~シュリッツ城内部~
シュリッツ城には簡単に潜入できた。
まあ、俺たちの潜入を発見できる者など居ないが。
ヒ「しかし潜入したは良いが、肝心の物が見つからないな。」
臭いを嗅いでみると、懐かしい臭いがした。
ス「……こっちだ。」
臭いを辿ると、研究室に着いた。
しかしその時、頭上から檻が落ちてきた。
アー「待っていましたよ、完成体の皆さん。」
ス「ほう、俺たちの行動がばれていたとは驚きだ。」
アー「いえ、ただ罠を張って待っていた所に貴方達が来たんですよ。」
しかし、俺たちを捕まえるのに鉄製の檻とは…。
舐められたものだ。
俺が檻に手を触れると、檻からもの凄い熱が発せられた。
ス「…ッ!」
軽く火傷をしたか。
アー「はっはっは、貴方達の力の強さは分かっています。
だからこそ檻も特別製で作ってありますよ。
その檻に魔法は効きません。
力で壊そうとしても、先程の様な灼熱の炎に焼かれるだけです。」
ヒ「どけ、ブルー。」
ヒロが檻の鉄格子に手をつける。
先程同様に、物凄い熱が発生した。
アー「無駄ですよ。そんな事をしても、鉄格子は開きませんよ。」
しかしそんな事等お構い無しに、ヒロは全力で鉄格子を抉じ開けた。
アー「そんな、まさか?!」
アト「さすが、力じゃこの中で一番のヒロね。」
ス「さてと、遊びは終わりだッ!」
第13話 繰り返す悪夢 前編
目を覚ますと、朝の様だった。
ベルクさんはもう起きていた様で、服を着替えていた。
しかし、様子が少しおかしかった。
沙「どうかしたんですか?」
私が訪ねると、ベルクさんが駆け寄ってきた。
べ「大変なんです沙羅さん!
私の城が、シュリッツ城が何者かによって破壊されたのです!!」
沙「…え?」
シュリッツ城が破壊?
状況が読めてないが、まずはベルクさんを落ち着かせる事が先だね。
沙「落ち着いてベルクさん。一度深呼吸しましょう。」
ベルクさんはゆっくりと深呼吸した。
すると、幾分落ち着いたのか顔から焦りが消えた。
沙「それで、いったい何があったのですか?」
べ「それが…、朝起きたら隊長さんに言われたんです。
シュリッツ城が何者かによって破壊されたと。
しかし全部が壊れたわけではなく、研究室を中心に破壊されたみたいなんです。」
研究室?
そういえば、アーシェスさんが何か研究していたね。
沙「もしかして、アーシェスさんの研究が何かの拍子に爆発したとか?」
べ「分かりません。アーシェスが何の研究をしているのか私は知らないんです。
もしそうだとするなら、またこの様な事が無い様に研究を辞めさせないと。」
その時ふと、スモーキーさんの顔が浮かんだ。
しかし、これにスモーキーさんが関与しているとは限らない。
でもスモーキーさんなら、何か情報を持っているかもしれない。
沙「もっと詳しい情報を聞きに行きましょう。」
私は服を着替え、スモーキーさんの部屋へと向かった。
しかしノックをしても、返事は返ってこなかった。
べ「不在みたいですね。」
沙「そう…みたいですね。」
何故か不在とは思えなかった。
しかし、返事が返ってこないのがその証拠ではないのかと思った。
次に私達は、やふやふさんの部屋へと向かった。
しかし、やふやふさんも不在のようだった。
そこへ、理奈さんが現れた。
理「どうかしましたか?」
沙「あ、理奈さん。やふやふさんが何処に行かれたか知りませんか?」
理「やふやふさんは先程副隊長格の方達とシュリッツ城に行かれましたよ。」
べ「そうですか。ありがとうございます。」
副隊長の方達と言われたので、スモーキーさんも同行しているはずだと思った。
部屋に戻ると、ベルクさんがシュリッツ城に行こうと言い出した。
べ「今からシュリッツ城に行きましょう。」
沙「行くって、馬車も無いのにどうやって?」
まさか歩いて行く気なんだろうか?
歩いたら何時間掛かるかベルクさんも分かっているはずだった。
すると、ベルクさんが一つのクリスタルを取り出した。
べ「これを使えば、瞬時にシュリッツ城へ行く事が出来ます。」
そう言って、部屋の扉にクリスタルを取り付けた。
そして扉を開けると、宿舎の廊下ではなく、城の廊下が広がっていた。
外に出ると、そこはシュリッツ城だった。
……クリスタルって便利だね。
ベルクさんの後をついていくと、破壊された場所に着いた。
その光景は、爆弾でも爆発したような状態だった。
辺りには焼け焦げた書類や、割れた試験管等が散らばっていた。
さらに何故か鉄の檻があって、熱か何かの力で鉄格子が曲がっていた。
沙「やっぱり、研究中に何かの拍子で爆発が起きたみたいですね。」
其処からは外がよく見えた。
掘りの近くにやふやふさん達が居た。
副隊長の人達も何人か居たが、スモーキーさんは居なかった。
べ「教官が居ませんね。」
ベルクさんも気付いたらしい。
しかし全員がやふやふさんの周りに居るわけでは無いようだ。
少し離れた場所にアイさんが居た。
その為、スモーキーさんも離れた場所に居るのではと思った。
何にしても、此処からではよく分からなかった。
沙「やふやふさん達の所へ行きましょう。」
べ「…そうですね。」
急いでやふやふさん達の所に向かった。
やふやふさんは少し驚いたが、其処まで不思議がってはいなかった。
や「やはり来ましたか。」
沙「私達も城が気になったので来ました。」
私の顔を見るなり、副隊長格の人達が気まずそうな顔になった。
沙「何かあったんですか?」
しかし、誰一人返事を返してこなかった。
離れた場所から戻ってきたアイさんも、私の顔を見るなり目線を反らした。
べ「もしやこの事件に、教官が関わっているとか?」
ベルクさんの言葉が聞こえるのと同時に、やふやふさんの顔が曇った。
……まさか。
や「まだ決まった訳ではありませんが、十中八九そうなります。
スモーキーさんは今、首都アズルウッドの軍事裁判所に居ます。」
二「例えこの事件に関与して居なかったとしても、奴には賊との内通罪が残ってる。
そう易々と無罪にはならんだろうな。」
沙「でもあれは、軍の上層部が」
ヌ「沙羅ちゃん、張さんでも壊せない鉄格子を…いったい誰が抉じ開けられるって言うの?」
あの怪力の張文遠さんでも壊せない鉄格子を抉じ開けられる…。
思い浮かぶのは、スモーキーさんしか居なかった。
沙「そうだとしても、何でスモーキーさんが軍事裁判所へ?」
や「…ティファリス様が夢に見たそうです。
スモーキーさんらしき人が、数名でシュリッツ城を破壊した夢を。」
沙「夢に見ただけでですか?!」
ア「それがね、そうも行かないのよ。
ティファリス様の夢は…一種の予知夢みたいな物で、現実の情景が見えるらしいの。」
べ「つまり、それが証拠になったという事ですね?」
や「……そうなります。
だからスモーキーさんの無実を証明できる証拠を探してるんです。」
ア「よく分からないけど、あの焼け方はスパークフレアで間違いないと思います。
しかも、相等な魔力を持っていると思われます。
本気を出せば、この城ごと破壊できるかと?
鉄格子のあれは、スパークフレアの熱によるものでは無いと思います。」
や「……そうですか。」
炎魔法を得意とするアイさんの言葉なだけに、あの鉄格子はスモーキーさんだとほぼ決まった。
沙「でも、例え破壊活動にスモーキーさんが関与していたとして、何故でしょうか?」
や「何故とは?」
沙「2度も危機を救ったのに、何故今になって事件を起こしたのかと思ったんです。」
や「分かりません。それにまだ、スモーキーさんが関与したと決まったわけではありません。」
その時、遠くから誰かが走ってきた。
二「ん?ありゃ…、ラウじゃねえか?
あいつが外に出るのは珍しいな。」
ラウさんが戦争以外で外に出てくるのは珍しいらしい。
ラウさんはやふやふさんに近づくと、何かを耳打ちした。
耳打ちが終わると同時に、やふやふさんがクリスタルを取り出した。
や「集合ッ!」
やふやふさんの言葉と同時に、副隊長格の人達がやふやふさんの周りに集まった。
そして次の瞬間、眩い光と共に皆の姿が消えた。
べ「どうやら、首都で何かあったみたいですね。
まさか…、教官が暴れだしたとか?」
沙「それは無いと思います。」
ベルクさんは無言でシュリッツ城の中へ戻っていった。
私はスモーキーさんの無実を信じ、少し辺りを探索する事にした。
すると、城から少し離れた場所で血痕を見つけた。
血痕は草むらに続いていたので、私はその血痕を辿ってみる事にした。
何か事件の証拠が見つかるかもしれない。
草むらを探していると、一人の少女が倒れていた。
眠っているのか、私が近づいても反応が無かった。
少女は軽い火傷や切り傷を負っていたが、命に別状は無いようだった。
それにしても、何故この少女は粗末な服を着てここで眠ってるんだろう?
何にしても、こんな所で寝かせておくべきではないと思った。
私が少女を抱えようとすると、少女の髪が乱れた。
そして…、少女の髪とは違う物が見えた。
これは…耳?!
スモーキーさんと同じような耳が頭についていた。
少女「…ッ!」
少女は起きたのか、目を開けた。
そして私を見るなり、まるで化け物でも見るような目になった。
少女「た、助けて、殺さないで!」
沙「落ち着いて、私は貴方の味方よ。
ここはもう安全だから大丈夫だよ。」
それを聞いて安心したのか、私に泣き付いてきた。
私は少女の背中を摩りながら、何故シュリッツ城の研究室が破壊されたのか考えた。
この少女と事件は、関係があるはずだ。
通常ついているはずのない獣の耳。
粗末な服を着て、城から逃げる様な血痕
私の推理が正しければ、この事件にスモーキーさんは確実に関与している。
そして…、その理由も分かった様な気がした。
ちと早いけど平成21年もよろしくお願いいたします byスモーキー
最終更新:2008年12月30日 23:17