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第7話 意外な再会



意識が回復したのか、ぼんやりと風景が見える。
ここは何処だろう?
ぼんやりとだが、佐紀が居るのが分かった。
佐紀は私に寄り添って眠っている。
感覚も回復してきたのか、腹痛も感じた。
そういえば私、ブルーへクサの攻撃で気絶して…。
辺りを見たが、ここはゴブリンフォークの様だ。
月が出てるって事は、今は夜なんだね。
死んだ訳ではなさそうだ。
あの後……何があったんだろう?
こうやって生きてるって事は、佐紀が私を助けてくれたのかな?
でもブルーへクサが居たのにどうやって?
その時、焚き火の方から声がした。

?「起きたのか?」

誰だろう?
ぼんやりとしか見えず、誰なのか分からなかった。

?「何だ、俺を忘れたのか?
  いや、まだ感覚が戻ってないみたいだな。」

この声、何処かで…。
その人は近づいてきて、私に何かを飲ませた。
すると、少しずつ腹痛が無くなっていった。
それと同時に、視力も回復してきた。
そして、その人の顔がはっきりと見えるようになった。
その人の顔は、傷等が増えていたがすぐに誰だか分かった。

沙「スモーキーさん?!」

ス「やっと回復したか。まったく、まだまだ未熟だな。」

沙「なんでスモーキーさんが此処に?!」

ス「何だよ、居ちゃ悪いのか?」

沙「いえ、そうゆう訳じゃ…。」

スモーキーさんは少し不愉快そうな顔をしたが、すぐに笑った。

ス「大きくなったな沙羅。5年前の姿しか覚えてないから全然分からなかったぞ。」

沙「そうですね。背も伸びましたし、顔立ちも少し変わりましたからね。
  それにしても、何故スモーキーさんが此処に?」

ス「知らない方が良い事もあるぞ?それでも…知りたいか?」

何やら意味深な言葉だね。
というよりも、話したくないみたいだね。

沙「無理に話さなくても良いですよ。」

ス「…そうか。それにしても、お前の横に居るのはお前の生徒か?」

沙「私が指導してますから、生徒と言えば生徒ですね。」

それを聞くと、スモーキーさんは佐紀を見た。

ス「そいつ…、人間じゃないだろ。」

佐紀の正体を見抜いた?
いや、スモーキーさんは知ってて言ってるはずだ。
しかし私同様、佐紀も5年前とは顔立ちも違う。
でも嘘をついたとしても私ではばれそうだね。
ここは素直に言った方が良いね。

沙「…はい。」

ス「お前が指導か…、月日が経つのは早いもんだな。
  まったく、歳は取りたく無いもんだぜ。」

沙「でもスモーキーさんは5年前とあまり変わってませんね。」

すると、スモーキーさんは笑った。

ス「そりゃあお前、身体年齢は20代で止まってるからな。
  クリスタルを使って肉体の成長を止めてるんだよ。
  これは俺だけじゃなく、隊長や他の奴らもやってる事だ。」

…なるほど、だからあまり外見が変わらないんだね。
それにしても、クリスタルって凄いね。
ふと佐紀を見ると、微かに目を開けていた。
どうやら佐紀も起きた様だ。
ゆっくりと起き上がり、まだ眠そうな顔をした。

佐「此処……何処?」

沙「ここはゴブリンフォークだよ。」

ス「モンスターどもは帰っていったぜ。」

佐紀はスモーキーさんに気付くと、私の後ろに隠れた。
5年前の事を思い出したか、微かに震えている。

佐「……この人、ブルーへクサと同じだ。体から死臭しかしない。」

死臭?
確かに、スモーキーさんからはモンスター達の死臭がする。

ス「おいおい、モンスター達から助けてやったってのに随分な言い様だな。
  まあ、感謝されようなんて思って無いがな。」

佐紀の言葉がスモーキーさんに聞こえてたみたいだね。
佐紀はそれを聞くと、さらに私の後ろに隠れた。

沙「それにしても、あの場所にはブルーへクサも居たはずです。
  やふやふさん達はスモーキーさんがブルーヘクサだと言ってますし、私もそう思ってます。」

スモーキーさんは少し残念そうな顔をした。

沙「違うなら非礼を御詫びします。
  しかし魔物達を統べる事ができるのは、私の知ってる中ではスモーキーさんだけです。」

スモーキーさんは少しの間俯いた後、笑った。

ス「その通りだ。この俺こそが魔物を統べる者にして最凶の兵士、ブルーヘクサだッ!」

スモーキーさんはどうだと言わんばかりに笑っている。

沙「何故あんな事を?!
  スモーキーさんは、平和な世界を望んでいたんじゃ無いんですか?!」

ス「それはお前に言う事じゃない。それに、好きでやってる訳じゃねえ!」

スモーキーさんの怒声に、私は少し驚いた。
好きでやってる訳じゃない?

沙「それじゃ、誰かに無理やりやらされてるんですか?!」

ス「…いや、それも違うな。」

よく分からないけど、これ以上詮索するのは辞めよう。

沙「分かりました。確かにスモーキーさんは魔物を統べる者です。
  でも、心まで魔物と化していない事が今回の事で分かりました。」

ス「何故だ?」

沙「それは、私と佐紀を助けてくれたからです。」

ス「それは違うな、あれはお前の運が良かったからだ。
  もしも、もう少し日が暮れるのが遅かったら…お前は死んでいた。」

日が暮れるのが遅かったら?

沙「それはどうゆう意味ですか?」

ス「沙羅、今から俺が言う事を信じるも信じないもお前次第だ。」

スモーキーさんは、話し辛い時は決まってこう言う。
そして、話すことのほとんどは真実だった。

沙「信じます。」

私の言葉を聞くと、スモーキーさんは私の目を見た。

ス「ブルーヘクサは、もう一人の俺と言ってもいい存在だ。
  俺は今、夜の間しか自分の意思で動く事ができない。
  日中はブルーヘクサに体の自由を支配されている。
  だからこそ、もう少し日が暮れるのが遅かったら死んでいたと言ったんだ。
  しかし、この時間も日に日に短くなっていく。」

沙「なるほど。だから好きでやってるわけじゃないと言ったんですね。」

佐「だからと言って、お前がやってきた事が許されると思うな!」

佐紀は私の後ろから身を乗り出して、スモーキーさんに対して怒鳴った。
確かに、自分の意思ではないにしても、スモーキーさんがやった事は許されることでは無い。

ス「そんな事はこの俺が一番理解している。
  ……もうすぐ夜が明ける、お前達は早く首都に帰れ。」

沙「…またブルーヘクサになるんですね。」

ス「ああ、だから早く行け。そして次に会うときは、俺は俺で無くなっているかもしれん。
  その時は頼むぞ…、沙羅。」

沙「分かりました。」

私達は早足でその場を後にした。
スモーキーさんが、何時ブルーヘクサになるか分からないからだ。



~ゴブリンフォーク~

?「行かせて良かったの?」

?「ああ、別に後悔はしてない。それより、あれはどうなった?」

?「貴方の予想通りに事は進んでるわ。まもなく計画は最終段階になるわね。」

?「そうか。もうすぐ……終わるか。」




首都に着くと同時に、スモーキーさんの言動に不審な点があった事に気付いた。
日が暮れるのが遅かったら…。
それがスモーキーさんが自分の意思を取り戻す要因であり、私と佐紀が助かった理由だ。
しかしブルーヘクサと対峙した時、日はまだ傾いていなかった。
ブルーヘクサに体の自由を奪われているというのは嘘なのでは……?
しかし、何故そんな嘘を?
家に着くと、何故かベルが居た。

沙「どうしてベルが家に?」

べ「ちょっとお話したい事があるんです。」

話したいこと?
私は佐紀をお母さんに預け、二人で私の部屋に向かった。
部屋に着くと、ベルはベッドに腰掛けた。
私は椅子に腰掛けると、ベルと向かい合った。

べ「沙羅さん、度重なる魔物達の襲撃に対し、ついに各国が立ち上がるときが来ました。」

沙「ついにカセドリアの全軍で侵攻するの?」

べ「いえ、そんな規模ではありません。
  カセドリアを含めた、メルファリアの5カ国が協力して魔物達に立ち向かおうというのです。」

沙「そんな事が可能なの?!」

べ「全ての国は無理でしょうが、ホルデイン王国やエルソード王国は協力してくれるでしょう。
  3カ国だけでもかなりの数の兵になります。
  魔物達を全滅っとまでは行かないにしても、かなりの打撃を与えられるはずです。」

3カ国だけでも、兵士の数は数万に達するだろう。
しかしそれだけで、あの数のモンスター達に対抗できるのだろうか…?
3カ国が疲弊するのをネツァワル王国とゲブランド帝国は静観するだろう。

沙「そうね。さらにその後、ネツァワル王国とゲブランド帝国がその3カ国を攻める。
  魔物達との戦いで疲弊した3カ国は簡単に占領できるでしょうね。
  そして世界は、2カ国の争いになるわね。」

何気なく外を見ようとしたその時、机の上の写真立てが目に入った。
その中には、兵士育成機関の卒業式後に皆で撮った写真が入っている。
私とベルとゼノ君……、そして私達の後ろで満面の笑みを浮かべるスモーキーさん。
魔物を統べる者はスモーキーさんだっと言うべきか…?
私が写真を見て迷っていると、ベルが近づいてきた。
そして、私に囁いてきた。

べ「教官は生きてますよ。」

沙「うん。生きてるよ。」

てっきり私が驚くと思っていたのか、ベルは私の返事を聞いて驚いた。
私は一度深呼吸をした。
ベルが私に対して話すときは、隠し事は無かった。
なら私も真実を話そう。

沙「ベル、一度しか言わないからしっかり聞いて。
  そして、絶対に他言しないで。」

べ「…分かりました。決して他言は致しません。」

そう言って、ベルは真っ直ぐに私を見ている。

沙「魔物を統べる者、ブルーヘクサは……スモーキーさんなの。」

ベルは何か言おうとして、慌てて自分の手で口を塞いだ。
そして私をじっと見ている。
私はそれに無言で頷いた。


久しぶり過ぎて文章が変になってるかも…。byスモーキー

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最終更新:2009年04月29日 08:04