第12話 蠢く陰謀
首都に着くと、そのまま宿舎に帰った。
宿舎に入ると同時に、ベルクさんが駆け寄ってきた。
べ「沙羅さん、早くしないと結婚式が始まっちゃいますよ?!」
ベルクさんに引っ張られながら、集会所へ向かった。
宿舎の集会所では、張文遠さんとのーくんでぃさんの結婚式が始まろうとしていた。
私はのーくんでぃさんの所に行った。
沙「結婚、おめでとうございます。」
の「ありがとう。」
のーくんでぃさんは白いドレスに身を包んでいた。
見た目はまるで、白い花の様だった。
張文遠さんは、慣れないタキシードで戸惑っているようだった。
それを見てのーくんでぃさんが笑うと、張文遠さんは照れた。
や「それでは、誓いのキスをしてもらいます。」
二「おいおい、誓いのキスだってのに牛兜を被ったままかよ。」
エ「そうだそうだ!外せないなら俺たちが外してやろうか?」
リ「俺も加勢するぜ!」
張「させんッ!」
の「張さん。」
結局張文遠さんの牛兜は、のーくんでぃさんが外した。
結婚式は騒がしい中、あまり問題も無く進行していった。
そして、最後のブーケトスになると同時に、参加していた女性全員が集まった。
や「のーさん、こっちに投げて!」
ア「あ、ずるいですよやふやふさん!」
恋「やふやふさんじゃなくて私に投げて!」
の「それじゃ、いきまーす!」
思いっきり投げたのか、結構遠くまで飛んだ。
そして、それを何故かゼノ君がキャッチした。
それを見たヌアージュさんが、ゼノ君を何処かに連れて行って結婚式は無事終了した。
結婚式が終わると同時に、大事な事を忘れていた事に気付いた。
スモーキーさんの言葉の続き、聞いてない!
私はスモーキーさんの部屋に向かった。
扉をノックすると、すぐにスモーキーさんが出てきた。
ス「どうした?」
沙「朝の言葉の続きを聞きに来ました。」
そう言うと、スモーキーさんはやれやれと言った感じで苦笑いした。
ス「……ついて来い。」
言われるまま、スモーキーさんの後をついて行った。
宿舎を出て、街の路地裏へと入っていった。
沙「何処まで行くんですか?」
ス「ここら辺に居るはずなんだが…お、居た。」
スモーキーさんが指差した先には、小さな占い屋があった。
中に入ると、女性が一人居た。
ス「ユグドラ、元気してたか?」
ユ「珍しいわね、あんたが此処に来るなんて。」
中に居た女性は、どうやらスモーキーさんの知り合いの様だった。
ス「3年前、ユグドラに言われたんだよ。
俺はこの世界に光を齎す者を育てる事になるってな。」
沙「どうゆう意味ですか?」
ユ「つまりは、貴方はこの世界に平和を齎す者って事よ。
沙羅ちゃん。」
何故私の名前をっと思ったけど、スモーキーさんの知り合いだからだと思った。
ユ「それにしても、今日は何の用かしら?」
ス「ああ、こいつを占ってくれないか?」
スモーキーさんに促され、ユグドラさんの前の椅子に座った。
ユグドラさんは水晶を触りつつ、私とスモーキーさんの顔を交互に見た。
ユ「近い将来、貴方は大きな壁に当たる事になるわ。
貴方はそれを、大切なものと引き換えに乗り越える。
そしてその壁を乗り越えた時、世界に平和が訪れる。」
沙「大切なものと引き換えに……平和が来る?」
ユ「そうなるわね。者なのか物なのか、それは分からないわ。
まあ、何となく予想はできるけどね。」
ス「しかし、これでお前が世界に平和を齎す者だって確定したな。
そして、俺が世界に闇を齎す者だって事も…。」
沙「私が世界に平和を齎す者で、スモーキーさんは世界に闇を齎す者って?」
ス「それもユグドラに言われた事だ。」
ユ「今の沙羅ちゃんには関係の無い話よ。
もっとも、意味が分かった時には」
ス「おいおい、それは今言う事じゃないだろ。」
ユ「……そうね。」
沙「あの」
ス「戦争が終わったばかりで疲れてるだろう。
俺はちょっとユグドラと話があるから、お前は宿舎に戻れ。」
私の言葉を遮って、スモーキーさんが話してきた。
ユ「そうね、沙羅ちゃんは疲れてるわ。早く戻って寝なさい。」
ユグドラさんがクリスタルを投げてきたので、私はそれを受け取った。
受け取った瞬間、目の前が真っ白になった。
気がつくと私は、宿舎の前に立っていた。
辺りを見回しても、いつもの宿舎の風景だった。
まるで、占い屋から宿舎まで瞬間移動したみたいだった。
私は受け取ったクリスタルを見ようとしたが、クリスタルは手の中から消えていた。
べ「沙羅さん、何処に行ってたんですか?」
沙「ベルクさん、これって夢じゃないですよね?」
べ「何かあったんですか?」
沙「いえ、多分疲れてるんですね。
今日はもう休みます。」
ベルクさんにあの後ゼノ君がどうなったのか、結婚式の感想等を聞いた。
やはりベルクさんも花嫁になる事が夢の様で、何時かは結婚式を挙げたいらしい。
べ「でも、私達は兵士ですからね。
のーくんでぃさんみたいに、運命の人と出会えれば良いですけどね。
出会う前に死んでしまっているかもしれませんね。」
沙「大丈夫ですよ。
ベルクさんみたいな綺麗な人を見逃す男性なんて居ませんよ!」
べ「それを言うなら沙羅さんもですよ。
沙羅さんみたいに明るくて元気な女性を見逃す男性も居ませんよ。」
沙「そ、そうかな?」
話をしながら、私達は部屋に戻った。
ベッドに横になると、疲れていたのかすぐに眠気に襲われた。
スモーキーさん達に言われた事が気になったが、すぐに眠ってしまった。
~シュリッツ城内部~
?「賊の襲撃等で遅くなりましたが、計画は最終段階まで進みました。
後は実験体の成長を待つのみです。」
?「しかし、今度こそ上手く行くのだろうな?」
?「余程の事が無い限り、成功致します。」
?「そうか、今度こそこの国を我手になるのだな。
ご苦労だったな、アーシェス。」
アー「ご理解とご協力、誠に感謝しております。ゲイル王様。」
ゲ「うむ、期待しておるぞ。」
~占い屋~
ユ「何か用かしら?
昔馴染みの面子が全員揃うなんて、珍しいわね。」
アト「そろそろ、あの計画を決行しようと思うの。」
ス「ほう、また痺れを切らしたか?」
ヒ「痺れを切らすも何も、俺たちの目的はこれだったはずだ。」
アト「まさか、また邪魔する気?」
ス「いや、今回は俺も協力するぜ。」
ユ「本当に決行する気なら、早くしたほうが良いわね。
日を追うごとに、世界が闇に覆われていくのが見えるわ。」
ス「なら、決行は今夜だな。目撃者は容赦なく殺し、証拠も残すな。
例えそれが、女や子どもだったとしても。」
アト「言われなくても分かってるわよ。」
私が眠っている間に、カセドリアを揺るがす陰謀が動き出した。
しかしそれは、カセドリア国だけで収まる揺れではなかった…。
シングルベール、シングルベール、鈴が鳴る byスモーキー
最終更新:2008年12月24日 18:24