短編集『世界の中から』(リー坊視点)
私には、夢がある。
私には、願いがある。
私は、娘を可愛がっていた。
魔力の使い方を教えた事もある。
そして、願いは『平和』。
リー坊「…。」
それでも、無理な場合もある。
カー坊「父上…。」
リー坊「いたのか。」
娘たちを残す感覚はどうだったろう。
あの時は必死だったのを覚えている。
次に覚えているのは、予言書を書いてからだった。
種族によって蘇ってからも、私は世界の中から叫んでいる事がある。
平和ではない世界。
リー坊「カー坊、立派に成ったな。」
カー坊「立派ではない。まだ、父上を超えてもいないんだ。超えさせてくれ。」
リー坊「…そうかね。」
カー坊だけは自らを自虐しているようで辛い。
けれど、彼女も成長をし続けている。
自らの思いを、ぶつけるほどに。
けれど、まだ不安が残っている。
どうして、私だけは不安を消せないのだろうか。
リー坊「…。」
カー坊「心の闇は、ずっとあるのかな…。」
最もな言葉とも言える言葉。
私は以前、あの戦いの前によく捕らわれた。
“心の闇”―――。
それを取り払ったのも、種族だった。
そして、娘の生存している事も―――。
カー坊「父上、これより私は平和までに頑張らせてもらいます。」
リー坊「…運命なのかね?」
カー坊「はい。終われば、いずれ私は必要も無くなるでしょう。その時は…。」
リー坊「…できない相談だね。娘がそんな目にあうのを見過ごせないよ。」
カー坊「やはりそうですか…。父上、では。」
カー坊は…娘はしっかりと成長してきている。
ルー坊ならば、きっと笑ってくれただろう。
彼女ならば、きっとカー坊を優しくなだめてくれたに違いない。
しかし、今、彼女は居ない。
今の、支えが必要なのだ。
リー坊「…その相手は、厄介だがね。」
その相手というのは、ヴィントの来世。
彼の来世だ。
彼こそ、きっとカー坊を何とかしてくれる。
彼は、きっとカー坊を支えてくれる。
そう、願ってならない。
世界の中から、そう叫びたい―――…。
終わり。
リー坊の視点です。
リー坊からすればカー坊は大切な娘です。
キー坊、クー坊もですが、ね。
カー坊が大変だったに違いない。