またあえたらいいね
風よ風、もし叶うのならこの声を届けておくれ。
鳥よ鳥、もし叶うのならこの心を届けておくれ。
ずっと、繋がってる青空の下で待っているあの娘のもとへ・・・・・・・・・・・・・。
此処はキンカッシュ古戦場跡、大陸の覇権をめぐり大国2国が争う戦場。
怒号と雷鳴が轟く主戦場とは離れた場所で二人の戦士がお互いの力を静かにぶつけ合っている。
一合、二合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
延々と続く剣戟、第三者から見るとそれは、演舞を舞っている様に見えた。
不意に1人が間合いを取り、演舞が中断される。
間合いを取った男は自分の獲物を鞘に戻し、低く腰溜めに構える。
彼の持つ武器はカタナと呼ばれ遥か東方より伝わりし業物。
もう一方の戦士は身の丈の程もある両手斧を悠然と構え、次の攻撃に備えている。
辺りが沈みかえり、一切の音が消える・・・・・・・・・・。
静寂を破り、一気に間合いを詰め、カタナの戦士が間合いを詰めた。
それに反応するがごとく、両手斧の戦士がその斧を地に向かい叩きつける。
しかし、そこにはカタナの戦士の姿は無い。
「陰流、秋水・・・・・・・・・。」
カタナの戦士の声が聞こえる。
必殺の間合いから放たれる神速の刃。
だが、両手主の戦士とて戦場に名を馳せた豪傑、何とか攻撃を受けきり仕切りなおしと思いきや。
頭部に重い衝撃が走る。
三半規管は悲鳴をあげ、彼の体は麻痺していく。
カタナの戦士の追撃は尚も続く。
不意にカタナの戦士に闇が訪れる。
闇の中、カタナの戦士の鎧は破壊され、背後からの強烈な一撃。
薄れ行く意識の中でカタナの戦士は勝利を確信し、周囲の警戒を怠った自分の甘さを呪い、
ヴィネル島に残してきた、この世でたった一人の家族に思いをはせる・・・・・・・・・・・・。
「唯笑、すまない・・・・・・・・・。」
両手斧の戦士の前に、三人の短剣を持ったスカウトが頭を垂れ跪いている。
「陛下、この様なお戯れはほどほどに。」
最年長のスカウトが戦士を嗜める。
冑を脱いだ戦士、それはゲブラント帝国の若き皇帝ライルであった。
「面白い剣術を使う戦士がカセドリアに居ると聞いて、出てみたがこいつか。 確かに面白い
剣術を使う奴だった。ただ、残念なのは俺の元ではなく、カセドリアに居たことか・・・・・・。」
三人に聞かせることなく呟く。
「よし、ここも直ぐに制圧できるだろう、吉報は本陣で聞く。まぁ、ティファリスに御目通りできないのが
残念だがな。」
三人の共を連れ、ライルは本陣へと戻る。
この日、カセドリア連王王国はキンカッシュ古戦場跡にてゲブラントに対し大敗するのであった・・・・。
~深夜、キンカッシュ古戦場跡~
大クリスタルが淡く光を放つ・・・・・・・・・・・・・・・・。
カセドリア、ゲブラント両兵の遺体がクリスタルの輝きに呼応するように光を放ち、戦死者の魂が
クリスタルに吸収される、肉体は大地に、魂はクリスタルに。
次の戦闘、そしてその次の戦闘へと円環の歌ごとく。
~ヴィネル島~
「ゆ~え~、唯~笑~」
ヴィネル島の岬。
1人の少女が二つの小さな石に祈りを捧げている。
自分の名前が呼ばれ、祈りを中断し声の方へと振り向く。
「どうしたの、おばちゃん?」
息を切らせ駆け寄ってくる初老の婦人に声を掛ける。
「どしたもあるもんさね、カセドリアから定期便の船が来たよ、優日からの手紙が来てるかもしれないから
あんたに教えてあげようと思ってね。」
「わぁ、ありがとう、兄さんから手紙きてるとうれしいな。」
少女ははにかむ。
「まぁ、あの子もいい加減顔をみせても良いだろうに、たった一人の妹をほうておいて。」
「まぁまぁ、おばちゃん兄さんもカセドリアでがんばってるんだし、ちょっと寂しいけど私も我慢しなくちゃ。」
「お~お、いうねぇ~、この子は。」
唯笑苦笑い。
「さてと、伝えたかったことも伝えたし、わたしゃアイボ焼の続きでもするかね。」
婦人はそう言うと今来た道をゆっくりと戻る。
唯笑、不意に遥か彼方のエイケナル大陸の方向へ視線をやる。
届いてますか、私の想い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
END
最終更新:2008年03月30日 23:47