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第11話 試験 中編




二「897、898、899、900・・・」

……後100回も残ってるの?
850回を過ぎた辺りから左手に痺れを感じた。
何とか右手だけで50回振ったけども、そろそろ右手も限界のようだった。
後100回…、たった100回なのに!

二「910、911、912・・・」

私が遅れ始めたのをニッシンが確認した。
点呼を続けながら私の所へゆっくりと近づいてきた。
…もうだめなのかな?
その時だった。
「皆、頑張ろうね!」「絶対卒業しましょうね。」
ゼノ君とベルクさんの言葉が頭を過ぎった。
卒業するんだ……皆で!
先ほど迄の疲れが嘘のように消えた。
いける!
私のペースが元に戻ったのを確認したのか、ニッシンさんが元の位置に戻っていった。

二「997、998、999、1000。それまでッ!!」

終了の合図と共に、私の体から力が抜けて行くのを感じた。
それは他の生徒も同じのようで、次々に倒れていった。

「や…やってやったぜこんちくしょう!」

「やったぁ!」

倒れながらも歓喜の声が木霊した。
しかし、試験をパスできたのは……全体の半分以下だった。

二「まったく、今年の生徒はだらしねえな。」

私達と一緒に素振りをしていた張文遠さんは、余裕といった感じで立っていた。

張「毎年この千本素振りはやっているが、半数が脱落というのは初めての事だな。」

二「まったくだ。この試験の為に毎日素振りをさせていたんだが……。」

ニッシンさんと張文遠さんが困った様な顔で話し合っている。
少しの休憩の後で、第2試験が行われる事となった。

二「第2試験を始める。この試験は俺と張との間を通って向こうのクリスタルに触れる事だ。」

「ただクリスタルに触れるだけなんて簡単すぎるぜ!」

生徒の一人がそう言うと、ニッシンさん達はにやりっと笑った。

張「本当に……そう思うか?」

沙「……まさかッ?!」

二人が武器を構え始めた。

二「俺たち二人の妨害を凌ぎ、後ろのクリスタルに触れる事ができたら合格だッ!」

張「さあ来いッ!」

教官達の掛け声と同時に、一人の生徒が飛び出していった。

「先手必勝ッ!」

その生徒は二人の教官の間に向かって走って行った。
しかし次の瞬間、ピタッと時間でも止まったかのように走るのをやめた。
その理由を考える前に、私の体が反応した。
まるで攻撃でも受け止めようとするかの様に盾を構えた。
そして、来たのは剣でも槍でもなく……殺気だった。


「……ッ!!」

飛び出していった生徒がその場に倒れてしまった。
その生徒を張文遠さんは着ていた鎧を掴み、そのままこちらに投げて来た。

張「……次。」

飛ばされた生徒をよく見ると、教官達の殺気で失神してしまっていた。
一人でも身が竦むのに、教官二人の殺気となれば、私達には失神するほどのプレッシャーになるね。
何とかしてこの試験に合格しないと……。
そうこうしている内に、今度は十数名の生徒が一斉に飛び出して行った。

「これだけの人数を一度に捕まえるのは無理だろうな。」

「誰が捕まっても恨みっこ無しよ。」

「絶対合格してやるッ!」

さすがに10人を越える生徒の強行突破は成功するだろうと思われた。
しかし次の瞬間、信じられない物を見てしまった。

二「張よ、ちっとは手加減しろよ。」

張「ふっ…努力しよう。」

強行突破しようとした生徒全員が、一瞬にしてその場に倒れた。
殺気で失神して倒れた物を居るだろう。
しかしそれよりも張文遠さんに捕まりその場に倒された者も居れば、
張文遠さんを突破したが、その先のニッシンさんによって倒された生徒も居た。

二「まったく、強行突破するくらいなら全員で来いよな。」

張「この程度の人数では、強行突破どころか無駄に兵力を減らすだけだ。」

十数名の生徒が一瞬にして倒された。
この事が他の生徒達に対してかなりのプレッシャーとなった。
しかしあのクリスタルに触れなければ合格にならない。
……強行突破がダメなら。
そう思うと、私はじりじりと前進していった。
もちろん、教官達の攻撃に備えて盾を構えながらだ。

張「なるほど、少しずつ前進して安全にクリスタルに近づこうというのだな。」

教官達の制空権に入ると同時に、身の毛も弥立つ殺気を感じた。
それでもじりじりと前進して行った。
すると、張文遠さんが痺れを切らしたのか、私に攻撃してきた。
得物のバルディッシュを大きく振り回しながらの攻撃の為、避けるのは簡単だった。
バルディッシュを大きく振り下ろした直後に隙が生じた。
私はそのまま張文遠さんを抜いて行った。

二「良い作戦だ、だが…俺を忘れてるぜッ!」

ニッシンさんが私に向かってバッシュを仕掛けてきた。
それに対し私は、スラムアタックで迎え撃った。
ニッシンさんのバッシュを貰ったが、私の体当たりによってニッシンさんも後ろに飛んでいった。
ニッシンさんのバッシュによって数瞬意識が朦朧としたが、素早く持ち直した。
私はそのままクリスタルに向かって走ったが、後少しという所で張文遠さんに止められた。

張「惜しかったな。」

張文遠さんの怪力で地面に押さえつけられた。
あと少しでクリスタルなのに……。

二「もう終わりか?まあ、結構良い線行ってたがな。」

まだだ、手を伸ばせば届くかもしれない。

沙「まだ…、まだやれます!」

張文遠さんに地面に押さえれながらも、クリスタルに向かって手を伸ばした。
届きそうで届かない。
あと少し…、あと少しなのにッ!
少しの間そうやっていると、不意に張文遠さんの力が弱くなった。
すると、私の手がクリスタルに触れた。

二「お、おい張よ、何で力を弱めるんだよ?」

張文遠さんは私を押さえつけるのを辞めると、そのままクリスタルから離れていった。

張「最後まで諦めぬ心、ウォリアーにとっては必須の条件だ。
  それをあの娘は見せてくれた。」





第2試験が終了し、合格者は私を含めても4名だった。

二「お前達、よく頑張った。次の試験が卒業試験の最終試験だ。」

張「最終試験の場所におぬし達を案内する。ついて参れ。」 



次の試験が最終試験……。
何としても合格しなきゃ!


夏の暑さもあったが今回はモチベーションがあまり下がらなかったぜ byスモーキー

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最終更新:2008年08月02日 15:59