― 第三章 ― 風がまるで中央に萃まるかのように吹き付けていた。竜巻のように。 ルイ「カー坊!?」「一体!?」 と、叫ぶ。ただ、竜巻は唐突に消える。 マリ「竜巻か…。某国じゃ、突然発生するサイクルがある。」 声「ええ、そうよ。」 再びその声が答える。何処にもいない、その何処かからの声の主を探すマリオ。 ルイ「渦のような風は、周りを吹き飛ばし、破壊する。」 声「ええ。」 マリも、その声の主はわかっていた。その声は、明らかに優しさを満ちたようなのを、よく聞いていたからである。が、声の主は姿を見せていない。 ルイ「無風のように、空気が消える状態になるから、中央にはいない。そうだろう。」 声「ええ。そして、その風の起きた方向に、私は姿を見せる。」 そう語る、その声。再び突風が吹き荒れる。流石にルイたちの視界を奪ったのか、その風に耐えるしかなかった。 ルイ「姿を見せろ、カー坊!」 と、叫んだその時、風が止んだ。そして、竜巻が起きていた方向に、誰かが立っていた。 アリゾナ「そうか、お前…。」 クッパ「ワシが倒して殺ろうか。」 アリゾナ「待て。」 その人物は笑顔を見せる。その笑みは、不思議なような笑みだった。 クッパ「敵だけは傷つけない空だろうな。」 マリ「だと思うが…。」 何か「敵には、ね…。傷つかないのはいいわよ。」 クッパ「何が目的だ。」 何か「勿論、降伏。」 ネス「しないよ。僕はこれでも、無理をする少年なんだ。」 何か「そうか、ならば…私は、お前たちを殺す。」 ルイ「カー坊!」 ただ、叫ぶ。そして、その瞬間、その人物は苦しむ。その時、腕輪に視線を向けた。 マリ「今だ!」 その腕輪に、その一撃を与えたのだ。 パキィーーンッ! 腕輪が壊れ、その人物は座り込む。息は荒く、そして、ただ、視線をマリオたちに向けた。 クッパ「大丈夫か。」 カー坊「え、ええ…。」 ただ、そう言うカー坊の顔色は悪く感じた。 リンク「一体…?」 カー坊「朝に、突然の敵がやってきて、腕輪を…。」 フォックス「腕輪を?」 カー坊「あれは、操りの腕輪…。今は”私”という人格が表にいるからいいけど…。」 ファルコ「その腕輪の効力は?」 カー坊「つけた人が倒れるまで…。もしくは、二つの腕輪を壊すまで…。」 フォックス「今破壊すればいいのではないのか?」 カー坊「止めたほうがいい…。そうなると、世界を壊しに向かう…。」 ルイージ「デス・トラップ…死の罠。」 と、軽く呟くルイージだが、カー坊はすぐに離れたのだ。再び強まってきていたのだ。 カー坊「殺す事も…思案しておけ!」 マリオ「…。」 クッパ「ワシは賛成する。」 ピーチ「私もよ。でも、それ以外で済む方法を探しましょうね。」 マリオ「姫…。」 アリゾナ「敵が表に出るぞ!」 そう叫んだその時、鈍いような、そんな音が響いた。そして、ただ、その視線を向ける、操られた状態のカー坊。だが、その息は上がっている。 ブラックカー坊「私はブラックカー坊…。幸せを、破壊する者…。」 アリゾナ「さて、どう戦おう。」 だが、ブラックカー坊が笑みを浮かべたその時、ルイージはピーチ姫の前に出た。 ブラックカー坊「今日はもう去っていくが、別にお前たちを悲劇の道へ案内しよう。」 アリゾナ「そうか…。カー坊をどうする?彼女は元々…」 ブラックカー坊「勿論、知っている。だから、今日は戻らせてもらおう。」 そして、再び突風が吹き荒れる。その突風が収まった時には、ブラックカー坊の姿は無く、以前のような姿をとりもどしていた。破壊された腕輪を除いて。 ルイ「チッ…。逃げられたか…。」 サムス「もしかして、尋問を予定していたのですか?」 マリ「だろうな。こいつの事だから。」 ルイ「だ、黙れ!」 アリゾナ「そういうやりとりは後にしてくれ。先へ急ごう。」 と、アリゾナ。 そして、敵側は。 敵1「戻ってきた。」 ブラックカー坊「油断して…破壊されたよ、片方。」 敵2「何!?」 敵3「一体!?」 と、叫んだその時、主犯は笑みを浮かべていた。 主犯「ロスアンジェルス…失われた天使。」「面白い。」 敵3「ボ、ボス!」 主犯「ああ、失礼。多分本当の人物が抵抗したのではないか?」 ブラックカー坊「ええ…。その所為で…。」 と、言った時に、主犯は笑みを浮かべていた。 主犯「ご苦労。あの場所へ案内し、殺しあおうではないか。」 ブラックカー坊「はい。」 と、そう返事するブラックカー坊。そして、去る主犯。 敵1「ゆっくりしていってください。」 ブラックカー坊「今度こそ、活躍していきます。」 敵2「休め。」 と、告げただけだったのだ。 マリオたちはと言うと、山を越え、川を越えるなどして冒険を続けていた。 マリオ「つ、疲れるな…。」 ルイージ「う、うん…。」 ルイ「じゃ、休憩。飲み干すなよ。」 軽く飲むマリオたち。ただ、水がある限り、ルイは無敵だというのを知っていたのだ。 ルイ「カー坊を油断させたのではなく、多分カー坊が攻撃するその前に、何か腕輪をつけたとなれば…。ただ、これからは辛くなるな。」 ピカチュウ「ピカ〜。」 ミュウツー「悲劇か。」 ルイ「さあ。ああ見えても、不幸は結構体験してきているカー坊だ。」 マリ「戦争とか。」 マルス&ロイ「「戦争!?」」 ルイ「おい、博識だぞ。」 と、ルイが言うと、アリゾナも空を見上げる。やはり鳥も飛ばなくなったのか、静まり返っていた。カラスも飛んで、休んでを繰り返しているが、飛び立った数秒した、その時。 ルイ「!?」 カラスが悲鳴を上げた。次々と、風のようなものか何かに斬られるカラスたち。血が、木々に飛び散り、そして、また静まり返った。 マリ「う、嘘だろ…。」 ルイ「頭を使い始めたか。カラスは頭がいい事を知ったのだな。」 マリ「五分になるまえに止まる…それを繰り返した所為なのか。」 ただ、死んだカラスと、わずかに生きているカラスがいるが、風がカラスを殺すのに、数秒もしなかった。カラスたちは、必死に逃げるかのようにするが、風は全て、倒れたカラスたちに容赦は無かった。 マリオ「ひ、酷いな…。」 ドクターマリオ「薬自体をも殺すのか?」 と、ドクターマリオ。 マリオ「試せばいいが、自然が壊れる。」 ルイ「浮くものには容赦なし、か…。さあ、次だ。」 しかし、道のりは厳しく、戦いも数回あった。その戦い全てを圧勝で済ませるマリオたち。飛び道具は慎重にして扱うマリオたちを見て、ただルイも苦笑するしかなく、そして、その敵たちを倒しながら、広い場所へ到着したのだ。 ブラックカー坊「ようこそ、墓場となる戦場へ。」 ルイ「ブラックカー坊!」 ブラックカー坊「ええ。今度こそ、倒すわ。」 風を操り、マリオたちを襲う。ガノンドロフとファルコンは既にその風から離れ、魔術で攻撃を仕掛けていたのだ。ブラックカー坊もそれを防ぎながら、マリオたちへ再び風魔法をぶつけようとした時、ルイを見たのだ。 ルイ「散開!」 マリ「わかった!」 ブラックカー坊「したければしなさい!私はどうあがく敵たちを倒すから!」 ルイ「お前はわかっていないな。」 既に、後方にアリゾナとカノンドロフがいたが、スネークも前方で狙っていた。ブラックカー坊が取った行動は…後ろに魔術を放つ事、そして、前方に銃で狙う事だった。アリゾナとカノンドロフは魔術で離れ、ルイたちのいる場所へ移動するが、スネークは銃で撃つ。ブラックカー坊は銃でスネークを撃ち、そして、ただ狙いを定める。次第にブラックカー坊は焦りを浮かべる。血を流しながら、被弾している筈のスネークが倒れない事にあった。 ルイ「カー坊!!」 ブラックカー坊「こいつ、まだ…!」 その瞬間、銃を一丁落とす。再び意思が、カー坊のその意思が戻ろうとしているのだ。そして、ブラックカー坊は悟ったのだ。罠だと言う事を。が、 敵1、敵2、敵3、主犯「「「「な!」」」」 敵たちは驚いていた。たった一人の行動に、視界が入らなかったのだ…否、 ファルコン「遅い。」 本当に早すぎたのだ。高速に近すぎて、そして、ブラックカー坊をも驚かせた。そして、腕輪を破壊し終えると、カー坊を支えるファルコン。 ルイ「な!?」 マリ「お、おい…。」 アリゾナ「機械を持ち出して測定したお前が何故唖然…」 マリ「あの速度は…神がいるかのような速さだ。」 ルイ「勘弁してくれ…。」 ルイージ「でも、これで破壊は…」 と、言ったその時、空は突然明るくなってきたのだ。そして、今の太陽の位置を機械で確認するマリに、ルイも唖然とする。まだ昼だったのだ。早い昼食を取って移動してきていたルイにとって、その位置を確認して驚いていた。 マリ「まだ昼か。お前らはこれからだろ?」 敵1「まさか。もう終えてますよ。」 主犯「さて、戦おうか。」 そして、マリオブラザーズが攻撃を開始するのを合図とし、戦闘が始まった。カービィは、剣などで攻撃する。ヨッシーはすぐ魔術の攻撃で、一撃、一撃を敵に与える。ピーチ姫は、野菜を引っこ抜いて投げたり、剣で斬ったりし、そして、独自の技で攻撃する。マリオブラザーズはファイヤーボールなどで攻撃し、そして、独自の技で敵たちを苦しめていく。カノンドロフとガノンドロフは、同時攻撃などで攻撃し、そして小さなクレーターを作りながらも攻撃を繰り出していく。アリゾナはファルコンに視線を向け、意識が戻ったばかりのカー坊に視線を向ける。 アリゾナ「さて、どこまで抵抗できるか…。」 主犯「無理だな。こいつがある。」 マリオ「な!」 だが、カー坊は唖然としていた。が、記憶を思い出していく。 カー坊「…そうだ、守らないと…。」 ただ、そう軽く呟いて、立ち上がり、走り出す。彼らを、敵を倒す為。 マリオ「!?」 マリオは誰かに突き飛ばされた感覚があった。が、すぐに走って逃げる。 ドッカァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!! 大爆発が起きると同時に、救急車と消防車が鳴らす、独特の音が鳴り響きだす。それも、遠く、そして距離的に遠すぎると思う場所から。 マリ「…誰だ、あれを呼んだのは。」 ルイ「さあ。」 アリゾナ「…まさか、あいつか?」 ポポとナナ「「あいつ??」」 ルイ「苦手だよ…全く。」 と、顔を見せたのは、軍人だ。そして、その笑みを浮かべる、その軍人。 ルイ「おい、シュルツ。」 シュルツ「どうかしましたか?」 マリ「お前が呼んだのか?」 シュルツ「いえ、私は…。」 と、シュルツが言う。そして、隣には、またもや軍人だ。無愛想だと言いそうなのをこらえるマリオに、ルイージはただ唖然としていた。そうこうしている間にも、救急車と消防車は迫ってくる。かなり遠すぎて、耳が良すぎないと聞こえない距離だ。 ルイ「やっぱり。」 マリ「メディック、一体?」 メディック「念のため四台呼んだが…。」 マリオ「四台!?っ!」 ルイージ「兄さん!?」 マリオ「だ、大丈夫だよ。」 と、言うマリオも、痛みに耐えていたのだ。 その一方、煙がまだ充満する現場。 カー坊「…無茶苦茶だ。」 と、軽く呟くカー坊。まるで、遊び盛りの子供が何かをしでかしたのを怒るのを止めたかのように、そう呟くが、カー坊は痛みを感じたのだ。 カー坊「く…っ。」※余談だが、ヘリが飛行中。空を。 痛みの為、苦痛の表情を浮かべるカー坊。ただ、庇った人物に視線を向けて、そしてただ軽く笑う。その煙は、周りをさえぎっているのを軽く見るだけだったが、カー坊は知らない間に涙を流していた。それは、気絶していた者の意識を取り戻させるのには十分だった。 カー坊「…私は…。」 ただ、軽く呟くカー坊。意識が戻ったのを知らないかのように。 カー坊「裏切っていた…。みんなを、仲間たちを…。」 痛みに耐えながら、軽く語りかけるカー坊。 カー坊「でも、守ろうと思った結果が、これでは…。」 ただ、そう呟くカー坊。 カー坊「みんなは、きっと怒るかもしれないな…。」※余談だが、ヘリは降下中。 ファルコン「違うと、思うが…。」 カー坊「え…?」 ただ、返答が戻ってきたのに驚いていた。が、既に痛みはカー坊を苦しめていた。 ファルコン「戻る事は…戻ると思うが…。」 カー坊「戻る…事…。」 カー坊は、それでもその視線を向け続けた。 カー坊「でも…守れるなら…それで…。」 カー坊はそのまま倒れる。そして、再び意識を失うファルコン。その時、救急車と消防車が鳴らす独特の音が迫ってきた。しかも、完全に、はっきりと。それは、終焉の音なのかは、誰もがわかる筈も無かったが、その音は、はっきりと迫ってくるように、近づいてくる。それを聞いて、煙の外にいる者たち(爆発から逃れて、煙という障害をも切り抜けた人たち)も、その音を聞いて、唖然とするしかなかった。 マリ「救急車だ…。」 ルイ「本当に、これはそうだね…。」 アリゾナ「救急車四台。消防車は不明だ。」 マリ「ヘリも飛ばせるから、状況確認だ!」 そして、ヘリ一機が煙を吹き飛ばしていく。風圧に耐えるマリオたち。 リンク「何だ、あれは。」 スネーク「アパッチだ。」 ルイージ「アパッチ?」 ネス「何それ。」ヨッシー「食べ物?」カービィ「??」 マリ「アパッチはアパッチだが、あいつは改造済み。アパッチ改っていうヘリだ。」 ルイもそれを聞いてゾクッとする。 ルイ「まさか核ミサイルも!?」 マリ「それは聞いていない。」 ルイージ「どうでもいいけど…。」※呆れながら言う。 アリゾナ「…不幸は起きる。…あの煙の何処かにいるみたいだ。負傷者は。」 アパッチ改「レーダーでも確認!負傷者がいる!」 アリゾナは走って、そして、煙の方向へ向かう。そして、数秒して、カー坊を抱えて戻ってきたのだ。ルイは魔術でいつの間にか一名を転送し終えていたのだ。 ルイ「お疲れ。」「頑張ったな。」 アリゾナ「カー坊はどうなる。」 カノンドロフ「…火傷か。」「参ったな、本当に。」 ルイ「凍傷しか思い浮かばん。」 マリ「しかし、酷い怪我だ。」 ルイ「ファルっちは無傷に近い。一体?」 ルイージ「まぁ、救急車にゆだねようよ。」(笑) シュルツ「負傷者は四名ですね?」 と、言ったその時、メディックへ誰もが視線を向けていた。 メディック「予感は当たったのか…。」 ルイージ「でも、軍人だよ?」 マリオ「いや、俺が一番軽いし。怪我人もいる、丁度いいだろ?」 ルイ「当然だ。ま、捻挫も入るだろうね。」 マリオ「黙れ!」 と、叫ぶマリオに、完全に音が近づいてくる。そして、その音は、公園か、広い場所の入り口付近で止まる。そして、消防車の人たちが、近寄ってくる。それを見たメディックも苦笑しながら、ただ、ほとんどの人たちに視線を向けていた。救急車も、広々とした場所へ駐車し、消防車も同じくして駐車する。そして、まだ火が出ている場所へ、水をかける。その間に、救急車の隊員たちは、負傷者を搬送する準備を進めていた。 ルイージ「念のために救急車へ乗ろうよ。」 マリオ「はい、はい…。」 呆れながら言うマリオ。スネークも救急車に乗せられているのを見たルイージは苦笑する。 シュルツ「無理はしないでくださいね。今の現状、怪我は銃撃でできたものですから。」 スネーク「わかっている。」 そして、残る二名も救急車へ乗せる。 マリ「さて、ようやく救急車たちが到着しておいたから、俺たちは警察官たちに説明しておこう。そうしたほうがいいだろ?保険にもなるし。」 ルイ「救急車に同伴する奴は後でいい。無傷で、救急車に同伴しない奴は残れ。」 そうして、救急車四台は去っていく。それから後に、パトカーの音も響きだす。そして、広々とした、その場所へ駐車する。 それから、マリたちは説明する事にしたのだ。ここで起きた出来事、全てを。 マリ「…と言う事だ。」「わかったな。」 唖然としていた警察官に、そう言ったマリ。と、警察官の一人が笑みを浮かべた。 マリ「龍警部。珍しいな。竜達朗警部。」 竜達朗と呼ばれた警部がまた笑みを浮かべ、現場に視線を向けたのだ。 龍警部「いや、事件といえば俺だろ?忘れたのか?」 マリ「そうだったな。」(笑)(呆) 龍警部「こっちの現場はわかったが、後で負傷者が生存してくれれば、事情を聞く事にするよ。事件の重要人物として、二名を挙げる。それがカー坊とファルコンだ。」 マリも多少驚いていた。二人を重要視すると思わなかったのだろう。そして、ルイもただ、唖然としながら、その状況を聞いていた。 龍警部「同伴して、無傷な奴から事情を聞く事にしよう。後は俺たちに任せろ。」 アパッチ改「話の途中、失礼します。これ、死体…。」 言ったその時、消防士たちは火を消し止めるのに成功したのに間もなかったのか、呆然として立ち尽くしていた。 アパッチ改「人だと考えられます。」 マリ「やはりN2ではないな。だが、自爆という事で調べてくれ。」 そう告げるマリに、龍警部も笑みを浮かべた。そして、ただ、空を見上げながら、病院へ向かう事にしたのだ。負傷者を心配して、という意味だろう。