うんうん、やっぱあたしが1番だよ♪」
ジュリアン「な〜姉ちゃん、はやくかえろうよ。」
ルーシー「もう、あんたは勝手ばっかり。」
ルーシー「ごめんね、アレス(アリス)。この子を連れて帰ったらオニ役やるから。」
主人公「うん、わかった。」
ルーシー「ほら、帰るよ。」
主人公「さて、と……これで残ってるのはフーカだけだね。」
ルーシー「いた?」
リュカ「ダメだ、いねえ。」
ラインハルト「こちらも見つけられなかった。」
ルーシー「4人がかりで探しても見つからないって、どんだけ隠れるのうまいの、フーカは。」
リュカ「かくれんぼ王は決まりだな。」
ラインハルト「そのことを本人に伝えたいが……。」
リュカ「見つからねえんじゃ、どうしようもないよなあ。」
主人公「エルシェさんは隠れ場所に心当たりありませんか?」
エルシェ「うーん…………。」
主人公「あの、エルシェさん?」
エルシェ「はっ……。まったく思いつかないから、考えるのやめちゃってた。」
主人公「やめないでください。」
エルシェ「まあ、あれよ。あの子、バカみたいにマジメだから。」
エルシェ「たぶん、見つかるまで隠れ続けるでしょうね。野生で生きてきたからか、すごいガマン強いし。」
エルシェ「けど……さみしがり屋だから今ごろさみしくてしょうがないんだろうな〜。」
エルシェ「もしかしたら、泣いてるかも。」
主人公「大変だ……早く見つけてあげなくちゃ。」
ルーシー「あたし、もうひと回りしてくる!」
リュカ「しゃあねえ、オレたちも行くか。」
ラインハルト「そうだな。」
主人公(そういえば……)
主人公(さみしくなったら行くって言ってた場所があったな……)
主人公(夜の湖…だったかな)
主人公(ここだと思ったんだけど……いないな)
主人公「フーカ。」
主人公「かくれんぼはもう終わったよ。もし隠れてるなら出てきて。」
主人公「……………。」
主人公「フーカ!!」
フーカ「クウゥゥゥン……。」
主人公「よしよし、さみしかったんだね。」
フーカ「ガウガウガウ。(でも泣かなかった)」
主人公「ふふ、えらいえらい。」
主人公「それにしても、こんなに探しても見つからないなんてすごいね。」
フーカ「ガガウ、フーカガウガウガウ。(ふふん、フーカかくれるのとくい)」
フーカ「ガウガウガウ、ガガウガウガウウ。(ひとり旅のとき、何回もコワいのからかくれた)」
フーカ「ガウガウガウ、ガガガウガウ。(穴ほってかくれたら、ダレにもみつからない)」
主人公「穴の中にいたの!?」
主人公(見つからないわけだ……)
フーカ「ガウガウガガガウ、ガウウ。(夜にちょっとだけ穴からでて、ここにきてた)」
フーカ「ガウ、アレス(アリス)ガウ。(そしたら、アレス(アリス)きた)」
フーカ「ガウウ……ガウガガガウ、ガウガウガウ。(あのころは……穴から出ても、ダレもきてくれなかった)」
フーカ「ガウガウ、ガウガウ、ガガガウ。(コワくても、さみしくても、いつもひとり)」
フーカ「ガウ、ガガウアレス(アリス)ガウガウ。(でも、今日はアレス(アリス)きてくれた)」
フーカ「フーカ、ガウガウ。(フーカ、うれしくなった)」
ルーシー「おーい!」
主人公「フーカを迎えに来たのは僕(私)だけじゃないみたいだよ。」
リュカ「こんなトコにいやがったのか。」
ルーシー「もうまいったよ、降参!」
ラインハルト「かくれんぼ王の称号はあなたのものだ、フーカどの。」
フーカ「フーカ、ガウガウガー!(フーカ、いっとうしょー!)」
フーカ「ガウガウ?(しょうひんは?)」
ルーシー「賞品? ないよ。」
ラインハルト「名誉の称号ということだ。」
フーカ「ガガウ、ガウガウガウ!(めいよ、おなかふくれない!)」
フーカ「フーカ、ガウガウ!(フーカ、ハラへった!)」
リュカ「わかったわかった。メシおごってやるから落ち着け。」
フーカ「ガウーーー!(やったーーー!)」
ルーシー「ラッキー♪ じゃ、レストランまで競争ね!」
ラインハルト「ごちそうになる。」
リュカ「待て、オイ! 全員におごるとは言ってねえぞ!!」
主人公「あはは……リュカさんタイヘンだ。」
(フーカが戻ってくる)
主人公「どうしたの、フーカ? なにか
忘れ物?」
フーカ「ガウ! ガウガウガウ!(うん! おれいわすれた!)」
フーカ「ガウガウガウガガウ、アレス(アリス)!(さがしにきてくれてありがとう、アレス(アリス)!)」
主人公「どういたしまして。」
フーカ「ガウ……(その……)」
フーカ「フーカ、ガウガウガ、ガウガガガウガウ。(フーカ、さみしくなったら、またむかえにきてくれるとうれしい)」
主人公「うん、わかった。かならず迎えに行くよ。」
主人公「でも、そのときは穴のなかに隠れないでね。ぜったい見つけられないから。」
フーカ「ガガウ! ガウガウガウ!(わかった! 木のうえにする!)」
主人公「それもムリだって…。」
最終更新:2023年08月20日 21:39